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【ゴーストレストラン開業】コロナ禍における新しい形の飲食店の仕組みとメリット

開店ポータル編集部
2020/10/29

コロナ禍において、新しい生活様式が確立されていく中、飲食業界は、売り上げ減少、人手不足、高コストといった多くの問題に直面しています。しかしそうした状況下でも、デリバリー市場は拡大を続けており、特にデリバリー専門店の『ゴーストレストラン』が新しい形の飲食店として注目され始めました。

 

本記事では、これからゴーストレストランを開業しようと考える飲食店経営者向けに、仕組みやメリットなど、抑えておきたい情報を解説してまいります。

ゴーストレストランとは

ゴーストレストランとは、実店舗を持たず、オンラインでデリバリーのみの注文を受け付け、サービスを提供する飲食店のことを指します。
 

2010年代からニューヨークを中心に広まったとされるゴーストレストランは、「ゴーストキッチン」「クラウドキッチン」とも呼ばれ、直訳すると「無店舗型のレストラン」という意味になります。つまりは「借りた厨房で運営する、飲食デリバリー専門店」とお考えいただくと分かりやすいでしょう。
 

オーダープラットフォームや配達代行サービスの普及により、最近では日本でも急激な広がりを見せている飲食業態です。

ゴーストレストランは、店舗も、配達網も、場合によってはキッチンも自前で持たず、それぞれを補うサービスを活用して最小限のコストで運営することができます。これから飲食店を開業したい経営者が、手軽に始められて、リスクとコストを下げられる新しい選択肢として、注目を集めているといえるでしょう。

ゴーストレストラン開業に必要なもの


ゴーストレストランは、店舗としての実態は持たないため、客席や店舗内装も必要なければ、接客スタッフも存在しません。

では、ゴーストレストランの開業には何が必要なのか、チェックしていきましょう。

・食品衛生責任者の講習

 

飲食店を経営するためには、調理師免許などの資格は必要ありませんが、食品衛生責任者という資格が必要になります。店舗型でも無店舗型でも、料理を提供する場合には必ず持っていなければならないものとなります。
 

資格を取得するためには、各都道府県の食品衛生協会が開催している公衆衛生学、食品衛生学など合わせて6時間の講習を受講する必要があります。受講費は1万円ほどで、きちんと受講していればほぼ確実に受かることがほとんどのようです。

・調理場となる店舗物件

 

調理場は、既存のお店のキッチンを間借りする方法と、シェアリングキッチンを利用する方法のふたつがあります。

調理場(厨房)を複数の人で共有することで、初期設備投資を抑えることができます。

 

・飲食店営業許可

 

飲食店として営業するためには、たとえデリバリーのみの提供であっても、「保健所の営業許可書」を得ているキッチンでの調理でなければなりません。飲食物の販売を行うにあたっての必須条件となります。
 

調理場を借りるときに便利なのが、「飲食店営業許可」をすでに得ている物件をレンタルすることです。飲食店営業許可を取るには、自宅では許可が降りません。必ずレンタルキッチンを用意する必要があります。
そのあたりを踏まえても、すでに許可が降りているキッチンを借りるのが最も効率的でしょう。

・デリバリー代行サービスへの登録

 

ゴーストレストラン開業で必須なのが、デリバリ―代行アプリへの登録です。

自社で配達までのシステムが整っている場合は、ホームページやSNSでも注文を受けることはできますが、現在は、デリバリーアプリを利用している飲食店が多いです。
 

その理由として、多くのユーザーを抱えるアプリの利用によって、広範囲への宣伝・集客ができるうえ、配達員や配達用バイクの準備が必要ないなどの利点が挙げられます。

・Wi-Fi環境

 

ゴーストレストランを運営していく上で利用するデリバリー代行アプリは、タブレット端末で受注する仕組みになっていますので、インターネットにつながるWi-Fi環境が必要となります。
 

