【飲食店向け連載⑤】IT導入補助金で会計業務を効率化しよう《2021年最新版》
前回の連載コラムではIT導入補助金を利用して導入できるセルフオーダーシステムについて解説しました。感染対策はもちろん、店内の業務効率化の観点から見ても、一部の業務をシステムに任せたり、クラウドで管理することは今後必要になってくることです。
>>第4回記事を確認する:IT導入補助金で導入可能なセルフオーダーシステムとは
そうした点で考えると、飲食店にとって毎日必要しなければならない「会計業務」が負担になっているという店舗も少なくないのではないでしょうか。できれば、信頼できるシステムに任せて効率化したいですよね!
とはいえ、費用が気になるという方に向けて、本記事ではIT導入補助金を活用して会計業務を効率化する方法を解説していきます。
第1回~第4回までの連載記事はこちらです。
【飲食店向け連載①】IT導入補助金を利用して整えたい店舗環境《2021年最新版》
【飲食店向け連載②】IT導入補助金でデリバリーを始めよう《2021年最新版》
【飲食店向け連載③】IT導入補助金でPOSレジは導入できる?
【飲食店向け連載④】IT導入補助金で導入可能なセルフオーダーシステムとは
飲食店が抱える会計業務の負担
そもそも飲食店では、会計業務において下記のような負担を抱えている店舗が多くあります。
①閉店時にレジ金が合わない
②売上点検、残高チェックに時間がかかる
③給与の計算が煩雑に
④確定申告、決算に時間がかかる
飲食店が注力すべき業務は当然ながら「お客様に料理を出すこと」でありながら、その他の業務、特に「会計業務」に追われてお客様対応がおろそかになっているということもあるでしょう。
特に考えられるのは、閉店間際に来られたお客様で、会計業務を少しずつ終わらせていた場合、後の作業のことを考えて来店をお断りしてしまうケースです。会計業務が負担となりすぎて、本来最も大切にすべき業務があとまわしにしてしまうと、結果的に顧客満足度の低下を招きかねません。
会計業務が効率化できるクラウド会計システム
上記のようなお悩みを抱えている飲食店におすすめなのが、会計業務を効率化できる、「クラウド会計システム」の導入です。導入コストや、導入コストの削減方法などについては、後述しますので、まずはクラウド会計システムの特徴やメリット、主要サービスから解説します。
飲食店の煩雑な会計処理を手助け!おすすめのクラウド会計ソフト5選
クラウド会計システムの特徴
そもそもクラウド会計システムとは、飲食店の仕訳から決算書作成までを行う事ができるソフトウェアのことです。日々の会計業務をはじめ、給与計算や年末調整、確定申告書を作成できるツールもあります。
主な特徴としては、
①クラウド上に会計情報を蓄積できる
②売上レポートが見れる
③請求書が作成できる
④クラウドに保存されるからPCが壊れてもデータが残る
⑤クラウド会計システムを使う税理士が増えている
という点があげられます。
このような会計システムは、PCやタブレットなどにインストールして利用するものと、クラウド型の2種類がありますが、セキュリティの観点やデータ保護の観点から近年ではクラウド型会計システムのサービスが注目を集めているところです。
導入のメリット
導入のメリットとしては下記があげられます。
①会計業務の負担が軽減され、業務効率化につながる
②お客様対応に集中できる
③デリバリーなど新規事業に着手できる
④日々の業務だけでなく確定申告も負担削減
⑤複数のPCやタブレットから利用できる
⑥自動でバージョンアップされる
⑦税理士とのやり取りが効率化できる
飲食店の税理士なら、『選べる税理士』で最適な税理士選びをしよう!
