【東京・代々木上原】元キャリアウーマンの菓子職人が作り出す健康和菓子『和のかし 巡』

　「体にいいものを食べよう」と意識していても、どうしても甘いものを食べたくなる時はありますよね。また、アレルギーの方は、お菓子に含まれている食材によって、甘いものが大好きなのに食べられないという方も多くいらっしゃいます。
　『和のかし　巡』では、マクロビの精神を基に、美味しくて身体に優しい和菓子を提供しています。オーナーであり菓子職人の黒岩さんに、同店のお菓子についての想いをお聞きしました。

キャリアウーマンから和菓子職人へ

　広告代理店や外資系企業のPR部門で、バリバリのキャリアウーマンとして働いていた黒岩さん。忙しくストレスも多い毎日で、心身ともに疲弊していたそうです。そんな毎日のなかで、ご主人がガンで死去。今から八年前のことでした。
　「夫の闘病や死を近くで感じたことで、自分は絶対に病気にはなりたくないと強く思いました。働くことは大好きなので、仕事は一生現役でいたい。仕事を続けていくためには、資本となる身体が一番です。自身が健康で長生きができて、仕事もできるにはどうしたらいいのかなと考えるようになりました。」美容や健康に関する仕事をしていた会社員時代、オーガニック食品や農家と関わる仕事も多く、マクロビの知識もあった黒岩さん。マクロビとは、“マクロビオティック”という玄米や野菜、海藻類をメインに作られる食事法です。“マクロ=長い”、“ビオ＝生命”、“テック＝学”との意味を持つために、長寿法とも呼ばれています。健康で長生きをするため食生活から見直そうと、改めてマクロビを勉強しなおすことにしたのだとか。「マクロビの洋菓子はあるのに、和菓子がないのはなんでだろう？」と思ったことが、同店を始めるきっかけとなったそうです。

健康で美味しい看板メニュー“福巡り”

　「あんこが大好きなのですが、いつも甘すぎると感じていました。世の中の菓子類はグラニュー糖を使いすぎています。私自身も甘すぎるものは苦手なので、まずは自分自身が美味しく食べられて、更に人にもおすすめできるあんこを作ってみたいと“身体に優しいあんこ”作りに挑戦しました。」通常のあんこ作りは皮を捨てたり、水を何度も替えたり、あくを取ったりしますが、同店のあんこは皮も水もあくもそのまま。マクロビの精神に則り、素材そのものを全部いただきます。こだわりと努力で開発されたあんこは、初めて来店されたお客様に必ず試食していただくそうです。
　無農薬・無添加・グルテンフリーにこだわった看板メニューの大福“福巡り”は、白砂糖不使用ということもあり、くどい甘さがなく豆本来の甘みを味わえます。同店オリジナルなめらかあんのほか、つぶあん、白なめらかあん、生チョコ、抹茶あん、かぼちゃあんを品揃え。もちろん全て乳製品や添加物を使用していません。コーヒーでもお茶でもお酒でも、最高のお供になるスイーツです。
　「添加物が入っていないので日持ちがしないんです。手土産としてもおすすめではありますが、今日買ったら今日会う方に渡してほしいです。ただ、冷蔵で2～3日もつ商品も用意しているので、翌日にお渡する場合はそちらの商品をおすすめしています。」と黒岩さん。

遠方からでも足を運ぶ価値のあるマクロビ和菓子

　“福巡り”のほか、プリンやアイスキャンディー、どら焼きも提供しています。小麦やベーキングパウダーを使用していないので、アレルギーの方でも安心して食べることができます。無添加のお醤油やココナッツオイル、各種ソースなどの物販も豊富に取り揃えています。そんな同店には、遠方からわざわざお越しになるお客様も多いのだとか。
「当店に来るために、20年ぶりに北海道から東京に来たお客様もいらっしゃいました。ご夫婦で長崎から来てくださったり、地方からの出張で東京に来たついでにお立ち寄りいただいたり。地元の方に愛されるお店になることはもちろん、全国にファンがいらっしゃることは嬉しいですね。」と黒岩さんは言います。
　同店は通販事業も行っていますが、地方からの注文が殺到中。「お電話でご注文いただく際に“こういう商品を待っていたんです”と言っていただけたり、“美味しかった”という感想をメールでいただいたり、嬉しいお言葉をたくさんいただいています。温かみのないことはしたくないので、通販のお客様でもご来店のお客様と同じ対応をさせていただいています。」と、心のこもったおもてなしを大事にしている黒岩さん。

“流行を取り入れる”のではなく“自分が信じていることをやる”

　最後に今後のビジョンについてお聞きしました。
　「細く長く続けていきたいですね。“今これが流行っているから取り入れる”ではなく、“自分が信じていることをお客様にも提供する”ことをポリシーにしています。お客様に“美味しい”と言っていただけると、自分のやってきたことは間違っていなかったんだと感じられます。皆さんに愛されるお店となり、長く続けていきたいです。」
　レシピ本を出したり、新聞や雑誌の取材に応じたり、ご自身の考えを世に発信し続けている黒岩さん。『和のかし　巡』で身体に優しく健康を意識した和菓子作りを行う黒岩さん。今後の活躍が楽しみですね。