開業手続き

美容室開業マニュアル 独立開業時の注意点・オープンまでの流れをまとめてみた

開店ポータル編集部
2020/03/24
 独立開業を目指す美容師は、ほかのサロンで働きながら経験を積むことが一般的です。お客さまから指名されるようになり、技術に自信がつくにつれて、「独立したい」という想いはますます膨らんでいくのではないでしょうか。
 
 とはいえ、技術があっても、どんな流れで開業準備を進めるべきなのか、各段階で何をしなければならないのか…といった知識がなければ、途方に暮れてしまいます。
 本記事では、美容室開業までの大まかな流れと、各手順で注意したいことについて触れていきます。

年間8,000軒が廃業!?飽和状態の美容業界


 2019年現在、全国には25万軒以上の美容室があり、業界は飽和状態です。毎年およそ1万軒の美容室がオープンし、8,000軒もの美容室が廃業しているという現状は見逃せません。

 毎年これほど多くの美容室が閉店しているのは、経営者としての知識を十分に身に着けないまま、開業に踏み切ってしまうオーナーが多いからです。
 ライバル店がいくらでもいて、かつ人手不足の傾向がある美容業界では、ベテランオーナーですら自分のお店を維持していくことに苦労しています。美容室の開業を目指す方は、夢や勢いだけではやっていけない業界であることをまず知っておきましょう。

 カットやカラーの技術に加え、経営者としての知識とノウハウを学んでいること。そして、開業準備でどう動いたらいいか、気をつけたいポイントなどについて押さえていること。それが、生き残るサロンをつくるために欠かせないことです。

美容室開業までの流れ

 美容室の開業を決めると、コンセプトやメニューの決定、出店エリアの決定と物件探し、内装工事、設備や什器の調達などたくさんのタスクが待っています。

 ここでは大まかにまとめましたが、これらの項目はほぼ同時進行で進めると考えてください。特に開業資金については、独立開業を決めた時点で貯めはじめるようにしましょう。

①準備・計画編

1.コンセプトを決める

 ターゲット層、サロンの強みとなるメニュー、内装の世界観など、サロンの具体的なイメージをつくります。
 コンセプトは、数ある美容室の中から、お客さまに自店を選んでもらう決め手となるものです。これがあいまいだと、自分たちの強みが何なのかわからず、ホームページやブログで発信すべきものがわかりません。つまり、集客やリピーターづくりができなくなるのです。

 メニューやサービス、接客マニュアルなどは、コンセプトさえ決まれば自動的に決まっていきます。美容室をはじめるときの第一歩は、お店の土台となるコンセプトづくり。これを覚えておきましょう。

2.出店候補地を決める 

 コンセプトが決まったら、商圏分析をして出店エリアを絞ります。商圏分析とは、お店のターゲット層や提供したいメニューと、地域の客層やニーズがマッチしているかを確かめる作業です。たとえば、「家族3代で足を運んでもらえる、アットホームな美容室」を開きたい場合。この場合はオフィス街に出店しても集客は難しく、ファミリー層が多く住む住宅街などが適しています。

 地元に戻ったり、新天地に引っ越して開業するオーナーも多いでしょう。その一方、お客さまのニーズがあるからと、現在働いている美容室と同じエリアで開業する方もいます。お世話になったお店のライバルになり得る場所に出店する場合、トラブルを避けるためにも、もとのお店のオーナーと話し合いを重ねましょう。

3.事業計画を練る

 事業計画書は、融資の申し込み、補助金や助成金の申請などで必要な資料です。オーナーの経歴、なぜ美容室を開こうと思ったのか、提供するメニューやサービスの内容、開業にかかる資金の内訳、売上計画…。ほかにもたくさんの項目があります。

 「補助金や助成金の申請をしないなら、事業計画書はいらないのでは?」と思いがちですが、これは大きな間違いです。経営経験のないオーナーにとって、武器になるのは美容師としての技術だけ。経営を続けていく上で不可欠な、オーナーとしての知識やノウハウがありません。

 お金の動きや売上計画などが数字で示された事業計画書があることで、自分がオーナーとしておこなっていく経営のあり方を、客観的に眺めることができます。トラブルが起きたときや売上が落ち込んだときにお店の目指す方向を照らし、経営を立て直すための道しるべとなるのです。

4.開業資金を集める

 開業資金は、スタッフ1~3名ほどの小さなサロンでも、余裕を持って1,000万円は用意しておきたいところです。200~300万円で開業できる場合もありますが、選べる物件が少なくなります。お店づくりの選択肢を増やすためにも、自己資金は大いに越したことはありません。

