開業手続き

【保存版】美容室の開業を徹底解説|費用・資格・手続き・年収

なかのゆい
2022/09/05

小さい美容室を新規で開業しようと検討している
一人で美容室を開業するときの費用や流れを知りたい
 

美容室を開業しようと検討している場合、開業に必要な予算や手続き、取得しておくべき資格などは事前にチェックしておきたいところです。

 

しかし、美容室の経営が初めての場合には、利用できる補助金やオープンまでの流れなど、わからないことだらけで困ってしまうことも多いでしょう。

 

今回は、美容室を開業するときの資金や手続きにスポットをあてながら、開業の流れやリスクなどについても徹底的に解説していきます。

小さい美容室の開業の規模

店舗の面積:10〜14坪

美容室を開業する場合、店舗の面積は10〜14坪は必要になります。1坪あたりの広さは約2畳となるため、小規模な店舗であれば最低でも20〜30畳は確保しておくべきです。

店舗の席数:5〜7席

美容室を開業する場合、店舗の席数は5〜7席は必要になります。1坪あたりの席数は約0.5席となるため、小規模な店舗であれば最低でも5〜7席は確保しておくべきです。

ターゲット:20〜50代

美容室を開業する場合、ターゲットの年齢層は20〜50代の幅広い年齢層が予想されます。年齢層を絞りすぎてしまうと、外れてしまった場合のリスクが大きいからです。

一人で開業する選択肢もある

一人で美容室を開業する「一人サロン」という業態も近ごろでは増えています。コロナ禍でソーシャルディスタンスを保ちやすい1対1の接客空間が人気を集めている要因です。

一人サロンでは、席数が少なくて済むうえ、店舗の面積も小さい物件が多いため、開業のネックになる物件取得費用や設備投資、人件費などを最小限に抑えることができます。
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美容室の開業に必要なもの・資金・費用

  物件の取得費用 当面の運転資金
費用相場 200〜300万円 前後 700〜900万円 前後
銀行融資 ×
対象経費 補償金、仲介手数料、前家賃 など 賃貸料、水道光熱費、人件費 など
合計 1,000〜1,200万円 前後

物件の取得費用:家賃の12カ月分(200〜300万円)

 
  家賃20万円の小規模な店舗の場合
保証金 200万円
仲介手数料 20万円
礼金 20万円
前家賃 20万円
合計 260万円
美容室の開業に必要な店舗を契約する場合、物件の取得にかかる費用は、おおよそ家賃の12カ月分にあたる200〜300万円が必要になるケースが一般的です。

また、厨房設備や空調機器などをそのまま流用することができる居抜き物件を契約する場合には、物件取得費用に加えて造作譲渡費というものが別途発生します。

当面の運転資金:固定費の6カ月分(700〜900万円)

 
  家賃20万円の小規模な店舗の場合
人件費 50万円
水道光熱費 20万円
家賃 20万円
生活費 20万円
合計 110万円

美容室の開業に必要な店舗を契約する場合、当面の運転にかかる資金は、おおよそ固定費の6カ月分にあたる700〜900万円が必要になるケースが一般的です。

また、美容室が軌道に乗るまでには、だいたい6カ月ほどの赤字期間が発生するといわれているため、当面の赤字を耐えるための運転資金の準備も必要になります。

美容室は資金ゼロでの開業が難しい

 

美容室の開業について調べていると「自己資金0円でも開業できた!」という内容の口コミを目にすることがありますが、資金ゼロでの開業はほぼ不可能といえます。
 

外部機関の融資を受ける場合であっても、不動産の契約書を提出してから実行されるのが融資の基本的な流れであるため、まずは不動産を取得する必要があるからです。

自己資金で賄う必要があるのは300万円ほど

 

美容室を開業するときには、物件の取得費用や当面の運転資金などを考慮した場合、合計で1,000〜1,200万円ほどの開業資金が必要になります。

しかし、このうち当面の運転資金については融資でカバーすることができるため、自己資金で賄う必要があるのは物件の取得費用にあたる300万円前後です。
 

自己資金100万円融資500万円で開業した例もある

美容室を開業した方の中には、自己資金を100万円程度で開業ができたという方もいるようです。少ない自己資金でも、融資金の返済目途まで細かく事業計画を作成することで、計画的に事業を進めていくこともできます。

