閉店手続き

飲食店閉店の決断!「再建に向けた閉店」に必要な2つの要素とは

開店ポータル編集部
2019/01/26
この記事の目次 [表示する]
 帝国データバンクの調査によれば、2017年の企業倒産件数は8376件。売上の低下や人手不足などが原因となり、飲食店の倒産件数は707件と過去最多を記録しています。
 さらに、後継者不足や経営者の高齢化により、倒産ではなくても、廃業を選択しなければならない企業が倒産件数を上回っているのが現状です。
 本記事では、再建への第一歩となる閉店を決断するさいに必要な2つの要素をお伝えします。

近年増えつつある閉店の理由

 閉店の理由はいろいろですが、もっとも多い販売不振について、「赤字が1年以上続いている」や「人件費がなく人を雇えず運営できない」、「光熱費、家賃が払えない」などがあります。

 また、「高齢のため経営を維持できない」、「病気になった」、「介護が必要になった」…など、経営状況とは別の個人的な事情が閉店の原因となることもあります。

 さらに、人手不足の影響から、アルバイトを確保するために時給を上げざるを得なくなり、売上は上がっているにもかかわらず、減益となり倒産する…というケースも。いま、飲食業界のみならず、建設業などでもこの人手不足による倒産の増加が懸念されています。

閉店の決断は難しい?

 販売不振による閉店について考えてみましょう。

 例えば、飲食店の開業には、工事費用やテナント賃貸料など多額の費用がかかります。銀行などから借入がある場合、売上が落ちているからといって簡単には閉店できません。もう少し改善すれば利益が出るのではないか、まだ続けられるのではないかと考えてしまい、赤字に転落しているにもかかわらず、限界まで続けてしまいがちです。そして、破産、倒産してしまうケースも多いです。

 経費削減や集客方法などの改善によって、売上が伸びた場合はよいですが、地域の人口減少など、経営努力ではどうにもならない部分もあるでしょう。
 実際に閉店を決断した人は何を基準に閉店を決めたのでしょうか。閉店の決断に必要なことはあるのでしょうか。

見逃してはいけない「閉店のサイン」

 閉店には資金が必要です。そしてもちろん、閉店した後も人生は続きます。ある程度余裕を持って閉店することが、これから先の人生を豊かにすることは言うまでもありません。限界まで営業を続け、基本的に飲食店の資金がまわらなくなると閉店せざるを得なくなります。

 ここで必要なのが、限界まで頑張らず資金が底をつく前に閉店する決断をすること。
 たとえば、飲食店における具体的な閉店のサインは次の3つです。

①来店客がゼロの日が多い
②人気料理の注文が減っている
③他店とくらべて繁盛していない




 来店客がゼロであっても、人件費や家賃などの固定費は発生します。客が減っているにもかかわらず、不景気だから仕方がないとそのまま営業を続けても、いずれ赤字に転落するでしょう。

 また、以前は人気があった料理の注文が減っている場合、客のニーズが変化していることが考えられます。客層や近隣の同じ業態の店を調査し、どのようなメニューが今求められているのか知ることが大切です。

 来店客が減少している原因には、まず、地域の人口減少なども考えられます。しかし、近隣の店舗は繁盛しているのであれば、店自体に問題があります。メニューの見直し、珈琲の無料サービスなど集客に繋がりそうな対策をとらなければなりません。

 このほか、閉店する店の共通点として、店内や厨房内、トイレなどの清掃が行き届いていないことがあります。店の中をよく見て、掃除ができているか、客の目線に立って確認しましょう。
 
 これらを全て改善したにもかかわらず、売上が伸びないのであればそれは、閉店のサインです。思い切った選択をしましょう。

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閉店に必要な資金を把握しよう

 閉店時には大きく分けて原状回復費家費、この2つの費用が必要になります。

■原状回復費

 まず、原状回復とは、閉店のため物件から退去するさいに、契約時に決められた状態に戻すことです。入居する前の状態に戻すケースとスケルトンにするケースがあります。居抜き物件として借りた場合でも、契約内容によっては退去時にスケルトンにしなければならないこともあるため、賃貸借契約書の引き渡し条件を確認しましょう。

 原状回復費の相場は、坪数と坪単価によって異なります。一般的な目安としては、10坪から50坪であれば、1坪あたりの単価が1万円から2万円くらいです。
 例えば、20坪で、1坪あたりの単価が1万円であれば、20万円の原状回復費が必要になります。原状回復費はインターネットなどで無料で見積もりをとることができます。複数の業者に見積もりを依頼して金額を把握しておきましょう。
 

■家賃

 また、閉店までの間、営業をしていなくても家賃は発生します。物件契約は一般的に解約予告期間が定められています。家主に閉店を伝えても、すぐに退去できるとは限りません。家賃30万円で、3カ月間かかった場合、90万円の家賃が発生します。

 家賃に加えて、厨房機器などをリース契約している場合は、リース代や違約金などが発生することもあります。閉店に必要な資金を算出し、確保しましょう。
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 従業員がいる場合は、30日前までに解雇予告をする必要があります。このほか、保健所、警察署、消防署、税務署、公共料金等の所定の手続きが必要です。いずれにしても、すぐには閉店できません。さらに、開店のさいに融資を受けている場合は、融資先の金融機関に閉店することを伝えておきましょう。

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 閉店をするにしても、再起不能な倒産による閉店ではなく、もう一度再建できる力を蓄えた閉店がベストです。再建に向けた閉店に必要な要素は、閉店のサインを見逃さないことと、閉店に必要な資金を準備することです。新たなビジネスをはじめるためにも、最善のタイミングで余力のある閉店を選択しましょう。

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