【時短営業要請】飲食店への命令相次ぐ。グローバルダイニングに集中?
コロナ禍中、1月8日から始まった緊急事態宣言は、延長に続く再延長と長引き、3月22日に一都三県でようやく全面解除されました。特に飲食店では、時短営業の継続により、さらなる打撃を受けており、協力金の公平性や政府の対応に一貫性がみられないことに対する不信感の声も高まっています。
また、東京都では営業時短要請に応じていない飲食店の中で、正当な理由がないと判断した店に対し、「時短命令」という措置に踏み切っています。そして今回、時短命令を受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が、この命令は違法だと訴えを起こしました。
このケースを基に今回は、飲食店の時短営業について詳しく解説しながら、今後の対策に役立つ情報をまとめていきます。
時短営業”命令”とは
今回の緊急事態宣言で政府は、飲食店等に対し20時までの営業時間短縮(酒類の提供は11時~19時)を要請しています。これに応じていない店に対しては、特別措置法の45条に基づいて緊急事態宣言下でのみ適用できるより強い要請を出しています。
東京都ではさらに、この要請にも応じていない店には理由を聞くなどの手続きを進めていましたが、正当な理由がないと判断した店舗に対しては、改正特別措置法に基づいて営業時間を短縮するよう命令を出しました。2月に改正特措法成立で30万円以下の過料が設けられてから、命令が出るのは初めてです。
また、改正特別措置法では、命令を出した店の名前や所在地を公表できますが、都は客が集中するリスクがあるとして公表していません。
・応じない店舗に過料請求
改正特措法上、命令の対象期間は緊急事態宣言の発令中のため、期限である3月21日までで終了しました。命令も拒否した場合は行政罰として30万円以下の過料となります。東京都は、営業状況を確認した上で、違反が認められれば、裁判所に通知して過料を科す手続きに入るということです。罰則付きの命令には強い私権制限を伴うとの批判も出ており、宣言解除直前での発令には疑問の声も出ています。
・”命令”グローバルダイニングに集中
東京都は3月18日、時短要請に応じなかった2000店舗を超える飲食店のうち27店舗に対し、3月18日~21日の4日間、20時以降の営業を停止するよう「時短営業命令」を出していました。しかし、そのうち26店舗が飲食チェーン店「グローバルダイニング」の店舗であることが発覚しました。時短要請に応じなかった店舗は多数存在する中で、グローバルダイニングだけが狙い撃ちにされた印象だと疑問視する声も上がっています。
・グローバルダイニングが都を提訴
グローバルダイニングは「要請」の段階では時短に応じていませんでしたが「命令」には応じ、3月18日夜から、命令を受けた店舗での20時以降の営業を取りやめました。
同社は、行政による過剰な権利制約が続いているとして、3月22日に都を提訴する意思を固めています。さらに長谷川耕造社長は、1店1日当たり6万円の時短協力金は「不合理」などとして、店の状況や規模に応じた経済対策を要求しました。都のコロナ対策に疑問を示す都知事への弁明書をホームページで公開しています。
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20時以降の営業がダメなワケ
緊急事態宣言が再発令された2020年の年末、菅首相は「東京の感染者の6割程度を占める見えない感染の多くが飲食によるものとされている」と指摘しました。具体的に20時以降の営業がダメな理由を確認していきましょう。
・飛沫が飛び散る可能性がある
コロナ感染の主な原因は「発症者との距離の近さ」にあります。飲食を伴う席では、最小限にと注意してもマスクを外す時間は長くなりがちです。一般的な会食の場では、客については同店舗に感染者が居合わせることよりも、テーブル・カウンター等で同席のグループ内に感染者がいることの方が感染するリスクが高いというデータも発表されています。
お酒も進む夜間でテンションも高くなり、無意識のうちに飛沫は飛び散ります。周りのBGMや雑音に負けないように大声になることもあり、飛沫が飛び散るリスクが高いことがわかります。
(参考:国立感染症研究所データ https://www.inshokuten.com/foodist/article/5911/)
・宴会などが開かれやすくなる
宴会を含む飲み会はほとんどの場合、会社の退勤時刻以降の夜に設定されます。また、大人数で開催されることも多く、密になりがちです。それに加え、お酒が進み身体的距離も近くなりがちです。
1次会から2、3次会へと流れやすくなり、感染した人が周りにいたら一緒にいる時間が長くなり、必然的に感染する確率も上がるということになります。どうしてもソーシャルディスタンスが保ちにくく、接触を避けにくい状況になりがちな状況といえるでしょう。
・免疫力の低下など
免疫は、日中の活動中に高まり、夜になると低下します。コロナウイルスのみに限らず、免疫力が低下している状態で、身体に負荷がかかる行動や飲食を伴えば体調を崩しやすくなります。
例えば、睡眠不足や不摂生が重なると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったり、予防接種を受けても抗体反応が弱いなど、免疫力と健康は密接につながっています。新型コロナウイルスに負けない身体づくりを心がけなければなりません。
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緊急事態宣言解除で時短要請は?
