開業手続き
飲食店経営者が自力で「商標登録」する方法と注意点についてまとめてみた
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商標登録は、事業者としてのブランディングでもあり、他社に同じ名前を使わせないという意思表示でもあります。この商標登録は一般企業のみならず、個人経営の飲食店にも必要です。「小さいお店だから、商標登録なんてしなくていいだろう」と軽く考えていると、あとで泣きを見ることになります。
飲食店の店名やオリジナルメニューは商標にあたります。もしも、他の店が同じ名前で商標権を獲得していればその商標は使えませんし、商標権を侵害した場合には、不法行為として損害賠償責任が生じることも。店名やオリジナルメニューが決まったときには、この商標をはやめに登録しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
本記事では、飲食店が商標登録をするべき理由と、個人で申請をおこなう場合の手順をまとめました。
飲食店の店名やオリジナルメニューは商標にあたります。もしも、他の店が同じ名前で商標権を獲得していればその商標は使えませんし、商標権を侵害した場合には、不法行為として損害賠償責任が生じることも。店名やオリジナルメニューが決まったときには、この商標をはやめに登録しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
本記事では、飲食店が商標登録をするべき理由と、個人で申請をおこなう場合の手順をまとめました。
「商標」ってなに?
「商標」とは自分が取り扱いをしているということを証明するもの。基本的には、すでに他店の登録商標となっているものは使うことができません。これは、すでに多くの人に認知されている名前やロゴを使った場合、その会社と関連性があるのではないかという誤解を与えてしまうからです。もしも無断で使った場合は、商標権の侵害となる恐れもあるので注意しましょう。
登録商標を決める前に、まずは、登録の有無を確認しましょう。特許情報プラットホームでキーワードを入力すると簡単に確認ができます。たとえば、大手ファミリーレストランチェーン「すかいらーく」で検索してみると、株式会社すかいらーくが、1977年から2010年にかけて、商標を登録していることがわかります。
飲食店の場合、店名を商標登録することで、その店名を独占的に使えます。自店のブランドを他店と差別化し、お客さまからの信頼度を上げることにつながります。
他店に同じ(または類似した)店名を使われた場合は、商標権の侵害であるとして、損害賠償や店名の変更を求めることができます。
「うちみたいな小さいお店が、商標登録なんてする必要があるの?」と考えるオーナーも多いでしょう。しかし商標登録をおこなわない場合、次の4つのリスクを抱えることになります。
商標登録は、早いもの勝ち。営業年数の長さにかかわらず、「先に申請した」お店に登録が認められます。
もし、あたらしくオープンした他店が、あなたのお店とまったく同じ、または類似した店名を商標登録したとします。そのときにあなたが商標登録をしていないと、そのお店の商標権を侵したとみなされます。最悪の場合、損害賠償を請求されるだけでなく、今までの店名を変えなければならなくなります。
店名を変えることになれば、店名の入った設備や備品はすべて作り直しになります。
看板、のれん、のぼり、コースター、おしぼり、紙ナプキン、食器、伝票…。挙げればきりがありません。再製作にかかる膨大な費用に、頭を抱えることになります。
店名が変わると、「閉店したのかな」「オーナーが変わったのかな」と思い、来店をやめてしまうお客さまが出てきます。
他店の商標権の侵害は、すなわち「パクリ」。そんな理由で店名を変えたと知られれば、社会的信用が失われ、せっかくついてくれたお客さまも離れてしまうでしょう。
ネット検索をしたときに、同じまたは似た名前のお店が出てくると、お客さまは混乱します。あなたのお店に入るはずだった予約が他店に流れ、販売チャンスや売上を失うかもしれません。また、同じ名前の他店が質の悪い料理やサービスを提供し、お客さまに悪印象を与えた場合、あなたのお店のブランドイメージまで崩れかねません。
以上のことから、どんなに小さなお店でも、開業前にきちんと商標登録を済ませておくべきだといえるでしょう。
すでに登録されている商標はもちろんですが、次の4つの例のように、「自己と他人の商品(サービス)とを区別できないもの」は登録できません。
「カレー」「ピザ」「ケーキ」「レストラン」などのように、取り扱う商品やサービスそのものの名称は登録できません。
また、商品やサービスを表すうえで一般的になった俗称(略称)も登録できません。たとえば、箸の俗称「おてもと」などが該当します。
ただし、姓だけでなくフルネームであれば登録できる場合もあります。
漢字を変えただけの「鶏貴族」「鳥家族」、ひらがなに直した「とりきぞく」などのように、登録済みの商標に類似した名称は登録できません。
★お店のネーミングに関する記事はこちら★
お店の名前はどう決める?飲食店のネーミング法!
