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【北海道・小樽】建造物の本来の美しさを取り戻した『小樽芸術村 似鳥美術館』に行ってきました

 札幌駅から快速電車で30分。海と観光の町、小樽。
 最近は、マレーシアなどからの観光客が増える一方、中国・韓国・台湾など近隣のアジア諸国からの観光客も多数訪れ、賑わいをみせています。そのため、有名観光スポットである小樽運河では、通りすがる人の言葉は日本語よりも外国語であることが多く、新たな小樽の街の姿を垣間見ることができます。

 そんな小樽運河からほど近い場所に、有名な家具インテリアのニトリが美術館を設立しました。今回は、その「似鳥美術館」をご紹介します

銀行1回、ホテル2回、美術館2回という変遷を経て

 この施設は、竣工から多くの紆余曲折を経て、現在の美術館に至りました。
 その歴史は、大正12年(1923年)まで遡ります。まず、北海道拓殖銀行の小樽支店として作られました。考え抜かれた機能的な動線設計とモダンなデザインは、当時の銀行建築としては秀逸な建築でした。

 そのため、当時の若者の中にはここで働くことを目標にする人もいたそうです。「蟹工船」「不在地主」の作者、小林多喜二は、新築の拓殖銀行で働いていた若者の一人。小林多喜二もきっと、旧拓殖銀行で働くことに誇りを抱いていたのではないでしょうか。


▲元金庫室。現在は木彫の展示室として活用されている。

 1969年に銀行としての役割を終え、しばらくは一部がテナントとして利用されていましたが、廃屋同然となっていました。その後、1989年に小樽ホテルとして復活。イギリスの有名建築家、ナイジェル・コーツが「船旅」「世界の航路」をテーマに改築設計を行いました。しかし、その5年後にまた閉鎖してしまいます。

 次には、1995年に丸井今井グループによってペテルブルク美術館として開業。日本唯一のロシア専門の美術館となりましたが、ここも4年後に幕を閉じます。

 その後も、1−2−3小樽ホテル、ホテルヴィブラントオタルとして開業が続きましたが、どれも継続していくことはありませんでした。

 そして2017年9月。そのような変遷を経て、ついに似鳥美術館として開業。
ニトリは美術館として開業するあたり、この建物をかつての姿に戻すように修繕したそうです。

家具インテリア会社が美術館を始めた理由

 紆余曲折あり、再度、美術館になった旧北海道拓殖銀行小樽支店。
 なぜニトリが美術館を始めたのか。なぜ1923年当時の形に戻すことになったのか。小樽芸術村副支配人・杉本扶美枝さんにお話を伺いました。

 ——家具インテリアメーカーのニトリが美術館を始めたキッカケは?
 「似鳥会長が、個人の趣味や会社のメセナ活動として、明治〜昭和初期の美術品を集めていました。しかし、公には見せる機会がなく、いつかこれらの美術品を皆さんに観てもらいたいと思っていたそうです」


▲似鳥会長が集めていた、アールヌーヴォー時代の家具が数多く展示されている。

 「そんな中で、小樽市が“市内にある歴史的建造物を存続させるために何かしたい”ことを知りました。たまたま、ニトリが集めていた美術品と小樽の歴史的建造物と作られた時代が同時期であることが判明。歴史的な建造物内に同時代の美術品を展示することで、建造物の保存につながるとわかり、美術館として開業することになりました」

 美術館の開業は、会長の似鳥昭雄氏の強い想いから動き始めたようです。

建物をかつての姿へ修繕した理由

 ——建物を拝見すると当時の雰囲気を感じられる気がします。なぜ施工当時の形に戻そうとしたのでしょうか?
 「それは、本来の形に戻すことで、度重なる改築で失われてしまった建物の美しさを取り戻し、展示品の時代背景と結びつきやすくするためです。似鳥美術館の修繕では、旧北海道拓殖銀行 小樽支店の施工当時と、小樽ホテル時代の美しい姿を残すようにしました。

 また、この歴史的建物の保全も兼ねています。今回の改装で、建物の結露対策や老朽化、剥離した箇所の完全修正をして保全と再生をしています」

数々の美術工芸品

 似鳥美術館に展示されている作品は、19世紀末〜20世紀初頭の作品が中心です。
 当時、小樽は繁栄の時期。作品と建造物からは、小樽の歴史を感じることができます。

 館内には約300点の美術品が展示されています。展示品は、日本画・洋画・木彫・ガラス・家具などが並んでいます。

「アールヌーヴォー」「アールデコ」の作品たち

 「アールヌーヴォー」「アールデコ」 は、パリ万博を機に流行した芸術様式です。似鳥美術館では、アールヌーヴォーとアールデコグラスの展示をしています。

 「アールヌーヴォー」は19世紀末期から20世紀年初頭にかけて流行した美術様式。特徴は、植物に着想を得た有機的な曲線美です。

 「アールデコ」は1920〜1930年代に流行した美術様式。特徴は、直線や幾何学模様、左右対称のフォルムで、シンプルで現代的な感覚重視であることです。この美術様式はガラスだけでなく、建築・彫刻・絵画など幅広い領域に影響を与えました。

 他にも、日本を代表する木彫家の高村光雲・米原雲海・山崎朝雲の作品や、ピカソ・棟方志功・黒田清輝など、数多くの貴重な作品が展示されていて、多くのお客さんで賑わっていました。

 無料で音声ガイドを借りることができるので、絵画や木彫って難しそうだなと思っている方でも楽しく展示品を鑑賞できます。ぜひ、北海道・小樽にお越しの際は気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

■文、写真・ミトモナオ

店舗名 似鳥美術館
住所 北海道小樽市色内1丁目3-1 小樽芸術村内
電話番号 TEL:0134-31-1033 / FAX:0134-31-1035
アクセス JR小樽駅から徒歩10分。札幌方面からの車のアクセスは、札樽自動車道小樽ICで降り、余市方面行きの臨港線へ。色内1丁目の交差点そば。
営業時間 [5~10月] 9:30〜17:00 [11~4月] 10:00~16:00 ※入場は閉館30分前まで
定休日 [5~10月] 無休 [11~4月] 毎週水曜(祝日の場合はその翌日)
ホームページ http://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/
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