【福岡・警固】グラチネ料理でワインとの出会いを楽しむ『グラタンとワインClos(クロ)』
2018年2月、警固交差点近くにオープンした『グラタンとワインClos(クロ)』はグラタンとワインが楽しめるお店です。ヨーロッパの街角に迷い込んだような雰囲気が素敵な店内で、オーナーの黒木さんにお話をうかがいました。
グラタンは宇宙だ!
――お店の名前はクロって読むんですね。
「『clos』はフランス語なのでsは読まないんです。黒木のクロでもあるんですけど。ワインはブドウから作られていて、ワインを特定していくということはブドウを特定していくことなんです。ブドウを特定していくってことは畑を特定していくってことで、その畑っていうのが厳格に区画されているんですよね。例えばお米で言うと、魚沼産でも誰々さんの田んぼのお米ですっていうようなブランド米があるじゃないですか?ワインもそんな形で、この区画のことをclosと言うんです。」
――closは区画を意味するんですね。
「木の柵だったり石の塀で囲んでいる土地の一番小さい単位ですね。ワイン屋をやるんで、ワインにちなんだ単語と僕の名前とでclosです。」
――どうしてグラタンとワインのお店にしたんですか?
「グラタンって聞くと日本人はホワイトソースのマカロニグラタンを思い浮かべると思うんですが、グラタンはそもそも調理法の名前なんです。野菜を並べてオーブンに入れて焼き色をつけただけでグラタンなんですよね。そういう意味では何でもグラタンになるんですよ。」
――チーズを乗せて焼いたのがグラタン、ではないんですか?
「焼き色で被膜を作る調理方法をフランス料理でグラチネって言うんですけど、このグラチネをしたものがグラタンなんです。だから豆で作ったペーストをかけたり、ホタテの上にソースをかけて焼いただけでもグラタンなんですよ。実はオープン前にソムリエの相方と飲みながら、どんな料理をメインにしようかって相談してるときにグラタンの話になって、もう酔っ払っちゃってるから「グラタンは宇宙だ!無限だ!何でもできるぞ~。」なんて話になっちゃって(笑)。」
――そうなんですか(笑)!でもグラタンをテーマにしてるお店ってなかなかないですよね。
「そう、やってるお店がないんですよね。グラタンは女性ウケも良さそうですし、そもそもグラチネはワインの文化がある国の料理なので、必然的にワインが合いますよね。僕は勝手にサイゼリアが一番すごいチェーン店だと思ってるんですけど、あそこって使ってる素材やワインはかなりのクオリティですし、お店の作りとか考え方とかホントにすごいと思ってるんで、あそこに太刀打ちできる店にするのが目標なんです。」
シニアソムリエがいるお店
――ものすごい数のボトルですよね。これ、全部ワインですか?
「そうですね。約70種類あります。でもワインの名前をリストにしても、どれが良いのかってなかなかわからないですよね?だから棚にワインを全部並べて、相方のシニアソムリエがコメントをつけて。ジャケ買いじゃないですけど、フィーリングで選んでもらったりしてるんですよね。」
――そういう選び方も面白いですね。
「字面を見ててもつまんないですしね。実は今、ワインに全く関係ない質問に答えていくと、おすすめのワインが決まるっていうチャートを作ろうと思っているんです。「今の気分は?」とか「青と赤どっちが好きですか?」みたいな、ワインと全然関係ない質問で。」
――それも楽しそう!遊びゴコロがありますね~。
「メニューに合わせたワインを、ソムリエよりワンランク上のシニアソムリエが選んでいるので、ラインナップは間違いないです。でも僕らはいろんなワインを知ってもらいたいので、銘柄をコロコロ変えてるんですよね。だから気に入ったワインがあっても、次に来た時はないかもしれません。そんな時は似たようなワインを選ぶので、ぜひ相談してください。」
――「このお店に来れば、新しいワインとの出会いが待っている。」って思うと、ワクワクしますね!
グラタンで迷ったらコレ!
――グラタンのお店だけあって、グラタンの種類がたくさんありますね。どれがおすすめですか?