ポケットWi-Fiやテザリングで通信することもできますが、通信料がかかってきますので、使用する調理場の、Wi-Fi環境の有無は事前に確認しておきましょう。

・その他用意したいもの

 

続いて、必ずしも必要なものではありませんが、ゴーストレストランを開業する上で、用意しておいた方がいいものをご紹介します。
 

 ①レジシステム

 

間借りキッチンの場合、レジシステムを借りられるケースもありますが、レジを共有することでお金のトラブルが発生することも考えられますので、お金の管理は自店で運用できるシステムを構築していた方が安心でしょう。

 

 ②電話番号

 

店舗の電話番号は、最近ではグルメサイトでも個人の携帯番号を掲載しているところも少なくありませんので、私用の番号でも問題はありませんが、お客様からの信用度も上がりますので、出来れば店舗専用の番号を用意するのが望ましいでしょう。

 

②HPやデリバリー代行アプリなどのWebページ

 

自店舗のHPやSNSのみでオーダーを受けることもできますが、そうなると配達員も自社で用意しなけれないけません。

「Uber Eats」や「出前館」などのデリバリー代行アプリを使えば、配達にかかる人件コストをカットすることも出来ますし、さらには広告効果も得られます。



ゴーストレストランの仕組み

ゴーストレストランは、実店舗を持たないスタイルで展開されます。そのため、イートインスペースや会計を行うレジ、店舗の外観や内装、装飾等も必要ありません。
 

オンライン上で注文を受け付け、調理を行って容器に詰めて、注文者へと配達します。

調理場も、間借りする飲食店のキッチンで行ったり、最近では、複数のゴーストレストランでシェアし合うケースも多くなっています。

配達に関しては、自社の配達員がいなくても、「Uber Eats」などのフードデリバリーサービスを利用して行うことができます。

 

日本は、昔から仕出しや出前の文化が浸透しているので、比較的受け入れやすい仕組みといえるのではないでしょうか。


ゴーストレストランのメリット


飲食店経営において、ゴーストレストランには多くのメリットが挙げられます。

 

・初期費用が抑えられる

 

新しく飲食店を立ち上げる際にかかる初期費用は、100万から1,000万円ほどといわれています。

しかし、ゴーストレストランの場合であれば、どこかの飲食店を間借りするか、シェアキッチンのような共同スペースを利用しての開業することができるので、数十万円ほどの初期費用で開業することが可能です。

 

また、店舗物件だけでなく、内装や家具、食器などの見栄えを気にする必要がないことでも、グンと費用を抑えられます。

 

飲食業界では初期費用を回収できず、開業から数年以内の閉業を余儀なくされる店舗が後を絶たない中、初期費用を抑えられることは、ゴーストレストランの最大のメリットといえます。

 

・時間をかけずにはじめられる

 

新たに通常通り店舗を構えレストランを開業するよりも、低コストで始められるのはもちろん、開業時間までの時間を短縮できるのもゴーストキッチンの特徴の1つです。新型コロナの影響で資金面が苦しい場合でも、お金と時間をかけずに開業できる点は、ゴーストレストランの大きなメリットといえるでしょう。
 

・人気メニューの分析がしやすい

 

人気メニューの分析は、飲食店にとって売り上げに直結するので、看板メニューの設定や、リピーターを獲得する上で非常に重要です。

 

オンラインで注文を受け付けるゴーストレストランは、蓄積されたデータから、よく売れるメニューやリピートされている商品、ユーザー層などの分析がしやすいことがメリットのひとつでもあるでしょう。

 

実店舗がないということは、メニュー表や看板の変更も必要ないので、人気メニューの分析結果を基に、商品の入れ替えもオンライン上で簡単にすることができます。

・経費を削減しやすい

 

一般的な飲食店の場合の「経費」には、食材費や人件費、家賃、光熱費、雑費などが必要になります。ゴーストレストランの場合、その中の人件費や家賃、光熱費といった固定費は、かなり削減することが可能です。

 

