【山梨・都留】場と繋がりを大切にする『コワーキングコミュニティ teraco.』を人とゆるく繋がれる拠点へ！

　山梨県東部に位置する都留市（つるし）は、かつて城下町として栄えた自然溢れる街です。東京から高速バスで90分ほどの距離であるため、都内へ遠距離通勤している方も。そして地方には珍しく市内に2つの大学があり、10～20代の学生が多いので若者や新しい文化を歓迎する風潮があります。

　その都留市に、2018年7月にオープンしたのが『コワーキングコミュニティ teraco.』。仕事や暮らしの拠点となるべく、あえてコワーキング”スペース”ではなく”コミュニティ”と名付けられています。
　今回は、同施設のコミュニティマネージャーを務める奈良さんにお話を伺ってきました。

行動次第で素敵なことに出会える街・都留

　都留市出身で大学進学と同時に県外へ行った奈良さん。その後は東京で人材教育コンサルタントの企業に勤めて、数々の事業に関わりながら多忙な日々を送っていました。しかし「この働き方をずっと続けたいわけではない･･･。」と退職を決意し、地元の都留にUターンしたのです。
　そんな奈良さんは『コワーキングコミュニティ teraco.』の運営のほかにも、都留市地域おこし協力隊や古民家ゲストハウス『あわ』の運営など、都留に関わる多様な活動をされています。

　一度は出て行った都留。魅力を再発見したのは、素敵な人たちが移住してきていると気付いた時だったと話します。
　「都留では自分の好きなことを事業にして、気ままに移住している人が多いんです。大学を卒業してそのまま移住する学生もいます。その人たちが語る都留の良さを聞いて、訪れる人たちの”第2のふるさと”になれるんだと誇らしくなりました。そして、その人たちを繋げるコミュニティを作りたいと思うようになったんです。」

　都留に戻った奈良さんは、移住者、学生、地域の人たちを、ゆるく繋げる拠点を作るためにコワーキングスペースの運営を始めます。

快適な仕事環境と交流が生まれる工夫がされているスペース内

　物件は、都留文科大学や駅に近くてアクセスが良いレンタルスペースを契約しているそうです。そのままの設備を活かしつつ、Wi-Fiや電源コードなどのインターネット環境を整えて、不自由がないようになっています。日当たりが非常に良いので、明るい気持ちで仕事に取り組めますよ。

　ただ、部屋が一つでキッチンも一緒になっているので、そこはデメリットではないかと奈良さんに尋ねてみました。

　「確かに部屋が一つということは一見デメリットになりそうですが、会員同士が一緒にご飯を食べるきっかけを作ったり、休憩中にリフレッシュでお喋りしやすかったりと、交流に一役買っています。会員主催で、ランチを共同で作るイベントも定期的に行われるようになりました。それがけっこう美味しくて、SNS中心に話題になっているんです。」

　人を繋げる工夫が細部にまでされているスペースとなっているようです。

『teraco.』がコワーキングコミュニティと名乗る理由

　通常のコワーキングスペースは、場所を共有しながら個別で仕事をおこなう場所を指します。
　しかし同施設はコワーキングコミュニティという名前で運営されているので、その理由も伺いました。

　「従来のコワーキンスペースは”共同のオフィス”といったイメージで、利用者同士の交流が少ないと思っていました。相手が何をしているのか見えづらく、皆さん仕事をしに来ているのでなんだか話しかけにくいですよね。そこで、施設という空間にとらわれず、場やつながりを大切にする”コミュニティ”のようなコワーキングがあっても良いのではないかと思ったんです。そのために会員が自己紹介する場所の提供やイベント開催、1ヶ月スパンの講座などを開き、会員や利用者同士の交流の活性化を図っています。」

　奈良さんを筆頭に、今後は仕事案件の共有やシェアハウスの開設、さらなるイベントの開催などを通して、移住につながる重要な要素である仕事、住居、コミュニティの強化を目指していくそうです。

“ゆるく繋がること”が居心地の良さを決める

　最後に、奈良さんに今後の『コワーキングコミュニティ teraco.』について伺いました。
　「当施設の利用を通して、都留の街が皆さまにとって第2のふるさとになってくれれば嬉しいです。素敵な人たちがたくさん住んでいます。人と人のゆるい繋がりが生まれるそんなコミュニティをこれからも続けていきたいです。」

　決して干渉しすぎることはないけれど、交流の扉はいつでも開かれています。それぞれが抱えている仕事や作業をするために集まるのがコワーキングという場所です。そこでのゆるい繋がりが利用者にとって、安心できて居心地良く感じられる空間になるのかもしれませんね。

■文、写真・蓮池ヒロ