「やっぱり最初は、“closのグラタン”ですね。みなさんがイメージするオーソドックスなグラタンです。ベシャメルソースにマカロニと鶏のモモ肉、エビ、ホウレンソウなどの野菜が入ります。1人で食べるには十分なボリュームで、2~3人でシェアできるくらいの量です。」
――メニューの2番目にある、鶏モモとレバーのマスタードクリームグラタンは、マスタードとかレバーとか、なかなか独創的な組み合わせですね。
「鶏肉がメインのグラタンです。クリームにマスタードを入れているので、少し酸味があります。つまみに寄せていった感じですね。マスタードクリームになると少しコクが欲しいので、レバーを入れました。ちょっと大人な雰囲気です。」
――ワインがすすみそう。そして、薩摩芋とゴルゴンゾーラもまた個性的!
「ジャガイモとブルーチーズで作るフレンチがベースです。ゴルゴンゾーラ・ピカンテっていう、苦手な人は苦手なブルーチーズを使うんですけど、このピカンテのピリつくしょっぱさに甘いものを合わせると、ホントにおいしいんですよ。ブルーチーズのピザに蜂蜜をかけたりするでしょ?あんな感じで、焼き芋をクリームで煮て、チーズをのせて焼いています。」
――甘じょっぱさがクセになりそうですね!あ、トリッパとか砂肝もありますね。
「トリッパのトマト煮込みはイタリアチックですけど、作り方はフレンチですね。牛の2番目の胃袋(ハチノス)を柔らかくトマトで、野菜のうまみを含ませながら炊くんですけど。ちょっと辛くして。」
個性的なメニューも楽しみたい
――トリッパもグラタンになるんですか?
「チーズをかけてグラチネして出すので、立派なグラタンですね。砂肝のグラチネもチリガーリックと砂肝を和えてオーブンで焼くんですけど、グラチネするのでグラタンです。ピリ辛でスパイシーな味わいです。」
――どれもグラチネの調理法を使ってるんですね。あと、ギョーザのトマトソースグラタン!これも面白いですね。
「簡単に言っちゃえばラザニアですよ。ココットにトマトソースを敷いて、焼き餃子を並べて、トマトソースとチーズをかけて焼くんですけど。……ちょっと辛めのトマトソースで。ラザニアはミートソースとチーズとラザニア生地が層になってる料理じゃないですか。同じモノを組み立て直すと餃子のトマトソースグラタンになると思いません?」
――あ、ホントだ!すごい発想の転換!
「ビジュアルは普通に餃子ですけど(笑)、いいおつまみになりますよ。あと、おもしろいのが豚足と豚耳のガレット。これはビストロの料理で、作るのに3~4日かかるんです。豚足と豚耳を塩漬けにして。」
――こういう料理がフレンチにあるんですか?
「パリのビストロとかには普通にありますよ。豚足ってフランス語でPied-de-cochon(ピエ・ド・コション)って言って、ちょっと格好よく聞こえるでしょ?(笑) パリにはそういう名前の有名な店もあるくらいで。」
――福岡の人は豚足が好きですしね。
「うちでは塩漬けにしてから煮崩して、骨を外してバットに流してならすんです。コラーゲンたっぷりなので、冷ますと勝手に固まるんですよ。これを切りだして、粉を強めに打って、その両面を焼くんです。」
――どんな食感になるんですか?
「焼くと熱でコラーゲンが溶けて、下に落ちていくんです。そして油と水分が置換された汁を粉が吸って、餃子の羽根みたいな感じになるんですよね。外側はパリッとしていて、中はとろみがあって……あんまりなじみのない食感かもしれないですね。」
――うわ~、次の日、肌がプルプルになりそうですね!
「ちょっと手間はかかりますけど、外で食べるときにそういうのもないとつまらないですからね。他にも九州産の肉をグリルで焼いて出したりしているので、普段の飲み屋さんに行くような感覚で、気軽にワインを飲みに来ていただければと思います。」
店舗名 | グラタンとワイン Clos(クロ) |
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住所 | 福岡県福岡市中央区 警固2-18-13 オークビル1 2F |
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電話番号 | 050-1025-1244 |
アクセス | 地下鉄空港線・赤坂駅から徒歩7分 |
営業時間 | 17:00~23:00【ランチ(月~金)】11:30~14:00 |
定休日 | 日曜日 |
ホームページ | https://www.clos2017.com/ |
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