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北海道

【北海道・札幌】市電 資生館小学校前駅から徒歩2分。谷川俊太郎さんの作品で溢れる『俊カフェ』に行ってきた

 資生館小学校前駅から徒歩2分のところにある、谷川俊太郎さんの本やグッズで溢れるカフェ『俊カフェ(しゅんカフェ)』。こちらのお店は、素敵な音楽が流れる中で谷川俊太郎さんの詩に浸れる、心休まる空間です。今回は、店長の古川さんにお話をうかがいました。

オーナーと谷川俊太郎さんの出会い

俊カフェ

 古川店長と谷川俊太郎さんの最初の出会いは、子どものころに読んだ『ことばあそびうた』。

 その後に入学した札幌開成高校の校歌で、「有名な人の作詞なんだな」とは思ったものの、当時はそこまで深く知っていたわけではなかったそうです。札幌開成高校の校歌は、俊太郎さんが作詞を手掛けた「山あり、空あり、大地あり」というフレーズからはじまります。

俊カフェ

 古川店長がきちんと俊太郎さんの詩集を読むきっかけになったのは、大学卒業後に見た『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』というキッコーマンのテレビCMのワンフレーズでした。

 「その世界観が好きで、ある日書店にいくと、同じタイトルの詩集があり、その著者が俊太郎さん。“あ、校歌の人だ”と思って読み始めたら、すっかり好きになりました。」と古川店長は言います。

 就職後、雑誌の編集をしていた古川店長は、取材で『DiVa』という現代詩を歌う音楽ユニットのボーカル・高瀬麻里子さんと出会います。このときに、俊太郎さんの息子である谷川賢作さんが、DiVaのメンバーとして活動していることを知ったそう。

俊カフェ

 2012年、開成高校の開校50周年記念式典に、来賓者として俊太郎さんが出席されました。古川店長も卒業生として式典に参加しており、このとき二人は初めて会話を交わしたそうです。

 そこで俊太郎さんから、「鉛筆持ってる?持っていないなら送るね」と、俊太郎さんの詩が印刷された鉛筆をご本人から送っていただけたのだそう。

 2015年には俊太郎さん好きが高じて、俊太郎さんの本やグッズなどを展示した企画展を17日間だけ開催。すると、「またやらないの?」「もう一度行きたかったけど、行けなかった」というたくさんの反響がありました。

 こうして、多くのファンの声に応えるべく、2017年5月3日に谷川俊太郎さんの作品でいっぱいの『俊カフェ』をオープンしたのです。

俊カフェ

落ち着く空間で、まったりと詩を味わう

俊カフェ

 俊太郎さんが関わった240冊もの本を収集していたという古川店長。

 「お客さまの中で、“家に置いておくよりも俊カフェに置かせてほしい”という方が本を寄贈してくれたり、新たに購入してきてくれたりと、どんどん本が増えていっています。いまでは、私でも読んだことのない本が増えてきているので大変です。」と、うれしそうに話します。
 
 『俊カフェ』の入館料は、大人500円。DiVaの音楽が流れる落ち着く空間で、何時間でも自由に本を読むことができます。

俊カフェ

 俊太郎さんが参加する詩のデザインレーベル「oblaat(オブラート)」で販売がすでに終了してしまっている、詩集「ポエミクロ」も展示されています。ポエミクロは、プレパラートに刻まれた俊太郎さんの詩を、顕微鏡を覗いて読むことができるガラスの詩集。なんだか小学校の理科の授業を思い出す、とても変わっていて面白いものでした。

俊カフェ

 古川店長も持っているoblaatの「ポエペンシル」も展示されており、購入することもできます。ポエペンシルは鉛筆なのですが、一本一本にそれぞれの鉛筆の“気持ち”が刻印されています。鉛筆として使ってしまうのがもったいないくらいですね!

 このほかにもたくさんの俊太郎さんグッズがずらりと並んでいます。ポエムピース株式会社という出版社から発売されている、コップの底に詩が書かれたマグカップや、ポエムピース札幌の編集長でもある古川店長が編集をした、リフィル型の詩集などなど。

 現在は、『俊カフェ』のオリジナルグッズも作成中なのだそう。1階入口には、『俊カフェ』のためだけに作られた俊太郎さんの全身パネルもありますのでぜひ見に来てくださいね!

俊カフェ

ここだけの特別な時間

俊カフェ

 『俊カフェ』がある場所に、もともとあったのは「じりりた」というカフェ。本を読みやすいようにライトを変えて、追加で本棚を設置していますが、お店の内装はほぼ変えていないのだそうです。

 「じりりた」にはファンが多く、今も間違えて来店されるお客さんが多いということで、提供するハーブティーは「じりりた」と同じものを用意。コーヒーは、知り合いのカフェ「café ZIKKA」のオリジナルブレンドコーヒーです。

俊カフェ

 古川店長のご厚意で、ハーブティーをポエムピースのマグカップに入れてもらいました!カップ底には「わらう」というタイトルの俊太郎さんの詩が書いてあります。

俊カフェ

 こちらは俊太郎さんに定期的にプレゼントしているという古川店長お手製の「生姜ジャム」。俊太郎さんは紅茶に入れて飲んでいるそうで、『俊カフェ』ではダージリンティーを頼むとジャムをつけるか選ぶことができます。そのまま食べても、紅茶に入れてもおいしい生姜ジャムです。

俊カフェ

 また、クッキーを購入すると袋の中にはカードが1枚入っています。このカードに書かれているのは、古川店長が書き留めた、俊太郎さんがテレビで話していた貴重な言葉。ぜひチェックしたいですね!

 『俊カフェ』のためだけに書き下ろされた詩も飾ってあります。こちらは撮影禁止なので、実際に訪れて、目で確かめてみてくださいね!

詩を身近に感じてほしい

俊カフェ

 俊太郎さんは、今年のお誕生日で86歳。息子の谷川賢作さんは音楽家で、孫の谷川夢佳さんはスタイリストです。夢佳さんのお子さんが去年産まれたので、ひいおじいちゃんとなった俊太郎さんは、今でも人を楽しませようと自らテキパキと動く、サービス精神に溢れる方なのだそう。

 古川店長は、「“詩”と聞いただけで壁やハードルを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、実はもっと身近にあるものですし、俊太郎さんの詩が自分の言葉を代弁してくれている、という方はたくさんいらっしゃるんです。俊太郎さんも言っていますが、詩は近いもので、難しいものではありませんよ。」と、最後にメッセージをくれました。

 まだ俊太郎さんの本や詩を読んだことのない人でも、きっと自分に響くものがあるはず。自分の今の気持ちを伝えたら、古川さんがソムリエのようにあなたにぴったりの本をチョイスしてくれます。ぜひ『俊カフェ』で、谷川俊太郎さんの言葉に触れてみてください。

店舗名 俊カフェ
住所 札幌市中央区南3条西7丁目4-1 KAKU IMAGINATION 2F
電話番号 011-211-0204
アクセス 札幌市電で資生館小学校前駅から徒歩2分
営業時間 11:00~20:00
定休日 火曜日
ホームページ https://www.facebook.com/shun.T.cafe/

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