当面の運転資金を大幅に抑えることが必要になることもありますが、今ではSNS等で集客を行い成功する美容室も多いので、開業にあたって、お金を賭けるべきところを明確にしておくことが重要でしょう。

美容室の開業に必要な届出・手続き

  対象店舗 時期時期
美容室開業届 保健所 全ての店舗で必須
消防検査申請 消防署 全ての店舗で必須
開業届 税務署 個人事業主の場合
健康保険 年金事務所 従業員を雇う場合
厚生年金 年金事務所 従業員を雇う場合
雇用保険 ハローワーク 従業員を雇う場合
労災保険 労働基準監督署 従業員を雇う場合

美容室開業届:保健所


美容室を開業する場合、全ての店舗において「美容室開業届」の提出が必要になっています。また、許可が降りるまでには、保健所による立入検査が発生します。

作業空間の面積指定や美容椅子の設置面積、備品の成分や材質など、細かなところまでチェックされるため、事前に図面を持ち込み、懸念箇所を相談することが大切です。

消防検査申請:消防署


美容室を開業する場合、全ての店舗において「消防検査申請」の提出が必要になっています。火器や避難経路に問題がないかなど、立ち入りでの検査となります。

内装や外装の工事など、あらかじめ消防署の定める規定を満たすように設計しなければならないため、工事業者や消防署へ確認しておくのがおすすめです。

開業届:税務署


美容室を個人で開業する場合においては、開業届(個人事業の開業・廃業等届書)も忘れずに提出しておきましょう。開業から1カ月以内に所管の税務署への提出が必要です。

提出しないことによる罰則規定はありませんが、最大65万円の控除を受けられる青色申告のときに必要になるため、特殊な事情がなければ提出しておくことをおすすめします。
 
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美容室の開業に必要な資格・免許

  美容師免許 管理美容師免許
必要な店舗 全ての店舗で必須 従業員を雇う場合
取得の条件 学科試験の合格
実技試験の合格
都道府県の講習受講
3年以上の実務経験

美容師免許

 

美容室の開業にあたっては、当然のことながら、国家資格の一つである「美容師免許」を取得しておく必要があります。

厚生労働省が指定する美容師の養成施設で学科を習得し、実技試験と学科試験の両方に合格することで取得することができます。

管理美容師免許

 

美容室の開業にあたっては、自分以外の従業員を雇う場合には「管理美容師免許」もあわせて取得しておく必要があります。
 

美容師としての実務経験が3年以上あることに加えて、各都道府県で指定の講習を受講することによって取得することができます。
 

美容室の開業で使える助成金・補助金

  創業
助成金
小規模事業者
持続化補助金
IT導入
補助金
補助上限 上限300万円 上限50万円 上限450万円
対象経費 店舗借入金、設備費、人件費 機械装置費、広報費、開発費 ITツール導入に必要な経費
補助率 助成対象経費の2/3 補助対象経費の2/3 補助対象経費の1/2

創業助成金

 

美容室の開業で最初に狙いたい助成金としては「創業助成金」が挙げられます。新たに創業する事業主の場合であれば、最大300万円の助成金を受け取ることが可能です。
 

利益に応じた返還義務は発生しますが、開業に必要な自己資金のうち、ほぼ全額に相当する助成金を受けることができるため、新規開業であれば必ず確認しておきましょう。

小規模事業者持続化補助金

 

美容室を開業した後に利用することができるのが「小規模事業者持続化補助金」です。販路開拓や広告出稿のための費用など、最大50万円の補助金を受け取ることが可能です。
 

また、ホームページの作成やMEO対策、バリアフリー化にともなう設備投資などでも補助を受けることができるため、創業助成金と同様、忘れずにチェックしておきましょう。

IT導入補助金

 

