経営支援

【2020年】美容室・サロンが活用すべき助成金まとめ【相談無料】

開店ポータル編集部
2020/03/31
この記事の目次 [表示する]
 スタッフの採用・教育、労働環境の改善、心身ともに元気で働いてもらうための健康診断。美容室の職場環境をととのえるための取り組みには、とにかくお金がかかります。必要経費とはいえ、それら一つひとつの出費は決して安くありません。
 
 そんなときに利用したいのが、政府や地方自治体が用意する助成金の制度。2020年に公募がおこなわれる助成金の中から、美容室の経営に役立てられるものを紹介します。

返済不要の資金「助成金」とは?


 助成金とは、簡単にいえば、国や地方自治体から返済不要のお金がもらえる制度です。一般企業に限らず、個人事業主でも申請は可能。審査はなく、支給要件さえ満たせばかならず受け取れます。

 助成対象となるのは、新人スタッフへの教育研修、有給休暇取得の促進、健康診断制度の新設といった、「雇用や労働環境の改善を目指す取り組みにかかるお金」です。

 助成金を利用する上で、注意しておきたいことがあります。それは、支給のタイミングは「助成対象となる経費の支払いを終えたあと」だということ。先に資金を調達し、その中から支払いに充てるということはできません。
 ほとんどの場合、入金は請求から数か月後になります。申請してから実際にお金を受け取るまで、1年近くの期間がかかるとみておいてください。

美容室が利用できる助成金10選!

 原則として後払いの制度ではあるものの、返済義務を負うことなく受け取れる助成金は、経営における強い味方になってくれます。
 では、どんな助成金があるのかみていきましょう。本記事で取り上げるのは、つぎの10の助成金です。

①キャリアアップ助成金
②トライアル雇用助成金
③特定求職者雇用開発助成金
④地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
⑤人材確保等支援助成金
⑥業務改善助成金
⑦雇用調整助成金
⑧両立支援等助成金
⑨時間外労働等改善助成金
⑩産業保健関係助成金

①キャリアアップ助成金


 アルバイト・パートの正社員登用や、健康診断制度の新設などをサポートする助成金です。キャリアアップやや福利厚生制度の充実によって、働きやすい職場環境をつくることが目的です。スタッフのモチベーションを上げることで離職率が低下し、人手不足の解消につながります。
 キャリアアップ助成金には、次の7コースがあります。

①正社員化コース

 非正規スタッフ(アルバイトやパート、契約社員など)を正社員登用した場合

②賃金規定等改定コース

 非正規スタッフの賃金規定などを改訂した場合

③健康診断制度コース

 健康診断制度(法律で義務づけられたもの以外)を新たに導入し、4人以上に実施した場合

④賃金規定等共通化コース

 正規スタッフと共通の業務に応じた賃金規定(正社員と同じ仕事をしたら、同じ賃金を支払うなど)を新たに設け、適用した場合

⑤諸手当制度共通化コース

 正規スタッフと共通の諸手当制度(正社員と同じ仕事をしたら、正社員と同様に賞与や交通費などを支払う、など)を新たに設け、適用した場合

⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース

 社会保険の適用範囲を拡げ、新たに雇用保険に加入させた非正規スタッフの基本給を増やした場合

⑦短時間労働者労働時間延長コース 

 短時間労働者の週の労働時間を5時間以上延ばし、新たに社会保険に加入させた場合

【正社員化コースの場合】

◇助成対象となる労働者

 次のいずれかに該当するスタッフ
・通算して6ヶ月以上雇用している有期契約スタッフ
・6か月以上雇用している無期雇用スタッフ
・6ヶ月以上継続して、同じ業務に従事している派遣スタッフ
・サロンで実施する有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約スタッフなど(ただし、のちに正規雇用することを約束して雇い入れたのではないこと)
 

◇支給額

・有期契約スタッフを正社員にした場合
 ひとりあたり57万円(生産性向上が認められる場合は72万円)

・有期契約スタッフを無期契約にした場合
 ひとりあたり28万5,000円(生産性向上が認められる場合は36万円)

・無期契約スタッフを正社員にした場合
 ひとりあたり28万5,000円(生産性向上が認められる場合は36万円)

>>支給要件の確認・申請サポートについてはこちらから

②トライアル雇用助成金


 トライアル雇用助成金は、あらゆる事情(就業経験がない、離職期間が長いなど)で就職が難しい求職者を、ハローワークなどの紹介でトライアル雇用した場合に受け取れます。その人の適正を確かめたうえで採用し、ミスマッチによる離職を防ぐことを目的としています。

