【北海道・札幌】愛され続け13年。小さな心遣いと優しく移ろう季節に出会えるそば処『藪忠』
新道東駅の近くにあるそば処『藪忠(やぶちゅう)』は、オーナーの佐藤さんが奥様と二人で切り盛りするお店です。2005年8月の創業以来、地元にお住まいの方を中心とした常連客に愛され続け、2017年で13年目を迎えました。食後にそっとサービスされる季節の果物、奥様が育てた草花と触れ合えるテラス席など、さりげない魅力が光る奥ゆかしいお店です。
趣味で始めたそば打ちを仕事に
佐藤オーナーは、百貨店や量販店で40年近く食品関係の仕事をしており、2004年に地元・札幌にUターンしてきました。その時に趣味で始めたそば打ちに熱を上げ、そばの製造卸売業を営むまでになったのだとか。すると、お持ち帰りで販売していたそばの味が口コミで広まり、たちまち大評判に。“佐藤さんのそばをお店で食べたい!”というお客様の熱い声に背中を押され、出店を決意したそうです。
そば打ち教室に通いつめたり、本や動画で勉強するなど、我流で腕を磨き続けてきた佐藤オーナー。2005年8月10日、満を持して『藪忠』をオープンしました。
さて、そんな同店の玄関で目を引く緑の提灯ですが、こちらは国産や地場産の食材を50%以上使っているお店が掲げられるものだそうです。
「道内で緑提灯のお店はうちが初だったから、たくさん取材が来ました。テレビのスタジオで鴨南蛮を作ったこともあるよ。帰ってきたらお店の前に行列ができてるものだから、あの時はびっくりしたね!」と話します。
優しい気持ちになれる、心安らぐ店内
店内にはカラカラ…と耳に心地よい引き戸を開け、靴を脱いでお邪魔します。黒塗りのテーブルや椅子が、おそば屋さんらしい和の雰囲気を演出しています。
可愛らしい暖簾や、花瓶に活けられた花、置き物や壁飾り…。眺めていると思わず微笑んでしまう家具や民芸品が店内に味わいを添えています。
テラス席では、草花が風になびく庭を眺めながらゆったりと食事を楽しめます。優しい季節の風景にホッと心が休まりますね。秋にはぶどうのつるが伸び、色づいたもみじがはらはらと散る趣のある空間です。
取材当日は、もみじが黄色から橙、赤に変わっていく様子が見られました。移り変わる季節を感じながら味わうそばは、いつもに増して格別の味わいになることでしょう。
店内では、奥様が活けた季節の生花が目を楽しませてくれます。週に2、3回入れ替わるので、いつ来ても違ったお花との出会いが待っています。可愛らしいお花に癒される特別な時間も、『藪忠』での楽しみのひとつです。
安くてお腹いっぱい!心を込めた手打ち蕎麦
『藪忠』のそばは、道内産の“キタワセ”を使用し、お店の石臼で丁寧に挽いたそば粉から作られます。香りの良さはもちろん、喉ごしや歯切れ、コシを特に重視しており、噛むたびに押し戻される弾力と、ぷつんとした心地よい歯切れが楽しめます。
そばつゆは、麺のために作られたヒゲタの特選醤油を使い、一晩漬けた日高昆布のダシ、本鰹と宗田鰹を加えてじっくり煮出したダシを合わせています。濃いめですが、昆布と鰹の旨味が幾重にも重なり、奥深い味わいを作り出しています。
ボリュームがあるのに安く、美味しいのが何よりの自慢である同店。“えびかき揚げそば”は、えび天3本に、玉ねぎ、かぼちゃ、ごぼうなどの野菜たっぷりのかき揚げが付いた太っ腹な一品です。創業以来多くのお客様の心を掴んでいるかき揚げは、単品でも不動の人気だそうですよ。
ご飯もので人気なのが、“カレーそばセット”です。「普通はセットだとそばがハーフになったり、カレーがハーフになったりするでしょ?でも、うちでは単品の量のままこのお値段でやらせてもらっています。お客様には、安くお腹いっぱいになってほしいからね。」発酵黒にんにくと、甘みの強い“札幌黄”の玉ねぎをたっぷり使ったカレーは、他店では食べられない『藪忠』ならではの味わいです。
“お客様に喜んでほしい”その一心で
「朝は4時起きだけど、僕が好きでやってるから、辛いと思ったことはないよ。料理を運んでいったときに“わー!”って嬉しそうな顔をしたり、きれいに完食してくれたり、お客様が喜んでる姿を見るのが毎日うれしいよね。」と笑顔の佐藤オーナー。春の山菜の季節になれば、ふきのとうやわらびの天ぷら。秋が深まればきのこたっぷりの温かい蕎麦…四季を先取りしたメニューで、お客様に喜んでもらおうといつも一生懸命です。
「営業日は仕込みや買い物をしなきゃだし、定休日は蕎麦打ち教室もやってるし、やることはいっぱいあるよ!お休みの日は病院にも行かなきゃならないし(笑)でも、常に忙しくしていないと落ち着かない性格だから、この方が僕に合ってるんだよね。」そう話す佐藤オーナーは、70歳を過ぎても健康そのもの、いつも明るく穏やかなご主人です。
「僕は、もうけようという気持ちは全くないの。安くて美味しいものでお客様に喜んでもらって、これからも女房と二人、のんびりやっていければいいな。…まあまあ、ゆっくり食べていきなよ」と、インタビュアーにかき揚げそばとカレーを振る舞ってくれました。
奥ゆかしいおそば屋さん『藪忠』。美味しい手打ちそばを味わいながら移ろう季節に想いを馳せ、癒しの時間を過ごしてみて下さいね。
店舗名 | 藪忠(やぶちゅう) |
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住所 | 北海道札幌市東区北34条東14-2-8 |
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電話番号 | 011-731-0997 |
アクセス | 地下鉄東豊線新道東駅1番出口から徒歩3分 |
営業時間 | 昼11:30~15:00/夜17:30~20:00 (※そばがなくなり次第終了) |
定休日 | 水曜日 |
ホームページ | http://www.yabucyu.com/index.html |