【長崎・日泊町】10年越しの思いを形に――『セーナ オブトシフォリア』で食文化を見つめ直す

大村市日泊町にオープンした『セーナ オブトシフォリア(SENNA OBTUSIFOLIA)』は、イタリアンと日本料理の技術を活かした食事を頂けるお店です。コンクリートと木材で造られたお洒落な店内で、オーナーの西野さんにお話を伺って来ました。

畑の開墾から始めたレストラン

――お店からの海の景色が絶景ですね。窓がまるで絵画のようです。

ここから見える大村湾は、内海ですごく穏やかなんです。心地よい波風もあるので、リラックスして食事ができると思います。10年程前に畑作りをするための土地を探していて、そこで見つけたのがこの場所です。最初は人の手が全く入っていない、荒れ果てた土地でした。

――その状態から環境を整えるのは大変だったと思うんですけど、なぜここに決めたんですか?

「野菜本来の味を知りたい」という思いがあったので、1から畑を作りたかったんです。この場所を見つけるだけで3年間かかりました。うちの畑では無肥料無農薬で栽培しています。農業の知識は基本的に独学で、あとは必要だと思うものを学びに農家研修に行きました。

――ご自身でこつこつと作業されたんですね。お店はどうして開店することになったんですか?

野菜ができるようになったら、それを活かしたくなったんです。もともと料理店で研修した経験もあったので、この店をオープンすることにしました。

――その土地で育ったものを、素材本来の状態で食べることができるんですね。長崎は魚も新鮮だと思うんですけど、どこから仕入れているんですか?

魚もお肉も、基本的に全て自分で足を運んで選んでいます。食材がどう扱われて、どのようにこのレストランに届いたか分かった上で、お客様をおもてなししたいんです。そのために、生産しているオーナーさんと直接知り合いになって、信頼関係を築くようにしています。

この土地ならではの食材を食べてほしい

――どこからきた食材か分かると、安心して食べられます。

それがお客様に対しての思いでもありますし、素材への敬意でもありますね。地道に作り上げてきた料理やこの土地の食文化を、お客様に伝えていける店にしたいと思っています。

――「食材に敬意を払う」というと、丁寧に調理したり、残さず食べたりするイメージはありますが、西野さんは選別や仕入れの段階から大切にされているんですね。

ちなみに魚はハモ料理や、これからの季節だとカツオ・スズキ・アジを使ったものがおすすめですね。お肉もできる限り自然なものを使いたいので、狩猟によって捕獲されたジビエの肉も仕入れています。僕自身、狩猟免許を持っているので、近隣の猟友会の方と交流があるんです。その方々から、最もいい状態のお肉を仕入れさせて頂いています。

――ジビエというと、イノシシとか鹿ですか?私、まだ食べたことがないんです。

長崎はイノシシが一番多いので、イノシシを中心に使うことが多いですね。鹿も長崎の一部や、近隣の県で獲れています。鹿肉は低脂肪でサッパリしていておすすめです。高タンパクで健康食でもあるんです。夏はほんのり脂が乗って、更に美味しくなります。ジビエの肉には独特の臭みがある、とイメージされる方も多いかもしれません。しかし、うちのお肉は血抜きなど、正しい方法で処理されているので臭みはゼロです。

――私のようなジビエ初心者にもピッタリですね。夏の暑さを乗り切るためにも、食べてみたいです!

それから、うちに来たら是非ジャガイモも食べて頂きたいです。長崎は北海道に次ぐジャガイモの生産地なんですよ。ジャガイモは農家さんから仕入れていて、こちらも無肥料無農薬のものを使っています。

――長崎のジャガイモにはどんな特徴があるんですか?

うちで使っているのは“出島”という品種で、芽が浅く凹凸が少ないので抜群に扱いやすいです。香りがよく、青臭さがありませんし、味もとても美味しいです。ジャガイモ料理にはすごく力を入れていますね。

――ジャガイモはどんな料理にしていますか?

今ですとビジソワーズという、ジャガイモの冷製スープをご用意しています。ジャガイモを使ったパンも作っていますね。

コースは幅広い価格帯から選べる

――同じ食材を使った料理なら、一緒に食べると合いそうです。メニューはどんな構成になっていますか?

うちは全ておまかせのコースです。コースの最初にお茶をお出ししています。このお茶は、エビスグサという植物の種子を煮出したものです。香りが素晴らしく、スッキリした味わいで、このお茶を飲んだ瞬間から他のものが飲めなくなったくらい美味しいです。6年くらい前に有機農家さんからもらって蒔いたエビスグサの種が、この土地に自生してくれています。このエビスグサが、ラテン語でセーナオブトシフォリアというんです。

――お店の名前の由来になったんですね。味わって飲んでみたいです。

コースはこのお茶以外に、大体6品くらいですね。3,500円のコースだと、基本的に前菜・スープ・パン・パスタ・メイン・デザートになります。5,000円のコースになると、これにお肉料理も付いてきます。夏からはより質を上げた8,500円のコースもご用意するので、幅広いご要望にお応えできるようになります。

――前菜やメインはどんな料理が出てきますか?

基本的に前菜は旬のお魚やお野菜を出しています。パスタは手打ちのもので、ジビエのお肉を入れることもあります。メインは活〆されたお魚を使うことが多いですね。魚と一緒にご飯をお出ししていて、お米は魚の骨から引いたお出汁で炊いています。また、高温で焼きつけておこげを作っているので、食感や香ばしさも絶品です。

――食材からしっかり旨みを吸収したご飯を食べられるんですね。

味がしっかりしていて、うちの良さを感じて頂けると思います。デザートは旬のフルーツや野菜を使ったジェラートや、温かい焼き菓子など、必ず3種類作るようにしています。最後にオーガニックコーヒーか、畑にあるフレッシュなハーブティーを飲んで頂けます。どの料理も、その季節に採れないものは使わないようにしていますね。

――来る時によって、季節に合った食材を頂くことができるんですね。お魚料理やデザートが充実していて、女子会にも使いたいです。

あまり予約を詰め込まず準備させて頂いているので、ゆったりと過ごして頂けると思います。リラックスできる空間になっているので、是非お気軽にお越し下さい。ここでしか食べられない料理で、心尽くしのおもてなしさせて頂きます。

店舗情報

店名 セーナ オブトシフォリア (SENNA OBUTUSIFORIA)
住所 〒856-0846 長崎県大村市日泊町398-4
電話番号 0957-51-1260(完全予約制)
アクセス JR九州 長崎本線 岩松駅から車で約10分/西諫早駅から車で約10分
営業時間 12:00~22:00
定休日 不定休
URL https://tabelog.com/nagasaki/A4204/A420401/42010813/