【徹底解説】飲食店のM&Aとは?居抜きとの違い、事例、売却方法、メリット、進め方をまとめて紹介!
本記事では、なぜ飲食業界でM&Aが注目されているのかについてご紹介します。また、飲食店を売却・買収するにあたって、メリットやデメリットから、事例や具体的な流れまで詳しく解説します。
飲食店のM&Aが注目を集めている理由
買い手が多く、値段が付きやすい
コロナが落ち着いてきた現在、コロナ禍の中でも成長できた飲食店や、飲食業界に新規参入したい事業者の出店意欲が高まっています。
事実、2021年の飲食店新設法人数では、過去最多の7,810件を記録しました。
参考:東京商工リサーチ「2021年の新設法人数、苦境の飲食店が過去最多の不思議」
また、一般社団法人日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、2022年10月の業界全体の売上は前年同月比で114.8%を記録しました。コロナ禍前にあたる2019年対比でも105.5%を記録し、初めてコロナ禍前の売上水準を上回りました。
参考:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査2022年10月度 結果報告 」よりキャプチャ
コロナ禍からの回復の兆しが見えてきた現在、上記データからも分かるように、飲食店の出店意欲は増加傾向にあります。これに伴い、飲食店の売却金額にも値段が付きやすい傾向にあります。飲食店の出店意欲が高まっている今が売り時かもしれません。
まずは売却益を得てから次の事業に専念したい人が増加
M&Aを実施する売り手側の目的として、売却益の獲得も挙げられます。大企業のように株式を売却する場が無くても、M&Aであれば株式譲渡や事業譲渡等で現金を得ることができます。 また、起業してからは資金繰りの安定が重要になります。そこで、売却益で自己資金を十分に用意することで、事業の継続や成功に繋げることができます。特にコロナ禍以降、手元資金を確保したうえで、手堅く次の事業に専念したい人が増加しております。
飲食店の売却・譲渡のメリット
ここでは、実際に飲食店を売却・譲渡する際のメリットを解説していきます。
売却益や譲渡益を獲得できる
まず、飲食店を売却・譲渡するときのメリットは、売却益や譲渡益を獲得できるところにあります。
M&Aでは、土地や設備だけでなく、従業員やノウハウまで引き継ぐことができるため、店舗の価値が高く評価されればそれだけ売却益を享受することができます。
売却益を利用し、譲渡後新たな事業を始めたり、借入金の完済にあてるなど、金銭面で様々なメリットが想定されます。
ブランドや従業員を維持できる
M&Aであれば、土地や設備だけでなく、ブランドや従業員も引き継ぐことが可能です。
廃業を選択すると、これまで築き上げたブランドを失うだけでなく、従業員を路頭に迷わせてしまう可能性もあります。
そこで事業を丸ごと承継することで、歴史やブランドを途絶えさせることなく、従業員の雇用も守ることができます。
飲食店のM&Aは居抜きに比べて評価項目が多い
飲食店を撤退する際には「居抜き」により売却する方法もあります。しかし、居抜きはM&Aに比べ評価項目が少なく売却金額が低くなることが多いです。
以下がM&Aと居抜きの評価項目の違いです。M&Aでは売上、口コミ、歴史、シェフや従業員の引継ぎなど様々な軸で評価されます。それに比べ居抜きは立地や店舗・設備の状況のみ評価されます。
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飲食店の買収のメリット
ブランド(のれん)・設備・従業員を引継ぐことができる
既にブランドがある飲食店を買い取ることで、固定客の来店が見込め、ターゲットやエリア選定に時間をかけずに営業を開始することができます。また、設備や什器も揃っているため開業資金を抑えることができます。譲受時の契約次第にはなりますが、そのままシェフやスタッフを引き継ぐことで、人手不足が解消できるだけでなく、現場教育の工数も減らすことができます。 店舗拡大を考えている場合も、M&Aであればスムーズに次の店舗を開店することができます。
好条件の立地を獲得できる
好条件の立地は中々空かないことが多いです。そのため、M&Aを行うことで出店希望エリアで出店できることには大きなメリットがあります。
収益の引継ぎもできる
M&Aでは売却会社の資産も引き継ぐため、しっかりと収益が出ている会社や店舗であれば、その資産も譲受けることができます。
飲食店のM&Aは居抜きに比べて譲受範囲が広い
