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【飲食店経営】火災・台風・地震時に店舗がとるべき「防災対策」の基本をまとめてみた

開店ポータル編集部
2020/07/08
 近年、日本中で大規模災害の発生件数が増え、防災への心構えがより重要になってきました。飲食店は、地震や津波、台風による豪雨、火の不始末による火災など、災害のリスクと常に隣合わせ。ふだんから防災対策をするべきなのは、一般家庭や企業に限った話ではありません。

 営業中に、突然揺れがきたら、緊急避難速報が鳴りだしたら、突然鍋から火が燃え広がったら――飲食店は店舗とお客さまを守るために、どのような対応をとればよいのでしょうか。

【飲食店の防災対策】飲食店が対応すべき基本的な「防災対策」


 災害には、地震や台風といった「自然災害」と、火災のように人為的なミス(火をつけたままコンロを離れるなど)が原因の「人災」があります。
 まずは、基本となる次の防災対策をしておきましょう。

①防災マニュアルをつくる
③防災責任者を決める
③災害時の営業について考える
④従業員の自宅と交通手段を把握する
⑤帰宅困難時に備える


 以下で一つひとつみていきます。

①防災マニュアルをつくる

 地震や台風、火災のときに、どう行動すればいいのかをまとめたマニュアルをつくりましょう。
 ただし、マニュアルが完成したらそれで終わりではありません。スタッフ全員でマニュアルを共有し、万が一のときに落ち着いて行動に移せるようにしてください。

②防災責任者を決める

 災害時に指示をする人がいないと、店内はパニックに陥ります。防災責任者を決めておき、万が一のときはその人の判断に従うようにしましょう。防災責任者がお休みのときのために、代行者も決めておくと安心です。
 あわせて火災時の消火係や、お客さまを避難させる誘導係なども決めておき、防災訓練に役立てましょう。

③災害時の営業について考える

 地震や台風に見舞われたときに、時間短縮で営業するのか、クローズするのか、それを誰が判断するのかを決めておきましょう。
 店舗が複数ある場合、オーナーが判断してもかまいません。しかし地震や豪雨による被害状況は、エリアによって大きく異なります。判断は、現場にいる店長やマネージャーに任せるのが安心です。

④従業員の自宅と交通手段を把握する

 台風の場合、天気予報を見ればある程度は進路が予測できます。これから被害が大きくなると考えられるとき、スタッフを出勤させるかどうかは悩ましいところです。
 スタッフの家とお店の間の距離や、交通手段によっても判断は異なります。全員の住所や通勤手段を、きちんと把握しておきましょう。

⑤帰宅困難時に備える

 災害時は交通機関がマヒしたり、崩れた建物で道がふさがったりして帰れなくなることがあります。
 場合によっては、お店でひと晩過ごさなければならないことも。そのときに必要な毛布やホッカイロ、食料や水、救急用品などを多めに用意しておきましょう。
 防災グッズについて、次の章で詳しくご紹介します。

【飲食店の防災対策】店舗に用意しておきたい防災グッズは4種類

 防災グッズには、大きく分けて「防災用品」「医薬品」「日用品」「食料・飲料」の4つがあります。

 災害時は、電気やガス、水道がどのくらいで復旧するか予想ができません。また、自治体や各種団体が準備する生活物資(食料や水、毛布など)が届くまで、災害発生から3日はかかります。そのため、防災グッズは3日ぶんを目安に確保しておきましょう。

【飲食店の防災対策】地震・台風時の「防災対策と対応」


 地震や台風などの自然災害は、人の力で食い止めることはできません。大切なのは、被害を最小限に抑えること。そのために、日ごろから次の対策をしておきましょう。

▼地震・台風時の防災対策▼

・ハザードマップを確認する
 自治体が発行するハザードマップでお店の位置を確かめ、土砂崩れ、液状化、豪雨による水害などのリスクがどれくらいあるのかを把握しておきましょう。
 災害時は、市区町村が指定する小中学校や公民館などが、避難所として開放されます。最寄りの避難所と避難所までの道順も、ハザードマップで確かめておきましょう。

・落下、転倒物をなくす
 高いところに置いたテレビやお酒のボトル、照明器具などが地震で落下し、ケガをするおそれがあります。目線より高い位置にあるものは固定する、お客さまの頭上を避けて設置するなどの工夫をしましょう。
 大きな棚や什器はボルトで壁に固定する、伸縮棒で天井に突っ張るなどの工夫をすれば、転倒のリスクを減らせます。什器はなるべく掛け金式の扉がついたものを使い、倒れたときに中のものが出ないようにしましょう。

・客席に懐中電灯を備える
 地震のあとは停電することがよくあるため、夜は真っ暗になってしまいます。足元に割れた食器やグラスが散らばっていれば、その場から動くこともできません。
 各席にひとつ懐中電灯を備えつけておけば、お客さまに安全に避難してもらえます。

