「接待を伴う飲食店」とは?感染防止対策と集客施策について解説
コロナ禍で飲食店が軒並み売り上げ減に苦しんでいるなか、”接待を伴う飲食店”は密になりやすいということから更に苦しい状況に追い込まれています。
尤も、飲食店はお食事の間マスクを外していなければならならず、飛沫が飛びやすくクラスターが発生しやすいと見られており、なかでも夜の街は”密”になりやすいことから懸念されがちです。
時短要請などの影響で、なかなか思うような営業ができない店舗も多いでしょう。
そこで本記事では接待を伴う飲食店の定義とガイドライン、そして接待を伴う飲食店がコロナ禍を生き抜くための集客施策について解説していきます。
接待を伴う飲食店とは
そもそも、「接待を伴う飲食店」とはどんな飲食店をさすのか、自店舗はその対象店舗となるのか気になる方も多いはずです。
まずは接待を伴う飲食店の定義と、”接待”になるもの、ならないものの区別について解説していきましょう。
接待を伴う飲食店の定義
風俗営業法によりますと、「接待を伴う飲食」の定義は「キャバレー、待合、料理店、カフェなど、その他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」と定義されています。
合わせて、”接待”の定義としては「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」としており、会話やサービスなど歓楽を期待して来店する客に対して通常の飲食店の範囲を超えるサービスを提供するというところです。
つまりは、キャバレーやナイトクラブ、ホストクラブなど”夜の街”の飲食店に該当する店舗であるとお考えいただければ問題ありません。
接待とそうでないものの区別
ただ、通常の料理店で行われる宴会にコンパニオンなどが呼ばれて接待をする場合は、”接待”に含まれる場合があります。
そこで、接待をともなうもの、そうでないものの区別を表にしてみました。
接待 |
接待ではない |
談笑・お酌等 |
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特定の客のテーブルに付いて、 談笑の相手となったり、 酒等の飲食物を提供したりする |
客の後方で待機したり、 カウンター内で客の注文に応じたりする その他社交儀礼上の挨拶 |
ショー等 |
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特定少数の客に対して、 個室や区画された場所で ショーや歌舞音曲等を見せる |
ホテルのディナーショーのように 不特定多数の客が一緒に鑑賞して楽しむもの |
歌唱等 |
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特定少数の客の近くで、 手拍子や拍手をしてデュエットしたりする |
不特定多数の客に対して カラオケの曲番を入力したり 楽器の演奏をする |
ダンス等 |
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特定の客の相手となって、 身体に接触しながらダンスをする。 身体に接触していなくても、特定の客とずっと踊る |
ダンスを教えられるレベルの技能と知識のある人が、 客にダンスを教授する |
遊戯等 |
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特定少数の客と共に、 遊戯、ゲーム、競技等を行う |
客1人で又は客同士で、 遊戯、ゲーム、競技等を行わせる |
その他 |
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身体を密着させたり、 手を握るなど客の身体に接触したり 客の口許まで飲食物を差し出して食べさせる |
社交儀礼上の握手、 酔客の介抱のために必要な範囲で体に触れる 客の荷物やコートを預かる |
まとめれば、「特定の客に対して過度な接客をおこなうこと」が”接待”の基準になるということになります。そのため、それを行うことが目的であるキャバクラなどの飲食店は「接待を伴う飲食店」となり、通常の料理店でもコンパニオンなどを派遣することで、”接待”を伴うことになるのであれば、規制の対象になると言えるでしょう。
接待を伴う飲食店が守るべき「ガイドライン」
西村経済再生担当大臣は2020年6月13日に、夜の街での新型コロナウイルスの感染拡大防止を図るためのガイドラインを公表しました。
ここからは、ガイドラインに沿って接待を伴う飲食店、ライブハウス、ナイトクラブの3業種が行うべき感染防止対策を、解説していきましょう。
共通感染防止対策
3業種が共通して行うべき感染防止対策は以下の通りです。
- 店内における対人距離の確保や人数の制限(できるだけ2m、最低1m)
- テーブルやカウンターのアクリル板やビニールカーテン等の設置
- 客や従業員へのマスク(適宜フェイスシールド)などの着用
- 店内の換気や消毒の徹底
