労務管理
従業員を雇うときに提出しなければならない届出は?
お店を開業するときには、さまざまな届出が必要になります。
その中でも重要なのが、従業員を雇う際の届出です。個人営業ならば提出する必要はありませんが、従業員を雇う場合は、必ず税務署やハローワーク等に届出を提出しなければなりません。
その中でも重要なのが、従業員を雇う際の届出です。個人営業ならば提出する必要はありませんが、従業員を雇う場合は、必ず税務署やハローワーク等に届出を提出しなければなりません。
必要な届出の提出先は?
①税務署
②労働基準監督署
③ハローワーク
④年金事務所
それぞれの場所で、必要な書類があります。一つずつ確認していきましょう。
1.税務署に提出する届出
1.青色事業専従者給与に関する届出書
… 家族や親族を専従者として経費扱いにするためのもの
2.給与支払事務所等の開設届出書
…従業員の所得税を管理するためのもの
3.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
…従業員9人以下の場合、毎月の納税を年間2回にするもの
このほかにも、開業時に必要な個人事業の開業届出書など税務署に提出する届出はありますが、今回は従業員を雇う場合なので割愛します。
飲食店開業のために必要な手続き【税務署編】はコチラ>>
1.青色事業専従者給与に関する届出書
※従業員に家族や親族がいる場合のみ家族や親族を従業員にしない場合は提出する必要はありません。条件は下記となります。
・青色申告者と生計を同一にする親族であること
・当該年度の12月31日に15歳以上であること
・青色申告者の事業に、6カ月を超える期間専従していること
親族の範囲は6親等以内の血族、3親等以内の姻族です。専従者給与に、上限はありません。ですが、高すぎると申請が通らない場合もありますので常識の範囲内で設定しましょう。
個人事業主が知っておくべき【白色申告】と【青色申告】 その違いとは?はコチラ>>
2.給与支払事務所等の開設届出書
開業時の従業員は開業届に記入することで問題ないこともありますが、各税務署で対応が異なる場合があります。該当する税務署に確認をとりましょう。
※国税電子申告・納税システムのウェブサイトe-Taxにて電子申請が可能です。
3.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
※従業員数が9人以下の場合のみしかし、従業員数が9人以下の店舗では、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出することで簡略化することが可能です。
※国税電子申告・納税システムのウェブサイトe-Taxにて電子申請が可能です。
2.労働基準監督署に必要な届出
1.労働保険関係成立届
…初めて従業員を雇い労働保険に加入するためのもの
2.労働保険概算保険料申告書
…1年間の従業員労働保険料を申告するためのもの
下記では、ほとんどの事業で利用されている一元適用事業(労災保険と雇用保険の手続きを一括で行う方法)で必要な届出を説明します。
1.労働保険関係成立届
労働保険は労災保険と雇用保険のことを表し、労働保険は短期アルバイト1人であっても加入対象となります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
2.労働保険概算保険料申告書
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
3.ハローワークに必要な届出
1.雇用保険適用事業所設置届
…従業員を雇用保険に加入させるためのもの
2.雇用保険被保険者資格取得届
…従業員を雇用保険に加入させるためのもの
1.雇用保険適用事業所設置届
雇用保険は週20時間以上、31日以上働く見込みのある人が対象になります。従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
2.雇用保険被保険者資格取得届
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
4.年金事務所に必要な届出
個人事業主での飲食店の場合、法定外業種になるため従業員を強制的に加入させる必要はありません。
その上で社会保険に加入するため必要な届出としては、下記があります。
1.健康保険・厚生年金保険の新規適用届
…従業員を社会保険に加入させるため
2.新規適用事業所現況書
…従業員を社会保険に加入させるため
3.被保険者資格取得届
…従業員を社会保険に加入させるため
4.健康保険被扶養者(異動)届
…従業員に扶養家族がいる場合のもの
1.健康保険・厚生年金保険の新規適用届
なお、パートやアルバイトを社会保険に加入させるためには5つの条件が必要になります。
① 週の労働時間が20時間以上
② 月の賃金が8.8万円以上
③ 1年以上働く見込みがある
④ 従業員501人以上、それ以下の場合は従業員の半分以上と事業主が社会保険に加入することを合意している場合
⑤ 夜間や定時制の学生である場合
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
2.新規適用事業所現況書
3.被保険者資格取得届
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
4.健康保険被扶養者(異動)届
被扶養者の条件として配偶者、祖父母、父母、子、孫、配偶者は被保険者と必ずしも同居している必要はありませんが、3等身内の伯叔父母や甥姪に関しては同居している必要があります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。
各種届出の提出期限は?
1.税務署
①青色事業専従者給与に関する届出書
⇒開業日から2か月以内
②給与支払事務所等の開設届出書
⇒給与の支払いから1か月以内
③源泉所得税の納期の特例の承認
⇒必要な時に随時行う
2.労働基準監督署
①労働保険関係成立届
⇒雇用してから10日以内
②労働保険概算保険料申告書
⇒雇用してから50日以内
3.ハローワーク
①雇用保険適用事業所設置届
⇒雇用してから10日以内
②雇用保険被保険者資格取得届
⇒雇用してから10日以内
4.年金事務所
①健康保険・厚生年金保険の新規適用届
⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
②新規適用事業所現況書
⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
③被保険者資格取得届
⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
④健康保険被扶養者(異動)届
⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
適切な届出の提出を心掛けて
どの届出も提出忘れや記入ミスがあると、面倒な手続きをとらなければならないケースに発展してしまうこともあります。トラブルを避けるためにも、きちんと届出を把握し、円滑にすすめられるよう準備しておきましょう。