飲食店でIoT技術を活かして業務効率化につなげる方法
インターネットの普及に伴い、現代はIT技術を駆使したサービスが溢れ、様々な業界でその活用が進んでいます。このIT化に伴って情報通信技術が進歩したことにより、これからの時代、飲食店経営に欠かせない技術が「IoT」です。
人材不足が課題とされている飲食業界において、より効率的に店舗運営が行えるIoTサービスの導入が進んでいます。
IoT技術を活用することで、インターネットで様々なシステムにつながり、飲食店の現場における無駄な動作をテクノロジーで効率化し、限られた人員でもサービスを提供できるようになります。
本記事では、飲食店でIoT技術を活かして業務効率化につなげる方法を、導入事例や具体的な導入方法と合わせて詳しく解説していきます。
IoTとは?
「IoT(アイオーティー)」とは「Internet of things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」となり、モノがインターネット経由で通信することを意味します。
従来、インターネットはコンピュータ同士を接続するためのものでした。主にパソコンやサーバー等のIT関連機器が接続されていましたが、現在では、スマートフォンやタブレット端末も接続されています。
これによって、今まで予約・注文・会計・管理などアナログで行われていたことが、IoTサービスによってデジタル化され、ヒューマンエラーを防ぎ、より店舗運営に集中することができるようになります。さらに、サービスの向上、業務効率化、コスト削減へとつながっていくのです。
端末の小型化や通信コストの低価格化も進み、飲食業界にもIoTシステムやサービスの普及が加速しています。
飲食店で利用できるIoTサービス
他業界と比較すると、IoTサービスの活用が遅れているといわれている飲食業界ですが、ここ数年では、机上の注文ようタブレットをはじめ、キャッシュレスシステムやPOSレジなども導入され始めています。
ここからは、それらを含む飲食店で利用できる代表的なIoTサービスをご紹介していきます。
タブレットオーダーシステム
居酒屋や飲食チェーン店、回転すし店などでは、テーブルにタッチパネル式の機械が置かれているところも多く、現在は広く浸透しているシステムです。お客様が端末を使って、自分で注文をする仕組みなので「セルフオーダーシステム」とも呼ばれています。お店のスタッフに注文をするのではなく、機械を通して自分で注文をするので、人件費の削減、オーダーミスの防止になります。
POSシステム(POSレジ)
飲食業界で優先的に導入されてきたのが「POSシステム」です。一般的なレジは、お会計をスムーズに行う為の装置ですが、「レジとPOSシステムが繋がったレジ=POSレジ」では、「いつ」「何が」「いくつ」「いくらで」販売したかを、定量的に把握することが可能なシステムです。
会計の際に顧客情報や商品情報を記録できるので、日々の売上集計の効率を上げるだけでなく、その集計結果をさまざまな観点から分析することにより、マーケティングデータとして利用することができます。さらに、注文受付やテーブルの着席状況、料理の配膳状況などを表示するオーダー端末と連携させると、注文漏れや配膳ミスの防止、スムーズな会計処理へとつながります。
予約管理システム
予約管理システムとは、飲食店の予約を管理する予約台帳の役割を果たすものです。この機能を持つアプリやクラウドサービスを利用すれば、顧客のネット予約や変更が可能となります。
さまざまなグルメサイトからの予約・キャンセル情報を自動的に選別し、一元管理することができます。従来の電話による予約受付や、手書きで台帳に記すという手間が省けることに加えて、連絡なしの「ドタキャン」を防止することができます。
勤怠管理システム
勤務管理の複雑なシフト表の作成や共有が簡単にでき、勤怠時間を自動集計します。有給の申請や承認に紙の申請書を利用したり、シフト表を社員に紙で配布したりする必要もなくなります。また、勤怠管理システムによっては、アルバイトなどの不正打刻を防止するために、指紋や静脈などによる生体認証機能を搭載しているものもあります。
翻訳アプリ
スマホなどの端末を通じて話した言葉がそのまま相手の国の言葉に翻訳されるアプリです。多国語に対応しており、まるで通訳がいるかのように、言語の異なる相手とスムーズな会話ができるため、訪日外国人客への対策が可能です。新たな人材確保や教育にコストをかけずにコミュニケーションが円滑になり、質の高いサービスの提供できます。
タブレットオーダーシステム
机上のタブレットでお客がオーダーし、それが厨房まで通知されるシステムの解説もいれると、なんとなく飲食店におけるIoTサービスのイメージがつきやすいと思います。
飲食店でもまだIoTサービスを導入していない人は、POSレジなど聞いても何のことやら分からない人もいるかもしれないので。多くの店舗で導入されていて、かつお客として飲食てを利用した時にも利用したことがあるであろうサービスを解説してあげると、イメージがわきやすいです。
さらに現在は、オーダーから調理、商品の引き渡しまでの一連のプロセスを自動化させるIoTサービスの開発も進んでいます。
飲食店でIoTを利用して業務効率化につながった事例
飲食業界は、人手不足が深刻な産業のひとつでもあります。接客サービスを強化させるためにも、IoT技術を活用して、業務改善と業績向上を目指す取り組みに挑戦する飲食店も増えています。実際に、コスト削減や業務効率化につながった事例をご紹介します。
