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飲食店経営|食中毒が発生した時の対処法やお客様対応、入るべき保険について

開店ポータル編集部
2020/07/22
 飲食店を経営する上で正しく知っておかなければならないのが、お店で食中毒が発生した場合の対応です。食中毒は、お店の信用や存続だけでなく、お客さまの健康や命を脅かしかねない重大な問題です。

 本記事では、お客さまから「食中毒かもしれない」と連絡が入った場合の初動と、食中毒と診断された場合、お店に過失がなかった場合それぞれの対応についてお伝えします。

【飲食店経営】飲食店で発生する食中毒は、夏場だけではない


 食中毒とは、細菌やウイルス、有害物質が付着した食べ物や飲み物を口にすることで、腹痛や下痢、嘔吐、発熱などがあらわれる病気のことです。

 飲食店で事例の多い食中毒は、カンピロバクターやサルモネラ菌などが引き起こす「細菌性食中毒」と、ノロウイルスなどが引き起こす「ウイルス性食中毒」に大別されます。
細菌が食べ物の中で増殖するのに対して、ウイルスは人間の体内で増殖するという性質を持っています。

食中毒が発生しやすい季節はいつ?

 食中毒が発生しやすい季節として、梅雨の時期(5~6月)や夏場(7~9月)というイメージがありますが、寒い時期の食中毒もめずらしくありません。気温の高い時期は細菌性食中毒が多いですが、12月~3月の冬の時期は、生牡蠣などのノロウイルスを原因としたウイルス性食中毒が多くなります。

【飲食店経営】「食中毒かもしれない」そんな連絡が入った時の対処法は?

 お店で食事をしたお客さまから、「食中毒かもしれない」と体調不良を訴える連絡が入った場合、どのような対応をすればいいのでしょうか。

①まずは事実関係を把握しよう

 まずはお客さま本人、またはご家族から飲食店に電話が入ると考えられます。「食中毒かもしれない」というお客さまの言葉に過剰反応したり、問いただしたり、否定したりしないよう注意しましょう。

 この段階ではまだ食中毒が「疑われる」段階で、お店に責任があるのかは分かりませんが、お客さまが症状に苦しんでいるのは事実です。まずは落ち着いて、「不安にさせて申し訳ございません」という謝罪の言葉と、体調を気遣う気持ちを伝えましょう。

 次に、お客さまから以下の内容を聞き取りましょう。正確に事実関係を把握できるよう、メモを取っておいてください。

・いつごろから、どんな症状があるのか
・来店日時と、訪れたときの人数
・その日に食べたメニューと食べた時間
・複数人で訪れた場合、ほかに症状が出ている人がいないか
・病院に行ったか、保健所に連絡したか
・お客さまの氏名と連絡先

②お客さまに医療機関の受診をうながそう

 腹痛や下痢などの症状がある場合、食べすぎなどお客さま自身に原因がある可能性もあり、お店で提供した料理が原因とは限りません。もし食中毒だとしても、ほかのお店で食べたものが原因である可能性もゼロではないでしょう。

 そのため、お客さまの症状が食中毒によるものなのか、そうでないのか、医療機関の判断を仰ぐ必要があります。お客さまがまだ病院に行っていないようであれば、すぐに受診するようすすめましょう。

③診断を待ちながら情報収集をしよう

 お客さまが病院を受診したあと、食中毒かどうか分かるまでには2~3日ほどかかります。ただ診断を待つのではなく、その間に次のような情報を集めておきましょう。

・当日同じメニューを食べたほかのお客さまから、同様の連絡が入っていないか
・仕入れ先の卸売業者に同様の連絡が入っていないか
・スタッフの中に体調不良を訴えている人がいないか


 また、食中毒の原因として疑わしい食材が残っていれば状態を確認し、保健所の検査に提出するために保存しておきましょう。

【飲食店経営】お客様の受診結果が「食中毒」だった場合の対応

 食中毒と判断された場合は、食中毒の原因がお店で提供した料理なのか、それ以外なのかを特定する必要があります。

 万が一飲食店側に過失があった場合は、営業を休止し、保健所の立ち入り調査に応じなければなりません。厨房内は清掃・消毒せず、そのままの状態で保存しておいてください。
 調査に際して、保健所からは次のような資料の提出を求められます。

