【大阪・西成】世界から大注目の老舗お好み焼き店！『お好み焼き ちとせ』外国人観光客の心を掴んだおもてなしの心とは

　平成のはじまりとともに、大阪のB級グルメ界を支えてきた老舗お好み焼き店が西成にあります。動物園前駅から徒歩3分。昭和の香りがただよう佇まいでほっとした気持ちにさせてくれる『お好み焼き ちとせ』です。
　そんな『ちとせ』が今、世界から注目を浴びているのです。連日、世界各国から集まる観光客で賑わっている同店。その魅力は何なのか？オーナーの前田さんに、外国人の心を掴む秘訣をうかがってきました。

両親から譲り受けたお好み焼き店が大盛況

　『ちとせ』は、前田さんが子どもの頃からお母さまが経営されていたお店です。当時はお好み焼きのほかに、かき氷や大判焼き、たこ焼き、さらには金魚すくいまでやっていたそうです。地元の方たちに愛される名店でした。

　そして、35年前に経営を引き継いだ前田さん。長い年月が経ち、お店を訪れるお客さまにも変化がありました。以前は、地元の方や周辺の工事現場で働いている方が大半を占めていました。それが今では、お客さまの9割は日本を訪れている外国人観光客なのだとか。前田さんは英語を話せることもあり、英語でコミュニケーションをとっているうちに、外国人の間で一躍話題のお店に。世界的に有名な旅行グルメサイトでランキング入りするほどの人気店となりました。

日本人ならではの“おもてなし”でリピーター続出！

　前田さんは、日本観光のひとつとして『ちとせ』を選んでくれた外国人観光客に、ささやかな“おもてなし”をしたいと思うようになりました。そこで、浮世絵のポチ袋やカレンダーなどの日本ならではのものや、寿司などをかたどった消しゴムを渡してみると、想像以上に喜んでもらえたそうです。現在はこの消しゴムを業者に大量発注し、来店されたさいの“おまけ”としてプレゼントしています。
　ほかにも、元フライトアテンダントの女性をスタッフに雇い、外国語でのおもてなしも強化しました。HPやメニュー表記も英語のものを用意するなど、インバウンド対策に力を入れるようになったのです。こうして、口コミを見て来る方やリピーターのお客さまが世界各国から訪れるようになりました。

　お客さまがどこから来たかを示したピンが立てられた世界地図や、お礼としてもらった外貨がビッチリ貼られた壁を見るだけでも、同店の人気ぶりがうかがえます。前田さんのおもてなしの精神が、国境を越えてお客さまの心を掴んだのですね。

目の前で焼くパフォーマンスに感動

　カウンター4席に4人がけテーブル2卓のこじんまりとした店内は、すぐに満席になってしまいます。なかでも、目の前でお好み焼きを焼いてくれるカウンター席は大人気です。テーブル席には鉄板が付いており、出来上がったお好み焼きを熱々のままいただけます。

ベジタリアンには特別肉抜きメニューも

　同店には世界中からお客さまが訪れるため、なかにはベジタリアンの方もいらっしゃいます。そんなお客さまのために、肉や魚介を抜いた野菜だけのお好み焼きも特別に作ってくれます。
　このベジタリアン向け裏メニューの開発中に、後に同店の名物となるメニューが誕生したのです。それが、パイナップル入りのお好み焼きです。肉や魚介の替わりになる具材を探したときに、ピーナッツや漬物のほか、パイナップルを試してみたところ、これが大好評。今ではすっかりパイナップル入りが、同店の定番メニューと肩を並べています。

　日本人のお客さまには、エビ、イカ、豚肉の入った“MIXモダン焼”が一番人気。ですが、同店に来たなら“たかすが焼”を味わってみてください。これはネギ焼きとそばめしを重ねたお好み焼きで「これぞ大阪！」という魅力を凝縮した逸品です。

世界へ向けたおもてなし

　世界から大注目を浴びている、老舗お好み焼き店『お好み焼き ちとせ』。現在人気のあまり海外進出のお話を打診されているというのですから、その人気の高さがうかがえますね。

「日本のおもてなし、サービス精神をもっと広めていきたいですね。西成は安全な街です。ぜひ大阪にお越しのさいは『お好み焼き ちとせ』にお立ち寄りください。」と、前田さんは今後も世界中のお客さまへおもてなしの心を伝えていこうと意欲的です。大阪のあたたかいハートに触れられる名店で、熱々のお好み焼きを堪能してみてはいかがでしょうか。