経営支援

その保険加入は節税になっていますか?法人保険の選び方と見直しのコツ

開店ポータル編集部
2018/10/04
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 保険加入は節税対策になるとされていますが、選び方を間違えると節税になるどころか経営状態の悪化を招いたり、節税効果がなかったりすることもあります。口コミがよく他の会社に合う保険でも自社に適したものとは限りません。

 本記事では、保険の種類や節税対策に向けた保険の見直しのポイントについて紹介します。

節税にならない保険もある

 法人保険とは、会社を契約者として保険料を払うタイプの保険のことです。経営者の保障や会社の福利厚生、退職金の準備などに利用されています。さらに、金額を損金として計上できる法人保険に加入した場合、税金控除の対象となり、法人税を軽減できます。

 ただし、法人保険であればすべて節税になるかというとそうではありません。保険と一口にいっても、支払った保険料の全額が経費になる「全額損金」から、半分だけ経費として計上できる「2分の1損金」までさまざまです。

法人保険の種類別「節税効果の違い」

 まず法人保険には、企業経営に関する「経営者保険」と、役員や従業員に対する「福利厚生保険」の2種類があります。それぞれについて、支払った保険料のどこまでを損金として処理できるのか確認しましょう。

経営者保険

 契約者は法人で経営者や役員を被保険者とするタイプの保険です。
長期平準定期保険
 定期保険のなかでも保険期間が長い生命保険で、積立性が高い保険。保険料の2分の1を損金として処理できます。一時的に資金が必要になったとき、解約返戻金を担保に借入できます。
 
逓増定期保険
 契約後、保険期間満了までに契約当初の金額よりも5倍以内まで増加する定期保険。被保険者の年齢や加入期間により差はありますが、概ね支払った保険料の2分の1を損金として処理できます。

生活障害定期保険
 経営者や役員が要介護状態や危篤状態になった場合の保障です。急に資金が必要になった場合の緊急予備資金としても活用できまます。一定の要件を満たせば、保険金を全額損金として処理できます。

福利厚生保険

 会社を契約者として従業員を被保険者とするタイプの保険です。
養老保険
 従業員の退職金、見舞金の確保に適した保険。保険期間を設定し、死亡した場合は死亡保険金が満期の場合は、満期保険金が支払われます。福利厚生費として保険料の2分の1を損金として処理できます。
がん保険(終身)
 従業員の退職金やがんの保障に適した保険。役員または従業員ががんになった場合、会社に給付金が支払われます。従業員が退職した場合は、途中で解約し退職金にできます。また、保険料の2分の1を損金として処理できます。
医療保険
 従業員が病気や怪我をしたさいに備える保険。従業員が病気や怪我をしたさい、会社が給付金を受け取り、従業員に見舞金として支払うことができます。掛け捨てタイプの場合、保険料の全額を損金として処理できます。ただし、掛け捨ての場合、解約返戻金がないため、退職金の準備にはなりません。

見直しのポイント

 解約返戻金を従業員の退職金として活用でき、支払った保険料の全額または一部を損金として計上することで節税になる法人保険は、経営者にとって数多くのメリットがあります。しかしその一方で、デメリットもあります。デメリットを理解しておくことが、保険を見直す上で重要となってきます。

①保険料の支払い

 保険料が損金として多く計上できるからという理由だけで「得」というわけではありません。保険料は1回払うと終わりというわけではないからです。支払うために、毎月・毎年定期的にお金が必要です。新規事業の投資などで資金が必要なとき、保険料が負担になることもあります。法人保険を見直すさい、キャッシュフローの試算が必要です。

②保険料解約について

 掛け捨てではない保険の場合、解約のタイミングによって解約返戻金の額が異なります。たとえば、10年後に解約すると100%以上の返金率でも、5年後に解約すると30%の返金率になることもあります。またすべての保険が、100%の返金率とも限りません。見直しのさいは、解約返戻金が100%またはそれ以上になる時期を確認する必要があります。

③解約返戻金の使い道に注意する

 損金に計上することで節税になった保険料ですが、解約返戻金を受け取る場合は益金となり、法人税が課されます。そうならないために、解約返戻金を設備投資や退職金にあてるなど上手く使う必要があります。
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 節税できるという理由で保険の保険料が経営を圧迫するほど負担になるというのは本末転倒です。そしてもちろん、法人保険に入っていれば節税になるわけではありません。節税対策のためには、全額損金や2分の1損金といった入り口の部分だけでなく、解約返戻金を受け取るタイミングや何に使うのかといった出口の部分も考える必要があります。

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