開業手続き

【企業家必見】10日かかる会社設立の手続きが、たったの1日に!?

開店ポータル編集部
2018/05/11
この記事の目次 [表示する]
 “雇われて働くのではなく、自分でビジネスを立ち上げたい” 起業を志す多くの人は、そんな夢を胸に数知れない努力を重ねています。ですが、“会社設立まであと一歩”というところまで来て、手続きの煩雑さに辟易としてしまうケースも多いのです。
 政府は、2018年6月にまとめる成長戦略に、“会社設立手続きのオンライン化”を盛り込む方針を固めました。これが実現すれば、10日ほどかかっていた会社設立の手続きを、わずか1日に短縮できることになります。

煩雑で時間がかかる、日本の会社設立

  
 中小企業庁の調べによると、2001年から2015年までの日本の開業率は、毎年5%前後の横ばいとなっています。欧米諸国の開業率が10%代半ばを記録している点と比べてみると、日本の開業率は低いことがわかります。その一因として考えられるのが、会社設立の手続きが煩雑なうえ、開業まで約10日と時間がかかることです。開業までに要する日数の平均は、アメリカなら6日、フランスなら4日となっています。
 ここで、日本の会社設立の流れを見てみましょう。

①定款の作成

 会社設立の際には、会社の基本原則を定めた“定款(ていかん)”というものを作ります。これは、国でいう憲法のようなもので、絶対記載事項、相対記載事項、任意記載事項を記載します。なかでも、“絶対記載事項”は、定款に効力を持たせるための重要事項であり、必ず記載しなければなりません。
*絶対記載事項
 …記載がなければ定款自体が無効となるため、必ず記載しなければならない事項
・商号(社名)
・事業の目的
・本社所在地
・設立の際の出資財産額、またはその最低金額
・発起人の氏名又は名称および住所
・発行可能な株式の総数
*相対記載事項
 …記載がなくても定款自体は無効にならないが、定款に記載しなければ効力が認められない事項
・株式の譲渡制限に関する規定
・株主総会の招集通知を出す期間(通常は2週間前まで)の短縮
・取締役員の任期の伸長
・公告の方法について
・株券発行の定め
など

*任意記載事項
 …記載必須ではない上、定款に記載しなくても有効となる事項
・事業年度
・役員の人数
・株主総会の議長
・定期株主総会の招集時期
・役員報酬の決め方
など

②公証人による定款の認証

 定款が完成したら、その記載が正式なものであることを第三者に認めてもらわなければなりません。これを“定款の認証”と呼びます。
 起業家は定款の事前チェックを受けたのち、公証役場で公証人と面談を行い、認証を受けるといった流れです。定款は、認証を受けることで初めて効力を持つようになるため、この手順が非常に重要となります。定款の提出から面談、そして認証を受けるまでには、7日ほどの日数を要します。

③登記手続き

 認証を受けた定款やその他必要書類をまとめ、法務局に提出します。登記が完了した時点で会社設立となりますが、書類の提出から登記完了まではさらに3日ほどかかることになります。つまり、定款の提出から会社設立までには、およそ10日ほどの日数を要することとなります

オンラインで会社設立が可能に!?

 では、会社設立手続きのオンライン化によって、どのように状況が変化するのでしょうか。
 まず、起業をしたい人は、定款の作成後に公証役場に足を運ぶ必要がなくなります。定款をファックスなどで公証人に提出し、PCやスマートフォン、タブレットなどを通したオンライン面談によって、認証を受けられるようになるのです。
 また、定款認証後の登記手続きもオンラインでおこなえるようになるので、認証を受けたら速やかに手続きを進めることができます。そのため、文書のやり取りなどにかかる時間が大幅に削減され、手続きを1日で終えることができるのです。

起業の後押しとなる政策に期待


 政府の狙いは、会社設立の手続きを簡素化することで起業家の背中を押し、経済を発展させること。ですが、この案に関して、「手続きが簡単になるのはいいけれど、そこまで急ぐ必要はあるのだろうか?」「法人税や設立コストの削減など、先に取り組むべきことがあるのでは?」といった世論も。
 さまざまな意見がありますが、この案が、起業家を取り巻く環境を改善する先駆けとなることは間違いありません。関連法の改正や新しい政策など、これからの政府の動きに目が離せませんね。

 

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2018/05/11