先に述べた、M&Aの評価範囲が広いことからも分かるように、M&Aでは居抜きに比べて譲受の範囲が広いです。そのためM&Aであれば、すぐに事業を開始することが可能です。また、獲得の難しい好立地を獲得できる可能性があることもM&Aのメリットです。
飲食店のM&A事例
「吉野家」株式会社吉野家ホールディングス
株式会社吉野家ホールディングスは、牛丼以外の業態への拡大を目的とし、2006年には「はなまるうどん」を完全子会社化し、2016年には人気ラーメン店を運営する「株式会社せたがや」との資本提携を行いました。
また、2023年2月期から2025年2月期までの3年間でM&Aに100億円を投じる計画であることを公表しています。
居酒屋6店舗を経営する株式会社静岡喜八郎の売却事例
静岡県西部で、居酒屋3店舗、鶏料理酒場3店舗の計6店舗を展開していた、株式会社静岡喜八郎は創業から26年が経ち、事業承継によるイグジットを模索していました。この6店舗を、個室居酒屋「てんくう」10店などを展開する株式会社こころが買収しました。株式会社こころは、同社のシステムを導入することで、作業効率化とコスト改善を測り、更なる成長に繋げることができました。
株式会社越後屋の店舗売却事例
2015年に立ち食いそばのヒットモデル「蕎麦 冷麦 嵯峨谷」7店を、株式会社フォーユーに売却し、2017年には株式会社越後谷の全株式を株式会社J-STARに売却しました。
M&Aの目的は、スピーディーな店舗展開にあり、「和食×ファミリーレストラン」の構想実現に向け、事業パートナーとしてファンドに売却をしました。
飲食店のM&Aの評価ポイント
飲食店を売却もしくは買収する際に最も気になるのが、売買の金額相場ではないでしょうか。結論、譲渡形式や売買時の条件等で大きく変わってくるため、一概に「この金額だ」と言い切ることは難しいです。
しかし、飲食店のM&Aの場合、「企業(店舗)価値」+「飲食店特有の評価項目」でおおよそどの位の価値が付くかを査定することが可能です。
「企業(店舗)価値」では、年売法をもとに算出することが多いです。年売法とは、企業の時価純資産に営業利益の複数年分を加算して計算する、企業価値評価の一つです。飲食店の場合、企業価値=時価純資産+営業権(営業利益×2〜4年)で計算されることが多いです。
「飲食店特有の項目」では、「店舗・内装・設備の状況」「立地」「メニュー」「仕入れ先」「シェフ・スタッフ」「ブランド・歴史」「口コミ・SNS」「固定客数」「ビジネス的将来性」が挙げられます。飲食店のM&Aは通常のM&Aよりも評価される項目が多く、譲渡範囲の広さや、それぞれの評価が高いほど値段が付きやすいです。また、譲受側も譲渡範囲が広いほど初期投資も少なく、コストを抑えて拡大や市場への参入ができます。
ここまでで紹介した評価軸は、飲食店の全業態で共通のものになります。しかし実際には、業態によって特に注意するポイントがあり、そこを満たすことも非常に重要です。そこでここでは、居酒屋・喫茶店・食堂を例に業態特有の注意すべきポイントを紹介します。また、想定ケースをもとに、どの位の売却価格になるかも併せて紹介します。
居酒屋の場合
居酒屋の場合は、「契約内容の確認」「コスト構造の確認」「売上・現金管理方法の報告」「食品衛生管理への取り組み」の4点が重要になってきます。
買い手としては、引継ぎ後に同じ収益構造で営業できるかが重要になるため、契約内容(仕入れ価格の取り決め等)やコスト構造(食材原価、人件費、家賃)の確認をし、まとめて報告することが重要です。具体的に買収後をイメージしてもらえることで、取引がスムーズに進みやすくなります。
個人や中小零細企業では、租税回避行為などをしている場合もあるため、売上の管理に問題が無いことを報告することが重要です。また、複数店舗展開している飲食店では、現金の持ち出しといったトラブルも稀に見られるため、現金管理方法の報告も必要です。
過去に食中毒などのトラブルが無かったかの確認も非常に重要になってきます。特に食中毒は経営上の重大リスクになるため、食品衛生上の管理を徹底していることの報告も、買い手に安心感を持っていただくことができます。
都内に複数店舗展開する居酒屋の売却想定ケース
年間売上高 |
5億円 |
---|---|
売却価格 |
1億5000万円 |
引継ぎ対象 |
土地、ブランド、建物、設備、スタッフ、利益、レシピ |
評価ポイント |
複数店舗経営しており、営業利益も安定 収益構造もクリアになっていたためスムーズに売却成功 |
カフェ・喫茶店の場合