特許事務所などに代行してもらうこともできますが、15万円近くの費用がかかります。自力で手続きをすれば、3~4万円程度の出費におさめることができます。
【申請の流れ】
Step①:商標調査をする
特許情報プラットフォーム:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
店名を決めたら、必ず商標調査をしましょう。自分が商標登録したい店名やロゴが、すでに登録されていないかを調べるということです。登録済みの商標は、特許庁が運営するサイト『特許情報プラットフォーム』からすぐに調べることができます。
ためしに『コメダ珈琲店』と入力し、「商標」にチェックを入れて検索してみると、商標登録されている店名やロゴなどが表示されます。
一般的な飲食店は第43類、または第30類にあてはまります。
・第43類 飲食物の提供
・第30類 お菓子、パン、お弁当、コーヒーなどのテイクアウト食品
フランチャイズ事業をおこなうなら第35類(事業、卸売)、みずから畑をもって、お店で使う野菜を育てるなら第44類(農業)など、ほかの区分になる場合もあります。Step③:申請書類に記入する
次に、特許庁のホームページから申請用の書類をダウンロードします。特許庁HP ダウンロードページはこちら。
こちらのページの「商標」から「各種申請書一覧」をクリックし、右側にあるWord文書のフォーマットをダウンロードしてください。登録できる商標は、1枚の書類につきひとつです。同ページに書類の書き方ガイドがあるので、こちらを見ながら記入しましょう。
ロゴに特徴がない場合は標準文字の文字列のみでOKですが、ロゴに特徴がある場合は、文字に加えロゴも登録しておくとよいでしょう。
文字とロゴ、記号などを組み合わせて商標をつくっている場合は、それらをすべて含めて図形商標として登録します。
特許庁に直接持参するか、郵送で書類を提出しましょう。
書類に問題がある場合は「拒絶理由通知」が届きます。これは「商標登録を認めません」という通知ではなく、「商標登録ができないので、この部分を修正してください」と教えてくれる通知です。拒絶理由通知が届いた場合は、書類のどこに不備があるのかをしっかり確かめて、正しく記載しましょう。
商標登録をするときは、出願時と登録時にお金がかかります。
まずは、出願にかかるお金です。特許庁に審査を依頼するための費用で、3,400円+(区分数×8,600円)です。前述の「拒絶理由通知」が届いて、商標登録をあきらめた場合でも返金されません。また、書面の場合には、電子化手数料として1,200円+(700×書面のページ数)も必要になります。さらに、登録できると判断された場合は、登録料として28,200円×区分数が必要です。一度登録すれば永遠に「商標権」が獲得できるわけではなく、10年で終了します。10年後も引き続き登録する場合は、登録更新料として10年ごとに、38,800円×区分数を支払わなければなりません。
次に、登録にかかるお金。こちらは出願してから約13ヶ月後、審査に通ってから支払います。商標権を維持するための費用で、5年と10年が選べます。
【商標権5年の場合の費用】※電子化手数料は除く
登録商標を決める前に、まずは、登録の有無を確認しましょう。特許情報プラットホームでキーワードを入力すると簡単に確認ができます。たとえば、大手ファミリーレストランチェーン「すかいらーく」で検索してみると、株式会社すかいらーくが、1977年から2010年にかけて、商標を登録していることがわかります。
飲食店の場合、店名を商標登録することで、その店名を独占的に使えます。自店のブランドを他店と差別化し、お客さまからの信頼度を上げることにつながります。
他店に同じ(または類似した)店名を使われた場合は、商標権の侵害であるとして、損害賠償や店名の変更を求めることができます。
商標登録をしないとどうなる?
