【福岡・住吉】あなたもきっと虜になる!『食堂 煮魚少年』で魚の概念を変えてみませんか?

 博多区住吉にオープンした『食堂 煮魚少年』は、珍しい煮魚専門の定食屋さんです。軽快な音楽が流れる店内で、オーナーの田中さんにお話をうかがって来ました。

おいしく、お手軽に煮魚を

――カジュアルな感じで入りやすいお店ですね。煮魚専門のお店と聞いていたので、もっと渋いお店を想像していました。

 「煮魚っていうと日本の昔ながらの料理で、イタリアンなどに比べると華やかさに欠けるイメージもあると思うんですね。内装や音楽を明るくして普段使いしやすい店にすることで、若い方にも煮魚っていいなって思ってもらいたかったんですよね。」

――煮魚専門の定食屋っておもしろいですよね。

 「僕の祖父母が定食屋をしていて、2人の背中を見て育ってきたので自分でも定食屋を出したいと思っていたんです。調理師専門学校を卒業してしばらくは日本料理屋さんに勤めたんで、いつか和食の経験を生かした定食屋をしたいなっていう思いもありました。魚料理は家でなかなかしないし、煮魚となると手間もかかるから、なおさら食べないですよね。だったら代わりに僕が作って、手軽に食べてもらえたらと思いましたね。」

――確かに私も、魚料理はあまり家で食べないですね。

 「僕も家庭があるんですけど、「晩御飯は魚を食べて落ち着きたいな。」と思っても、どうしてもハンバーグとか唐揚げとか子どもが好きなメニューになりがちなんですよね。それにこの店の周辺って場所的に単身やサラリーマンも多いので、僕みたいに魚を食べたいけど食べられないって方も多いと思うんですよね。そういった方に貢献できたらっていう思いもありました。」

自身の食の経験を生かして

――もともと魚料理はお好きだったんですか?

 「実は僕、子どもの頃は煮魚が大嫌いだったんです。生臭かったし、骨を取るのが面倒くさいし、ご飯のおかずになりえないものとさえ思って来ました。そんななか日本料理の世界に入って、ちゃんとした煮魚の作り方を教えてもらった時に、初めておいしいと思ったんです。その経験をしてから僕みたいに魚が嫌いな人が、おいしい煮魚を食べて大好きになってもらいたいと思うようになりました。お店をするにあたって、おいしいだけじゃなく“食べやすさ”っていう所も考えるようになりましたね。」

――“食べやすさ”ですか?

 「はい。普通、煮魚って頭が付いた状態で骨も付いて出てくると思うんですけど、うちでは魚を三枚おろしにするとか、できるだけ骨の処理をしていますね。例えばサバだと2日くらい煮込んで骨まで食べられるようにしています。」

――2日も煮込むんですか?

 「はい。そうすれば骨までやわらかくなるんです。小さなお子さんが食べる時でも親御さんが骨を抜いてあげる必要がありません。お子さんにも食べてもらいたいっていう思いを込めて、店の名前を『煮魚少年』にしました。煮魚大好き少年みたいな感じで。」

――魚の骨をよけてきれいに食べるのって難しいので、あらかじめ骨の処理がしてあると大人も嬉しいですよね。

 「実際に「魚を食べるところが欲しかったんだ!」とか、「僕は魚は苦手なんだけど、ここは骨もないから寄りやすいなあ。」とか言っていただけるんですよね。僕の想像より何度も足を運んでくれる人も多いですし。煮魚がなかなか食べられないことに対して反応があって、更にリピートしてもらえることは本当に嬉しいですね。」

――リピーターが多いということは、やっぱり味がいいんだと思うんですけど、味付けには何か秘訣がありますか?

 「醤油は地元の醤油屋さんに調合してもらってますね。『マルト醤油』っていう醤油屋さんがあるんですけど、煮魚専門の店を作ることになって相談して、配分を作ってもらったんですね。僕のイメージに合わせて、オリジナルの醤油を用意してもらっています。」

――福岡の醤油だと甘めですか?

