資金計画
食品ロス削減推進法とはなにか?大手外食各社の取り組みから個人飲食店が学ぶべきこと
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世界トップクラスといわれる日本の食品廃棄量は、年間で600万トン超。まだ食べられる食品が、毎日10トントラック1,700台ぶんも捨てられているのです。
この問題への対策として消費者庁は、2019年5月末に『食品ロス削減推進法』を交付、同年10月1日に施行しました。日本初となる食品ロスにかんする法律の施行を受け、大手外食チェーンはどのような動きをみせたのでしょうか。そして、個人経営の飲食店がそこから学べることはなんでしょうか。
食品ロス削減推進法は、料理の食べ残しや売れ残りなど、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減を目指してつくられました。第2条では、食品ロス削減の定義を「まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取り組み」としています。
第14~19条には、消費者や食品関連事業者(メーカー、卸売業者、小売店、飲食店など)が、食品ロス削減への理解と関心を深めるための施策にふれています。
その施策には、食品を必要なぶんだけ販売・購入することや、販売・購入した食品をムダにしないための取り組みをおこなうことなどが含まれています。
具体的な施策としては、このほかにも、
・食品関連事業者の取り組みを支援すること
・食品ロスの削減にかんして、功績がある人や企業を表彰すること
・食品ロスの実態や、効果的な削減方法などの調査研究をおこなうこと
・フードバンク活動を支援すること
などが挙げられています。
★水道料金の削減を考えたら実践したいこと★
飲食店の節水方法4選!「水道代が高い」なら水道料金削減額シュミレーションを受けよう【無料】 日本ではなぜ、こんなにも大量の食品が「まだ食べられる状態で」捨てられているのでしょうか。その要因として、次のことが考えられます。
①食品業界の「3分の1ルール」
食品業界では、製造日から賞味期限までの日数を、「納入期限」「販売期限」をもうけて3つに分ける「3分の1ルール」という商慣習があります。
納入期限
製造後、納入期限を過ぎた食品はお店に納品してはならない
販売期限
店頭に並べてから、販売期限までに売り切らなければならない
販売期限を過ぎると、撤去・廃棄もしくはメーカーに返品
賞味期限
おいしく食べられる期限
品質に問題はないが、賞味期限を過ぎた食品は基本的に販売しない
近年では、食品や資源のムダにつながるとして、3分の1ルールから2分の1ルールに緩和する企業も出てきていますが、この3分の1ルールの見直しによって、「賞味期限切れの食品を売ることがいかに難しいか」を感じているお店も多いといいます。
②欠品を恐れて大量発注する
2017年に、廃棄された大量の恵方巻きの写真がネット上で拡まり、論争となったのを覚えていますか?これを受けて、農林水産省は2019年1月、日本スーパーマーケット協会などに「需要に見合った数の恵方巻きを販売するように」と文書で呼びかけました。
食品ロスを増やすもうひとつの要因は、小売店による大量発注です。お客さまが買いに来たときにモノがないと、販売機会を逃してしまう(入るはずの売上が入らなくなる)ため、商品棚が空になるのを嫌がるのです。
欠品を恐れるお店に従って、メーカーは必要以上の量を製造・納品することに。それが結果的に売れ残ってしまい、廃棄されることになります。
③賞味期限に対する誤解
賞味期限は、日本をはじめとする先進国で、食品ロスの大きな要因であるといわれています。北欧諸国では、賞味期限表示とあわせて、「賞味期限を過ぎても食べられます」との旨を表記しているそうです。
テレビ局が、街で50人に「賞味期限切れの食品を買うか否か」を聞いたところ、過半数の人が「買わない」と答えたそう。理由を聞くと「お腹をこわすから」と答えた人もいました。
このインタビューからは、「おいしく食べられる」期限である賞味期限を、「食べられる」期限である消費期限と誤解している人が多いことがわかります。そのため、お店は賞味期限切れの食品を売ることができず、廃棄するしかなくなるのでしょう。
農林水産省がおこなった2016年度の調査によると、日本の食品ロスは年間643万トン。その約45%(291万トン)は消費者、そして約55%(352万トン)は、食品関連事業者から出ています。さらにいうと、事業者からの食品ロス352万トンのうち、133万トンは外食産業から出たものです。
以下で、料理の食べ残しや食材の廃棄を減らすために、大手チェーンがおこなっている取り組みをみてみましょう。
モスバーガー HP:https://www.mos.jp/
モスバーガーの取り組み
「フードバンク」という言葉をご存知ですか?これは、余ってしまった食べ物を卸売業者や小売店、飲食店などから寄付してもらい、児童養護施設や福祉施設、災害時の炊き出しなどに届ける活動です。
