【徹底解説】居抜きとは?居抜き物件のメリット、注意点、流れをまとめて紹介!
「経営が苦しく閉店したいが、撤退費用は抑えたい」
「居抜きを検討しているが、具体的にどうしたらいいか分からない」
「元付けの管理会社にしか相談できていない」
このように悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、居抜き物件として店舗を売却や買収する際の、メリットや注意点から具体的な流れまで詳しく解説します。
居抜きとは
居抜きとは、前テナントが利用していた設備や家具、什器等がそのまま残った状態で、売買や賃貸借されることをいいます。
退店する際には、借主は店舗内に設置したものや備品等を全て撤去した上で、貸主に返却する必要があります。しかし、貸主の承諾が得られた場合、居抜き物件とし、内装や設備をそのまま残した状態で次の借主に引き継ぐことができます。
このように引き渡す方法を居抜きと言い、その時引き渡される物件を居抜き物件と言います。
スケルトンとは
居抜きの反対の言葉として、スケルトンがあります。スケルトンとは、店舗の内装や設備に加え、壁や天井などが何もない建物の躯体だけの状態のことを言います。簡単に言うと、「コンクリート打ちっぱなしの状態」のことです。
賃貸借契約の内容によっては、解約する際に原状回復として契約前の状態に戻す必要があります。解体費がかかることから、居抜きに比べ撤退費用がかかることが多いです。
飲食店の原状回復費用の相場
造作状況により変動はありますが、飲食店の原状回復費用(解体工事費用)の相場は、次のようになっています。
坪数 |
原状回復費用 |
---|---|
20坪程度まで |
坪単価約2万円~4万円 |
30坪程度まで |
坪単価約5万円~7万円 |
50坪程度まで |
坪単価約8~10万円 |
居抜きのメリット
居抜き物件を売買することには様々なメリットがあります。ここでは、売り手と買い手のそれぞれのメリットを紹介します。
居抜き物件として売却するメリット
売り手側のメリットとしては、売却益を獲得できることで、撤退費用を削減できるところにあります。
居抜き物件として売却するメリットの1つ目は、造作物を売却することで、キャッシュインをすることができるところです。造作物とは、物件に最初から設置されていたものではなく、入居した人物が取り付けたもので取り外すことができるもののことを言います。具体的には、エアコンやカウンターなどの設備や、テーブルやいすなどの家具を指します。これらを次の借主に譲渡することで、造作譲渡益を獲得することができます。
また、テナントが好立地に位置する場合、買い手のニーズが高まるため、売却金額が上がりやすくなります。
居抜き物件として売却するメリットの2つ目は、撤退費用を抑えることができるところにあります。
通常テナントを撤退する際には、スケルトンの状態に原状回復する必要があります。上記で説明した通り、スケルトン工事には多額の費用がかかります。また、設備の処分費や解約予告期間の賃料など様々なコストがかかってしまいます。
しかし、居抜き物件として売却することで、内装や設備をそのまま引き継ぐことができるため、原状回復費や設備の処分費を抑えることができます。また、居抜きでの明渡しが決まれば、多くの場合、本来発生していた解約予告期間の賃料の支払いは無くなります。
居抜き物件を買収するメリット
買い手側のメリットは、開店コストを抑えることができ、オープンまでの期間を短くすることができるところにあります。また、好立地のテナントを獲得できれば、その分来客数の期待値も増加します。
飲食店では、エアコンや厨房機器、テーブルやいす、コップやお皿など様々な設備や什器を揃える必要があります。新規に開店する場合、居抜きとしてこれらを引き継ぐことで、初期費用を大幅に削減することができます。また、内装をそのまま利用することで、工事によるオープンまでの期間を短縮することもできます。
飲食店の繁盛には、立地も重要な要素になります。好立地に位置するテナントは人気が高く、通常の賃貸情報では出回らないことも多いです。そのため、居抜きとして好立地のテナントを獲得できることには大きなメリットがあります。
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居抜きのデメリット
居抜き物件を売買することにはデメリットも存在します。ここでは、買い手と売り手それぞれのデメリットを紹介します。
居抜き物件として売却するデメリット
居抜き物件を売却する際のデメリットとしては、「値段が付きにくい」「買い手が見つからない場合がある」の2点が挙げられます。