①一般トライアルコース

 一定の期間に離職や転職を繰り返している人、出産や育児などを理由に離職し、1年以上安定した職業に就いていない人、生活保護受給者、母子家庭の親などを雇用する場合

②障害者トライアルコース

 障害者雇用促進法に定められた障害者のうち、次のいずれかに当てはまる人を雇用する場合
・紹介日時点で就労した経験のない職業に就くことを希望する人
・紹介日の前日から2年以内に、2回以上離職または転職をしている人
・紹介日の前日時点で、離職期間が6カ月を超えている人
・重度の身体(もしくは知的、精神)障害者

③障害者短時間トライアルコース

 3~12か月の短期トライアル雇用を希望する精神障害者または発達障害者を雇用する場合

【一般トライアルコースの場合】

◇助成対象となる労働者

・紹介日の前日から2年以内に、2回以上離職または転職をしている人
・紹介日において、離職期間が1年を超えている人
・妊娠・出産や育児を理由に離職し、安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は除く)が紹介日の前日時点で1年を超えている人
・紹介日において、ニートやフリーターなどで45歳未満の人
・就職支援にあたって特別の配慮が必要な人(生活保護受給者、母子(父子)家庭の親、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人など永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定労働者、生活困窮者)
 

◇支給額

 ひとりあたり月額4万円
※母子(父子)家庭の親である場合は月額5万円

>>支給要件の確認・申請サポートについてはこちらから

③特定求職者雇用開発助成金


 高齢者や障害者、学校既卒者・中退者などの安定した就職が難しい求職者を、ハローワークなどの紹介で継続して雇用すると受け取れる助成金で、次のコースに分かれます。

①特定就職困難者コース

 60歳以上65歳未満の高齢者、母子(父子)家庭の親、障害者などを雇用する場合

②生涯現役コース

 65歳以上の高齢者を雇用する場合

③三年以内既卒者等採用定着コース

 学校等の既卒者もしくは中退者を雇用する場合

④発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

 発達障害者、難治性疾患(血液凝固異常症など、厚生労働省の定める130の疾患)患者を雇用する場合

⑤障害者初回雇用コース

 身体(もしくは知的、精神)障害者をはじめて雇用する場合

⑥安定雇用実現コース

 正規雇用で働いた期間が通算1年以下で、雇い入れの前日から1年以内に正規雇用で働いたことがない人を雇用する場合

⑦生活保護受給者等雇用開発コース

 生活保護受給者または生活困窮者を雇用する場合

【特定就職困難者コースの場合】

◇助成対象となる労働者

・短期労働者以外
 60歳以上65歳未満の高齢者、母子(父子)家庭の親、身体・知的障害者、重度障害者(重度の身体・知的障害者/45歳以上の身体・知的障害者および精神障害者)

・短期労働者(週の労働時間が20時間以上30時間未満)
 60歳以上65歳未満の高齢者、母子(父子)家庭の親、重度障害者を含む身体・知的・精神障害者
 

◇支給額

【短期労働者以外】
・高齢者、母子(父子)家庭の親…ひとりあたり60万円、助成対象期間1年
・身体・知的障害者…ひとりあたり120万円、助成対象期間2年
・重度障害者…ひとりあたり240万円、助成対象期間3年

【短期労働者】
・高齢者、母子(父子)家庭の親…ひとりあたり40万円、助成対象期間1年
・重度障害者を含む身体・知的・精神障害者…ひとりあたり80万円、助成対象期間2年

④地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)


 求職者数に対して求人が足りない地域や、若者や働き盛り世代の流出が激しい地域でスタッフを雇用した場合に受け取れます。
 この制度の目的は地域の雇用改善であり、美容室の経営サポートではありません。しかし、都心から離れ、地元などで美容室を開業するオーナーは活用して損はないでしょう。


◇助成対象となる開業エリア

・同意雇用開発促進地域
…求職者数に比べ、雇用機会が著しく不足している地域

・過疎等雇用改善地域
…若年層や働き盛り層の流出が深刻な地域

・特定有人国境離島地域
…北海道の礼文島、鹿児島県の奄美群島のような離島地域
 

◇支給額

 雇用人数や設備費用によって異なる
※個人経営の美容室で一般的な「3~4人雇用、設備費用300万円~1,000万円未満」の場合は48万円

 沖縄県の区域内に美容室を開業し、35歳未満の若年求職者を雇い入れる場合の「沖縄若年者雇用促進コース」 もあります。

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⑤人材確保等支援助成金


 評価・処遇制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度などの導入によって生産性を上げ、雇用の改善に取り組むための経費をサポートする助成金です。
 人手不足に悩む美容業界でスタッフのモチベーションを上げ、離職率を低下させるという目的があります。