・避難、救助用の工具類を準備する
 地震の揺れが大きかったり、豪雨でお店が浸水したりすると、ドアが壊れて出られなくなる可能性があります。誰かが、倒れた家具の下敷きになっている…なんてことも。
 脱出用・救出用に、のこぎりやバール、軍手などをそろえておきましょう。けがにそなえて、包帯や塗り薬などの入った救急箱も用意しておきましょう。

①地震時にとるべき対応

・ガスの元栓を閉める
 地震を感じたらすぐに火を止め、ガスの元栓を閉めましょう。グリルやオーブンなども忘れずに止めましょう。

・お客さまを安全な場所に誘導する
 座席にクッションを設置している場合は、それで頭を保護しながら、窓や落下物から離れた安全な場所に誘導しましょう。

・慌てて外に飛び出さず、落ち着いて様子を見る
 慌てて外に逃げると、屋内より大きなもの(看板やガラス、切れた電線など)が落ちてくる場合があります。落ち着いて安全な屋内で、揺れが収まるまで待ちましょう。

・清算する
 もし小さな揺れでは収まらず、停電するような巨大地震に見舞われたら、営業を中断してお客さまの精算をしましょう。コース料理の途中だった場合は割引いた金額を決めて料金を申し受け、後日改めて来店してもらえるように伝えましょう。

・ブレーカーを落とす
 地震によって停電になった場合、ブレーカーを上げたままにしていると、電気が復旧したときに火災が起きる場合があります。ブレーカーを落としてから避難しましょう。

・外に避難する場合は建物や塀から離れる
 本震で落ちてこなかった看板やガラス、崩れなかった塀が、余震で突然崩れることがあります。お客さまが落下物に巻き込まれないように、建物や塀から離れたところへ誘導しましょう。

②台風時にとるべき対応

 台風や大雨は前もって予測できる災害です。台風が近づいている、大雨が予測されている場合は、店を守るために早めの対策をしておきましょう。
・ゴミ容器
 強風の影響で、ゴミ容器が飛んでしまうことが考えられます。ゴミ容器に何も入っていないのであれば、飛ばされないように一ヶ所にまとめておき、ロープなどで固定しておきましょう。

・看板
 置き看板は屋内に収納し、風で飛ばされないようにしましょう。壁から突き出した袖看板は一番強風の影響を受けます。もしグラつきがある場合は店名の書かれたカバーを外しておきましょう。強風で飛ばされて通行人にケガをさせては大変です。

・雨漏り対策
 台風がやってきたときだけ窓枠から雨漏りがする、という経験はありませんか?これは窓枠のコーキング材が劣化して、小さなひび割れができているためです。横殴りの雨がたたきつけると、そのひび割れに雨が入り込んで、雨漏りとなります。この場合はホームセンターでコーキング材を購入し、DIYなどで修繕しましょう。

・予約を確認する
 台風が近づいているとき、お客さまが予約をキャンセルする場合が考えられます。ドタキャンされて食材を無駄にすることがないよう、前もってお客さまに電話で確認してから、食材を調達するか判断しましょう。営業を中止するかどうかの判断も、予約の有無を確認すれば判断しやすくなります。

・いつまで営業するか見極める
 洪水や強風で交通機関が使えなくなることも予想されます。電車や地下鉄が運休になってしまっては、お客さまも従業員も、オーナーも帰宅できなくなってしまいます。何時ごろに台風が近づくか情報を注視し、何時まで営業するか、または休業するか、見極めが大切です。早めに営業を中止し、お客さまに呼びかけや貼り紙、SNSで、閉店・休業することを告知しましょう。

【飲食店の防災対策】火災時の「防災対策と対応」


 火災の原因は、人為的要因(火の消し忘れやたばこの吸い殻の不始末など)がほとんどです。そのため、自然災害である地震や台風と違い、次のような対策で防ぐことができます。

▼火災時の防災対策

・火の不始末に注意する
 とくに注意すべきは、たばこの吸い殻の処理です。火が消えきっていないのに気づかず捨てた吸い殻が、火災の原因になることはめずらしくありません。吸い殻は完全消火して捨てるようにし、ゴミ箱の管理も徹底しましょう。
 調理中にその場を離れる場合には、「少しの間だから」と油断せずにコンロの火を消しましょう。その日の営業を終えたら、きちんと元栓を閉めてお店を出ることも大切です。

・消火器の位置を把握する
 せっかく消火器を置いていても、「どこにあるのかわからない」「使い方がわからない」では意味がありません。いざというときにすぐ取り出して使えるよう、ふだんから消火器の設置場所と使い方の手順を把握しておきましょう。

