【東京・町屋】カフェなのに板前さんがいる?下町の新名所『カド珈琲』

 東京都町屋。駅を降りると昭和を彷彿させるレトロな居酒屋が軒を連ね、数分歩くとこれまた木造の平家がいまだ多く残っています。そんな下町情緒溢れるこの地に、都心に…いやブルックリンの路面店にあってもおかしくないような、良い意味で荒川区らしくないオシャレなお店ができました。その名も『カド珈琲』。名前からも分かるように珈琲に強いこだわりがあるようですが、おすすめを聞くとなんと”マグロの漬け丼”との答えが返ってきました。そして料理を担当するのは30年以上の豊富な経験を持つ板前さん。そんな、料理もドリンクも一切妥協を許さない『カド珈琲』の魅力に迫ります。

ケータリングから実店舗の経営へ

 数ヶ月前まではサラリーマンをしていたオーナーの廉澤さん。ご実家はケータリング業を営んでいます。主な顧客が斎場のため、提供する料理のほとんどは和食。熟練の板前さんが料理長として腕をふるっていました。しかし続けていくなかで一つ気がかりだったのが、ケータリングでは地域の方と密接に繋がるのが難しいこと。そのためケータリング業を続けながら、地元の人が気軽に集える店舗をオープンしようと考えました。そこで廉澤さんはサラリーマンを退職し、オーナーとして飲食店の経営をすることになったのです。

 やると決めた以上、料理もドリンクも絶対に妥協したくないと考えた廉澤さん。料理はケータリングで使用している天然マグロを使ったメニューを売りにして、且つ板前さんに作ってもらうことに。そしてドリンクは珈琲好きの廉沢さんのこだわりで、地元で人気の『BLACLHOLECOFFEE』で焙煎されたもののみを使おうと決めました。「たとえ原価や人件費が高くなってしまっても、自分が客として入った時に100%満足できるレベルの料理とドリンクを提供したいんです。」と熱心に語ります。

こだわりの天然マグロを使用した漬け丼

 こちらは、同店一番の人気メニュー天然マグロの漬け丼(850円)。マグロは市場から直送される天然もののみを使用しており、漬けダレと最後にかけるタレの味を微妙に変えることで味に奥行きを生み出しています。やや甘めのタレが卵とよく合い、ついつい箸が進んでしまうはず。また、漬け込み時間を長くしすぎないことで食感を殺さず、噛めば噛むほど旨味を感じるように工夫しているのです。

 マグロを使用したメニューは丼だけではありません。こちらのツナサンド(850円)は、細かく刻んだマグロと、アボカドやトマトを挟んだカフェタイムの人気メニュー。漬けにされたマグロをそのまま使用するため、味付けはシンプルに整えられています。生のマグロによる、パサつきのない独特な食感が後を引く美味しさです。

 カド珈琲ではマグロ以外のメニューも目白押しです。ハンバーグカレー(980円)はその代表格と言えるでしょう。何種類ものスパイスや野菜、牛スジなどをじっくり煮込んで作られたカレーは、スパイスの辛味と牛スジの甘みが程よく調和し、口に運ぶと途端に奥深い味わいが広がります。

 食後やカフェの時間帯には絶品チーズケーキ(400円)を是非オーダーしてみてください。地元の会合で提供したところ非常に評判がよく、同店のレギュラーメニューとして定着しました。ケニア産の豆を使った珈琲に合うよう甘みや酸味が事細かに計算されており、子供から大人まで楽しめるスイーツとなっています。

地元のお客さまに愛されるお店へ

 この地で生まれ育った廉澤さんは「とにかく地元の人たちに喜んでほしい!」と、取材中に何度も仰っていました。確かに子連れの方でも寛げる座敷席があったり、珈琲も地元の焙煎所のみから仕入れているところを見ると、多大なる地元愛が伺えます。オープンから半年とまだ日は浅いですが、早くも数多くの常連さんから支えられているのも納得です。今後は地域のイベントも開催したいと言う廉澤さん。地域密着の『カド珈琲』の今後に注目です。

■文、写真・片岡力也

店舗名 カド珈琲
住所 東京都荒川区町屋1-22-6
電話番号 03-3809-0438
アクセス 町屋駅から徒歩5分
営業時間 【平日】7:00~16:00 【土日】9:00~16:00
定休日 火曜日
ホームページ https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132401/13219482/
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