スタッフ育成

飲食店経営者が身に着けるべき、マネジメント手法とは?

開店ポータル編集部
2021/01/04

飲食店業界は全体的に人手不足である状態が普通だともいわれているほど、人手不足の状態が続いています。飲食業界の人手不足に対する意識調査では、80.5%が「従業員が不足している」と回答しています。

(出典:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p170206.pdf)

飲食店経営者の中には「せっかく従業員を採用してもすぐに辞めてしまう」「教育体制が整っていない」「常に人材不足」などと悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

飲食店経営者は、日々の業務をこなす能力だけではなく「マネジメント力」も必要とされます。「マネジメント」とは、日本語に直訳すると「経営」「管理」という意味になります。いわゆる飲食店経営者としての「マネジメント力」とは、「お店を円滑に運営するための能力」ということになります。

今回は、飲食店経営者が身に着けるべきマネジメント手法について詳しく解説してまいります。

飲食店従業員へのマネジメントが上手くいっていないとき

飲食店にとって従業員へのマネジメントは、売り上げや業績に直結する重要な課題です。前提として、飲食業界は採用・定着ともに難易度が高い業界です。その理由を先にお伝えしてから、マネジメント不足の場合に発生する問題点を解説いたします。

【飲食店の採用が難しいとされる主な理由】

・残業が他業種と比べて長い

・採用側が即戦力を求めすぎてしまう傾向がある

・拘束時間を考えると給与が安い

 

【飲食業界に人材が定着しない理由】

・長期で働くつもりの人材が少ない

・他業界に比べて過酷な労働条件

・将来のビジョンを描きにくい

 

以上を踏まえ、マネジメントが上手く遂行されていないと、次のような問題点や支障が発生します。

・従業員がやめてしまう可能性がある

人材不足に悩みがちな飲食店には従業員が辞めやすいという共通点があります。従業員が辞めたくなる理由の多くは以下の項目が挙げられます。

・給料が安い

・体力的にきつい(労働時間が長い)

・仕事を教えてもらえない

・職場環境が悪い(人間関係など)

このように、せっかく従業員を確保することができても、マネジメント不足により従業員が辞めてしまい、また人材不足に悩むという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

・新人の採用もしにくい

新人の採用に関しても教育制度のマネジメント基盤が整っていないと、一人前に育てるまでの教育が出来ないため、どうしても即戦力のある人材を採用しがちになってしまいます。そうなると、新人教育に回す時間などのリソースや、成長を待つ余裕がない飲食店では新人採用が難しくなるので、いつまで経っても新人の採用を開拓することができない状態から抜け出すことが出来なくなってしまいます。

・売上が上がらない

飲食店経営における一番の目的は売り上げを上げることです。利益をするためには、お店を円滑に経営(運営)していかなければなりません。飲食店を経営するということは、経営者だけがワンマンで運営できるわけではなく、従業員の力を借りなければ成し遂げられないのです。従業員のマネジメントが上手くいかないと、人材が辞めていくどころか、最悪の場合はいずれ閉店に追い込まれる可能性が出てくるといっても過言ではないでしょう。

飲食店のマネジメントにおける問題点

それでは飲食店の経営において、マネジメントの不足や失敗によって経営者と従業員の間で起こる問題点を見ていきましょう。

・従業員の労働負担と給与バランスがとれていない

従業員が与えられた業務をこなすためには、それぞれに適正な人数を配置する必要があります。しかし、必要とされる人数以下で仕事を課せられた従業員には大きな負担がのしかかってきます。そのような過重労働の場合、もし他の飲食店と大差ない時給だった場合は、ほとんどの従業員は結果的に辞めてしまうと言う結果になります。精神的にも、肉体的にも負担が大きい上に、給与も満足した金額ではないとなると当然のことと言えます。この労働と給与のバランスを保つことも、飲食店経営者のマネジメント力にかかっているのです。

・昔ながらの考え方を貫いている

飲食店経営者の中にはどんなに社会が変化しても、「昔はこのくらい誰でも耐えていたから」「これがうちの店のやり方だ」など、給与や労働条件を頑なに変えない方もいるかもしれません。しかし、そのやり方を押し付けられる従業員はやがて離れていってしまいます。現実を受け入れ、時には労働面や給与の見直しも適度に見直していく必要もあるでしょう。
現代では、飲食店をはじめ様々な業種や店舗で、AIの活用やITサービスの導入が進められています。コロナ禍で、デリバリーに対応するため、外部サービスの導入やキャッシュレス導入をされる飲食店も増えています。売り上げ確保ののためデジタル化も重要ですが、これからは、従業員にかかる負担を減らすという目的においてもITサービスの導入は、マネジメントの一つであると認識しておくとよいでしょう。

・職場環境の配慮に欠けている

従業員の定着率が低い飲食店には職場環境に問題があるケースも少なくありません。「暴言が飛び交う」「人間関係に悩む」「従業員同士の仲が悪い」といった環境は従業員を精神的に追い詰める原因になります。このような現場の状況を吸い上げて、従業員同士が気持ちよく働くことのできる環境を整えるのも飲食店経営者のマネジメントとして重要な要素となります。

飲食店における経営者のマネジメントの重要性


今年は新型コロナウイルス感染症の影響で飲食店は大きな打撃を受ける年となり、まだまだ先の見えない状態が続いております。今後は、お客様が飲食店を選ぶ際に基準とする項目に、従来の美味しさや価格等に加えて、衛生面のチェックや従業員を含めた店舗の清潔さなど、着眼点もさらに厳しくなることが予想されます。Withコロナとアフターコロナを見据えた店舗経営を強化していく必要があると言えるでしょう。そのためには、飲食店経営者が、店舗運営や経営における人材を含めた組織からマネジメントできる能力を培うことが求められるのです。