居抜きで評価されるポイントは、「店舗や設備等の状態」と「立地」の2点のみです。いくら口コミが良かったり、これまで固定客が多く居ても、次のテナントでは別の店舗がオープンされるため、そういった要素を引き継ぐことができず、プラス評価として売却金額に反映されることはありません。居抜き物件の売却では、設備の状態が良い場合や好立地の場合以外では、ほとんど値段が付かず、買い手が見つからない場合もあります。
居抜き物件を買収するデメリット
買い手側のデメリットとしては、「内装やレイアウトの融通が利きにくい」「建物や設備の状態が想像以上に悪かった」「引継ぎ範囲が狭い」の3点が挙げられます。
スケルトンから作る場合と違い、前テナントの内装をもとに改装するため、内装やレイアウトの融通が利きにくくなります。
また、引継ぎ後、機材が上手く機能しなかったり、すぐに壊れたりする場合があります。そうなってしまうと、結局自身で揃える必要が出るため、想定していなかったコストが発生してしまいます。厨房機器などはリース契約がされている場合もあるため、設備を引き継ぐ際には、「設備の状態確認」に加え「リース契約されているか」や「残債はどのくらいあるか」などの確認も重要になってきます。
居抜きは、引継ぎ範囲が狭いことにも注意が必要です。居抜きでの譲受は、「店舗や設備」と「土地」のみにとどまります。そのため、居抜き物件買収後、スタッフの募集や認知の獲得を進める必要がありますが、どちらも臨んだ結果がすぐに出ないことで、想定より開店に時間を要する場合もあります。
居抜きの流れ
Step1.貸主の承諾
賃貸借契約書に、店舗資産譲渡を禁止する旨の記載が無いかを確認します。賃貸借契約上には、「禁止の旨が記載されている」「特に記載がない」「譲渡可能の旨が記載されている」の3パターンがあります。特に「禁止の旨が記載されている」場合や、「特に記載がない」場合は、貸主に承諾を得る必要があります。「譲渡可能の旨が記載されている」場合でも、スムーズに譲渡を進めるために、賃貸借契約の内容を再度貸主に確認しておく方が良いでしょう。
Step2.売却相談・査定
店舗の内装や設備、立地などをもとに売り出し価格が決まります。
Step3.買い手探し
Step1の査定結果をもとに、買い手を探します。売り手、買い手双方の条件しだいにはなりますが、平均的に1~3ヶ月で買い手が見つかります。
Step4.店舗資産(造作)譲渡契約の締結
売り手と買い手の合意後、店舗資産譲渡契約を締結します。 その際、譲渡する設備のリストアップも行います。
Step5.【買い手】賃貸借契約の締結と【売り手】解約手続き
買い手と貸主で賃貸借契約を締結した後、売り手が解約手続きを行います。
Step6.店舗の引き渡しと売却金決済
買い手へ店舗が引き渡しされた後、売り手に売却金が振り込まれます。
居抜き物件として売却する方法
「概要やメリットは分かったが、どのように居抜き物件として売却すればいいの?」 「居抜き物件として売却するためには、どんな方法があるの?」
ここでは、居抜き物件の売却方法について解説します。
不動産会社に依頼する
居抜き物件売却の依頼先として、不動産会社に直接依頼する方法があります。物件の査定や販売活動、契約手続きなどを代行してもらえます。
不動産会社は、不動産売買に関する専門知識やノウハウを持ったプロフェッショナルです。売却にあたっては、物件の査定や価格設定、契約書の作成など、様々な手続きが必要ですが、不動産会社に依頼することで、専門知識を持ったプロが対応してくれます。
また、不動産会社は、売却価格の交渉を専門的に行うことができます。相場や市況に応じた適切な価格を設定し、買い手との交渉も行ってくれます。
一方で、不動産会社に売却を依頼する場合、販売期間が長くなることがあります。不動産会社が売却に向けて広告宣伝や交渉を行うため、時間がかかる可能性をあらかじめ考慮する必要があります。
自己販売する
自分で買い手を探して売却する方法もあります。メリットとして、仲介手数料を節約することができます。 しかし、広告宣伝や物件情報提供、交渉などの一連の手続きを自分で行う必要があります。そのため、交渉がスムーズに進まなかったり、売却価格が言い値になってしまうことにより想定よりも金額が低くなることもあります。また、契約書の作成や手続きにおいて、引き継ぎ先だけでなく、貸主とのトラブルにつながることもあります。 居抜き物件の自己販売は、もっともおすすめできない方法です。
仲介会社に依頼する
仲介会社に居抜き物件の売却を依頼することで、スムーズかつ円滑な取引を行うことができます。
居抜きの仲介会社には、物件の見学や契約書の作成などの業務を効率的に行うためのシステムが整備されています。これにより、買い手との折衝や契約書の作成などの業務をスムーズに行うことができます。 また、居抜きの仲介会社は、買い手を見つけるための広告宣伝やマーケティングにおいて豊富な経験を持っています。適切な販売戦略を提供することで、より多くの買い手を獲得することができます。これにより、居抜き物件をより早く、より高い価格で売却することができます。