カフェや喫茶店では、店舗の雰囲気や店内内装などが重要項目に入りやすいです。それに加え、テーブルや椅子といった備品から、厨房設備の状況も重要になってきます。状態が良く、買い手がすぐに営業を開始できる場合は値が付きやすくなります。また、近年では特にSNSでの評価が高い場合も、店舗の価値が高く評価される傾向があります。
都内に1店舗営業するカフェの売却想定ケース
年間売上高 |
5000万円 |
---|---|
売却価格 |
1000万円 |
引継ぎ対象 |
土地、ブランド、建物、設備 |
評価ポイント |
店舗内装や設備が新しく、SNSでの評価が高かった点 |
食堂の場合
食堂では、 レシピの引継ぎや固定客が多くいる場合、評価されやすくなります。「味の引継ぎ」を行う際に、レシピを残すことは当然のことながら、調理風景を映像に残すことで、より再現性を上げることもできます。また、ビジネス街などで固定客が多い場合なども、買い手が収益を見込み安くなるため、値段が付きやすくなります。
歴史が40年ある食堂の場合
年間売上高 |
2000万円 |
---|---|
売却価格 |
3000万円 |
引継ぎ対象 |
土地、建物、設備、レシピ、のれん |
評価ポイント |
立地が良く、歴史もあり固定客が多くいた点 |
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M&Aの進め方や注意点
「飲食店のM&Aで、売却や買収するメリットは分かったけど、具体的に何をすればいいの?」 このようにご不安な方もご安心ください。M&Aの基本ステップは、「相談」「準備」「交渉」「最終契約」の4つからなり、ここでは、M&Aの進め方や注意点をわかりやすく解説します!
Step1.「相談」
まず「相談」では、M&Aによる売却・譲渡、もしくは、M&Aによる買収を検討されているオーナー経営者様と、M&A仲介会社とで面談を行います。
売り手は、M&Aによる売却の概要把握や、査定結果をもとにどのように売却していくかを仲介人と一緒に考えます。
買い手は、M&Aによる買収の目的や希望条件を明確にし、条件に合う案件の方向性を定めます。
Step2.「準備」
「準備」では、買い手・売り手ともに、秘密保持契約・アドバイザリー契約の締結や自社資料の提出をします。
秘密保持契約とは、自社がもつ情報を、受け手である他社が外部に漏洩したり、不当に利用しないように契約を結ぶことです。
仮に情報が漏れてしまうと、従業員が退職したり、株価や評価が下がることで売却益が想定よりも少なくなってしまう事態になりかねません。そのため、M&Aを進めるに際し、秘密保持契約を締結することは非常に重要になってきます。
アドバイザリー契約とは、一般的に外部の専門家から、業務において専門的な知識に基づいたサポートを受けるために締結する、業務委託契約のことを指します。M&Aにおいては、M&Aの実行に向けて、M&A専門会社と売り手や買い手との間で契約が結ばれます。
アドバイザリー契約を結んだ後に、自社の情報や資料をアドバイザーに提出します。アドバイザーは、その情報をもとにM&A先を選定します。
Step3.交渉
ノンネームシート(会社が特定されるような具体的な情報を記載せず、地域・事業内容・売り上げ規模等の概要が匿名でまとめられたもの)や案件概要書をもとに、相手企業からM&A仲介業者へ興味を示す連絡が来たら、経営者同士のトップ面談を行います。
トップ面談はあくまでも交流の場として設けられます。交渉等はせずに、お互いの顔合わせや、相性の確認を行います。
一度もしくは複数回のトップ面談をした後、M&Aを行いたい場合、買い手から売り手へ意向表明書の提示を行います。意向表明書は仲介役であるアドバイザーに提出します。
トップ面談や条件交渉を経て、双方がM&Aの実施に合意した場合、基本合意書を締結します。
基本合意書では、M&Aスキームや売却予定金額、売却予定日、デューデリジェンス(譲渡企業のリスク等の調査)の進め方、独占交渉権の確認などを行います。なお、基本合意書に記載の内容のほとんどは法的拘束力を持ちません。
Step4.最終契約
基本合意締結後、買い手が譲受企業に対してデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスは、基本的に事務・財務・法務・税務の4項目に対して行います。調査結果によっては、売買価格について反論や交渉を行い、売却価格の調整といった最終条件を決めます。
最終条件をもとに、最終契約書を締結します。こちらは、基本合意書とは異なり法的拘束力を持ちます。そのため、契約内容に十分に留意して締結する必要があります。