・調理法や調理の手順、仕込みの状態、保存時間などが分かるレシピ
・仕入れ業者の名簿や、仕入れ履歴の分かる納品書
・店内の各チェック表(清掃チェック表など)
・食品衛生の管理マニュアル


 このほかにも、保健所が必要と判断すれば、スタッフ全員の健康状況の報告や検便検査なども求められることがあります。お客さまには「現在保健所の調査を受けていること」「結果が出次第すみやかに報告すること」の2点を伝えて、不安な気持ちを軽減するよう努めましょう。

【飲食店経営】保健所の指導・処分のほか、賠償責任が発生することも

 保健所の立ち入り調査が終了し、「お店側の過失で食中毒が発生した」という検査結果になった場合、数日から1ヶ月以内に行政指導、行政処分などの判断が下されます。お客さまの症状の程度や欠勤・通院日数によっては、追加の治療費、休業損害や慰謝料などの支払いが発生することがあります。

▼休業損害とは

 休業損害とは、お客さまが食中毒によって体調を崩し、仕事を休まなければならなくなった場合の補償のことです。休業損害の支払いを要求されたら、仕事を休んだことを確認できる証明書を勤務先に作成してもらうよう、お客さまに依頼しましょう。

 その際、医師に手紙を送り、お客さまの症状の程度や欠勤の必要性をたずねましょう。欠勤の事実があっても、休む必要がない程度の症状であれば、補償の対象外になるからです。個人情報に関わることなので、お客さまから同意書をいただく必要があります。
 欠勤の事実があり、仕事を休む程度の症状であると確認できた場合は、給与額を日割り計算し、欠勤日数分の休業損害を支払います。
 

▼慰謝料とは

 食中毒によって腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出たことや、通院が必要になったことによる身体的・精神的苦痛に対する賠償が、慰謝料です。慰謝料の支払いを要求された場合、症状の程度や通院日数に応じて適切な額を支払います。

 過去の裁判例では、飲食店で食事をしてノロウイルスに感染し、嘔吐が3日程度、下痢が4日程度続いたケースについて、慰謝料額が2万円と裁判所が判断しています(平成25年 1月28日東京地方裁判所判決)。

【飲食店経営】食中毒のリスクに備えて、PL保険(生産物賠償責任保険)に入っておこう

 お店の清掃・消毒にどんなに気をつけていても、食中毒のリスクはゼロにはなりません。万が一の場合に備えて、「PL保険(生産物賠償責任保険)」に加入しておくことをおすすめします。

 お店で食中毒が発生した場合、保健所の行政指導・行政処分のみならず、お客さまへの慰謝料、裁判に発展した場合の弁護士費用、和解費用などを支払う必要が出てきます。
「食中毒を出した」という事実が社会的信用を落とし、廃業に追い込まれてしまうケースも中にはあります。

 しかしPL保険に入っておけば、お店側の賠償責任の有無にかかわらず、上記のような費用がすべて補償されます。つまり、お客さまの訴える症状が食中毒によるものでなくとも、保険がおりるということです。

 ただしPL保険で補償されるのは、あくまで「損害賠償」に関する費用のみ。営業停止による売上の減少、販売済みのお弁当などをリコールした場合の損失などは、「特約」としてオプションをつけないと補償されないことがあります。この点には注意してください。

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 お店の清掃・消毒や食品の衛生管理、スタッフの健康管理によって食中毒を防ぐのは、飲食店として当たり前のことです。さらに、万が一食中毒が発生した場合に備えて、PL保険へ加入することや、対応マニュアルを作成・共有しておくことも大切です。保健所から提出を求められたときのために、仕入れ伝票や卸売業者の名簿なども、すぐ取り出せるよう整頓しておきましょう。

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 どんなお店でも、お客さまから「食中毒かもしれない」と連絡が入れば慌てるでしょう。いかに初動を誤らず、落ち着いて対応できるかがその後に影響します。お客さまの体調を気づかいながら、事実関係を把握し、適切な対処をおこなっていきましょう。

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