①雇用管理制度助成コース

 評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度などを導入する場合

②中小企業団体助成コース

 地域の美容室の事業組合が、労働環境改善のためのPR活動などをおこなう場合

③人事評価改善等助成コース

 生産性向上や賃金アップ、離職率の低下を目的とし、評価制度や賃金制度を整備する場合

④設備改善等支援コース

 POSレジなどの設備をあたらしく導入し、生産性向上に取り組む場合

【雇用管理助成コースの場合】

◇助成対象となる取り組み

[評価・処遇制度の導入]
・評価対象者、評価基準、実施・反映の方法など
・昇進・昇格の基準
・各種手当(通勤手当、住居手当、家族手当、役職手当など)

[研修制度の導入]
 新入社員研修、管理職研修、幹部職員研修、特殊技能研修など

[健康づくり制度・メンター制度の導入]
 各種がん検診、歯科検診、支援機関や専門家などによるコーチング、カウンセリングなど
 

◇支給額

 定額57万円(生産性向上が認められた場合は72万円)

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⑥業務改善助成金


 オンライン予約システムやPOSレジといった設備への投資、新人スタッフの教育訓練などによって生産性を向上させ、店舗の最低賃金の引き上げをおこなう場合に受け取れます。
 賃金を引き上げるスタッフの数と助成額によって、25円コース、60円コース、90円コースの3コースに分かれています。しかし、どのコースも共通して、支給要件は次の3つです。

・店舗の最低賃金が850円未満であること
・店舗の最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること
・オーナーも含めたスタッフの数が100人以下であること


◇助成対象となる取り組み

・POSレジ、オンライン予約システム、在庫管理システムなどの導入にかかる経費
・新人スタッフの教育研修、セミナーなどにかかる経費
・中小企業診断士などからコンサルティングを受ける際の費用
など
 

◇支給額

 賃金を引き上げるスタッフの数によって異なる。
25円コース:25~80万円
60円コース:60~230万円
90円コース:90~450万円
※助成率は全コース共通して4/5(生産性向上が認められれば9/10)


⑦雇用調整助成金


 景気の悪化などで売上が下がり、事業を縮小せざるを得ないとき、しばらくの間休業する、スタッフを姉妹店に出向させるなどの「雇用調整」をおこなう美容室もあります。
 雇用調整助成金はその際に、休業手当やスタッフの賃金などを助成してくれる制度。スタッフの失業を防ぎ、雇用を安定させることを目的としています。
 

◇助成対象となる取り組み

[休業]
 所定の労働日の全一日にわたっておこなわれる休業
※スタッフ全員によって1時間以上おこなわれるものも可

[教育訓練]
 職業に関する知識、技能、技術の習得・向上を目的としておこなわれる訓練(受講日には、通常の業務に就くことはできない)

[出向]
 受給対象期間内におこなわれ、3か月以上1年以内に出向元の店舗に戻ることが予定されている出向
 

◇支給額

・店舗を休業する場合の休業手当
・教育訓練をおこなう場合の賃金相当額
・スタッフを出向させる場合の負担額
…いずれも助成率2/3、スタッフひとりあたりの一日の上限は8,330円

・教育訓練をおこなった場合の加算額…スタッフひとりあたり一日1,200円

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⑧両立支援等助成金


 スタッフが仕事と育児・介護を両立できるように、労働環境の改善を目的としたさまざまな取り組みをおこなう美容室もあります。
 仕事と家庭の両立や、復職しやすい環境づくり、そして女性が活躍しやすい環境づくりに役立つこの助成金は、女性スタッフの多い美容室なら必見の制度です。

①出生時両立支援コース

 男性スタッフの育児休業や、育児目的休暇を取得しやすい職場づくりに取り組む場合

②育児休業等支援コース

 スタッフが安心して育児休業を取得し、仕事に復帰しやすい職場づくりに取り組む場合

③介護離職防止支援コース

 介護支援プランを作成し、介護休業の取得やスムーズな職場復帰に取り組む場合。または、介護のために柔軟に就労形態を変えられる制度を導入する場合

④再雇用者評価処遇コース

 妊娠・出産、育児、介護、配偶者の転勤などを理由に退職したスタッフの復職にあたって、以前の仕事ぶりを適切に評価し、配置・処遇がなされる制度を導入する場合

⑤女性活躍加速化コース

 女性スタッフが活躍しやすい職場づくりのための数値目標を作成する場合

【出生時両立支援コースの場合】

◇助成対象となる取り組み

・子どもが生まれた男性スタッフに対し、管理職が育児休業取得を勧奨する
・管理職に対して、男性の育児休業取得についての研修を実施する
・男性スタッフを対象にした、育児休業の利用をうながすための資料づくり
など
 

