【北海道・札幌】自家製酵母パンとお肉料理が自慢の『Tepp`s』 人生を変えた北海道の小麦とワインとの出会い

北海道札幌市中央区。資生館小学校前駅から徒歩3分のところに、自然派ワインと自製酵母パン、そしてお肉料理が美味しいビストロがあります。
2016年8月31日にオープンした『Tepp`s』です。
お二人は2016年2月に、岐阜県から移住してきました。何故家族、親戚や昔からの友達がいない札幌に移住してお店を持ったのか、河瀬さんの面白い人生を伺って来ました。

パン屋の息子として生まれ、旅人に

岐阜県でパン屋の息子として生まれた河瀬さんは、生まれてからずっとパンが近くにありました。始めはパンをやるつもりはなく、大学では法学部を専攻。しかし法律より旅にハマり、在学中バックパッカーで世界50か国を旅してきたそうです。
旅先々で、パンとワインと料理を楽しむ海外の方と一緒に時間を過ごすうちにパンに興味が沸き、大学卒業後、大阪の辻調でパンを勉強。東京の『ビゴの店』で3年修行。そしてまた1年海外に旅に出ます。河瀬さんにとって旅は欠かせないものになっていました。
帰国後、実家のパン屋に入り、4人姉弟でベーカリーカフェ『エルクアトロギャッツ』を立ち上げ、楽天ではショップオブザイヤーを獲得。その後、シチリアに渡り1つ星レストランで料理にのめりこみました。河瀬さんはその時の料理の衝撃を「モノクロの世界から、カラーの世界に入ったかのような衝撃を受けた」と言います。
帰国後、地元のビストロで働き始め、名古屋のワインショップ『アンベロ』でいよいよ自然派ワインに出会います。今まで飲んできたワインとは全く違う優しいワインに夢中になり、いつしか、自家製酵母パンと自然派ワインと料理のお店をやることが自身の夢となりました。
どこでお店をやるか探し続け、いつしか訪れた国が90か国となっていました。そして、初めて訪れた北海道で厳しい環境の中、無農薬で小麦を育ててる生産者の方や自然なワインを作る熱い生産者の方々に出会い、「ここだ!」と直感。その半年後に札幌に移住してきたそうです。

人と人との繋がりが店の支え

岐阜県出身の私達が縁もゆかりもない札幌でお店を出すと言うことは始めはとても不安だったと、奥さんは言います。しかし、90か国旅をした鉄平さんは違いました。これからどんな出会いがあるのだろう、ワクワクしていたそうです。奥さんの不安がどんどん薄れていったのは、そんな旦那さんが一緒だったということと、お客様がいつも優しかったからだと言います。札幌のお客様はいつも穏やかで優しく、こちらで知り合えた尊敬するワインの生産者の方々や飲食店の方々や取引先の皆様がごひいきにしてくださったり、その方々がお客様をご紹介してくださったりと本当に多くの方々がよそ者の私達に優しくいつも応援してくれましたと言います。北海道の人の温かさを感じるエピソードです。

思い出が詰まった店内

お店の入り口に立つと扉に大きなスコップが付いていますが、これは河瀬さんならではのこだわりです。実はこれ、パン屋さんが窯からパンを取り出すときに使うスコップだそうです。パン関係のお仕事をされている方は、ニヤリとしてしまうものなのだそう。パンへの愛情を感じるインテリアですね。

また、この勢いのあるタッチで書かれた『Tepp’s』の文字。これは改装中に、河瀬さんがいたずらで壁に書いた落書きをロゴにしたものだそうです。味のあるデザインだったので、もったいないからと壁を塗るのを途中でやめ、この文字を残したそう。随所に遊び心を感じる内装となっています。

ロゴとともに気になるのが、可愛らしいワイングラスの絵。これは河瀬さんが読んでいた“自然派ワインが美味しい理由”という本の挿絵なのだそうです。このイラストをよく見てみると、河瀬さんにそっくりなグラスが一つあることに気づきませんか。そこに運命的なものを感じ、このイラストを描いた谷山彩子さんに直接掛け合って原画を購入。以来、お店のシンボルとして飾っているそうです。

そしてもうひとつ、店内で目を引くのが大きな鏡とそこに書かれた文字。この文字はお店に関わった生産者の方々にサインをしてもらい、思い出として残しているものなのだそうです。こうして見ると、お店のそこかしこに河瀬さんの想いがちりばめられているのが分かります。

ワインの搾りかすで起こした自家製酵母のパン

同店のハード系のパンは、ワインの搾りかすから起こした自家製酵母やリンゴから起こした自家製酵母を使っています。リンゴ酵母はほんのり甘く、ブドウ酵母はほんのり酸味があり、クラスト(パンの皮)は厚く中はもちもちしているのが特徴です。
同店で取り扱うワインはすべて自然派ワインです。人のテクニックがあまり使われていない果実味溢れた優しいワインなので、ワインが苦手な方やワインで二日酔いになりやすい方こそその違いが分かると言います。

▲ラムの骨付きロースト

同店の並々ならぬこだわりはまだまだあります。化学調味料不使用の自家製ソーセージや、ベーコン、チャーシュー、むかわ町の女性ハンターさんから直接入荷しているエゾ鹿のローストなども人気メニューです。土日祝日に限りランチ営業も行っており、ホットパニーニやラムバーガー、ボーンブロススープやパスタがメニューに並びます。
また、飲み物は無農薬の親生姜から作る自家製ジンジャーエールや、国産の安全なすだちソーダやライムソーダのジュースなどもあります、お酒の飲めない方も楽しめそうですね。

▲タンドリーチキンのホットパニーニ(ランチ)

店内は完全禁煙となっております。パンはタバコの匂いをすぐ吸い込み風味を損なってしまうからです。
パンの小麦の香りやワインの繊細な香りを楽しみながらお料理を食べてもらいたいとのこと。
「夫婦2人で切り盛りする楽しいお店を目指して頑張っています。自家製パンと自然派ワインを柱に、美味しい料理をしっかり食べれるお店を作っていきたいです」と河瀬さん。
作れるものは何でも作るTepp`s、最近モッツァレラチーズを作り出しました。残ったホエイで作るリコッタチーズも格別の美味しさです。12月はこの時期にしか焼かない日を追うごとに熟成するシュトレンがデザートに登場します。
ここでしか味わえない味覚が溢れている『Tepp`s』ぜひ1度足を運んでみてはいかがでしょうか。

店舗名 Tepp’s
住所 北海道札幌市中央区南3条西7-6-5 タヌキスクエア 2F
電話番号 011-839-3364
アクセス 札幌市電資生館小学校前駅から208m
営業時間 18:00~23:00【ランチ(土日祝のみ)】12:00~15:00(L.O.14:30)
定休日 月曜日・不定休あり
ホームページ https://ja-jp.facebook.com/teppsbread/
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