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福岡

【福岡・薬院】江戸前寿司に魅せられた『鮨 光史郎』の赤メシが飛び抜けてウマい理由

 地下鉄七隈線薬院駅から徒歩5分ほどのところにあるマンションの一角に、知る人ぞ知る高級江戸前寿司の『鮨 光史郎』がオープンしました。完全予約制のこの店で利酒師の店主・菅さんが握るお寿司は、赤みを帯びたシャリが決め手。早速お話をうかがってきました!

江戸前寿司の基本は赤メシ

 『鮨 光史郎』はマンションの1階にひっそりとたたずむお店です。隠れ家とはこういうお店を言うのでしょう。お店の扉を開けると、趣のある通路が店内へと誘います。店内にはオーダーメードの伊万里焼が飾られ、私たちの目を楽しませてくれます。

 店主の菅さんは日本料理を勉強した後、久留米のお寿司屋さんで修行した寿司職人。久留米時代に赤メシのお寿司に出会い、そのおいしさに魅了されてからというもの、「江戸前鮨の基本である赤メシを使ったお寿司を福岡に伝えたい。」という思いを強く抱くようになりました。

 それからは福岡で赤メシの寿司が食べられるお店を食べ歩き、4年の歳月をかけて赤酢を研究。独学ながら、ようやく納得のいく赤メシを作れるようになったのだそう。福岡ではまだあまり浸透していない赤シャリですが、召し上がったお客さまが何度も「ホントに寿司がおいしい!」「シャリがおいしい!」と言ってくださる言葉を原動力にされてるようです。

博多前と江戸前の違い

 菅さんによると、東京の寿司が“江戸前”なら、福岡の寿司は“博多前”と言うそうです。博多でお寿司を食べると揚げものや煮つけなど、お寿司以外の料理がたくさん出てきて、お寿司は3~4貫しか食べられませんが、本物の江戸前はお寿司がメイン。せいぜいつまみが出てくる程度で、お寿司がどどん!と10貫ほど出てきます。菅さんは「それだけ福岡には江戸前寿司が浸透していないって言うことなんですよね。」と残念そうにおっしゃいます。

 江戸前寿司ではそれぞれのお店が独自に赤酢をブレンドしてシャリの味を作っており、東京に修行に行くのが普通だそうです。しかし菅さんは自分で作ることにこだわり、自分の舌だけを頼りにここまで来ました。「塩が1g増えるだけでも、ご飯に混ぜるお酢の量によっても味が変わってしまう。」「シャリは温度で香りが変わるので、味も違ってくる。」といった発言からも、繊細で敏感な味覚をお持ちであることがうかがえます。

 お寿司はネタとシャリのバランスが大事で、ブレンドが悪いとネタによって相性の善し悪しが出てしまうのだそうです。そのため、2年前までは白シャリと赤シャリの2本立てにしていました。でもあるとき、それは違うということに気付いて、研究に拍車がかかったのだそう。「究めれば赤メシ一本で全部合う……食べてもらえばわかります!」という一言が、とても印象的でした。

どこに出しても恥ずかしくない一級品のネタ

 菅さんにおすすめのネタを聞いたところ、「本当に良い素材を厳選しているので、特別これっていうのは……ないですねぇ。どれをとっても間違いなくおいしいって言えるものしか置いてないですからね。」とのことでした。「それなりのお代をいただく以上、良い素材を扱うのが当たり前。ちょっとでも手を抜いたらお客さんにすぐわかる。」という言葉に、とてもご自分に厳しい方なのだと感じました。お話の間も仕込みの作業をされていたのですが、ひとつひとつの作業が丁寧で、真摯に仕事に向き合っている姿が印象的でした。

 ちなみに仕込みには相当な手をかけているそうで、いなり用の揚げは2時間かけて炊いており、アナゴは対馬の一級品を仕入れて、サイズや炊き方を変えながら丁寧に仕上げているそうです。熟成させた魚もあり、専用の熟成庫でネタの状況を見ながら10日~2週間も寝かせているとのことでした。

利酒師が提案するおいしいお酒のたしなみ方

 繊細な舌をお持ちの菅さんは利酒師でもあります。日本酒にはおいしく飲める温度帯があり、容器によっても違うお酒の楽しみ方があるのだそう。「普通の人はあまり知らないので、そういうお酒の楽しみ方も伝えていきたい。」と語ってくれました。これから夏に向けては“爽酒(そうしゅ)”のような、あっさりしたお酒が良いそうですが、赤メシのお寿司は無ろ過系の重みのあるお酒の方が合うそうです。

 近々新しいワインセラーを入れて、シニアソムリエ監修によるおすすめのワインを置く予定とのことでした。シニアソムリエは普通のソムリエの上級資格で、取るのがとても難しいのだそうです。そのシニアソムリエさんが見つけて来るレアなワインがどのように赤メシのお寿司を彩ってくれるのか?……そんな期待を胸に、お店を訪れてみてはいかがでしょうか。

店舗名 鮨 光史郎
住所 福岡県福岡市中央区白金1-7-12 ファイブスターズ白金1F
電話番号 092-406-5463
アクセス 地下鉄七隈線、西鉄天神大牟田線・薬院駅から徒歩7分
営業時間 18:00~23:00(LO22:30)
定休日 不定休
ホームページ http://koshiro-fukuoka.main.jp/
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