 自己資金で足りない部分は、日本政策金融公庫の融資を利用するオーナーが多いです。銀行と違い、経営実績がなくても融資を受けやすいため、新規開業する人に向いています。ただし融資を受けたら、毎月の返済が待っています。借入金額が大きいほど、月々の返済の負担も大きくなるでしょう。

 そこで、政府や地方自治体が用意する補助金や助成金の利用を考えてみてください。満たすべき申請条件はあるものの、支給されるお金は基本的に返済不要です。ただし、補助金も助成金も原則として後払いです。先にお金を受け取って、経費の足しにするという使い方はできないので注意してください。

②活動編

1.物件を探す

 出店エリアが絞れたら、物件を探しはじめます。居抜き物件(前のサロンが使っていた設備が残されている物件)と、スケルトン物件(設備や内装を取り払った状態の物件)のどちらを選ぶかで、必要な開業資金が変わります。

 居抜き物件の場合、内装工事や設備の購入が必要ありません。そのため初期費用は抑えられますが、設備を譲り受けるための「造作譲渡料」が発生することも。また、万が一機材が故障していて使えなくても、修理費用を持つことになってしまいます。

 一方スケルトン物件は、天井や床、壁のデザインはもちろん、どんな設備を入れるかまで、自分の思い通りにお店づくりができます。自由度は高いですが、内装工事の費用がかかり、工期が長引くほど空家賃の負担も大きくなります。予算やコンセプトに合わせて、居抜き物件とスケルトン物件のどちらがいいのかじっくり検討しましょう。

2.内装工事をする

 物件が決まったら、設計会社を探し、デザインの打ち合わせをします。内装のコンセプトをはじめ、必要なセット面やシャンプー台の数などしっかり伝えましょう。設備や内装で「こうしたい」という希望が多くなるほど、費用も高くなるので注意が必要です。設計図やデザインが固まってきたら、設計会社の紹介で施工会社を決め、内装工事に着手します。坪数にもよりますが、工期は約2~3週間、長くて1か月ほどかかります。

 設計会社選びでは、美容室の内装工事をおこなった実績がある(美容室の設備や什器、オペレーションに関する知識がある)ことがチェックポイントです。おしゃれな空間に仕上がっても、スタッフにとって使い勝手が悪く、オペレーションがスムーズでないようでは意味がありません。施工会社選びについても、複数の会社から見積もりを取り、適正な価格で工事ができるようにしましょう。
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3.設備や什器を調達する

 内装工事と同時に進めなければならないのが、設備の調達です。美容室に欠かせないシャンプー台は、お客さまの横に立って洗髪する「サイドシャンプー」と、シャンプーボウルを挟み、お客さまの頭の先に立って洗髪する「リアシャンプー」があります。シャワーヘッドの改良によって頭皮の汚れが落ちやすくなったり、シートの角度を自由に調整できるようになったりと、シャンプー台は進化しています。求める機能やお店にマッチするデザイン、水道の配管の位置などを考慮して選びましょう。

 シャンプー台の水圧は、最低でも2.0気圧は必要です。水圧が弱いと、カラー後の薬剤や汚れが落ちにくくなるため洗髪に時間がかかり、お店の回転が悪くなります。2階以上の空中階に出店する場合、階数が上がるほど水圧が弱くなりがちです。水圧については、事前に確認するようにしましょう。場合によっては、管理会社や大家さんに相談の上、加圧ポンプの導入をすることもあります。

4.商材を仕入れる

 施術に使う、または店頭で販売するシャンプーやスタイリング剤、カラー剤などの商材は、メーカーや美容ディーラーから仕入れます。お店のコンセプトに合ったものを選ぶことが大切ですが、修業していた美容室で使い慣れていたもの、知名度の高いもの、メジャーではないけれど効果があるものなど、商材を選ぶ基準はオーナーによってさまざまです。

 商材の仕入れ先は、美容ディーラーがおすすめです。ディーラーはシャンプーやスタイリング剤、カラー剤といった商材だけでなく、シャンプー台やヘアアイロン、パーマロッド、ミラー、椅子などさまざまなものを取り扱っているからです。また、ディーラーは流行のカラー剤や、低価格で質のよいヘアケア製品の提案をしてくれるため、商材選びに迷いません。施術に常に流行を取り入れることができるのがメリットです。美容師向けのセミナーを開いているディーラーも多いので、技術を学ぶ姿勢を忘れず、経営に役立てることができます。

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③開業間近編

1.商標登録をする

 商標登録は、ビジネスをはじめる上でとても大切な作業です。お店のブランディング、そして「他の美容室に同じ名前を使わせない」という意思表示、ふたつの意味合いがあります。商標登録をすると、自店のブランドとして、店名を独占的に使えるようになります。万が一、ほかの美容室に同じ(類似した)店名を使われた場合は、店名の変更を求めることができます。