先述にも申し上げた通り、飲食店が最も注力したい業務はお客様対応です。売上を管理するためにも会計業務は大切ですが、お客様に選んでもらうことができなければ売上をアップさせることはできません。
そうした点でいえば、会計業務がクラウド会計システムによって負担軽減されることは、業務効率化につながり、お客様対応に集中できることにも繋がるでしょう。
また、リソースに余裕ができることで、イートインだけでなくデリバリーやテイクアウトなどの新規事業にも着手することができます。
システム関連のメリットでいえば、確定申告などの業務が負担軽減されるほか、複数のPCやタブレットからログインできる、税理士とのやり取りが効率化できるなどがあげられます。
特に、最近ではクラウド会計システムを利用する飲食店が増えてきたことで、税理士の中には「クラウド会計システムに対応している」という点を売りにしている方もいらっしゃるようです。
主要サービスをご紹介
クラウド会計システムの主要サービスは以下のようなサービスがあげられます。
①会計ソフトfreee
②MoneyForwardクラウド会計
③弥生会計オンライン
④PCAクラウド
⑤クラウド発展会計
特に、会計ソフトfreeeは、飲食店をはじめ個人事業主など比較的小規模な事業者におすすめのクラウド会計システムで、仕訳業務など基本的な機能のほか、確定申告などを行うことができます。
初期費用は無料で導入することができるので、気軽に導入したいという飲食店はまずfreeeを検討してみると良いでしょう。
その他、MoneyForwardクラウド会計なども飲食店がコストを抑えて導入できるクラウド会計システムです。
それぞれの店舗の負担となっている業務や予算などでおすすめシステムは変わってきますが、基本的に、飲食店がクラウド会計システムを導入するときは、月額費用と基本機能を照らし合わせて、十分な費用対効果が得られるかという点に注目するとよいでしょう。中にはオプションをつけなければ利用できないサービスもありますので注意が必要です。
IT導入補助金を使ってお得にクラウド会計システムを導入
クラウド会計システムが、会計業務の負担を軽減できる優秀なシステムであることは分かっていても、コスト面で踏みとどまっている飲食店もあるでしょう。
そのような方々は、クラウド会計システムの導入コストを最大450万円まで支援してもらう事ができる「IT導入補助金」を利用することがおすすめです。
導入事例
IT導入補助金でクラウド会計システムを導入するには、最低でも30万円の自己負担が必要です。というのも、IT導入補助金の補助下限額が30万円となっているためです。
そのため、IT導入補助金を活用してクラウド会計システムを導入する場合は、基本的にその他周辺機器も同時に揃えて最低でも30万円の自己負担が出るよう合わせる必要があるでしょう。
例としては、下記のような例があげられます。
①クラウド会計システム×勤怠管理システム
②クラウド会計システム×POSレジ
③クラウド会計システム×セルフオーダーシステム
④クラウド会計システム×予約管理システム
基本的に、IT導入補助金は、ITツールの導入時に活用できる補助金なので、適用条件を満たしていればどんなITツールの導入にも適用できるとお考えいただいて問題ないでしょう。
また、対象経費として、導入関連経費も含まれますので、IT導入補助金の申請やITツールの導入のために必要な専門家に相談を依頼する費用も補助の対象となります。
IT導入補助金を使ったクラウド会計システムの導入をお勧めする店舗
しかし、クラウド会計システム以外のITツールはそろっているので、同時に導入できるシステムがない、他ツールを合わせても30万に達しないという場合は、IT導入補助金を使わずに導入する方がコストがかからずに済む可能性もあります。
または各自治体でITツールの導入に利用できる補助金がないか探してみるのも良いでしょう。
よって、IT導入補助金を使ったクラウド会計システムの導入をおすすめする方は、
・クラウド会計システム以外のツールも合わせて導入できる方
・全部で30万円の自己負担がでる計算になる方
です。
上記の条件に達しない場合は、補助金を利用せずにクラウド会計ツールを導入する方が良いと言えるでしょう。
どちらにせよ、今後クラウド会計ツールを利用する飲食店は増えてくることが予想されますので、現時点で会計業務に少しでも負担があると感じている方は、導入することをおすすめします。
まとめ
本記事では、IT導入補助金を活用したクラウド会計システムの導入に焦点を当て、解説しました。IT導入補助金は様々なITツールの導入のコストを抑える支援策として非常にありがたいものですが、下限額が決まっているので、一定の自己負担が発生する可能性があります。
申請する類型によって変わってきますが、基本的には30万円の自己負担が発生する形となりますので、クラウド会計システムのように初期費用が無料で導入できる場合が多いシステムなどは、補助金を利用しない方が低コストに済む可能性もあります。
ただし、現在は世の中的にも飲食店自体が急速にオンライン化してきていますので、今後の経営を見据えて、この機会に様々なITツールを導入してみても良いかもしれませんね。
開店ポータルBizでは、クラウド会計システムをはじめ、その他飲食店におすすめのITツール、IT導入補助金の対象となるITツールなど幅広くご案内しております。ご相談のある方は是非下記のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。