【北海道・札幌】優しさあふれる店主“ゆんたん”の愛情あふれるたこ焼き店『ゆんたこ』

　札幌・札苗北小学校の近くに2017年3月19日にオープンした『ゆんたこ』は、関西風たこ焼きと駄菓子のお店です。小学生を中心に地元の方々に愛されている同店。学校帰りや土日など小学生で賑わう店内は、まさに地域密着型。しかしながら、たこ焼きは店主自ら関西の本場で修業してきただけあって、本格的なおいしさです。“ゆんたん”と呼ばれ親しまれている店主・小谷さんの、商売を通して地域を見守る姿を取材させていただきました。

開店の動機は“地域の子どもたちともっと関わりたい”という気持ち

　「この地域の子どもたちは、挨拶をきちんとしてくれるんです。それがとにかく嬉しくて。この子どもたちともっと関わりたいという気持ちが次第に強くなって、駄菓子屋のオープンを思いついたんです。義姉に相談したところ、義父母も駄菓子屋をやろうかと話していたことを知り、運命を感じたんです。」ご主人の父母と同居するために、当別町から札幌市へ引っ越してきた小谷さん。義父母の最期を看取り、ご自分の時間が取れるようになった時にこのように思ったそう。しかし、駄菓子のみの経営では利益も少なく現実的ではないと感じた小谷さんは、自身が大阪好きということもあって、たこ焼きも販売することに決めたのだとか。
　「たこ焼きは好きだったけど、たこ焼き作りに関しては初心者。そこで、開店までに大阪に二度行き、合計で2ヶ月ほど勉強をしてきました。たこ焼きをとにかく食べ歩いて、知り合いのお店の厨房に入らせてもらって作り方を学んだんです。」こうして、関西風のたこ焼きを習得したのだそうです。

DIYで作った手作りのお店

　『ゆんたこ』の外装や内装は、なんと息子さんの手作り！もともとご主人の実家の車庫だった建物を飲食店に改装しています。
　業者さんが入ったタイミングは、水道管とガス管を引く時のみ。他は、当時大学4年生だった息子さんが、配管工事から土台作り、内装・設備までを手掛けたのだとか。すべてが手作りの愛情が溢れるお店なのです。
　工事中も、下校途中の小学生が「何をしているの？」と声をかけてくることが多かったそうで、子どもたちに簡単なお手伝いをさせてあげることもあったのだとか。自分もお店作りに関われたとあって、オープンの日をとても楽しみにしてくれていたそうです。
　子どもたちと一緒に作り上げた同店は、子どもに優しい工夫もたくさん。ぶつけてケガをしないように棚の角を削ったり、商品を見やすいように棚を低めにしたりと、内装にもあたたかい思いやりを感じます。

増毛産たこを使った、本格関西風たこ焼き

　『ゆんたこ』のたこ焼きは、表面がカリッとしていて中身がトロっとしている関西風。オープンまでに本場で修業し、今でも時々大阪に足を運んで腕を磨いているそうです。使っているたこは、北海道増毛産のたこのみを仕入れています。同店のおすすめは、“ねぎ塩”。たこ焼きの上に、マヨネーズと岩塩、たっぷりの長ネギ、最後にごま油を振りかけます。同店のお客様からもねぎ塩は好評で、定番のソース味よりもよく出るそうです。
　また、お客様からのリクエストで“けずりいちご”や“かき氷”も追加したのだとか。駄菓子に関しても子どもたちのリクエストを酌んで仕入れているそうですよ。

地域の子どもたちを見守り、地域に愛されるお店

　「お金がなくてもお店においで」と子どもたちに話す小谷さん。
　「お店に来たら必ず何かを買わないといけないと思っている子が多いけど、何も買わなくても大丈夫なんです。どんなお菓子があるのか見に来たり、お友達との待ち合わせに使ったり、私と話をしに来るだけでもいいんです。お友達の付き添いで来たけどお小遣いを持ってきていない子のために、無料であげられる小さなお菓子も用意しています。」と、子どもたちへの溢れる愛情が伝わってきます。そんな小谷さんは、子どもたちの親御さんとも仲が良く、子どもたちが外でどんな様子なのかを伝えているのだとか。
　「家庭や学校以外の子どもたちの姿というのは、親はわからないですよね。“お礼をきちんと言ってくれたよ”“お手伝いをしてくれたよ”など、親でも先生でもない目線でその子がどのような子なのかをお伝えしています。地域密着型のスタイルは大事にしていきたいですね。」と小谷さんは言います。
　お店を通じて子どもたちと触れ合い、一人ひとりへの優しさを大切にする、ぬくもり溢れるたこ焼き屋さん『ゆんたこ』。近くを訪れた際は、愛情あふれる同店に足を運んでみてくださいね。