不動産売買においても専門的な知識や経験を持っています。居抜き物件の売却に必要な内装や設備に関する知識、契約書、法的手続きについての知識を豊富に持っています。これにより、スムーズかつ円滑な取引を行うことができます。
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居抜き物件を買収する際の注意点
造作の状態の確認
造作物においては、「内装」と「設備」の状態の確認が必要です。
前のテナントが使用していた内装は、そのまま利用することができますが、状態が悪くなっている箇所があるかもしれません。例えば、電気配線が古くなっている、配管に問題がある、壁紙が剥がれているなど、修繕が必要な箇所がある場合があります。利用前に、内装全体を確認し、必要な修繕や改修箇所がどのくらいあるのかの確認が必要です。
設備においても引き継ぐことができますが、それらが十分に機能しているかどうか確認する必要があります。特に、冷蔵庫や冷凍庫、エアコン、トイレなど、使用頻度の高い設備は、確認を怠らないようにしましょう。
譲渡される造作物の価格交渉
ここまででご紹介した通り、譲渡される造作物は多岐にわたります。価格交渉を行う前に、どの部分を造作物として譲渡するのかを明確にし、具体的な仕様や数量を決定する必要があります。
売り手の思い入れから、譲渡価格を上げた結果、交渉が決裂してしまうケースもあるため、双方にとって納得感のある価格を設定する必要があります。
賃貸借契約書の確認
居抜き物件の場合、現テナントが貸主に解約予告通知を出していない場合があります。借主は、現テナントと同じ条件を引き継げると考え募集をしたが、貸主は、次の借主から賃貸条件を変更しようと考えていたといったケースも多くあります。そのため、居抜き物件を探す際には、現テナント主が解約予告通知を出しているのか、引き継ぐ際に賃貸条件の変更があるのかの2点を確認する必要があります。
居抜き物件を売却する際の注意点
スムーズかつ円滑に居抜き物件を売却するために、特に注意すべきポイントを解説します。
契約書やリースの確認
まずは、賃貸借契約書を確認し、居抜きが可能な物件かを確認する必要があります。その際、解約予告期間や原状回復義務についても確認しておきましょう。また、厨房機器等をリースしている場合には、リースの残債などの確認も必要です。
貸主の承諾
居抜き物件として売却する際には、貸主に「造作譲渡の承諾」を得る必要があります。賃貸借契約書に、「造作譲渡可」の記載があったとしても承諾は必要になり、これが得られない場合は居抜き物件として売却することができません。
物件の状態確認
物件売却後、造作の状態が悪く買い手とのトラブルにつながることもあるため、修繕や改装が必要な箇所がある場合は、予め買い手に説明しておくことが望ましいです。
居抜き物件を売却する際の仲介会社の選び方
居抜き物件の売却にあたって、仲介会社を選ぶ際には、以下のポイントに注意して選ぶことが重要です。
専門性の高い仲介会社を選ぶ
居抜き物件は、内装や設備があらかじめ整っているため、新しいテナントにとって魅力的な物件となります。売却にあたっては、同じような物件が多く存在する中で、特別な魅力をアピールする必要があります。そのため、専門性の高い不動産仲介会社を選ぶことが重要です。専門的な知識があることで、物件探しから契約締結までのサポートをしっかりと受けることができます。
販売実績が豊富な不動産仲介会社を選ぶ
仲介会社の販売実績が豊富である場合、その会社が持つネットワークや販売力が高いと考えることができます。特に居抜き物件の場合は、需要が特定の業種に偏っていることが多いため、販売実績が豊富な不動産仲介会社を選ぶことが望ましいです。
複数社から見積もりを取る
仲介会社によって、売却の際の契約条件に違いがある場合があります。例えば、契約期間や仲介手数料の金額、広告費用の負担割合などです。契約条件を比較検討し、売却において自分にとって最適な条件を提示してくれる仲介会社を選びましょう。
居抜き物件の売買は開店ポータルがおすすめ
累計20万件以上の飲食店の経営改善実績
複数社の中から最適な仲介会社をご紹介
業態や地域にあわせ、最適な仲介会社様のご紹介も行っております。飲食店は様々な業態があり、それに伴い買い手のニーズも多岐に渡ります。また、地域によって不動産市場の特性があるため、仲介会社がその地域に詳しいかも重要になってきます。 弊社では、居抜きに特化した仲介会社複数社と連携し、業態や地域にあわせたサポートが可能です。
飲食店の居抜きのプロがトータルサポート
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