美容室を新規で開業するようであれば「IT導入補助金」の申請もおすすめです。ITサービスやツールの導入支援として、最大450万円の補助金を受け取ることが可能です。
 

IT導入補助金は導入した後に還元される仕組みであるため、一時的な負担は必要ですが、上限金額が高く設定されているため、ITツールを利用する美容室は検討してみましょう。

美容室を開業するときの物件選びのポイント

店舗の立地

 

美容室を開業するうえで、最重要となる項目が店舗の立地です。コンセプトやターゲットにマッチした場所に設置しなければ、集客の見込みが立たなくなるからです。
 

駅に近い物件が良いのか、住宅街の物件が良いのか、もしくは商業施設内にオープンするべきなのか、狙っているターゲットによって理想の立地は異なります。

家賃の予算

 

美容室を開業するうえで、立地の次に重要となる項目が家賃の予算です。美容室の運転資金においては、店舗の家賃と人件費が多くの割合を占めるからです。
 

とくに創業期の美容室は、最初のうちは赤字になることが予想されるため、店舗の家賃をはじめとする固定費については、なるべく最小限に抑えておくべきです。

物件の種類

 

1:美容室を自宅で開業する

美容室を自宅で開業するメリットとしては、開業の費用を大きく削減することができるという点です。物件の初期費用や月々の固定費などを抑えることができます。
 

デメリットとしては、必ずリフォームが必要になるという点が挙げられます。店舗部分と住居部分は明確に仕切らなければならないことが法律で定められているからです。

 

2:美容室を居抜き物件で開業する

美容室を居抜き物件で開業するメリットとしては、以前の設備をそのまま使うことができるという点です。セットやシャンプー台などの設備投資を抑えることができます。
 

デメリットとしては、店舗のデザインを変えにくいという点が挙げられます。また、以前の店舗のイメージも引き継いでしまうため、場合によってはデメリットとなります。
 

3:美容室をスケルトン物件で開業する

美容室をスケルトン物件で開業するメリットとしては、店舗のデザインを自由に設計できるという点です。コンセプトやターゲットに沿った空間づくりが可能になります。

デメリットとしては、内装の施工や造作にコストがかかるという点が挙げられます。また、内装の全てをイチから設計しなければならないため、お金も時間も必要です。
 

4:美容室をテナント物件で開業する

美容室をテナント物件で開業するメリットとしては、集客対策としても機能するという点です。開業から日の浅い段階でもテナント経由での集客を見込むことができます。

デメリットとしては、賃料が高く原状回復の義務があるという点が挙げられます。移転や退去のときには、店舗の内装などは借りたときの状態に戻さなければなりません。
 
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美容室の開業は儲かる?年収の実態を調査

  平均年収
オーナー経営者 400〜500万円 前後
スタイリスト 300〜350万円 前後
アシスタント 200〜250万円 前後

オーナー経営者の平均年収:400〜500万円

美容室の開業におけるオーナー経営者の平均年収は、おおよそ400〜500万円前後です。

社長や経営者と聞くと、一般的には年収が高いようなイメージがありますが、美容室の経営者で年収1,000万円以上を超えるには、少しハードルが高いようです。

スタイリストの平均年収:300〜350万円

美容室の開業におけるスタイリストの平均年収は、おおよそ300〜350万円前後です。

一般的な美容室の多くは、スタイルストのなかでもランク分けされている店舗が多いため、店長やチーフクラスではもう少し年収が高くなることが予想されます。

アシスタントの平均年収:200〜250万円

美容室の開業におけるアシスタントの平均年収は、おおよそ200〜250万円前後です。

美容室のアシスタントは、見習いとしてのポジションであることがほとんどであるため、年収や生活の安定よりも技術や実務経験の習得に重きを置くべきでしょう。

美容室を開業するまでの流れ

1:コンセプトを検討する


ターゲット層、サロンの強みとなるメニュー、内装の世界観など、サロンの具体的なイメージをつくります。コンセプトは、数ある美容室の中から、お客さまに自店を選んでもらう決め手となるものです。