まず、人通りなどの立地条件を気にすることがないため、家賃は相対的に低く抑えられますし、店内での接客が無いため、人件費の削減にもつながります。

 

・天候に左右されにくい

 

一般的に、実店舗を持つ飲食店の場合、雨の日は売り上げが落ちるといわれています。

しかし、ゴーストレストランの場合には、配達員がお客様の元に商品を届けるため、天候にはそこまで影響を受けにくいというメリットがあります。

逆に、お客様も、雨の日は外に出たくないという心理によって、デリバリーの注文数が上がることもあるでしょう。

 

・感染リスクが低い

 

新型コロナウイルスの影響で、ウイルスの衛生対策が強化される中、ゴーストキッチンでは、従業員と来店客や来店客同士の接触が発生しないため、衛生面での安全性を保ちやすいともいえるでしょう。

 

・立地や内装などの問題点が発生しない

 

もし、店舗を持ったあとで立地条件が悪いことに気付いたり、内装がイメージしていたものと違っていて変更したいと思っても、さらに費用がかかるので、しばらくは我慢してそのまま続ける、という飲食店経営者も少なくありません。
 

しかしゴーストレストランの場合、シェアしている調理場などを使うので、立地や内装などに問題点がなく、調理に集中することができます。よって、提供するメニューの質の向上に注力できるでしょう。

 

・他店と情報交換ができる場合も

 

複数の飲食店が一つの空間を間借りして、調理場をシェアして調理を行うスタイルの場合、

情報交換の場ともなります。全く異なるジャンルの料理を提供している店舗や、調理スタッフとのコミュニケーションで新たな発見が生まれる場合もあるかもしれません。

ゴーストレストランを運営する上での注意点


とてもメリットが多いゴーストレストランですが、注意すべき点もあります。

・効果的な集客対策を

 

ゴーストレストランは実店舗を持たないため、お客様が自ら足を運んでくれる機会がありません。そのため、自店を知ってもらうための集客対策として、広告や販売促進のプロモーションに力を入れる必要があります。

インターネット上には、多くの飲食店情報で溢れていますので、その中でもユーザーの目に留まりやすい、効果的なアプローチの仕方を模索しなければいけません。

・デリバリーのプラットフォームに依存しがち

 

ゴーストレストランの運営は、注文を受けてから商品を作り、商品を配達員に預け、配達員がお客様に届けるという一連の流れが発生します。
 

この流れを円滑に回すために、デリバリーサービスのプラットフォームを利用する方も多いと思いますが、配送料や広告費などの利用料がかかりますし、料金の変動も考えられるでしょう。


今後、デリバリー事業を確立させていくうえでは、自社でも回していけるようなシステムを考案していくという飲食店も出始めています。

初期投資が低い点はメリットですが、続けていくには、プラットフォームに依存し過ぎないよう、事業を継続させる運営方法も視野に、計画していくことも重要です。

・他店との差別化を図る

 

最後に、デリバリーは、冷めても美味しくいただけるメニューであることも考えると、提供できる料理の種類が限られますので、どのように他店と差別化し、どこまで工夫できるのかというのも成功を左右する要素になるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者の食事に対する意識・行動は大きな影響を受けています。

デリバリーサービスの需要拡大に伴って、飲食業界も変化をしていかなければいけません。

 

廃業率の高い飲食店の経営において、実店舗を持つことはかなり大きなリスクも伴いますので、飲食店の開業を考えている人にとって、ゴーストレストランは、リスクを抑えて、最大限のチャレンジができる業態です。

 

「自分の腕を試してみたい」「将来、実店舗を持っていくことができるのか」など、チャレンジ精神があれば、飲食店開業時の新しい選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

 

需要と供給のバランスがどんどん高まるデリバリーサービスと同等に、ゴーストレストランは、Withコロナ時代を生き抜く新しいビジネスモデルとして定着していくでしょう。

 

開店ポータル編集部
2020/10/29