【沖縄・中頭郡】沖縄の伝統と手作り民具に触れられるお店『りゅう』
沖縄県中頭郡読谷村の閑静な住宅街にある、沖縄民具や工芸品を取り扱うお店『りゅう』。
2014年4月1日オープンした『りゅう』では、店主の古川順子さんが厳選した沖縄を代表する民具を紹介しています。営業時間は9時から18時、定休日は火曜日と水曜日です。駐車場は2台分ありますが、車で向かう場合は事前に空き状況を確認するのをおすすめします。
月に数度、民具の制作などを体験できるワークショップも開催されています。
沖縄に移住したからこそわかる 沖縄の魅力
古川さんは、13年前に沖縄に移住し『りゅう』をオープン。前職は物作りや工芸品の世界からは程遠い、事務仕事に就いていたのだそう。
――お店をオープンしたきっかけを教えてください。
「移住して13年になりますが、県外から来ると沖縄独特の良さに気付きやすく、それを紹介できたらいいなと思いました。それがお店をはじめるきっかけとなりました。」
――沖縄には自然、文化、歴史…さまざまな魅力がありますが、民具に着目されたのはなぜですか?
「沖縄には伝えたいものがたくさんありますが、民具はその中でも絶滅危惧種なんです。作る人や使う人、さらには材料も少ないのが現状です。高温多湿のこの沖縄に適用するよう工夫された民具を通して、先人の智恵を伝えていきたいですね」
――なるほど。店名『りゅう』にはどんな意味があるのでしょうか?
「琉球の『りゅう』と、沖縄の守り神である龍の『りゅう』からとりました。龍は水の使いということで、比謝川のほとりにあるりゅう。水に縁があり、またこれからの時代水を大切にしたいと思ったので、この店名を選びました。」
――そんな意味があったのですね。この場所で開業を決めたのにはなにか理由があるのでしょうか?
「民具自体、一般受けするものではないと思っています。なので、場所を選ぶ時に重視したのは、お客さんにとって居心地のいいところであること。風通しがよくて、明るいので、とても気持ちがいいですよ。このあたりは大通りから少し離れていてわかりにくいのですが、一度来てしまえばなかなか帰りたくないなと思えるほど、落ち着いた場所で気に入っています。」
読谷村の古堅の住宅街、細い坂道を登ったところに隠れ家のように佇んでいる『りゅう』。一度訪れると、そのアットホームなお店の雰囲気に、帰りたくなくなること間違いなしですね。
伝統を伝え、繋いでいく仕組みを
――沖縄の民具にもさまざまあるかと思いますが、『りゅう』ではどういったものを取り扱っていますか?
「竹や、トウツルモドキなどの植物を使ったカゴとか生活の道具です。トウツルモドキはつる性の植物で、方言で”やまいと”と呼ばれるくらいのものなんです。何かを縊る時にこのつるを裂いて、ロープ代わりにしていたほど、しなやかで強い植物です。あとはわらび細工などもしています。」
『りゅう』では、地元沖縄の作家さんが制作した民具を紹介しています。作家さんは70代、80代の方が多く、中には100歳の方もいるそうです。
――作家さんはたくさんいらっしゃるようですが、実際に店舗で紹介される作家さんの基準はどういったものですか?
「もともとこのお店をする前は、体験工房で働いていました。その関係で信頼できる作家さんのものを紹介しています。またその作家さんからの紹介の方もお店に出したりと、人が人を繋ぐご縁を大切にしています。」
作品にはその人の人となりが出ると言います。民具だけではなくそれを作る作家さんにまで目を向け、安心安全で確かな品質のものを紹介しています。
「民具を見てもらい、作りたいと言ってくれる人が増えていけばいいなと思っています。現在、月桃カゴも150名くらい制作体験しているんですが、まだこれを仕事にしたいという人は、残念ながらいないですね。やっぱり続けるとなると難儀するので、なかなかね。」
今は沖縄民具の作家として生計を立てていくのは難しいのが実情と語る古川さん。
売り手と作り手の間に立って、作家として生活できるような仕組みを作っていきたいと話します。
ワークショップで民具を深く知る
お店では月に数度のペースでワークショップを開催中。子どもから大人まで体験でき、民具の制作過程を肌で感じることができます。
――具体的にはどのような体験ができますか?
「母乳せっけん作りや月桃コースター、アダン葉草履作りなどさまざまなワークショップをしています。それぞれの制作の一部を体験してもらうような仕組みで、できる限りたくさんの工程に関われるようにしています。材料をとるところからあんな苦労や、こんな苦労があるのかと、わかってもらうのも大事だと思っています。」
例えば草履の制作では、初日にアダン葉を採りに行き、トゲをとり均等な幅に割いて、一週間ほど鞣す。そして一週間経ってようやく編む作業に移ります。どの作業も地味ですが、どれも欠かせない重要な工程です。「作家さんたちはこんな苦労をしているのか…」と知ることが大事なのだと、古川さんは考えています。
「体験を通して、民具それぞれの価値がどれほどのものなのか、というのを体感できる啓蒙活動のようなものですね。」
お客さまには、しっかりと価値を知ってもらった上で買ってもらい、大事にしてもらう。そこから作り手も生まれる。そんなサイクルが実現するようなワークショップを続けています。
お店に来て魅力を感じてもらいたい
沖縄に移住して10年以上、開業してからは5年とこれまでとは全く違った生活をされた古川さん。
――開業に当たって、苦労したことやうれしかったことを教えてください。
「苦労は一切ないですね。楽しいことしかやらないと決めていますので、毎日楽しいです。逆に、一度来てくれたお客さんが、またお土産を持って“ただいま!”と来てくれたことがありうれしかったです。りゅうで出会った方同士の縁が繋がることも、りゅうを始めてよかったなと思うことのひとつです。」
民具のネット販売は一切していないとのことで、実際にお店に行かなければ買うことができません。作品それぞれのあたたかさや情趣を肌で感じて買うことに価値があると古川さんは話します。
「同じものは一つもないんです。手作りなので個体差もありますし、来て見てもらって選んでいただきたいと思います。」
――開店ポータルをご覧の方に、一言メッセージをお願いします!
「沖縄でゆっくりしたいなという人にはお菓子とお茶もお出ししていますので、ぜひお越しください。おばさんの“ゆんたく(おしゃべり)”もついてきますよ。」
沖縄の伝統と古川さんの民具への愛情を一度お店で体感してみてはいかがでしょうか。
店舗名 | りゅう |
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住所 | 沖縄県中頭郡読谷村古堅191 |
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電話番号 | 098-989-4643 |
アクセス | 琉球バス交通沖縄バス 水釜バス停留所から徒歩16分 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 火曜日・水曜日 |
ホームページ | https://ameblo.jp/ryuyomitan2014/ |
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