政府が首都圏に発令していた緊急事態宣言は3月22日に全面解除されましたが、感染再拡大を防ぐ対策は自治体と調整し、段階的に緩和しながら継続する見込みです。その中で、飲食店に対する営業時間の短縮要請は、3月末の期間、これまでの「午後8時まで」から「午後9時まで」に延ばす方針を示しています。
時短を要請に応じた店舗に支給する協力金は現在の1日6万円から、午後9時までに緩和した後は4万円に変更されます。また、4月1日以降の対策については改めて調整していくということです。
地域によっては、午後9時までの時短要請も解除されているケースもありますので、飲食店の方々は自店舗の地域で現在どんな要請が出ているのか都度確認する必要があるといえるでしょう。
>>【緊急事態宣言解除】解除直後から差がつく!飲食店の集客術5選
時短営業要請中でもテイクアウト・デリバリ―は可能
緊急事態宣言が解除されても、飲食店の時短営業は若干緩和されますが、まだ国からの要請は継続します。ただし、時短営業要請中でもデリバリーやテイクアウトは対象外となります。
>>緊急事態宣言で20時以降のテイクアウト・デリバリーはどうなる?
・20時以降も営業可
テイクアウト販売やデリバリーでの営業は、緊急事態措置による営業時間短縮要請の対象外であるため、夜20時(21時)の閉店後に継続しても問題はなく、協力金の対象からはずれることもありません。
・売上アップに繋がる可能性も
今は、テイクアウトは一般的になりつつあるほどに浸透しています。また、初めの緊急事態宣言時にデリバリーを導入する飲食店も急増しました。しかし、テイクアウトに比べると、やはり導入のハードルが上がるため、躊躇されたり断念された飲食店も多かったのが現状です。そして今回、3度目の宣言で、デリバリーの導入を決意するお店がまた急増しています。
テイクアウトやデリバリーは、通常の店舗営業にプラスして業務が増えて手が回らないイメージがあるかもしれませんが、時間を限定したり、予約制にしたりなど、支障のない範囲で自店舗のスタイルに合わせた運用を始めている飲食店も増えています。
現在では、お客様がテイクアウトやデリバリーを利用してみてから店舗に足を運ぶという今までとは逆のケースで新規顧客開拓できるパターンが広がっています。経営戦略として無理のない範囲で上手に取り入れられたら、売り上げアップにつなげることができるでしょう。
>>【ゴーストレストラン開業】自宅のキッチンをつかって営業は可能!?
まとめ
今回は、コロナ禍の緊急事態宣言解除に伴う飲食店の時短営業について詳しく解説いたしました。時短営業要請は、20時から21時までと1時間ほど繰り下げた形で営業時間を確保することができるようになりますが、それでも通常営業とはほど遠い設定になります。協力金も6万円から4万円に下がりますが、給付金も申請しつつ、自店舗に合った形態でのテイクアウトやデリバリーも取り入れて、もし4月以降も時短要請が延長されても長期的に売り上げを確保できる戦略を考えていきましょう。
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