①予約システムの導入でリピーターが増加!(和食店)
【導入前の課題】
以前は、来客情報をホワイトボードで管理していましtが、順番間違いによるト
ラブルの発生やお客様が待ちきれずに帰ってしまうことがあり、トラブル防止や機会損失の回避が課題となっていました。
【導入後の効果】
スマートフォンを用いた混雑状況や口コミを予め確認・順番待ちの予約ができるシステムを導入したことにより、事前にスマートフォンから予約したお客様は、順番が来れば、店頭に設置された装置に予約番号またはQRコードを提示することでスムーズに入店できるようになりました。待ち時間を把握でき、効率よく予定を立てられることから、リピーターが増加するようになりました。
②食材の電子発注システム導入で4 倍の労働生産性を達成!(焼肉店)
【導入前の課題】
全国展開するチェーン店で、毎月 4~5 店舗のペースで新規店舗を開業していた中、各店舗の食材の仕入れ量の把握や仕入先の確保、増加する事務作業の効率化を図ることが課題でした。
【導入後の効果】
食材の仕入れ情報がクラウド上でデータ化されるクラウド型の電子発注システムを導入しました。以前は紙ベースで直営店 30 店舗分の仕入れ数量の把握や請求書対応を行っていましたが、電子発注システムの導入で、食材の仕入れ情報がクラウド上でデータ化され、処
理や分析が簡素化しました。管理スタッフの数はそのままで、4倍の労働生産性を達成し、現在直営飲食店は135 店舗まで拡大しています。
③コストを一元管理するシステム導入で人件費削減に成功!(カフェ)
【導入前の課題】
以前は、営業終了後に各店舗の店長が売上データを入力して本部に送付していたため、作業負荷がかかっていたことが課題にあり、対策を検討していました。
【導入後の効果】
売上情報、人件費、仕入コスト等を一元的に管理するシステムを導入しました。リアルタイムに人数や時間あたりの売上高を把握し、複数店舗間で人員を融通するなど、効率的な人員配置と顧客満足度の向上を実現しました。
情報の一元管理をコンセプトに開発されたシステムの導入により、日々の売上計算や決算書
類の作成も容易となり、人件費削減にもつながっています。
④温度管理システム導入で快適な店舗環境整備を実現!(焼き鳥店)
【導入前の課題】
冷蔵庫や冷凍庫、店舗内の気温管理は、飲食店経営にかかせないものですが、繁忙時には人的ミスが生じるリスクや、店舗スタッフへの記録作業の負荷などが課題となっており、省力化を検討していました。
【導入後の効果】
冷蔵庫や冷凍庫など店舗内の数ヶ所にセンサーを設置し、冷蔵庫の温度や店舗内の気温を自動で記録するシステムを導入しました。書き間違いなどのミス削減やスタッフの記録作業負荷の軽減、空調の効きのばらつきを防ぎ、温度管理作業の省力化や快適な店舗環境整備を実現し、サービス向上につながっています。
飲食店でIoT技術を導入する時の手順と注意点
では、実際にIoT技術が搭載されたサービスを導入する際には、どのようなポイントを押さえたらよいのでしょうか。前項までに、主なIoTシステムについて解説しました。では、飲食店がIoTを導入するためにはどのような手順や注意点を押さえたらよろしいのでしょうか。下記から解説してまいります。
【導入手順】
はじめに、IoTサービスを導入する手順を確認しましょう。
①理想の店舗経営のイメージを明確にし、何が課題なのか、どんなIoTサービスを導入すれば利益が向上するのか、業務が効率化されるのかを掘り下げる。
②現在の通信環境や非効率な無駄をチェックし、従来のシステムプランの見直しをして必要な環境を整える。
③コストや費用対効果を検証し、サービスの内容や見積もりの比較検討後、導入の申込をする。
【注意点】
つづいて、導入前にクリアにしておくべき注意点です。
・現場の負担に配慮する
新しいシステムを導入する際は、現場に負担をかけることになります。長年使い慣れたシステムやフローを一新して、システムを導入することになるので、現場の反発や混乱を招かないためにも導入の際は入念なフォローアップが必要です。
・管理体制を整える
何をIoTで管理し、業務がどのように変わるのかを管理者や現場でしっかりと整理し、確認し、操作や管理が不慣れなことによるトラブルが起きた時にも対処できるような管理体制を整えておくことが肝要です。
・費用対効果を確認する
IoTを導入するということは、システムに対する期待や効果、導入の目的があるはずです。事前に店舗の課題を明確にし、導入コストや維持費が高くついて費用対効果が表れないということがないようにしましょう。
・他社の導入事例を確認する
同業種で同じようなシステムの導入事例をしっかりと確認し、自店舗に見合ったシステムかどうかを見極め、後悔しないように事前に調べることも大切です。
まとめ
人手不足と言われる飲食業界において、インターネットにすべてがつながるIoTによって、さまざまな課題や非効率さが改善されようとしています。これらのIoTサービスは、単なる店舗運営の業務効率化だけでなく、お客様の顧客満足度を上げることにもつながります。
システムや技術がどんなに進化しても、何よりも大切なのは、心のこもった「接客」に変わりはありません。高い接客品質を保つためにも、IoTサービスの導入で、よりお客様に愛される店舗を目指していきましょう!
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