【沖縄・読谷村】陶工・松田米司の世界に触れて。『tou cafe and gallery』味わい深いやちむんを眺める癒しの時間を
手になじむ質感と、力強い絵付けが特徴の焼き物・やちむん。作り手たちの感性がいきた器は、一つひとつに表情があり、同じものはひとつとしてありません。
2017年春、読谷村にオープンした『tou cafe and gallery(トウ カフェアンドギャラリー)』は、そんなやちむんの魅力を教えてくれるカフェ。ギャラリーでは、陶工・松田米司さんの作品を展示・販売しています。
美術館のような空間、手づくりのランチやスイーツと、魅力がいっぱいの同店にお邪魔してきました。
やちむんをもっと身近なものに
「“沖縄のおみやげといったら…”と言われるくらい、やちむんは人気ですよね。私はやちむんを、もっと皆さんにとって身近なものにしたくて。ご飯を盛ったり、お花を挿したり、生活の一部にしてもらえたらいいなぁと思っているんです。」
『tou cafe and gallery』を経営しているのは、松田米司さんの娘である七恵さん。幼いころから、制作に励むお父さまの背中を見て育ちました。
沖縄の人が、地元で作られたやちむんを日常に取り入れてくれたら、作り手はきっと喜んでくれる。そんなひらめきが、このカフェを開くヒントになったそうです。
同店は、住宅街の隠れ家的な場所にあります。コンクリート造りの外観は、美術館さながら。建物の設計からはじめたため、オープンするまでがとても大変だったのだとか。
『tou』という名前には、陶器の“陶”のほかに、ふたつの意味が込められています。
まずひとつは、“問う”。「どうやって色を付けるんだろう?」「どうやって、こんな形にするんだろう?」と、お客さまに問うことを楽しんでほしいといいます。次に、“答”。それらの疑問を静かに考えたり、スタッフに尋ねたりして、答えを見つけてほしいという想いです。
三文字の中には、七恵さんの陶工の娘としての願いが込められているようです。
探求心をくすぐるギャラリー
一歩入っただけでは店内を見渡せないレイアウトは、お客さまに好奇心を持ってもらうための工夫です。
「“あっちに行くと何があるんだろう?”とか、“どこから入ればいいんだろう?”とか、いい意味でお客さまの頭にハテナを増やしたくて。“もっと奥に行ってみたい”って、わくわくしていただけたらうれしいです。」
お店の奥に進むと、そこはギャラリー。お皿、湯のみ、一輪挿しなど、いろいろな形のやちむんが目を楽しませてくれます。天窓からの光が作品を照らして、やわらかく優しい空間をつくっています。
『tou』で作品を展示する松田米司さんは、ほかの3人の親方と共同で、読谷村の北窯を守っています。明るくやわらかな赤色の絵付けを得意としており、同店に並ぶやちむんにも、赤の絵付けを施したものが多くあります。
オープン当初は展示のみでしたが、だんだんと日常づかいのやちむんも並べるようになりました。
訪れるお客さまは、地元の人と観光客が半々なのだとか。やちむんが好きな方の中には、「ここに松田米司の赤絵がある」と聞いて駆けつける方もいるそうです。
「作るのにすごく手間がかかるから、今までは年に一度しか皆さんにお見せできなかったんです。このギャラリーをつくったのは、皆さんに、いつでも父の作品に触れてもらえるようにという意味も込めているんです。」
赤絵のやちむんは、一度焼成したあと、絵付けをしてから再び窯に入れて焼き上げます。職人が一つひとつ手描きで仕上げるため、お皿の一枚一枚、茶碗の一個一個で表情が違います。
米司さんの作品は数が少なく、ほかのお店にはあまり卸していないのだとか。ここでしか手に入らない作品や、他店では見られない変わった作品に出会えるのが『tou』の強み。いろいろな陶工の作品を集めている方すら、「これは見たことがないよ!」と驚くものもあるそうです。
癒しの空間でランチやティータイムを
お店では、ギャラリーの見学だけでなく、ランチやスイーツも楽しめます。カフェスペースは、無機質な壁に木のインテリアが映えるあたたかい空間。米司さん手づくりのテーブルや沖縄の工芸品など、インテリアの一つひとつにもこだわっています。
“チキンとナスのカレー”(1,200円)は、小麦粉を使わず、スパイスのみで作った辛口のカレー。さらりとした口当たりと、ほどよい辛さがやみつきになります。
甘口が好きな方には、りんごやはちみつでマイルドに仕上げた“ポークカレー”(1,200円)がおすすめです。お肉がごろりと入って、満足感もたっぷり。ナンとご飯が両方ついてくるのはうれしいですね。
ケーキは2種類。ベリーベイクドチーズケーキと濃厚ガトーショコラを用意しています。ドリンクとセットで-50円引きといううれしいサービスも!不定期でシフォンケーキも登場するようです。出会えた方はラッキーですね。
料理の提供には、やちむんが使われています。繊細な絵付け、手になじむ形、スプーンを当てたときの質感。職人の魂がこもった器でいただくランチやスイーツは、いつもと違う格別のおいしさです。
お気に入りのやちむんを家に迎えて
最近は、外国人のお客さまも増えているのだとか。アートや焼き物が好きな方、沖縄で作られたものに興味がある方は、ぜひ足を運んでほしいと七恵さんは話します。
「いいなぁと思う器に出会えたら、お家に持ち帰って使っていただけたらうれしいですね。県外からいらっしゃる方にも、もちろん地元の人にも、やちむんを通して沖縄の風土を感じてほしいです。」
土曜日のランチタイムは、お店が特に混みあいます。カフェでゆっくり食事を…と考えている方は、予約がベターです。
「待ち時間が長いときは、その間にギャラリーを見学するのもおすすめですよ!もちろん、見学のみでも大丈夫です。焼き物に親しめる心地いい空間で、リラックスして過ごしていってくださいね。」
料理を盛ったり、お花を挿したり、ただそこに飾ってみたり。日常を豊かにするやちむんとの出会いを探しに、『tou cafe and gallery』へ足を運んでみてください。
店舗名 | tou cafe and gallery(トウ カフェアンドギャラリー) |
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住所 | 沖縄県中頭郡読谷村伊良皆578 |
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電話番号 | 098-953-0925 |
アクセス | 沖縄県路線バス 伊良皆バス停留所から徒歩5分 |
営業時間 | 11:00~18:00 |
定休日 | 月曜日、日曜日 |
ホームページ | https://tabelog.com/okinawa/A4703/A470304/47020120/ |
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