これがあいまいだと、自分たちの強みが何なのかわからず、ホームページやブログで発信すべきものがわかりません。メニューやサービス、接客マニュアルなどは、コンセプトさえ決まれば自動的に決まっていきます。美容室をはじめるときの第一歩は、お店の土台となるコンセプトづくり。これを覚えておきましょう。

2:出店候補地を検討する


コンセプトが決まったら、商圏分析をして出店エリアを絞ります。商圏分析とは、お店のターゲット層や提供したいメニューと、地域の客層やニーズがマッチしているかを確かめる作業です。

たとえば、「家族3代で足を運んでもらえる、アットホームな美容室」を開きたい場合、オフィス街に出店しても集客は難しく、ファミリー層が多く住む住宅街などが適しています。地元に戻ったり、新天地に引っ越して開業するオーナーも多いでしょう。

その一方、お客さまのニーズがあるからと、現在働いている美容室と同じエリアで開業する方もいます。お世話になったお店のライバルになり得る場所に出店する場合、トラブルを避けるためにも、もとのお店のオーナーと話し合いを重ねましょう。

3:事業計画を策定する


事業計画書は、融資の申し込み、補助金や助成金の申請などで必要な資料です。オーナーの経歴、なぜ美容室を開こうと思ったのか、提供するメニューやサービスの内容、開業にかかる資金の内訳、売上計画など、ほかにもたくさんの項目があります。

「補助金や助成金の申請をしないなら、事業計画書はいらないのでは?」と思いがちですが、これは大きな間違いです。経営経験のないオーナーにとって、武器になるのは美容師としての技術だけ。経営を続けていく上で不可欠な、オーナーとしての知識やノウハウがありません。

お金の動きや売上計画などが数字で示された事業計画書があることで、自分がオーナーとしておこなっていく経営のあり方を、客観的に眺めることができます。トラブルが起きたときや売上が落ち込んだときにお店の目指す方向を照らし、経営を立て直すための道しるべとなるのです。

4:開業資金を調達する


開業資金は、スタッフ1~3名ほどの小さなサロンでも、余裕を持って1,000万円は用意しておきたいところです。200~300万円で開業できる場合もありますが、選べる物件が少なくなります。

お店づくりの選択肢を増やすためにも、自己資金は多いに越したことはありません。自己資金で足りない部分は、日本政策金融公庫の融資を利用するオーナーが多いです。銀行と違い、経営実績がなくても融資を受けやすいため、新規開業する人に向いています。

ただし融資を受けたら、毎月の返済が待っています。借入金額が大きいほど、月々の返済の負担も大きくなるでしょう。そこで、政府や地方自治体が用意する補助金や助成金の利用を考えてみてください。満たすべき申請条件はあるものの、支給されるお金は基本的に返済不要です。ただし、補助金も助成金も原則として後払いです。

5:店舗の物件を選定する


出店エリアが絞れたら、物件を探しはじめます。居抜き物件(前のサロンが使っていた設備が残されている物件)と、スケルトン物件(設備や内装を取り払った状態の物件)のどちらを選ぶかで、必要な開業資金が変わります。

居抜き物件の場合、内装工事や設備の購入が必要ありません。そのため初期費用は抑えられますが、設備を譲り受けるための「造作譲渡料」が発生することも。また、万が一機材が故障していて使えなくても、修理費用を持つことになってしまいます。

一方スケルトン物件は、天井や床、壁のデザインはもちろん、どんな設備を入れるかまで、自分の思い通りにお店づくりができます。自由度は高いですが、内装工事の費用がかかり、工期が長引くほど空家賃の負担も大きくなります。予算やコンセプトに合わせて、居抜き物件とスケルトン物件のどちらがいいのかじっくり検討しましょう。

6:内装や外装を施工する


物件が決まったら、設計会社を探し、デザインの打ち合わせをします。内装のコンセプトをはじめ、必要なセット面やシャンプー台の数などしっかり伝えましょう。設備や内装で「こうしたい」という希望が多くなるほど、費用も高くなるので注意が必要です。