「うちみたいな小さいお店が、商標登録なんてする必要があるの?」と考えるオーナーも多いでしょう。しかし商標登録をおこなわない場合、次の4つのリスクを抱えることになります。
①店名を変えざるを得なくなる
もし、あたらしくオープンした他店が、あなたのお店とまったく同じ、または類似した店名を商標登録したとします。そのときにあなたが商標登録をしていないと、そのお店の商標権を侵したとみなされます。最悪の場合、損害賠償を請求されるだけでなく、今までの店名を変えなければならなくなります。
②店名の入った備品がすべてつくり直しになる
看板、のれん、のぼり、コースター、おしぼり、紙ナプキン、食器、伝票…。挙げればきりがありません。再製作にかかる膨大な費用に、頭を抱えることになります。
③客足が遠のく
他店の商標権の侵害は、すなわち「パクリ」。そんな理由で店名を変えたと知られれば、社会的信用が失われ、せっかくついてくれたお客さまも離れてしまうでしょう。
④機会損失やブランドイメージの低下を招く
以上のことから、どんなに小さなお店でも、開業前にきちんと商標登録を済ませておくべきだといえるでしょう。
登録できない商標もある。商標登録の注意点
①商品やサービスの一般的な名称
「カレー」「ピザ」「ケーキ」「レストラン」などのように、取り扱う商品やサービスそのものの名称は登録できません。
また、商品やサービスを表すうえで一般的になった俗称(略称)も登録できません。たとえば、箸の俗称「おてもと」などが該当します。
②ありふれた姓や名称
電話帳を開けばたくさん載っているようなありふれた姓や、それらに「店」「屋」「株式会社」などを付け加えたものは登録できません。たとえば、「鈴木」「山田屋」「株式会社 佐藤」などです。ただし、姓だけでなくフルネームであれば登録できる場合もあります。
③きわめて簡単な名称
「〇」「□」「あ」「ABC」のように、簡単すぎる文字や図形なども登録できません。ただし、ロゴとしてデザイン化し、「他との識別力がある」と認められた場合はこの限りではありません。④登録済みの商標と類似した名称
焼鳥チェーンの『鳥貴族』という名称は、運営会社によって商標登録されています。漢字を変えただけの「鶏貴族」「鳥家族」、ひらがなに直した「とりきぞく」などのように、登録済みの商標に類似した名称は登録できません。
★お店のネーミングに関する記事はこちら★
お店の名前はどう決める?飲食店のネーミング法!
