事業譲渡

飲食店事業譲渡での注意点 目的・条件・マイナス面・業者について

開店ポータル編集部
2020/02/04
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 原状回復工事をして内装をスケルトンに戻し、スタッフを解雇し、完全にお店を無くしてしまうだけが閉店ではありません。「事業譲渡」というかたちで、新しいオーナーに経営をバトンタッチすれば、大切なお店を存続させることも十分に可能です。

 いま、事業譲渡を考えている飲食店のオーナーは、これから取り上げる4つの注意点を頭に入れておきましょう。

事業譲渡とは?

新しいオーナーに経営をゆだねること

 事業譲渡とは、お店(もしくはお店の運営会社)の一部、またはすべての事業を売却し、経営を新しいオーナーにゆだねることです。
 具体的には、次のような事例が挙げられます。

事例①
 アパレル会社であるA社は、業績が上がってきた本来の事業にスタッフや資金をまわしたいと考えた。そこで、副事業として運営していたカフェレストランを経営から切り離し、第三者にゆだねることにした。

事例②
 飲食店を数店舗運営するB社は、自社のこれからの成長分野は洋食だと考え、ハンバーグ専門店やビストロ業態の店舗に力を入れることにした。そのため、和食割烹の店舗を手放し、それぞれ独立開業を目指している人に売却した。

事例③
 街の食堂Cは、オーナーが高齢のために引退。後継者がいないために閉店を考えていたが、常連のお客さまの想いを考え、お店を存続させるために新しいオーナーを探して引き継いだ。
 

 事業譲渡では、店舗や厨房機材、スタッフといった形のあるものはもちろん、メニューやブランド力、お客さまからの評判、経営ノウハウなど、無形のものも譲渡対象になります。信頼のおける買い手を見つけて、お店を健康な経営状態で続けていくことが、譲渡を考えるオーナーの課題となります。

事業譲渡時の注意点

 「新しいオーナーにお店をバトンタッチする」といえば分かりやすい事業譲渡。ですが、簡単におこなえるものではありません。
 仲介業者など、プロのサポートを受けながら、慎重に買い手を探していく必要があります。そのさいには、次のことに気をつけなければなりません。

①事業譲渡の目的を振り返る

 経営を立て直したい、信頼のおける後継者を見つけたい、お店を発展させたい。そういった目的を、しっかりと心に留めておきましょう。

 譲渡の話が進んでいくと、「本当に、信頼できる人がお店を引き継いでくれるのだろうか?」「今のタイミングでお店を手放すと、リスクが大きいのではないか?」といった不安が芽ばえてきます。欲が出てきて、当初よりも高い売却金額を設定したくなることもあるでしょう。
 そうなると、よい買い手に出会えても「本当にこの人でいいのか?」、「もっと高く売れるのではないか?」などと、譲渡をためらうようになってしまいます。

 こういった不安や欲が出てくるのは、オーナーの立場からみれば仕方のないことですが、それに振り回されて本来の目的を忘れないようにしましょう。
 

②譲渡条件を明確にしておく

 「ここは残したい」、「ここはリニューアルしてもよい」といった譲渡条件は、先に開示しておくことが大切です。お店のコンセプトや名前、雰囲気、メニューなどは、新しいオーナーの意向で大きく変わってしまう可能性があるからです。
 買い手を探しはじめる段階で、次のような譲渡条件をはっきりさせておきましょう。
・どのような人に譲渡したいのか
・いくらくらいの金額で譲渡したいのか
・いつごろまでに譲渡したいのか
・譲渡をおこなう際に、ゆずれない条件は何か
・妥協できる条件は何か
 仲介会社を通して譲渡をおこなうさいには、買い手候補のリストや同じ業態での事例など、さまざまな情報を提示されます。その中から必要なものを受け取り、お店の状況と照らし合わせながら、希望条件を決めていきましょう。譲渡条件を明確にすることで、買い手との話し合いが進めやすくなります。
 

③マイナス面の情報は先に開示する

 譲渡をおこなう上でマイナスの情報がある場合は、偽ったり隠したりせず、譲渡条件を出す段階で開示しましょう。お店によっては、資金面の不安や、法的なリスクを抱えていることもあります。その状態で譲渡をおこなうと、買い手はリスクをそのまま引き継ぐことになります。

 条件の交渉を経てやっと調整に入ったら、思ってもみなかったお店のマイナス面が浮き出てくる…買い手にとっては大変なことです。当然、「そんな話は聞いていない」と、金額交渉の材料にされてしまいます。オーナー同士の信頼関係を築くために、情報をクリアにしておくことはとても重要です。
 

④複数の業者に仲介を依頼する

 譲渡を決めても、買い手が決まるまでは店舗の賃貸契約を結んだまま。つまり、今までと変わらずに家賃が発生します。
 経営難の場合、募集期間が長引くほどにふくらむコストが悩みの種になります。休業中の場合は、売上がないうえに空家賃がかかるので、オーナーに二重の苦しみが降りかかります。

 そのような事態を避けるためには、複数の仲介業者の力を借り、少しでも早く買い手が決まるようにしましょう。また、なかなか買い手が現れないのは、造作譲渡料(譲渡代金)の額がネックであるケースも多いです。必要に応じた金額の調整など、早めの対策をとりましょう。
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 経営の問題点の洗い出し、内外装の状態の確認、メニューの入れ替えはどうするかなど、事業譲渡の準備として考えることはたくさんあります。それら一つひとつを確認しながら、後悔のない選択をすることが大切です。もちろん、新しいオーナーが決まった後も気が抜けません。取引先やお客様への連絡、店舗の契約の名義変更など、やるべきことがまだまだ残っているからです。

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 希望を抱いてオープンし、守ってきたお店。新しいオーナーに引き継いでも、お客さまに愛されるお店であってほしいですよね。本記事で取り上げたことに注意をしながら、事業譲渡の成功に向けて行動してみてください。

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