ハンバーガーチェーンの『モスバーガー』も、フードバンク活動を支援する企業のひとつ。『セカンドハーベスト・ジャパン』というフードバンクに対し、品質に問題はないけれど賞味期限が短い、未使用の食材を提供しています。
個人店が学ぶべきポイント
個人経営のお店でも、フードバンクを利用してみてはいかがでしょうか。セカンドハーベスト・ジャパンでは個人からも、缶詰、フリーズドライ食品、調味料、お米、パスタなどさまざまな食品の寄付を受け付けています。
野菜や果物、冷凍・冷蔵品の寄付も可能です(要事前連絡)。
塚田農場 HP:https://www.tsukadanojo.jp/
塚田農場の取り組み
地鶏料理のおいしい居酒屋チェーン『塚田農場』は、新鮮な食材を安く仕入れるために、農家や漁師と直接取引をしている会社です。
食材を無駄なく使いきることにこだわる同社が考えたのが、秋冬限定の「加藤えのきの月見ステーキ」。それまでは捨てられていたえのきの石づき(根本の部分)に、つくねと卵の黄身をのせてこんがり焼いた人気メニューです。
個人店が学ぶべきポイント
このように、いつも捨てている野菜の皮やお肉の切れ端などを工夫して使うことで、思わぬヒットメニューをつくることもできます。食品ロスを削減でき、お客さまにも喜んでもらえるという一石二鳥の取り組みを、個人店もぜひ見習いたいところです。
ワタミ株式会社 HP:https://www.watami.co.jp/
ワタミ株式会社の取り組み
ワタミ株式会社は「2030年までに、食品ロスを50%削減する」と明言し、お客さまと協力しながら食べ残しを減らす活動をしています。代表的な取り組みは、食べきれない料理の持ち帰り推進。『和民』『坐・和民』では、バイオマスプラスチック(土に還るプラスチック)製の持ち帰り容器を使うことで、環境にも配慮しています。
また、「3010運動」というおもしろい取り組みも。「宴会のはじめの30分と終わりの10分は、自分の席で食事を楽しむ」ことを呼びかけ、料理が残らないようにしています。
個人店が学ぶべきポイント
ワタミのように持ち帰り容器を用意するだけでなく、ハーフサイズを用意する、ご飯の量を選べるようにするなどの工夫をしてみましょう。「食べ残しを減らすこと」は、個人店がもっともはじめやすい食品ロス削減のための取り組みです。
食品ロスの問題は、ただ「もったいない」というだけではありません。食品を含めた何百、何千トンものごみを処理するためには、焼却・埋め立てなどに莫大なコストが発生します。さらに、ごみを燃やしたときに出るCO2や、灰の埋め立てによって、環境にも負荷をかけているのです。食品ロスの削減は、個人経営の飲食店を含め、食品業界全体で取り組まなければならない問題といえるでしょう。
お店一軒一軒、スタッフ一人ひとりが意識を持てば、捨てられてしまう食品は少しずつでも減っていくはず。大手チェーンの取り組みに学び、できることからはじめてみてください。まずは食品ロスに繋がる「仕入れ」を見直すこともひとつの方法です。
★仕入れコストカットに関する記事はこちら★
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この問題への対策として消費者庁は、2019年5月末に『食品ロス削減推進法』を交付、同年10月1日に施行しました。日本初となる食品ロスにかんする法律の施行を受け、大手外食チェーンはどのような動きをみせたのでしょうか。そして、個人経営の飲食店がそこから学べることはなんでしょうか。
食品ロス削減推進法の概要
食品ロス削減推進法は、料理の食べ残しや売れ残りなど、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減を目指してつくられました。第2条では、食品ロス削減の定義を「まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取り組み」としています。
第14~19条には、消費者や食品関連事業者(メーカー、卸売業者、小売店、飲食店など)が、食品ロス削減への理解と関心を深めるための施策にふれています。
その施策には、食品を必要なぶんだけ販売・購入することや、販売・購入した食品をムダにしないための取り組みをおこなうことなどが含まれています。
具体的な施策としては、このほかにも、
・食品関連事業者の取り組みを支援すること
・食品ロスの削減にかんして、功績がある人や企業を表彰すること
・食品ロスの実態や、効果的な削減方法などの調査研究をおこなうこと
・フードバンク活動を支援すること
などが挙げられています。
★水道料金の削減を考えたら実践したいこと★
飲食店の節水方法4選!「水道代が高い」なら水道料金削減額シュミレーションを受けよう【無料】 日本ではなぜ、こんなにも大量の食品が「まだ食べられる状態で」捨てられているのでしょうか。その要因として、次のことが考えられます。
①食品業界の「3分の1ルール」
納入期限
製造後、納入期限を過ぎた食品はお店に納品してはならない
販売期限
店頭に並べてから、販売期限までに売り切らなければならない
販売期限を過ぎると、撤去・廃棄もしくはメーカーに返品
賞味期限
おいしく食べられる期限