・長く働いてもらう秘訣は「人間関係」

マネジメント力が大切である具体的な例として、2019年の「主婦アルバイト調査」では、従業員が長く働きたい職場の条件として最も多かった意見が「人間関係がよい職場」であることがわかりました。そして、「職場の雰囲気が自分に合っている」「仲間と楽しく仕事ができる」と続いています。以上からもわかるとおり、職場の雰囲気や人間関係に関する項目が圧倒的に上位を占めています。また、「アルバイトを選ぶ条件」として最も多く挙げらたのは「シフト・時間の融通がきく」という結果になっていますので、これらをコントロールできるマネジメント力は重要だということになります。

(出典:2019年5月 株式会社マイナビ 社長室 リサーチ&マーケティング部 アルバイトリサーチチーム「主婦アルバイト調査」https://nalevi.mynavi.jp/legal-data/data/6671/)

・良好な人間関係は現場リーダーの行動から生まれる

前項では、職場の人間関係が長期就業につながることを記述いたしましたが、これに加え、「人間関係に不満を感じる時の主な対象」を尋ねる質問では最も多かった回答が「上司」となっています。これは、直接的に上司が関係ない場合でも人間関係に問題が生じた際の不満対象が「上司」という回答が含まれているのです。つまり、人間関係だけでなく、職場や仕事全般のコントロールの責任が上司(飲食店経営者)にあることを従業員が無意識に認識していることの現れでしょう。総合的に求められる上司像は、「的確に指示が出せ、責任感と行動力のある上司」という結果になっています。

(出典:https://nalevi.mynavi.jp/solving_problems/management-training/8797/)

経営を行う上では、小規模な個人飲食店の場合であっても、マネジメントは必要不可欠なものであるという意識を強く持っていきましょう。

飲食店経営者が考えるべきマネジメント対策


ここまでは、主に飲食店経営者と従業員に焦点をあてて、マネジメントの重要性について解説してまいりました。さらに、マネジメント力とはお店を円滑に運営するための能力であるので、この中には、営業管理や戦略立案など多方面に渡ってミスなくスムーズな作業処理能力が問われます。

ここでは、これから飲食店経営者が考えるべきマネジメント対策を解説いたします。

・時代のながれに沿ったマネジメント

社会は日々変化していますので、技術の進歩に伴い、飲食店も時代の流れに沿った様々なサービス展開や戦略を練る必要があります。そして言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響で飲食店の在り方も相当変化しています。店内全般の感染症対策に加え、デリバリーやテイクアウト、キャッシュレス導入やオンラインサイトでの販売など、今までは少数派だったものが当たり前になりつつあります。他にも、アレルギー対応のメニューを開発したり、集客にSNSを活用したりなど、世の中の流れや市場の動きを入念にチェックし、変化に対応していかなければ飲食店の生き残りも難しい時代になっているといえるでしょう。

・適度にデジタルを活用する

前項の時代の流れに沿ったマネジメントには、ITサービスやデジタルの活用も含まれますが、従業員の管理においても、デジタルシステムの活用をおすすめします。その理由は、コスト(人件費)をコントロールしたり、従業員のモチベーションを上げることが可能になるからです。
まず、人件費をうまくコントロールするためには、勤務時間の管理を改善することが必要です。例えば、勤怠管理システムを導入して、従業員の勤務時間、シフト、人件費などを飲食店経営者が一元管理しデータを見える化することで不必要なコストを抑えることができます。また、シフト管理システムを活用することで、能力別の人員配置や役割の振り分けが便利に行うことができます。繁盛している飲食店の中には、従業員のスキルチェックシートを用いて、習得度を可視化し、スキルが上がれば時給アップなど、やる気につながる報酬を用意している店舗も多いようです。

・より良い関係性を構築する努力

コミュニケーションは飲食店のもっとも本質的な要素です。これは、お客様に対しても従業員に対しても共通しています。スムーズな店舗運営には、スムーズな人間関係の構築が必要であり、協調して働いていくためにはコミュニケーションが何よりも重要です。飲食店経営者の目指すべきお店の理想像が現場の従業員に明確に共有されることは、お客様への質の高いサービスにつながり、結果、売り上げアップへの導線となるのです。

・メンタリングの強化

「メンタリング」とは、人材育成や教育方法のひとつです。従業員とマンツーマンでのコミュニケーションによって自発的、自律的な成長を促すものとなります。人材を大切にする試みは、従業員の定着につながり人材不足から脱却することができます。時間をかけてもすぐに辞められては意味がありませんので、きめ細やかなコミュニケーションと人間関係の素地は経営を円滑にさせる重要な要素と言えるでしょう。

まとめ

今回は、飲食店経営者が身に着けるべきマネジメント手法について詳しく解説いたしました。

飲食店経営者は、お客様の事を考えると同じくらいに従業員の事も考えるということが、飲食店におけるマネジメントの基礎基本であり、経営の安定とお店を存続させていく第一歩となります。そのためには、現状や時代の流れを把握し、経営方針の見直しやデジタルの活用など、マネジメント方法も進化させていかなけれないけません。

集客対策等ばかりに気持ちが向きがちになるかもしれませんが、マネジメントに力を入れることが、集客や売り上げアップにつながっていくことを意識していきましょう。

 

開店ポータルBizでは、飲食店の勤怠管理システムの導入やインフラ周りのコスト削減のほか、地域やお店にあった集客方法・HPやSNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!

 

開店ポータル編集部
2021/01/04