 「そうですね。ちょっと甘くて色が濃いです。再仕込み醤油っていって、刺身醤油に近いような醤油ですね。福岡の刺身醤油っていったらとろみがありますけど、それより少しサッパリした感じです。魚の照りが出やすい醤油になっています。」

いろんな煮魚を楽しんでほしい

――メニューを見ると、醤油煮込みとかおろし煮とか、甘酢煮とか…、沢山種類がありますね。

 「同じ魚でも味に色んなバリエーションをつけていきたいなあと思ってますね。おろし煮は高温の油で揚げた魚を、大根おろしが入った煮汁でさっと煮ます。大根おろしが入っているのであっさりした味ですね。甘酢煮は温かい南蛮漬けに手作りのタルタルソースを乗せて食べる、チキン南蛮と魚の南蛮漬けの間みたいな感じですね。女性に人気です。」

――魚のオススメはどれになりますか?

 「サバが一番よく出ますね。サバの味付けは醤油煮込みと味噌煮込みの2種類を用意しています。Sサイズは輪切りを2切れにしているので、醤油と味噌1切れずつでお出しできます。」

――いろんな味が楽しめるなんて、いいですね!食べてみたいなぁ。

量を調節しやすいセットメニュー

――メニュー表には煮魚の一覧とセットメニューがいくつかありますね。

 「うちはメインの魚料理にセットメニューを組み合わせると定食になります。少しの量でいい人はご飯・みそ汁だけのAセット。もう少し食べたい人にはご飯・味噌汁・小鉢が付いたBセット。しっかり食べたい人にはご飯・味噌汁・おかずが付いたWセットという感じで、食べる量の調節ができます。」

――そうやって選べるのはいいですね!

 「小さい子からお年寄りの方まで、幅広い層の人に食べてもらいたいんですよね。女性だったら夜は炭水化物を抜く人もいるでしょう?このシステムならおかずだけいろいろ食べて帰ることもできるし、サラリーマンがビールに魚と小鉢をつまんでいくこともできます。色んな使い方ができるかなと思いますね。」

――小鉢のメニューに“手づくりとうふ”とありますね。

 「豆腐も手作りで、自分で豆乳ににがりを入れて固めています。煮魚専門店としてメニュー数を絞っている分、一品一品をちゃんと手作りしていこうかなあと思っています。味噌汁は季節ごとに旬のものを使っていて、味噌は一から作っていますね。日本人は温かい味噌汁を食べるとほっとしますし、白米のお供としてそれぞれの家庭の味がありますよね。だからうちでも味噌から手作りして、添加物が一切入っていないものをご用意しています。」

――無添加なら日持ちがあまりしないんじゃないですか?

 「そういうことはないです。夏場の暖かい時期だったら3か月ぐらいで味噌汁として使える味噌になるんですね。そこから4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月…1年と結構な期間使う事ができます。普通は添加物を入れてある程度の発酵で止めるんですけど、うちは入れていないんで、寝かせる時期によってどんどん風味とか色が変わってきます。そういった楽しみや面白さがありますね。」

――ぜひお味噌汁も味わって欲しいですね!それから、お弁当も置いてありますね。

 「サバを使った弁当を主にやっていますね。日常をイメージしての定食屋なんで、弁当も伸ばしていきたいんですよ。ただ、今は厨房のキャパが限られているので、出来あがる弁当の量も限られます。今後は2、3店舗くらい店舗を増やして、弁当販売も伸ばしていきたいですね。」

――お弁当を買えるならさっと買って帰ることができるので、時間がない時も助かりますね。

 「はい。ちなみにお店で食べる時も、時間をかけずに食べたい人の需要に応えられますよ。煮魚は既にじっくり味が染み込んだものを注文があったらお出しできるんで、おでんみたいなスタイルなんです。お昼休みなんかでも、時間に余裕を持って過ごしてもらえるかなと思います。魚が食べたいなと思ったら、ぜひうちを思い出してください。」

店舗名 食堂 煮魚少年
住所 〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉2-6-32リファレンス住吉1階
電話番号 092-291-3337
アクセス JR、地下鉄空港線・博多駅から徒歩7分
営業時間 11:30~15:30 / 17:00~22:00
定休日 不定休
ホームページ http://nizakanasyounen.com/
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