個人で「商標登録」をおこなう場合の流れ
この章では、個人で商標登録をするときの流れをご説明します。特許事務所などに代行してもらうこともできますが、15万円近くの費用がかかります。自力で手続きをすれば、3~4万円程度の出費におさめることができます。
【申請の流れ】
Step①:商標調査をする
特許情報プラットフォーム:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
店名を決めたら、必ず商標調査をしましょう。自分が商標登録したい店名やロゴが、すでに登録されていないかを調べるということです。登録済みの商標は、特許庁が運営するサイト『特許情報プラットフォーム』からすぐに調べることができます。
ためしに『コメダ珈琲店』と入力し、「商標」にチェックを入れて検索してみると、商標登録されている店名やロゴなどが表示されます。
Step②:商標区分を考える
次に、登録したい商標がどの区分にあたるのかを調べます。区分とは、「その商標をどの分野で使うのか」を示すカテゴリのことで、全部で45種類あります。一般的な飲食店は第43類、または第30類にあてはまります。
・第43類 飲食物の提供
・第30類 お菓子、パン、お弁当、コーヒーなどのテイクアウト食品
フランチャイズ事業をおこなうなら第35類(事業、卸売)、みずから畑をもって、お店で使う野菜を育てるなら第44類(農業)など、ほかの区分になる場合もあります。
Step③:申請書類に記入する
次に、特許庁のホームページから申請用の書類をダウンロードします。特許庁HP ダウンロードページはこちら。こちらのページの「商標」から「各種申請書一覧」をクリックし、右側にあるWord文書のフォーマットをダウンロードしてください。登録できる商標は、1枚の書類につきひとつです。同ページに書類の書き方ガイドがあるので、こちらを見ながら記入しましょう。
ロゴに特徴がない場合は標準文字の文字列のみでOKですが、ロゴに特徴がある場合は、文字に加えロゴも登録しておくとよいでしょう。
文字とロゴ、記号などを組み合わせて商標をつくっている場合は、それらをすべて含めて図形商標として登録します。
特許庁に直接持参するか、郵送で書類を提出しましょう。
Step③:特許庁による審査
提出後は、特許庁による審査があります。審査にはかなりの時間(13ヶ月ほど)がかかるので、余裕を持って申請しましょう。書類に問題がある場合は「拒絶理由通知」が届きます。これは「商標登録を認めません」という通知ではなく、「商標登録ができないので、この部分を修正してください」と教えてくれる通知です。拒絶理由通知が届いた場合は、書類のどこに不備があるのかをしっかり確かめて、正しく記載しましょう。
商標登録にかかる費用
商標登録をするときは、出願時と登録時にお金がかかります。
まずは、出願にかかるお金です。特許庁に審査を依頼するための費用で、3,400円+(区分数×8,600円)です。前述の「拒絶理由通知」が届いて、商標登録をあきらめた場合でも返金されません。また、書面の場合には、電子化手数料として1,200円+(700×書面のページ数)も必要になります。さらに、登録できると判断された場合は、登録料として28,200円×区分数が必要です。一度登録すれば永遠に「商標権」が獲得できるわけではなく、10年で終了します。10年後も引き続き登録する場合は、登録更新料として10年ごとに、38,800円×区分数を支払わなければなりません。
次に、登録にかかるお金。こちらは出願してから約13ヶ月後、審査に通ってから支払います。商標権を維持するための費用で、5年と10年が選べます。
【商標権5年の場合の費用】※電子化手数料は除く
商標登録は先手必勝
店舗名や商品名を商標登録しておらず、他の人が店舗名や商品名を取得した場合、名前の変更だけでなく、損害賠償を支払わなければならないケースもあります。
お店の名前が変わることで、オーナーが変わったのではないかと来店をやめてしまう人もいるかもしれません。また、インターネットで検索して名前がでてこなければ、閉店したと思う人もいるかもしれませんね。いずれにしても店名の変更には、リスクが伴います。
商標登録は先手必勝です。商標を先に使用していたかどうかではなく、先に出願したものに登録が認められます。費用はかかりますが、大切なお店を守るためにもきちんと登録をしておきましょう。
開店ポータルBizでは、インフラ周りのコスト削減のほか、地域やお店にあった集客方法・HPやSNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
お店の名前が変わることで、オーナーが変わったのではないかと来店をやめてしまう人もいるかもしれません。また、インターネットで検索して名前がでてこなければ、閉店したと思う人もいるかもしれませんね。いずれにしても店名の変更には、リスクが伴います。
商標登録は先手必勝です。商標を先に使用していたかどうかではなく、先に出願したものに登録が認められます。費用はかかりますが、大切なお店を守るためにもきちんと登録をしておきましょう。
開店ポータルBizでは、インフラ周りのコスト削減のほか、地域やお店にあった集客方法・HPやSNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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