【コロナ対策】売り上げ80%の飲食店が赤字にならないためにするべき対処法
新型コロナウイルスの影響で売り上げを落とした飲食店は少なくないでしょう。ゆえに赤字がふくらみ結局は閉店を余儀なくされた飲食店もあるはずです。
今回は、売り上げが80%、70%と減少する中でも、赤字にならないために考えておきたい対処法についてご紹介してまいります。
新型コロナの影響をうけ、厳しい経営状態にある飲食店の方々は是非参考にしてください。
新型コロナウイルスが飲食店に及ぼした影響
そもそも新型コロナウイルスは飲食店の経営にどのような理由でどれほどの影響を及ぼしたのでしょうか。
1つ目の理由は『緊急事態宣言による営業自粛』によって、売り上げが確保できなかったことです。営業自粛を行った店舗については、政府から助成金なども支給されたものの、それでも緊急事態宣言解除後もしばらく続いた自粛モードで売り上げを立て直すことは難しい状況でした。
特に2月末からは売り上げ2~3割り減は当たり前で、売り上げが半分以下に落ちている店舗もあると言います。
2つ目はソーシャルディスタンスの確保によって、予定している席数よりも大幅に減らさなければならなくなり、その分の機会損失を招いてしまったことです。
これらの理由により、飲食店の廃業数は他の業種と比べても最多の56件となりました。(出典:2020年8月3日帝国データバンク調べ)
売り上げ前年比80%になった場合何をすればよい?
先述にも飲食店の殆どは、2月末から売り上げ2~3割り減と申し上げましたが、売り上げが減った場合、何らかの対策を取らなければ、飲食店は赤字転落をしてしまいます。その後も売り上げが戻らなかった場合は、赤字がふくらみ最悪の場合廃業といったこともなりかねません。
ここからは売り上げが80%、つまり2割減となった場合を想定して、飲食店が赤字転落しない為に行いたい対策について解説してまいります。
・売り上げが80%になるとは?
そもそも、売り上げが80%になるということはどういうことなのかというところから解説していきましょう。
月間の売り上げが500万円の店舗と仮定すると下記のようになります。なお、FLコストのうちF(食材)が30%、L(人件費)が30%として計算しました。
コロナ前 |
コロナ後 |
|
売り上げ |
500万円 |
400万円 |
原価 |
150万円 |
120万円 |
人件費 |
150万円 |
150万円 |
賃料 |
50万円 |
50万円 |
その他販管費 |
100万円 |
100万円 |
営業利益 |
50万円 |
▲20万円 |
人手は雇い続けることになりますので、ここは変化がないと考えると、売り上げ80%とは上記の状態を言います。そうすると、毎月20万円ずつ赤字になっていくので、単純にコロナ前と同じ営業をしていると、経営を続けることができなくなってしまうわけです。
では、次の項目から抑えられるコストや売り上げをあげるための方法について解説していきましょう。
・固定費の見直し
まず、一番は固定費を見直すことです。固定費とは
①賃料
②広告費
③通信費
などが主で、これらの固定費とされるコストを下げることで、今後もしばらくは安定してコストを下げた状態を保つことができるようになります。
①賃料
1つ目、賃料についてですが、コロナ禍で外食産業の廃業も著しく、次のテナント利用者が見つかる予定がない物件も多い中、賃料を安くするから今の物件に残っていてほしいと望む家主も多いものです。
まずは、賃料の値下げ交渉を行うことで、固定費を下げられる可能性があります。
②広告費
また、広告費ですがなんとなく払い続けている媒体費用や、費用対効果が得られていない広告などはないですか?それらを見直し、効果が得られていないモノは契約を解除することでだけでも十分に固定費を下げることができます。
しかし、ここで注意しておきたいのが、GoToEatキャンペーンに参加している飲食店の場合、それらの参加に必要な広告媒体、メディアサイトの契約を解除してしまうとキャンペーン対象外になってしまうという点です。複数のメディアで登録している場合は、1つの媒体に絞るのも良いでしょうし、いずれにしてもしっかりと見直しを行うようにしましょう。
③通信費
最後3つ目は通信費です。最近ではPOSレジなどを利用している飲食店も増え、飲食店においてもインターネットは重要なインフラとなっているわけですが、このインターネット料金も、提供会社を変更するだけでいくらかの料金を下げることができます。
・FLコストの見直し
続いてはFLコストの見直しです。先ほどにも少し解説しましたが、Fは食材費、Lは人材費を指します。
食材が余っていないか、売り上げに対して適当な食材量を仕入れているか、お客の入りに対して適当な人材数を確保しているかなど、再度見直す必要があるでしょう。連日連夜アルバイトや社員の契約解除についてはニュースで報道されておりますが、売り上げに見合ったシフトを作成しているかなどを検討し、必要に応じてコストカットする必要があるといえるでしょう。
また、お客さんが少ない時間帯は営業をしないなど、営業時間の見直しを行ってみても良いかもしれませんね。
・変動費の見直し
続いては、変動費の見直しです。変動費とは例えば、
①電気代
②ガス代
③水道代
などがあげられます。
電気やガスなどは自由化が始まり、地方電力会社から、自由化電力に変更することで毎月3~10%程安くで利用できる可能性もあります。
水道については、現在自由化などはありませんが、こちらは水道自体に節水コマを設置することで、使う水の量を削減し、結果的にコスト削減につなげられるというものです。
飲食店が売り上げを少しでも利益として残すためには、まずはじめに毎月必要になる支出を少しでも下げる取り組みが必要になります。
・売り上げをあげる取り組み
ただし、どんなにコスト削減をしても黒字化が難しい、もしくはすでに下げれる費用は下げているという場合は、やはり売り上げを少しでもあげる取り組みが必要です。
当然コロナ禍でもともとの来客数が少ないことで以前の客数を獲得することは難しいのが現状でしょう。そのため、飲食店は客単価をあげる仕組みを検討したほうが良いといえます。例えば、お客が店内で快適に過ごせるよう、滞在時間を長くするようにドリンクやデザートを積極的に提案できる仕組みをつくったり、Wi-Fi環境を整えたり、空調を快適に保ったりすることなど、小さなことからでも良いです。
仮に客単価4000円の業態で、客数が1250人から1000人に減った店舗でも、客単価を3%あげることができれば、単純に3%分の利益を上乗せすることができます。
特に、最近ではGoToEatやGoTotravelも開始され、外食の需要が戻りつつあります。それでもコロナ前と同様の集客数は見込めない店舗も多くありますので、その場合は、客単価をあげることで売り上げをあげることに目を向けるようにしましょう。
ただし、逆にGoToEatなどの取り組みによって、想定よりも高い売り上げが見込める可能性があるのであれば、逆にソーシャルディスタンスの確保で席数が少なくなっている可能性もあるので、回転率の速さを意識するなど臨機応変に対応することも非常に重要です。
まとめ
本記事ではコロナ禍で売り上げが落ちた飲食店が知っておくべき、赤字転落しないための対処法について解説いたしました。
飲食店の利益をあげるためには、売り上げをあげるか、それとも支出を減らすかしかありません。現状売り上げをあげられる見込みがないのであれば、しっかりと固定費、変動費、FLコストの見直しをするようにしましょう。
そのうえで、売り上げをあげられるよう、客単価アップへの施策や逆に回転率をあげるための施策などを考えることが重要です。