品質に問題はないが、賞味期限を過ぎた食品は基本的に販売しない
近年では、食品や資源のムダにつながるとして、3分の1ルールから2分の1ルールに緩和する企業も出てきていますが、この3分の1ルールの見直しによって、「賞味期限切れの食品を売ることがいかに難しいか」を感じているお店も多いといいます。
②欠品を恐れて大量発注する
食品ロスを増やすもうひとつの要因は、小売店による大量発注です。お客さまが買いに来たときにモノがないと、販売機会を逃してしまう(入るはずの売上が入らなくなる)ため、商品棚が空になるのを嫌がるのです。
欠品を恐れるお店に従って、メーカーは必要以上の量を製造・納品することに。それが結果的に売れ残ってしまい、廃棄されることになります。
③賞味期限に対する誤解
テレビ局が、街で50人に「賞味期限切れの食品を買うか否か」を聞いたところ、過半数の人が「買わない」と答えたそう。理由を聞くと「お腹をこわすから」と答えた人もいました。
このインタビューからは、「おいしく食べられる」期限である賞味期限を、「食べられる」期限である消費期限と誤解している人が多いことがわかります。そのため、お店は賞味期限切れの食品を売ることができず、廃棄するしかなくなるのでしょう。
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大手外食チェーンに学ぶ、食品ロス削減の取り組み
以下で、料理の食べ残しや食材の廃棄を減らすために、大手チェーンがおこなっている取り組みをみてみましょう。
①モスバーガー
モスバーガー HP:https://www.mos.jp/
モスバーガーの取り組み
「フードバンク」という言葉をご存知ですか?これは、余ってしまった食べ物を卸売業者や小売店、飲食店などから寄付してもらい、児童養護施設や福祉施設、災害時の炊き出しなどに届ける活動です。
ハンバーガーチェーンの『モスバーガー』も、フードバンク活動を支援する企業のひとつ。『セカンドハーベスト・ジャパン』というフードバンクに対し、品質に問題はないけれど賞味期限が短い、未使用の食材を提供しています。
個人店が学ぶべきポイント
個人経営のお店でも、フードバンクを利用してみてはいかがでしょうか。セカンドハーベスト・ジャパンでは個人からも、缶詰、フリーズドライ食品、調味料、お米、パスタなどさまざまな食品の寄付を受け付けています。
野菜や果物、冷凍・冷蔵品の寄付も可能です(要事前連絡)。
②塚田農場
塚田農場 HP:https://www.tsukadanojo.jp/
塚田農場の取り組み
地鶏料理のおいしい居酒屋チェーン『塚田農場』は、新鮮な食材を安く仕入れるために、農家や漁師と直接取引をしている会社です。
食材を無駄なく使いきることにこだわる同社が考えたのが、秋冬限定の「加藤えのきの月見ステーキ」。それまでは捨てられていたえのきの石づき(根本の部分)に、つくねと卵の黄身をのせてこんがり焼いた人気メニューです。
個人店が学ぶべきポイント
このように、いつも捨てている野菜の皮やお肉の切れ端などを工夫して使うことで、思わぬヒットメニューをつくることもできます。食品ロスを削減でき、お客さまにも喜んでもらえるという一石二鳥の取り組みを、個人店もぜひ見習いたいところです。
③ワタミ株式会社
ワタミ株式会社 HP:https://www.watami.co.jp/
ワタミ株式会社の取り組み
ワタミ株式会社は「2030年までに、食品ロスを50%削減する」と明言し、お客さまと協力しながら食べ残しを減らす活動をしています。代表的な取り組みは、食べきれない料理の持ち帰り推進。『和民』『坐・和民』では、バイオマスプラスチック(土に還るプラスチック)製の持ち帰り容器を使うことで、環境にも配慮しています。
また、「3010運動」というおもしろい取り組みも。「宴会のはじめの30分と終わりの10分は、自分の席で食事を楽しむ」ことを呼びかけ、料理が残らないようにしています。
個人店が学ぶべきポイント
ワタミのように持ち帰り容器を用意するだけでなく、ハーフサイズを用意する、ご飯の量を選べるようにするなどの工夫をしてみましょう。「食べ残しを減らすこと」は、個人店がもっともはじめやすい食品ロス削減のための取り組みです。
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食品ロスの問題は、ただ「もったいない」というだけではありません。食品を含めた何百、何千トンものごみを処理するためには、焼却・埋め立てなどに莫大なコストが発生します。さらに、ごみを燃やしたときに出るCO2や、灰の埋め立てによって、環境にも負荷をかけているのです。食品ロスの削減は、個人経営の飲食店を含め、食品業界全体で取り組まなければならない問題といえるでしょう。
お店一軒一軒、スタッフ一人ひとりが意識を持てば、捨てられてしまう食品は少しずつでも減っていくはず。大手チェーンの取り組みに学び、できることからはじめてみてください。まずは食品ロスに繋がる「仕入れ」を見直すこともひとつの方法です。
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