◇支給額

・一人目の育休取得…57万円(生産性向上が認められれば72万円)
・二人目以降の育休取得…14.25~33.25万円(育休取得日数によって異なる。生産性向上が認められれば18万~42万円)
・育児目的休暇の導入と利用…28.5万円(生産性向上が認められれば36万円)

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⑨時間外労働等改善助成金


 人手不足に悩む美容室では、スタッフが少ないことで一人ひとりが背負う業務の量が多くなり、労働時間が長くなってしまいます。
 時間外労働等改善助成金は、労働時間を短縮する、有給休暇の取得を促進するといった、職場環境改善のための取り組みをサポートする制度です。時間外労働への意識を改め、スタッフ全員が十分な休養をとることで、サロンの生産性を上げることができるでしょう。

①時間外労働上限設定コース

 時間外労働を短縮するための目標を設定し、その達成に向けた取り組みをおこなう場合

②勤務時間インターバル導入コース

 勤務時間が終わってから次の始業までに一定時間以上の休み(勤務時間インターバル)を設け、プライベート時間の確保や過重労働の防止に取り組む場合

③職場意識改善コース

 労働時間を短縮したり、有給休暇の消化率を高めたりして、ワークライフバランスの推進に取り組む場合

④団体推進コース

 オーナー団体などが、時間外労働のカットや賃金の引き上げといった労働環境改善のための取り組みをおこなう場合

⑤テレワークコース 

 事務作業などに関して、在宅勤務(テレワーク)を導入する場合

【時間外労働上限設定コースの場合】

◇助成対象となる取り組み

・労務管理用のソフトウェア、タイムカードなどの導入
・就業規則や労使協定などの作成・変更
・中小企業診断士など、外部専門家によるコンサルティング
など


◇支給額

 時間外労働短縮の幅に応じて上限額が異なる
※助成率は3/4、1店舗あたりの上限額は200万円

⑩産業保健関係助成金


 ストレスチェックの実施、メンタル面での健康をサポートする計画の作成・実施、産業医との連携といった産業保健活動をおこなう場合に受け取れます。
 体力勝負の仕事である美容室では、こういった助成金の活用によってスタッフの健康が保たれ、心身の負担が軽くなることで離職を抑えられます。

①ストレスチェック助成金

 年1回のストレスチェック(質問票によって、スタッフの仕事へのストレスの状態を把握する)や、ストレスチェック後の産業医による面談をおこなう場合

②職場環境改善計画助成金

 ストレスチェックの結果から集団分析をおこない、専門家の指導を受けながら職場環境の改善計画を作成・実施する場合

③心の健康づくり計画助成金

 メンタルヘルス対策促進員による支援やアドバイスを受けながら、心の健康づくり計画を作成・実施する場合

④小規模事業場産業医活動助成金

 産業医または保健師と連携し、健康診断で異常が出た人への保健指導、意見の聴取といった産業保健活動をおこなう場合

【職場環境改善計画助成金の場合】

◇助成対象となる取り組み

・Aコース:産業医や保健師、産業カウンセラー、臨床心理士などの専門家による指導
・Bコース:メンタルヘルス対策促進員の支援やアドバイス
 いずれかをもとに職場環境改善計画を作成し、それに基づいて職場環境の改善をおこなう
 

◇支給額

・Aコース:1店舗あたり上限10万円
※設備・機器の購入にかかる経費は上限5万円、かつ単価5万円以内(税込)
・Bコース:1店舗あたり上限5万円、かつ単価5万円以内(税込)

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 助成金というと「大企業向けのものでしょう?」とあきらめてしまう方もいますが、小さな美容室のオーナーでも、申請できるものはたくさんあります。ただし国や地方自治体は、「あなたのお店では、この制度が利用できますよ」と教えてはくれません。どんな助成金があって、いくらもらえるのか気になる方は、お気軽に開店ポータルBizまでご相談ください!

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開店ポータル編集部
2020/03/31