最終契約締結後、クロージングを行います。クロージングとは、経営権の移転を完了させる最終手続きのことを指します。ここでは、最終契約書の内容をもとに、株式譲渡や事業譲渡の手続き、譲渡代金の決済手続きを行います。クロージング終了とともにM&Aも完了します。
M&Aを個人でやる場合はリスクが大きいため注意が必要
結論、M&Aは個人でも行うことができますが、様々なリスクが発生する可能性が高いことからオススメはできません。
実際、後継者が不在の個人事業主が、自身で売却をしたり、事業拡大を考えている中小企業の経営者が個人で買収をしたりするケースもあります。確かに、仲介手数料等がかからないことを考えると、個人でM&Aを行うことには、メリットがあるように感じるかもしれません。しかし、個人で行う場合にはリスクが大きく、例えば簿外債務等に気づけず、投資金額以上の損失が発生してしまった事例も少なくありません。その他、契約内容の記載漏れなどにより、想定していたヒト・モノ・カネを引き継ぎできない場合もあります。
M&Aプラットフォーム(マッチングサイト)の利用にも注意が必要
プラットフォーム(マッチングサイト)を活用し、M&Aを行う方法もあります。しかし特に飲食店においては、こちらもおすすめはできません。もちろんM&Aプラットフォームを利用するメリットは多くありますが、その分デメリットも多く存在します。
M&Aプラットフォームとは、オンライン上でM&Aの売り手と買い手をマッチングさせるサイトのことです。売り手買い手ともに、あらかじめ希望条件を設定することで、双方のニーズに合った案件や買い手を見つけることができます。
M&Aプラットフォームを使うメリットとしては、仲介手数料等がかからないため、取引コストを抑えることができます。また、当事者間のみで交渉を進めることができるため、短期間でクローズさせることが可能です。
逆にデメリットとしては、売り手が不利になる可能性が高くなります。これはなぜかというと、M&Aで売り手と買い手が交渉をする場合、買い手の方がM&Aに慣れている場合が多いためです。そのため、売り手が交渉に負けてしまい、希望金額で売却できないケースもあります。また、デメリットとして、買い手が見つかりにくいことも挙げられます。アドバイザーを挟む場合は、買い手探しまで行ってもらえますが、プラットフォームの場合は自身で買い手に営業をかけるか、掲載後興味を持ってもらうまで待つ必要があります。プラットフォームに載せるノンネームシートの記載が曖昧な場合は、買い手も事業のイメージがつかず、オファーが中々来ない場合もあります。
M&Aを行う際にはアドバイザーの活用がおすすめ
ここまでで、個人やプラットフォームを利用しM&Aを行うことには、メリットもあるがデメリットも大きいことをお伝えしました。では、M&Aを円滑に進めるためにはどのようにするのが良いのでしょうか。そこで登場してくるのがM&Aアドバイザーになります。
M&Aアドバイザーとは、M&Aに関連する業務に対して、アドバイスやサポートを行う専門家のことです。M&Aアドバイザーが携わる業務としては、相手企業の選定から、交渉や契約締結のためのサポートなど多岐にわたります。
M&Aアドバイザーを活用することには様々なメリットがあります。まず第一に、M&Aをスムーズに行うことができます。M&Aアドバイザーからは、企業価値の算出や書類の作成から、交渉やデューデリジェンスといった専門的な内容までサポートを受けることができます。そのため初めての方でもつまずくことなくM&Aを行うことができます。
次に、様々なリスクを回避することができます。先に述べた通り、個人でM&Aを行うと、簿外債務に気づけなかったり、交渉を双方にとって良い方向で進められないなど、様々なリスクが想定されます。そこで、第三者のアドバイザーが入ることで、こういったリスクを回避することができます。
アドバイザーが入ることで、値段が付きやすくなることもあります。経験豊富なアドバイザーであれば、企業や店舗の状況などをもとに、どの点が高く評価されるかを洗い出すことができます。結果、相談時には想定していなかった点が評価され、売却希望金額よりも高い値段が付くこともあります。
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M&Aを行う際には、様々な契約書の準備が必要になりますが、そちらの準備も一切不要です。全て弊社で用意させていただくため、面倒なくスムーズにM&Aを進めることができます。
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