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【東京・世田谷】『讃岐うどん酒房 かんま』本場の讃岐うどんを東京で。ちょい飲みも楽しめるうどんダイニング

 ご紹介するのは、東急世田谷線・松陰神社前駅の近くにある『讃岐うどん酒房 かんま』。香川出身のオーナー・塩津さんが、「本物の讃岐うどんを食べてほしい。」とオープンしたお店です。
 本場・香川の麺を使ったうどんは、もっちり弾力のある食感と、つるつるとした喉ごしが自慢です。夜は居酒屋として営業しており、うどんはもちろん、料理長の腕が光る一品料理も楽しめます。

本物の讃岐うどんを出すお店を、東京に

 塩津さんは30歳くらいのころ、香川から東京に移り住みました。
 「地元で飲食店をやっていたんですが、たまたま東京に来て、人の多さに圧倒されまして。これは香川でがんばっている場合じゃないな、と。」

 都会での商いに大きな可能性を感じた塩津さんは、当時いくつか経営していたお店をひとつずつ閉店。一番の転機となったのは、東京にある讃岐うどんのお店で食事をしたことでした。

 「いま、讃岐うどんがブームで、どこにでもお店があるじゃないですか。“うーん、惜しい”と思うお店もあれば、“これはいったいどうした!?”なお店もあって(笑)。東京って、全国から人が集まる場所ですよね。だから、本来の讃岐うどんとは違うものが讃岐うどんとして食べられていることが、なんだか寂しいなと思ったんです。」

 本場の味を知っているからこそ、東京で食べる讃岐うどんに感じた違和感。
 「本物の讃岐うどんを出すお店を、自分でつくろう。」
 この決意が、塩津さんをうどん職人の道へと進ませました。

下町情緒の中にたたずむモダンなうどん店

 うどんの消費量が全国1位の香川県は、うどん県として市民権を得ています。香川の人たちは、2位の埼玉県の15倍もうどんを食べているのだとか。高校の学食にも必ず、自分で湯がいて食べるうどんがあるそうですよ。

 「香川だったら、このくらいの商店街に5軒はうどん屋さんがありますね。うどん屋さんの2軒隣にまたうどん屋さんがあるなんて、めずらしくないんです。」
 塩津さんご自身も、子どものころからうどんを食べて育ったのだとか。麺の大・小を選び、ポットで出汁を注いで…と、思い出を聞かせてくださいました。

 200円で食べられる手軽さと、セルフサービス形式…お店の当初の課題は、そんな讃岐うどんへの先入観をなくすことでした。
 1杯570円からという価格や、厨房でつくって提供するスタイルが浸透するまでには、時間がかかったそうです。

 同店は、住宅や商店が並ぶ、のどかな路地にお店を構えています。
 「うどん屋さんがあってもおかしくない、ノスタルジックな雰囲気に惹かれたんです。こういうところでやれるとうれしいなぁと。住宅街だから、ガヤガヤしてないところもいいですね。」

 店内はカウンターが6席、テーブルが16席。一見うどん屋さんとは分からない、レストランのような雰囲気です。
 お店には、お客さまからいただいた各地の民芸品が飾られています。

 「今もちょっとずつ増えているんですよ。ゆっくり眺めてみてくださいね。」と塩津さん。

薬味と、お出汁と、天ぷらと。素朴だからおいしい一杯


▲天婦羅ざるうどん(1,300円~)

 本物の讃岐うどんの味を、お客さまに体験してほしい。『讃岐うどん酒房 かんま』は、その想いを軸に営業しています。

 麺は、塩津さんのご友人が経営する、香川の老舗から仕入れたもの。つくり置きはせず、オーダーが入ってからゆで上げます。小盛(0.75玉)、中盛(1玉)、大盛(1.5玉)、特盛(2玉)からサイズを選んでくださいね。

 暑い季節には、“天婦羅ざるうどん”がおすすめです。キリリと冷たいうどんの合間に、揚げたてサクサクの天ぷらを頬張れば、かすかに風鈴の音が聞こえてきそう。日本の夏の趣を、しみじみ感じさせてくれるメニューです。


▲釜玉うどん(680円~)

 「本場の讃岐うどんは、シンプルなかけうどんが基本で、トッピングでアレンジします。香川の人にとっては、うどんが白米みたいなイメージなんですよね。」

 天かすと刻みネギがたっぷりの“たぬきうどん”、わかめと刻みネギ、大ぶりのかき揚げと味わう“かき揚げうどん”など、トッピングはいたってシンプル。あれこれ具材をのせないからこそ、お出汁の上品な味と、麺そのものの食感を充分に楽しめるのです。


▲うつぼのたたき

 「ほかのお店ではちょっと食べられないものを出そうと思って。うちの料理長は歴40年くらいの伝統和食の料理人なので、その腕を楽しんでもらえたらと思います。」

 夜は居酒屋として営業する同店では、一品料理やお酒も豊富です。
 ぜひ食べてみてほしいのは、“うつぼのたたき”。ふつうの魚は、まっすぐな骨に一方向に筋肉がついているため、直線でしか泳げません。一方、穴に住むうつぼは上下左右に動けるため、筋肉が育ち、鶏のようなぷりっとした食感に。臭みがなく、ポン酢と相性抜群です。


▲明太玉子焼き

暖簾の先に団らんあり。ご家族でもぜひどうぞ

 同じく香川から東京に来たお客さまが、「他ではなかなか食べられないよね!」と自分のうどんを喜んで食べてくれる…。そんなとき塩津さんは、この仕事をしていてよかったと心から感じるそうです。


▲冷やしきつねうどん(700円~)

 「この辺りの人って、自分の住んでいるあたりにしか行かないんですよ。そんな中でも、遠くからうちを目指して来てくれるお客さまの存在がありがたいですね。あと、子どもさんがすごく喜んでくれるのがうれしくて。お父さんお母さんよりも、子どもさんが主導で“かんまに行こうよ”って言ってくれるんです。」

 週末には、ベビーカーを押して来店する家族連れの姿も見られるそう。子どもからお年寄りまで幅広いファンがいる同店のうどんは、香川っ子はもちろん、東京の人たちの心をもガッチリつかんでいます。


▲季節のメニューも登場。写真はフルーツトマトうどん

 「日本全国に誇れる、おいしい讃岐うどんをつくり続けていきます。ぜひ食べにいらしてくださいね。」と、塩津さんは笑顔で話してくださいました。

 つるつる・もっちり、爽快な歯ごたえと喉ごしがたまらない『讃岐うどん酒房 かんま』の一杯。趣向をこらした一品料理やお酒と、くつろぎのひとときを過ごしてみてください。

店舗名 讃岐うどん酒房 かんま
住所 東京都世田谷区世田谷4-2-14 SAKAIビル1F
電話番号 03-3428-6448
アクセス 東急世田谷線・松陰神社前駅から徒歩1分
営業時間 【昼】火~金 11:00~13:45 / 土日 11:00~14:45【夜】17:00~22:00
定休日 月曜日
ホームページ http://sanukiudon-kanma.jp/
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