設計図やデザインが固まってきたら、設計会社の紹介で施工会社を決め、内装工事に着手します。坪数にもよりますが、工期は約2~3週間、長くて1か月ほどかかります。設計会社選びでは、美容室の内装工事をおこなった実績がある(美容室の設備や什器、オペレーションに関する知識がある)ことがチェックポイントです。

おしゃれな空間に仕上がっても、スタッフにとって使い勝手が悪く、オペレーションがスムーズでないようでは意味がありません。施工会社選びについても、複数の会社から見積もりを取り、適正な価格で工事ができるようにしましょう。

7:設備や什器を設置する


内装工事と同時に進めなければならないのが、設備の調達です。美容室に欠かせないシャンプー台は、お客さまの横に立って洗髪する「サイドシャンプー」と、シャンプーボウルを挟み、お客さまの頭の先に立って洗髪する「リアシャンプー」があります。

シャワーヘッドの改良によって頭皮の汚れが落ちやすくなったり、シートの角度を自由に調整できるようになったりと、シャンプー台は進化しています。求める機能やお店にマッチするデザイン、水道の配管の位置などを考慮して選びましょう。シャンプー台の水圧は、最低でも2.0気圧は必要です。

水圧が弱いと、カラー後の薬剤や汚れが落ちにくくなるため洗髪に時間がかかり、お店の回転が悪くなります。2階以上の空中階に出店する場合、階数が上がるほど水圧が弱くなりがちです。水圧については、事前に確認するようにしましょう。場合によっては、管理会社や大家さんに相談の上、加圧ポンプの導入をすることもあります。

8:備品や商材を購入する


施術に使う、または店頭で販売するシャンプーやスタイリング剤、カラー剤などの商材は、メーカーや美容ディーラーから仕入れます。お店のコンセプトに合ったものを選ぶことが大切ですが、修業していた美容室で使い慣れていたもの、知名度の高いもの、メジャーではないけれど効果があるものなど、商材を選ぶ基準はオーナーによってさまざまです。

商材の仕入れ先は、美容ディーラーがおすすめです。ディーラーはシャンプーやスタイリング剤、カラー剤といった商材だけでなく、シャンプー台やヘアアイロン、パーマロッド、ミラー、椅子などさまざまなものを取り扱っているからです。

また、ディーラーは流行のカラー剤や、低価格で質のよいヘアケア製品の提案をしてくれるため、商材選びに迷いません。施術に常に流行を取り入れることができるのがメリットです。美容師向けのセミナーを開いているディーラーも多いので、技術を学ぶ姿勢を忘れず、経営に役立てることができます。

9:商標登録を行う


商標登録は、ビジネスをはじめる上でとても大切な作業です。お店のブランディング、そして「他の美容室に同じ名前を使わせない」という意思表示、ふたつの意味合いがあります。商標登録をすると、自店のブランドとして、店名を独占的に使えるようになります。

万が一、ほかの美容室に同じ(類似した)店名を使われた場合は、店名の変更を求めることができます。商標登録は、営業年数にかかわらず、「先に申請したお店」に登録が認められます。たとえば、あたらしくライバル店がオープンし、自分のお店と同じ(類似した)サロン名を商標登録した場合、そのときに自分が商標登録をしていないと、ライバル店から「商標権の侵害だ」とみなされ、店名を変えなければならなくなります。

場合によっては、損害賠償を請求されることもあります。小さなお店だからと油断せずに、サロン名はきちんと商標登録しておきましょう。

10:集客対策を行う


集客ツールは、チラシやダイレクトメールといった紙媒体と、集客サイトやホームページ、ブログといったWEB媒体に分けられます。スマートフォンが普及した現代、集客ツールとしてはWEB媒体がメインです。

とくに、『ホットペッパービューティー』などのポータルサイトでは24時間予約が可能なため、幅広い客層に利用されています。オープン間もないサロンも認知してもらいやすいです。ただし、ポータルサイトからの集客は、再来店につながりにくいというデメリットがあります。

