開店情報

【福岡・白金】本とお酒と、人との出会い。『ブックバー ひつじが』であなたはどう過ごす?

ご紹介するのは、白金にお店をかまえる『ブックバー ひつじが』。レトロな店内には、ジャンルを問わない本がずらりと並びます。

不定期に開かれるクリエイターの個展もみどころのひとつ。お酒を片手に本とアートを味わうひとときは、眠れない夜の新しい楽しみです。

「うちで面白い本に出会えたら、ぜひ本屋さんに買いに行ってほしいですね。」オーナーの下田さんが考える、“動線の一部”としてのお店づくりについて、お話をうかがってきました。

寝る前の余白の時間をブックバーで

大学で日本文学を学んでいた下田オーナーの隣には、いつも本がありました。当時通っていたバーで、本を通してたくさんの人と出会えた経験が、ブックバーを開くきっかけとなったそうです。
「本が一冊あると、そこから話題が生まれて、自然と仲良くなれるんですよね。本を通して会話や出会いが生まれる空間を、今度は自分がつくってみたいと思ったんです。」

30歳までの開業を目標に、下田オーナーは会社勤めをしながら準備を進めました。そして、8年間のサラリーマン生活を経て夢を実現。2019年2月、『ブックバー ひつじが』をオープンしました。

「夜に開けるお店だから、夜をイメージする動物の名前をつけたいと思って。寝る前に1匹、2匹…と数えるひつじが思い浮かびました。でも、ひつじを数えるだけじゃ、思考停止になってしまうと僕は思うんです。」

お店の名前は『ひつじが。』と完結しているのではなく、『ひつじが…』と後に余白があるイメージなのだとか。その余白を埋めるのは、お客さま自身。ひつじを数えるだけでなく、本を読んだり、お酒を飲んだり…各々の過ごし方で、寝るまでの時間を充実させてほしいと考えているそうです。

本とアートに満ちた空間

レンガ調の壁が印象的な店内は、カウンターが8席とテーブルが10席。
酒樽のテーブルや椅子は、もとからあったものを活かしているそうです。

「ブックバーって、ふらっと来るというより、目的意識を持って来るお店ですよね。だから、少し奥まった場所でも大丈夫じゃないかなと思って、ここに決めました。」

「もともとの内装が、イメージしてたものと近かったんです。だから、変にいじらなくて済みました。自分でつくったのは、本棚くらいですね。」

築年数の古い建物であるため、雨の日は屋根にあたる雨粒の音が響きます。パラパラという水音が満たす空間は、しっとりとした雰囲気。まるで本に登場する物語の1シーンのようです。

本に興味を持つきっかけになれたら

置かれている本のジャンルはバラバラで、何冊あるか分からないほど。下田オーナーの私物が7割ほどで、あとはお客さまや知人からの寄贈本なのだとか。

「だんだん本を読まなくなっている現代の人たちが、本に興味を持つきっかけになれたらと思っています。」と下田オーナー。
先日は、本を買った書店の方と作家さんがやってきて、サインを書いてくれたのだとか。本を通した多くの人との出会いに毎日刺激を受けているのだと、うれしそうに話します。

“動線の一部”としてのお店づくり

下田オーナーは、『ブックバー ひつじが』を、お客さまの動線の一部ととらえています。
お店を気に入ってもらえるのは、もちろんうれしいこと。でも、ここにとどまってほしいとは思わないのだとか。『ひつじが』で面白い本やおいしいお酒に出会えたら、ぜひ本屋さんや酒屋さんに足を運んでほしいと話します。

お店では、クリエイターの個展も開かれています。こちらは、イラストレーター・ムラマスカツユキさんの作品。他店で開かれていた展示会を見に行ったときに、意気投合したのだとか。

「ムラマスさんは、タイトルから絵をつくる方なんです。自分が面白いと思うものを表現するだけじゃなく、見る人の想像力をかき立てて、いろいろなことを考えてもらう…っていうスタンスが、うちのお店と似ているなと思って。」
ムラマスさんは現在、別の仕事をしながら作家活動をしているのだとか。『ひつじが』に、お客さまとして飲みに来ることも多いそうですよ。


▲イラストレーター・ムラマスカツユキさんとオーナー・下田さん

季節ごとに変わるお酒を楽しみに

本やアートを味わいながら、お酒を楽しめるのが同店の素敵なところ。日本酒、焼酎、果実酒など、和酒をメインに取り揃えています。
季節ごとに面白いと思ったお酒を仕入れているため、固定メニューはありません。おいしかったお酒の名前を、ぜひ覚えて帰ってくださいね。

「九州の焼酎といえば黒霧島が有名だけど、うちでは置いてないんです。焼酎=黒霧島と最初から決めちゃうんじゃなくて、いろいろ飲み比べた末に“やっぱり黒霧島がおいしい”と思ってほしくて。お客さま自身に考えてもらうことで、より深くお酒を味わえると思います。」

お酒を飲まない方のために、ソフトドリンクも本格的なものを用意しています。おすすめは、信州ワインのぶどうを使ったジュース“いづつグレープ”。ぶどうの風味が濃厚な赤と、すっきりした飲み口の白の2種類が楽しめます。

「このジュースは、毎回頼む方もいるほど人気ですね。ワイングラスでお出しするので、お酒が苦手な方も、雰囲気だけでも味わってもらえると思います。」

周囲とのかかわりの中で、面白いものを生み出す

「イベントと違って、行きたいと思ったときに行けるのがお店のいいところですよね。だから僕の中で、“いつでも開いているお店”であることは大前提で。そんな空間をつくった上で、もっともっと面白いことをやっていきたいなぁと思います。」

読書会を開いたり、蔵元の方をゲストに日本酒の試飲会を開いたりと、『ひつじが』はいつも大忙し。これからも近くの飲食店や書店とタッグを組んで、白金を盛り上げていこうと考えているそうです。

「特に、学生さんに来てほしいですね。もちろんお酒が飲める歳になったらですけど(笑)。年長者と話したり、作品に触れたり…若いうちに外からの刺激を受けるのって、すごく大事なんですよ。僕もそうでしたからね。」と下田オーナー。

チャージ料金をいただかないのも、お客さまに気軽に本やお酒、アートの世界に触れてほしいから。どなたでも気兼ねなく立ち寄ってくださいと、笑顔で話してくださいました。

読書をする人、しっぽり飲む人、アートを五感で味わう人…たくさんの人が、「余白」を埋めに訪れる『ブックバー ひつじが』。眠れない夜は、同店の扉をそっと開けてみてください。

店舗名 ブックバー ひつじが
住所 福岡県福岡市中央区白金2-15-3 2F
アクセス 西鉄大牟田天神線・薬院駅、西鉄平尾駅から徒歩約9分
営業時間 17:00~翌2:00
定休日 不定休
ホームページ https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40052003/
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