- 顧客の名簿管理、体調チェック
接待飲食店
- 利用客の横に着いて一緒にカラオケやダンス等の行うなどの接客は、当面の間自粛
- 利用客の近距離で行うライブ、ダンス、ショー等は当面の間自粛
- 利用客同士のお酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けるよう注意喚起
(ここでいう接待飲食店とは、コンパニオンなども含まれるとお考え下さい)
ライブハウス
- 出演者(演奏者・歌唱者等)と観客の間の距離は、なるべく2m確保。できない場合は、飛沫が飛散しない対応(発声部分を中心に透明の遮蔽物を設ける等)を実施
- オンラインチケットの販売やキャッシュレス決済を推奨
- 公演前後及び休憩中に、人が滞留しないよう段階的な会場入り等の工夫
ナイトクラブ
- 適度な大きさ・頻度の声出しの禁止を促す
- 飛沫の過度な拡散を制御するため店内の音量を必要最小限に調整
- 多くの人を集めるイベントは、当面、中止または延期
(出典:https://sustainablejapan.jp/2020/06/15/japan-covid-19-reopening-guidelines/50854)
接待を伴う飲食店の集客施策
とはいえ、接待を伴う飲食店も何らかの集客施策を打たなければ、コロナ禍で生き残っていくことはできません。
お店の営業自体はもちろん違法ではありませんし、営業自粛の要請も出ていませんので、地域ごとの時短要請さえ守っていれば何ら問題ないのです。
しかし、”夜の街”という程ですから、夕方以降、もしくは夜から開店をするお店も少なくありません。
そうすると、各規制を順守しつつ、コロナ禍における生き残りを図るべく、新しい集客施策を練っていく必要があります。
ここからは、ウィズコロナ、アフターコロナにむけて接待を伴う飲食店ができる集客対策について解説していきます。
お食事メニュー追加
1つは、お食事メニューを追加するという方法です。リカープロジェクトの調査によりますと、高級クラブやナイトクラブなど接待を伴う飲食店では新型コロナウイルスの影響で9割の店舗で売上が前年比50%減であることがあきらかになりました。
これは、緊急事態宣言や休業要請などの影響が考えられますが、「緊急事態宣言解除後の集客対策」について約4割の回答者が「食事メニューの追加」と回答しています。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000056616.html)
その他、お酒のバリエーション追加やサービスプランの再構築などが並びます。おそらく、食事メニューを充実させることで一見目需要を取り込んだりテイクアウトやデリバリー需要を取り込んだりする戦略と考えられるでしょう。
SNSでの情報発信
また、SNSでの情報発信も重要です。感染防止対策についてどのような取り組みをしているのか、感染拡大が収まるまでどのような営業形態なのか、などを発信することで、接待を目的としたお客だけでなく、料理を目的としたお客がテイクアウトやデリバリーを利用してくれることに繋がるかもしれません。
リモート接客
また、アイディアとしてはリモート接客などもあります。例えば、テイクアウトやデリバリーでお食事をご購入したお客にむけて、ZOOMなどのIDを発行し、リモートで接客を行う方法です。
ZOOMなどのビデオ通話を使ったリモート接客であれば、直接の”接待”にはなりませんので、何時まで営業をしても、規制の対象とはなりません。
テイクアウトやデリバリーの合計料金が〇〇円以上で1時間のリモート接客が無料!というキャンペーンなどを行ってみても良いかもしれませんね。
合わせてデリバリーやテイクアウトの売上もアップするので一石二鳥です。
分煙対策を行う
2020年4月1日に健康増進法が改正され、屋内は原則喫煙禁止となりました。一方、20歳以下の方が利用しない店舗、屋内で食事をしない店舗では引き続き紙巻きたばこ、電子タバコどちらも喫煙可能です。
しかし、お食事メニューを提供するのであれば、分煙対策を行わなければなりません。分煙対策を行うことで、”接待飲食店”の垣根をこえ”お食事が楽しめる飲食店”として普段使いしてくれるお客も増えるのではないでしょうか。
補助金を活用する
集客手法とは、少しずれてきますが、どうしても売り上げが戻らない店舗については、補助金を活用するという手もあります。
時短協力金や、各自治体が飲食店向けに行っている支援給付金制度を確認して申請すると良いでしょう。
まとめ
「接待を伴う飲食店」はコロナ禍では懸念されがちな業態とも言えます。しかし、需要は尽きませんし、従業員を守っていくためにも経営者は生き残りの戦略を検討していかなければなりません。
感染拡大が収束するまでの間は、お食事メニューを追加したり、デリバリーやテイクアウトとリモート接客を合わせた施策が必要になるのではないでしょうか。
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