初来店のお客さまに対してクーポンを付けていることが多く、お得さだけを求めて訪れる人を増やしてしまうからです。ポータルサイトやホームページを通じて新規のお客さまがやってきたら、メンバーズカードや再来店クーポンを渡して再来店のためのはたらきかけをするなどの工夫が必要です。

11:賠償保険に加入する


お客さまとの間に次のようなトラブルが生じ、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。そのときに備えて、必ず賠償保険に加入しておきましょう。

・カラー剤が垂れて、洋服にシミを付けてしまった
・受付で預かった手荷物を紛失してしまった
・カット中にハサミが耳や顔に当たり、ケガをさせてしまった
・ヘアアイロンでセットをしているとき、やけどを負わせてしまった
・販売しているシャンプーやスタイリング剤で、頭皮に炎症が起きた


誤って「理美容行為不担保」の賠償保険に加入している美容室も多いので、注意しましょう。理美容行為不担保とは、簡単に言うと「カットやカラー、シャンプーといった施術中のトラブルに関しては、保険金が下りない」ということです。

お客さまが店内の段差につまづいて転倒・負傷した場合など、理美容行為によるものでないトラブルに対しては保険金が下ります。賠償保険に加入する際は、その保険が「理美容行為不担保」ではないことを確認してください。

12:保健所へ営業許可を申請する

 

お店が完成したからといって、すぐに美容室として営業をはじめられるわけではありません。店内の構造や設備などの基準を満たしているかを保健所にチェックされ、営業許可が下りることで、晴れて営業を開始できます。

 

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美容室の開業で失敗するリスク

年間8,000件が廃業している美容室の実態


2022年の現在、全国には約25万軒以上の美容室が存在しています。毎年1万軒の美容室がオープンし、8,000軒の美容室が廃業している現状です。

これほど多くの美容室が廃業しているのは、経営者としての知識を十分に身に着けないまま、開業に踏み切ってしまうオーナーが多いからです。

ライバルがいくらでもいて、かつ人手不足の傾向がある美容業界では、ベテランのオーナーですら自分のお店を維持していくことに苦労しています。

カットやカラーの技術はもちろん、経営者としての知識やノウハウ、経営を妨げるリスクの理解など、美容と経営の双方における学習が必要不可欠です。

金銭面におけるリスク

 

美容室を開業する場合、まずは家賃や人件費などの金銭面のリスクを真っ先に留意すべきです。美容室は新規が参入しやすいジャンルでもあるため、生存競争が激しく、一年以内の閉店率も高い状態にあります。

家賃の予算を厳守することはもちろん、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など、使える制度は徹底的に使い、開業に必要な資金をしっかりと確保することが重要です。

風評面におけるリスク

 

美容室を開業する場合、Twitterによる炎上などの風評面のリスクには十分に注意する必要があります。SNSや口コミサイトが普及した現代においては、粗末な対応ひとつが店舗の閉店につながる事態にも発展しています。

店舗のSNSを運用する場合には、たとえ理不尽なクレームがあった場合でも、個人を名指しで批判するような発言は避け、毎日の営業も誠意をもって対応することが重要です。

美容室の開業に向いていない人・失敗する人の特徴

経営やビジネスの視点が足りていない人

 

美容室を開業する以上、当然のことながら利益を追求しなければなりません。とりわけ失敗する人に多いのが「スキルや技術さえ身につければ、お客さんは自然と集まって来てくれる」と思い込んでいるケースです。

美容室の経営には、ターゲットやコンセプトの選定にはじまり、メインの集客媒体はどうするか、客単価はいくらに設定するかなど、業務以外の戦略が重要になってきます。カットなどの技術は最低条件に過ぎないため、しっかりと認識しておきましょう。

事業計画が曖昧で資金を調達できない人

 

美容室を新規で開業する場合、物件の初期費用や黒字化までの運転資金など、最低でも300万円前後の大金を用意しなければなりません。とくに失敗する人に多いのが「開業資金は全て身内や親族に負担してもらった」というケースです。

