【愛知・名古屋】名物・ぶっとびめしの甘いタレに虜!?『ラーメン長浜 華』創業から守り続けるあっさり豚骨スープ
名古屋市中区、新堀川にかかる大井橋のそばに、黄色い屋根看板が目印のラーメン店があります。それが、『ラーメン長浜 華』。1973年の創業から変わらない味で、常連さんに愛されている老舗です。
こちらでいただけるのは、福岡県博多の長浜ラーメン。臭みのない豚骨スープは優しい味わいで、飲んだあとのシメにもぴったりです。店主の神田さんが、ラーメン職人として歩みはじめたきっかけや、これまでの物語を聞かせてくださいました。
思いがけない誘いからラーメンの道へ
67歳になる神田さんが飲食業界に足を踏み入れたのは、まだ十代のころでした。当時勤めていた鉄工所が廃業寸前となったことで、「これはまずい」とほかの商売をはじめることに。会社の台所で餃子をつくり、近くのスーパーやお肉屋さんに卸していたそうです。
神田さんの餃子の味は、巷でたちまち評判に。そんな中、社長から「俺がラーメン店を開くから、お前に店を任せたい」と思わぬ誘いがあったのだとか。
「そのとき、社長には億単位の借金があったんだよ。ラーメン屋で失敗したら首をくくるか、一家で北海道に逃げるかの二つにひとつしかないって言われて(笑)。ラーメンなんて、食べたことはあってもつくったことはないから、最初はできるのか不安だったよ。」
こうして神田さんは、社長とふたり、大阪にラーメン店を開業。はじめは本を読みながら、手探りでの経営だったといいます。
社長が営業に駆けまわり、神田さんはお店を守り、先輩社員が工場で餃子をつくる…そんな連携プレーで、ときには親子のようにけんかしながらお店を運営していたそうです。
大井橋のたもとにある老舗ラーメン店
今回ご紹介する『ラーメン長浜 華』は、地下鉄名城線・東別院駅から東に数分歩いたところにあります。山王通をまっすぐ進み、新堀川にかかる大井橋を渡ると、黄色い屋根看板が見えてきます。
赤いのれんをくぐって中に入ると、U字型のカウンターがふたつ。小さな固定椅子、そして席と席の狭い間隔が、「ラーメン屋さんって、こうだったよなぁ」と懐かしい気持ちにさせてくれます。
「じじいとばばあでやってるから、お客さんも年寄りが多いよ。従業員が年寄りだと、話が合うからね(笑)。若い子も来てくれるけど、やっぱり40代から上の人が多いかな。」
近所には、昔からある温泉つきのパチンコ店が。「勝っても負けても、みんなラーメンを食べにくるんだよ。」と、神田さんは笑います。
神田さんはゆっくりと、昔話の続きを聞かせてくださいました。
「鉄工所の社長とは20年近く一緒に働いてきたから、あるとき離れて仕事をしたくなってね。行き先を言わずに愛知に来て、ほかのラーメン屋に勤めたの。そこはけっこう大きい会社で、麺の製造機だけじゃなく、麺そのものやスープもつくるようになったんだよ。」
数年後にはその会社を退職し、たどり着いたのがこちらの場所。お店を閉めようとしていた先代の店主から事業を引き継ぎ、神田さんは晴れて『ラーメン長浜 華』の3代目店主となりました。
創業から守り続けるあっさり豚骨スープ
同店のラーメンには、博多から直送で仕入れた麺とスープが使われています。濃厚そうな白いスープは、見た目とは裏腹にあっさり。豚骨の臭みもなくさらりといただけるので、お酒のシメにもぴったりです。
チャーシュー、メンマ、ねぎ、と具材はシンプルで、大きなきくらげのコリコリ食感が楽しめます。いりごまの香ばしさがアクセントになって、最後まで飽きずに飲み干せますよ。
博多のお祭りにちなんだ“どんたくラーメン”(880円)は、たまごでとじたスープがまろやかで、ホッとする一杯です。
どんたくラーメンに、ライス、しゅうまい2個、鶏のからあげか揚げ餃子がついた“博多セット”(1,200円)は、本場の味をお腹いっぱい堪能できる大満足の内容です。
先代がはじめたお店の名物が、“ぶっとびめし”(750円)。ご飯とご飯の間にチャーシュー1枚と海苔をはさみ、とろとろのたまごと焼き海苔、明太子を1本まるごとのせたユニークな丼です。明太子は、福岡で有名な『福さ屋』のもの。これは贅沢ですね。
ぶっとびめしにかけるタレは、神田さんいわく「おしるこくらい甘い」。甘からい味と超あまくちから選べます。
「甘いのが苦手なお客さんが、“こんなん食えるか!”って怒りだすくらいだよ(笑)。10人中7人には嫌がられるメニューだけど、3人は気に入って毎回のように頼んでくれるんだ。」
好き嫌いが分かれるけれど、ハマったらやめられないオリジナル丼、ぜひ試してみたいですね。
「醤油でも塩でも、だいたいどんなラーメンでもつくれるんだ。設備があるからさ。何をどれだけ入れれば豚骨の臭みが消える、とかもわかるよ。最近だと気にならなくなったけど、昔の豚骨ラーメンはニオイがすごかったね。100m離れたところから匂ってきたもん。」
この道50年、ラーメン一杯に魂を込めて
「あと10年は、がんばってお店を続けたいね」と笑顔で話す神田さん。
若いころは、お店に泊まり込みでスープを仕込み、12時間でラーメンを750杯つくったこともあったそう。10時間煮込んでも100杯分しかスープが取れないため、忙しい時期の仕込みは気の遠くなるような作業だったといいます。
「最近は手や身体の動きが遅くなって、作るのが大変になってきてるんだよ。手間のかかるメニューはやりたくなくなっちゃって、550円だったチャーハンを700円に値上げしたの。それでも、頼む人は頼むんだ。“30分かかりますよっ”なんて言うと、“いいよ~”って。ふつうのライスにしてくれやって感じだよね(笑)。」
17歳のころからずっと、ラーメンと歩んできた人生。ここまで来たら、あとは命が尽きるまで、おいしいラーメンをつくり続けるのみ。神田さんの瞳には、そんな気概が宿っています。
秘伝のあっさり豚骨スープと、バリ堅ストレート麺のハーモニー。この道50年の職人の心意気が詰まった『ラーメン長浜 華』の一杯を、ぜひ味わいに来てください。
店舗名 | ラーメン長浜 華 |
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住所 | 愛知県名古屋市中区千代田4-22-1 スクエアービル1F |
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電話番号 | 052-324-3331 |
アクセス | 地下鉄名城線東別院駅(2番出口)から徒歩7分 |
営業時間 | 平日・土曜 11:30~14:00 / 18:00~25:00、日曜・祝日 11:30~24:00 |
定休日 | 火曜日 |
ホームページ | https://tabelog.com/aichi/A2301/A230105/23001816/ |
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