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【東京・町田】ストーリーのある一杯を。『町田商店 本店』で垣間見たラーメン職人の熱き想い

 横浜家系ラーメンの大御所『町田商店』は、北は宮城から南は岡山、海外にも展開する有名店です。今回は、その歴史のはじまりである『町田商店 本店』をご紹介します。

 15時間煮込んだ豚骨スープと、醤油のキレが活きたタレを合わせたスープは、1滴残さずいただきたい極上の味。自家製中太麺との絡みも抜群です。
 元気な接客もまた、同店の魅力。活き活きとはたらくスタッフが、おいしく、心躍るひとときを提供するラーメン店です。

横浜家系ラーメンといえば『町田商店』

 『町田商店』の運営会社の代表を務める田川さんは、家系ラーメンの発祥地である神奈川・横浜で生まれ育ちました。学生のころから、ラーメン店の開業を夢見ていたそうです。
 「味がすごく好きで、“ここで学びたい”と思っていたラーメン屋さんがありまして。そこで6年くらい修業しながら、起業資金やノウハウをこつこつ蓄えました。」

 有名ラーメン店で磨いた腕をたずさえ、田川社長は2008年に『町田商店 本店』を創業。2010年には、2号店となる代々木店をオープンしました。
 同社はその後も店舗を拡大し、行列の絶えない人気ラーメン店として全国に名をとどろかせています。

職人のこだわりより、お客さまの笑顔を大切に

 「町田は活気があって、街の雰囲気が好きだなぁと思ったんです。ラーメン激戦区と言われながらも、お客さま目線で見るとまだまだラーメン屋さんが足りない印象もあって。」と田川社長。
 多くのラーメン好きが集う街で、とことん勝負してみたい。そう考え、出店場所に町田を選んだのだそうです。

 インパクト抜群の看板は、遠くからでもすぐに見つかります。家系ラーメンのブランドカラーである赤を使い、ラーメンを求めて歩く人が足を止めずにいられない店構えをつくりました。

 「創業間もないころは、スープの味に納得がいかないとお店を閉めていたんです。そうなると一日の半分しか営業しないから、売上がたたなくて。スタッフにお給料すら払えない状況になったこともあるんですよ。」

 苦境のなか、田川社長はあることに気づきました。それは、自分が納得のいかないスープでも、お客さまは充分においしいと言ってくれること。
 いちばん大切なのは、「こんなスープは出せない」という自分のエゴではなく、お客さまが喜んでくれることなのだと知ったのです。

 「麺は平ざるに上げたほうがおいしいって言うけど、普通にテボ(柄のついた底の深いざる)でゆでたほうが、ゆで加減も統一しやすいんです。」
 技術が要ることをするほど、職人としてすばらしいと思われがちなラーメン業界。お客さまに喜んでもらえるのなら、わざわざ難しいことはしない。難しい方法をとれば喜んでもらえるのなら、ぜひその方法を選ぼう。それが、『町田商店』の考え方です。

 「自分のやることがお客さまのプラスになるかどうかを、より考えるようになりましたね。職人としてのこだわりよりも、お客さまの喜びを大切にするべきだと。でもそれは、決してこだわりを捨てるということじゃなくて、こだわる部分をお客さまの目線にシフトしたということです。」

 思い通りの味が出なかったスープが、お客さまに喜んでもらえる。逆に、「今日の出来は最高だ」と思ったスープなのに、お客さまの反応が薄い。このようなことは、ラーメン店ではよくあることなのだとか。自分がおいしいと思うスープが、お客さまにも喜ばれることがベストなのだと、田川社長は話します。

麺、スープ、タレ…それぞれにストーリーを込めた一杯

 『町田商店 本店』のラーメンは、麺の硬さ、味の濃さ、脂の量を好みで選べます。
 基本の“ラーメン”(700円)は、特製醤油ダレと15時間煮込んだ豚骨スープが奏でる、とろりと濃厚な味が自慢。『町田商店』のこだわりがストレートに感じられる一杯です。
 ちょっと贅沢をしたいときは、煮たまご、海苔6枚、ほうれん草、チャーシュー3枚がのった“MAXラーメン”(920円)をどうぞ。

 麺は、オーストラリア産の最高級小麦粉など、3種類の小麦粉をブレンドした自家製中太麺。長時間熟成することで、もっちりした独特のコシが生まれます。濃厚なスープとよく絡み、噛むほどに小麦の香ばしさが広がります。

 ラーメンの要は、豚骨に鶏ガラを合わせて15時間煮込んだスープです。とろりとしたポタージュのような舌ざわりと豊かな香りが、食欲をかき立てます。
 スープに合わせるのは、醤油ベースの特製ダレ。数日間熟成した深みのあるタレが豚骨スープを受け止めます。

 スープは、同じ工程で仕込みをしても、毎日同じ味になるとは限りません。それはラーメン職人にとっての苦労であり、おもしろさでもあるのです。


▲チャーシューメン(950円)

 家系ラーメンのスープは、お客さまの入りを見ながらつくられます。つくりながら提供し、スープが減ってきたら水を足し…と、状況を見ながら動かなければなりません。
 お客さまが多いとスープが薄まってくるし、少なくても煮詰まってしまいます。お店の状況に呼吸を合わせながらの仕込みは、根気のいる作業です。

 食後の醍醐味は、ラーメンライス。学生さんは11時から18時の間、学生証を提示するとライスが無料になりますよ。

 田川社長はもうひとつ、ツウなシメ方を教えてくださいました。
 まず、ラーメンを脂多めでオーダーします。残ったスープの脂をご飯にかけ、にんにくと胡椒を足すと、やみつき必至のガーリックライスに。ぜひ試してみてくださいね!

味と元気な接客で、スタッフもお客さまも幸せに

 『町田商店』が愛される理由は、その味だけではありません。創業以来変わらない元気な接客は、同社のアイデンティティです。
 「僕たちも一生懸命声を出してはたらくほうが楽しいし、一生懸命な姿はお客さまにもきっと響くと思うんです。味はもちろんのこと、スタッフやお店全体の雰囲気も含めて、“記憶に残る”お店づくりをしたいですね。」


▲株式会社ギフト 代表取締役 田川翔さん

 田川社長にとって、店舗数は“お客さまに認められている”という指標にすぎません。大切なのは店舗を増やすことではなく、お客さまを喜ばせ、スタッフがやりがいを持ってはたらける場所をつくること。はたらく人と食べる人の両方が幸せになれるラーメン店として、これからも歩み続けたいと話してくださいました。

 「お客さまの喜ぶ顔が見たい。」その想いを胸に、一杯のラーメンに魂を込める『町田商店 本店』。一度食べれば忘れられない味に秘められたストーリーを、あなたの舌で感じてみてください。

店舗名 町田商店 本店
住所 東京都町田市森野1-34-13 TMビル3
電話番号 042-705-7555
アクセス 小田急小田原線町田駅(東口)から徒歩3分
営業時間 11:00~翌日3:00
定休日 無休
ホームページ https://www.eak-ramen.jp/