どのような事業計画書であれば融資は降りるのか、どの補助金を使えば最小限の出費で済むのかなど、必要な情報は他力本願ではなく、自分自身でリサーチを行うことが重要です。資金を調達する能力がなければ、その後の店舗運営も立ち行かなくなってしまいます。

主張が強く他人の意見を聞き入れない人

 

美容室を開業する場合、まずはターゲットとコンセプトの選定が重要な項目になります。とくに失敗する人に多いのが「根拠やデータもなく経営者が理想とする店舗を体現してしまう」というケースです。

経営者自身のこだわりも重要ですが、本当に必要なことはユーザーが何を望んでいるのかを考えることであり、自分本位なこだわりで店舗の運営方針を決めてしまうことのないよう、常にユーザー目線に立った経営戦略を意識しましょう。

美容室の開業に向いている人・成功する人の特徴

技術や施術に自信がある人

美容室の開業において、自分の技術や施術に対して自信を持っていることは、とても大切なことです。経営者がスタイリストも兼ねている場合、自分のサービスに自信を持っていなければ、ユーザーの満足度を上げることはできません。
 

美容室を開業するということは、カットやカラーの施術や集客の対策、広告の打ち出しなど、あらゆる観点から、店舗の経営と向き合い続けるということです。つまり、美容というジャンルそのものが好きで、自信を持っていることが、全力投球を続けられる底力になるのです。

コミュニケーションが好きな人

 

美容室の開業においては、寡黙な職人が黙々とモノづくりに励むこととは違い、お客様の反応を日々研究し、改善しながら良いサービスに結び付けていく姿勢が重要です。

他人とコミュニケーションをとることが好きでなければ、ユーザーも近づきにくくなってしまうため、続けていくことは難しいでしょう。

チャレンジすることが好きな人

 

美容室の開業に限らず、成功する経営者の多くは、挑戦を恐れず、過去のリスクを頭に入れたうえで、前向きに行動する傾向にあります。


失敗やリスクを恐れていつまでも行動ができずにいると、せっかくのチャンスを逃してしまいます。もちろん、準備や下調べ、研究を行った上での判断が必要ですが、もし失敗した時には、次の策へすぐに切り替えられる判断力や行動力、つまり、チャレンジ精神が大切です。

美容室の開業に必要なスキルや能力とは?

経営能力

 

美容室の開業には、業態やコンセプトを定め、集客目標や収益目標、返済計画などをしっかりと立て、その計画通りに事業を進めていく経営能力が必要不可欠です。
 

また、経営を上手に回していくためには、会計や税務、法律や衛生管理に関する知識はもちろんのこと、折衝能力や業界内外での人脈など、総合的な経営力が求められます。

資金調達能力

 

美容室の開業には、ほとんどの場合、開業資金と運転資金の両方を貯めてから開業するか、貯められなかった場合は、金融公庫からの借り入れを行わなければなりません。

創業計画書や事業計画書、返済計画などの作成にはじまり、銀行や政策金融公庫への融資の相談など、美容室を開業するためには、開業資金の調達能力が必要になってきます。

マネジメント能力


美容室の開業において、自分ひとりで経営を行う以外は、スタッフを雇い、カットや施術の教育を行なってから、一人前として機能するように育てなければなりません。

人材の採用から教育方法や研修期間の決定、人間関係の構築など、良い意味でスタッフや業者さんたちを巻き込みながら経営を支えていくマネジメント能力が必要になります。
 

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美容室を開業するなら開店ポータルBizがまるごとサポート!

今回は、小さい美容室を一人で開業するときの開業資金や手続きにスポットをあてながら、開業の流れやリスクなどについても徹底的に解説していきました。
 

雇われ美容師として働いていた方も、独立や開業を行うことで一人の経営者になることができます。そのためには、店舗の通常業務はもちろん、広告宣伝やスタッフの採用、税務関連の手続きなどをこなしながら、店舗を回していく覚悟が必要です。
 

開店ポータルBizでは、美容室に強い税理士探しや店舗運営にかかるコスト削減のほか、資金調達サービス、地域やお店にあった集客方法・HPやSNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!

なかのゆい
2022/09/05