・避難経路を確認する
 火災では、数秒の避難の遅れが命取りです。お客さまをすみやかに誘導できるよう、避難経路を確保しておかなければなりません。
 エレベーターは使えなくなる可能性があるため、階段を使った避難のシミュレーションをしておきましょう。避難口が荷物でふさがっていると、逃げ遅れの原因になります。雑居ビルなどにお店をかまえている場合は、とくに注意してください。
 

▼人的要因による火災の予防策

 地震や台風と異なり、火災の場合は人為的な要因が大きいです。日ごろから気を付けていることで、火災を未然に防ぐことができます。
・コンセントのホコリやタコ足配線を放置しない
 コンセントにホコリがたまっていると、電気がホコリに引火して火災が発生する場合があります。無理なタコ足配線も、コンセントが過熱して火が出る原因になります。コンセント周りは定期的に清掃し、タコ足配線にならないように配線を見直しましょう。

・煙草の吸殻を可燃ゴミにまとめない
 一見火が消えているように見える煙草の吸殻。しかし、可燃ゴミにまとめてゴミに出したあとに発火するケースは少なくありません。煙草の吸い殻は完全に消火し、可燃ゴミとまとめておくのはやめましょう。

・ガス管が老朽化していないか点検する
 古い店舗ではガス管が老朽化し、ガス漏れするケースも考えられます。ガス漏れしているところで料理をすれば大事故につながります。ガス管が古くなっていないか、定期的に点検しましょう。
 

■火災時にとるべき対応

・「火事だ!」と叫び、周りに呼びかける
 飲食店側としては火災を起こしたことを知らせて騒ぎになるのは、できれば隠したいことでしょう。しかし、火は一瞬で燃え広がります。お客さまやスタッフが逃げ遅れて被害を出すことだけは避けなければなりません。まずは「火事だ!」と叫び、危険な状況にあることを呼びかけましょう。

・消防署に通報する
 どんなに小さな火災であっても、消防署に通報しましょう。消防が来るまでの時間に、火の手は広がってしまいます。落ち着いて住所と火元を通報しましょう。

・初期消火
 火の手が天井に届かない高さであれば、消火器で消化することができます。火の勢いが強いときや油鍋から火が出た場合は、水をかけると爆発する危険があります。消火器も、火に近づけすぎると消火器の勢いで油が飛び散る危険があるため、離れたところから放射してください。火が消えてからも安心せず、油鍋には蓋をして、温度が下がるまで待ちましょう。

・煙を吸い込まないためにゴミ袋をかぶる
 煙には一酸化炭素など有毒ガスがたくさん含まれています。マスクやハンカチではガスをシャットアウトすることができません。ゴミ袋に空気を入れてかぶり、袋の口を押さえて避難しましょう。袋の中の空気で、避難するために十分な呼吸は確保できます。お客さまの分もゴミ袋を配布し、被ってもらうようにしましょう。

・避難
 消火器でも火が消えなかった場合は避難しましょう。避難する際は、火の手が上がった部屋のドアや窓を閉め、空気を遮断しましょう。お客さまを入口や非常口に誘導し、屋外へ避難しましょう。避難したあとに様子を見に中に入ることは絶対にしてはいけません。急に空気が入ったことで、火の勢いが増し、爆発する危険があります。

【飲食店の防災対策】消防法で義務づけられている「消防設備の設置・点検報告」


 飲食店は、不特定多数の人が出入りする施設。
 次のような消防設備の設置が、消防法で義務づけられています。

▼消火設備

 消火器、簡易消火用具(水バケツ、乾燥砂など)、屋内消火栓設備、スプリンクラーなど

▼警報設備

 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器など

▼避難設備

 避難はしご、すべり台、緩降機、救助袋、誘導灯など

 設置する消火設備は、お店の延べ床面積や出店場所などによって異なります。たとえば、はしごなどの避難器具は「空中階もしくは地下階にあり、収容人数50名以上」のお店であれば設置しなければなりません。また、誘導灯は規模にかかわらず、すべての飲食店に設置義務があります。

 消防設備は、年に2回の点検が義務づけられています。点検をしなかった場合や、消防署への点検結果の報告を怠った場合は、法律で罰せられるので要注意です。

 ただし、消防設備の設置・点検義務は、借主ではなく「建物の持ち主」が負うもの。ビルのテナントとして出店していて、消防設備に不備があるような場合、オーナーにその旨を伝えましょう。

★保険についても知っておこう★
自然災害・地震から飲食店を守る任意加入保険について調べてみた

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 飲食店が防災について考えるうえで、忘れてはならないことがあります。それは、「お店には、お客さまやスタッフの安全を守る義務がある」ということ。

 万が一のときにも慌てることなく、お店という財産、そして大切なお客さまやスタッフを守れなければなりません。ふだんから防災意識を強く持ち、安全で信頼されるお店を目指しましょう。災害が発生したときは、冷静に対処し、お客さまの混乱を抑えて、避難誘導しましょう。

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