 商標登録は、営業年数にかかわらず、「先に申請したお店」に登録が認められます。たとえば、あたらしくライバル店がオープンし、自分のお店と同じ(類似した)サロン名を商標登録してしまいました。そのときに自分が商標登録をしていないと、ライバル店から「商標権の侵害だ」とみなされ、店名を変えなければならなくなります。場合によっては、損害賠償を請求されることも。「小さなお店だから」と油断せずに、サロン名はきちんと商標登録しておきましょう。

2.各媒体で集客をする

 集客ツールは、チラシやダイレクトメールといった紙媒体と、集客サイトやホームページ、ブログといったWEB媒体に分けられます。スマートフォンが普及した現代、集客ツールとしてはWEB媒体がメイン。とくに、『ホットペッパービューティー』などのポータルサイトでは24時間予約が可能なため、幅広い客層に利用されています。オープン間もないサロンも認知してもらいやすいでしょう。

 ただし、ポータルサイトからの集客は、再来店につながりにくいというデメリットがあります。初来店のお客さまに対してクーポンを付けていることが多く、お得さだけを求めて訪れる人を増やしてしまうからです。ポータルサイトやホームページを通じて新規のお客さまがやってきたら、メンバーズカードや再来店クーポンを渡して再来店のためのはたらきかけをする。そんな具合に、WEB媒体と紙媒体をバランスよく使ってリピーターをつくりましょう。マンツーマンサロンの場合は「オーナースタイリストの〇〇です」と名刺を渡し、お客さまに親近感を持ってもらうのもいいですね。

3.賠償保険に加入する

 お客さまとの間に次のようなトラブルが生じ、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。そのときに備えて、必ず賠償保険に加入しておきましょう。

・カラー剤が垂れて、洋服にシミを付けてしまった
・受付で預かった手荷物を紛失してしまった
・カット中にハサミが耳や顔に当たり、ケガをさせてしまった
・ヘアアイロンでセットをしているとき、やけどを負わせてしまった
・販売しているシャンプーやスタイリング剤で、頭皮に炎症が起きた


 誤って「理美容行為不担保」の賠償保険に加入している美容室も多いので、注意しましょう。理美容行為不担保とは、簡単に言うと「カットやカラー、シャンプーといった施術中のトラブルに関しては、保険金が下りない」ということです。お客さまが店内の段差につまづいて転倒・負傷した場合など、理美容行為によるものでないトラブルに対しては保険金が下ります。賠償保険に加入する際は、その保険が「理美容行為不担保」ではないことを確認してください。

 「カラーの明るさがイメージと違う」、「伝えたとおりにカットしてもらえなかった」という仕上がり不良のトラブルもありますが、こちらは客観的な判断が難しいため保険の対象にはなりません。

4.保健所の営業許可をもらう

 お店が完成したからといって、すぐに美容室として営業をはじめられるわけではありません。店内の構造や設備などの基準を満たしているかを保健所にチェックされ、営業許可が下りることで、晴れて営業を開始できます。

 保健所の手続きには、次の書類に加え、2万円前後の開設手数料が必要になります。

開設届
保健所で入手。開設者の氏名や住所、お店の所在地、店名、開設予定日などを記入

施設の構造設備の概要
保健所で入手。作業面積、セット面やシャンプー台の数などを記入

施設平面図
施工会社から入手

スタッフ一覧
保健所で入手。美容師免許を持つすべてのスタッフの氏名と、美容師免許の取得年月日、番号を記入

医師の診断書
スタッフ全員分(発行から3か月以内のもの)を用意。結核や皮膚疾患がないことを証明するもの

登記簿謄本(法人の場合)
外国人登録証明書(外国人の場合)

登記簿謄本は発行から6か月以内のもの、外国人登録証明書は有効期限内のもの

 「施設の構造設備の概要」については、「作業室面積が有効面積13㎡以上あること」「客待ち場所はケース、ついたてで作業室と区画すること」(東京都港区の場合)など、保健所によってさまざまな規定があります。開業エリアを管轄する保健所に問い合わせて、確認しておいてください。


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 今まで雇われ美容師として働いていた方も、独立開業すればひとりの経営者。広告宣伝、スタッフの採用・教育、税務関連の手続きなどをすべてこなしながら、お客さまを第一に考えたサロンをつくっていく覚悟が必要です。開業時にやることは数えきれないほどありますが、一つひとつ確認し、漏れのないようすすめていきましょう。
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