【コロナが飲食店に与えたプラスの「遺産」】未来の食事代を支払うという文化《第1回》
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されてから早1年が経とうとしています。未だ収束の兆しは見えず、それどころか感染は拡大し続けるばかりです。
飲食店の経営者様の中には、時短営業を余儀なくされたり、イートインのお客の集客が難しくなったり、次々と変わりゆく現状とニーズに疲弊してしまったという方も少なくないでしょう。
しかし、新型コロナウイルスが飲食店に与えた影響は、必ずしもネガティブなものばかりではないのです。そのプラスの遺産とも呼ぶべきものの1つが『未来の食事代を支払う』という文化です。
新型コロナウイルスと飲食店を取り巻く現状
先日1月8日には、一都三県に緊急事態宣言が発出され、更に三連休明けの1月12日には関西三県に対し同様の宣言が発令される旨が明らかになりました。
この緊急事態宣言では、営業時間の短縮や、営業停止を政府が法の下指示することができます。緊急事態宣言が発令された地域については、
①午後8時以降の営業自粛を要請
②協力しない店舗は店名公表
等がアナウンスされています。
▶▶飲食店の時短営業に伴う各自治体による協力金まとめ【2021年最新版】
2020年10月にGoToEatキャンペーンが開始されてから、飲食店は少しずつ活気を取り戻しつつありましたが、現状は一変、各種GoToキャンペーンの停止や今回の緊急事態宣言の再発令により再び危機的状況のさなかにいると言えるでしょう。
必ずしも『負の遺産だけじゃなかった理由』
営業時間短縮、イートインの売上低下、GoToの停止、緊急事態宣言など、確かに飲食店が新型コロナウイルスから受けた影響は計り知れないものです。実際、2020年の飲食店廃業数は、ここ数年で最大規模になったとされています。
しかし、新型コロナウイルスが飲食店に与えた影響は必ずしもネガティブな影響だけではありません。その理由は下記に解説していきます。
未来の食事代を支払うという文化が流通
新型コロナウイルスが感染拡大をし始めたことで、2020年4月の1度目の緊急事態宣言を皮切りに、デリバリーやテイクアウトの需要が拡大しました。それと合わせて、「ボトルキープ」や「先払い」、「定期券の購入」「サブスクサービスの活用」等、未来の食事代を支払う事で飲食店の短期的な資金繰を支援するサービスが広がってきているのです。
自宅から食事代を先払い
アメリカでは、顧客が飲食料を事前に支払うことができる、飲食店向けの債券プログラム「DINING BONDS INITIATIVE」を展開しています。これは日本を含む、世界中で使用可能です。
イメージとしては、該当する飲食店で、未来のある日に食事をする権利を購入するというものです。つまり、予約の時点でお金を支払っておくとお考えいただければ分かりやすいでしょう。
新型コロナウイルスの影響で、1日の売上がままならない日も、同サービスを使用することでキャッシュフローをしのぐことができていると言います。
同サービスだけでなく、自治体ごと、店舗ごと等、小規模なサービスとして個人的に展開している場合もあるようです。
自宅にいながらボトルキープ
また、「未来の食事代を支払う」といった意味でいえば、「ボトルキープ」も同様です。ボトルキープとは、主にお酒を提供する居酒屋やバーなどの飲食店で採用している先払いシステムです。お客側がお酒をボトルで注文し、飲みきれなくてもボトルをお店で保管しておいてもらうことができます。
お店側としては、利益を先に確保しておくことができたり、お客の来店を確約することができたりするメリットがあります。
特に、居酒屋やバー等は、時短要請によって営業時間短縮による影響を大いに受けている業種でありますので、こうした「先払いシステム」は事業者にとって嬉しい支援策と言えるでしょう。
定期券の購入
定期券とは、その名の通り一定の期間分の飲食代を先に支払うことです。未来の食事代を支払うという文化が流通したことで、飲食店独自に定期券の発行などもしやすくなったと言えます。
例えば1ヶ月10,000円で、500円のランチ、又はお弁当が頼み放題、1ヶ月20,000円で、飲み放題代がタダになる!等のサービスです。
「○○し放題」と広告を打つことで、お客の目に入りやすくなるうえに、こちらも利益の確保が見込める点がメリットと言えるでしょう。
サブスクサービスの活用
また、中には飲食店のサブスク支援サービスを導入している店舗や、テイクアウトの定額制アプリを活用している店舗もあります。
サブスクリプション型のサービスを導入することで、会員登録をした顧客データを蓄積、分析することはもちろん、ストック収入を得ることができますので売上アップにも有効的です。
飲食店は流行をキャッチして売り上げアップにつなげよう
と、このように、飲食店のあり方や、飲食店に対する顧客の考え方が変化しつつある中で、上手く流行をキャッチアップしたリ、活用したりすることが大切です。
特に、テイクアウトの定額制アプリなどは、まさしく流行やニーズの核心を突いていると思いませんか。テイクアウトは、現在、デリバリーと並んで人気のある飲食サービスです。そうした点では、先に利益を得られる「先払いシステム」、「定額システム」と「テイクアウトサービス」をかけ合わせたテイクアウト定額制サービスは、まさにコロナ禍において売り上げアップを狙うことができる重要なサービスの1つと言えるでしょう。
▶▶テイクアウトの定額制サービスで効果的な集客対策を
特筆しておきたいのは、テイクアウトシステムも、定額制システム・先払いシステムは、コロナ禍において、消費者の外食需要に応えるため、また、事業者を支援する策として本格的に広まったものであるという点です。
「未来の食事代を支払う」という文化を、飲食業界に広めた新型コロナウイルスによるパンデミックは、必ずしも飲食店に負の影響だけを与えたというわけではないのです。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、売上が低下し廃業を余儀なくされた店舗も多数あります。また、現状廃業や閉業を検討されている店舗様もいらっしゃるでしょう。今後飲食店がコロナ禍を切り抜け、生き抜いていくためには、トレンドやニーズにアンテナを張って経営戦略を立てていくことが重要です。
まとめ
本記事では、【コロナが飲食店に与えたプラスの「遺産」】として「未来の食事代を支払う文化」をあげました。
この「プラスの遺産」が何なのかを知っておくだけで、今後の飲食店の売り上げアップ施策に役立てることができるかもしれません。
次回第二回では、「破棄食品」にスポットを当て、コロナがもたらした「プラスの遺産」について解説していくことといたします。
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