閉店手続き

飲食店の閉店はタイミングが大事!確認すべきこと、費用・時間について

開店ポータル編集部
2020/08/12
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 希望と目標を胸にお店を構えたものの、さまざまな理由から経営が難しくなってしまい、閉店の決断をしなくてはならない――なんてことがあります。ここで忘れてはいけないのが、開店時と同様に、閉店にも費用と時間が必要だということです。

 閉店を決意したからといって、その日のうちに全てが終わるわけではありません。お店をオープンしたときにたくさんの手続きをおこなったように、閉店時にも多くの手続きが待っています。もちろん、その手続きには費用も時間もかかります。大切なのはどのタイミングでお店を閉めて、手続きを滞りなく進めるかということ。

 本記事で、閉店のタイミングについて見ていきましょう。

「閉店」が頭をよぎったらすべきこと

 先述したように、閉店するときには、開店時同様にさまざまな手続きをしなければなりません。一朝一夕で片づけられるものではなく、それなりの費用と時間が必要になります。

 閉店の二文字が頭をよぎったら、話をすすめる前に、まず確認しておくべきことがあります。
 それが、「賃貸借契約書」と「借入残高とリース残高」についてです。

①賃貸借契約書の見直し作業

 物件を契約する際に交わした賃貸借契約書をしっかりと閣員しましょう。賃貸借契約書には、閉店時の取り決めについての記載があります。記載事項をきちんと把握することからはじめましょう。

 主にチェックしたいのは、次の3つです。

■解約予告期間
 解約予告は、大抵の場合、書面による通知とされています。書式はどのようなものでも構いません。

 ここで、気にするべきは解約予告期間です。書面で解約の意思を通知したその日から、賃貸借契約書に記載されている期間は家賃を払い続けなければなりません。短くても1ヶ月、長ければ6ヶ月程度、家賃を払い続けることになります。

■敷金返却時の償却額
 契約時に大家さんに預けた敷金の返還のタイミングはいつか把握できていますか? これも賃貸借契約書に記載されています。「契約終了後速やかに返還」、「契約終了後〇ヶ月以内に返還」など、内容はさまざまです。

 自身の契約内容をしっかり確認してください。返却時には、大家さんが受け取る償却額の存在も忘れてはいけません。預けた分が全額返還されるわけではないので注意が必要です。家賃の1~3ヶ月分が差し引かれると想定しておきましょう。

■原状回復義務の有無
 閉店資金として大きな負担となるのが原状回復工事にかかる費用です。

 居抜き物件を契約していた場合、スケルトンの状態まで工事をするのか、どこまで原状回復する必要があるのかしっかり確認しましょう。結構な費用がかかることを覚悟しておきたいところです。
 

②借入残高とリース残高の確認

 お店を開店するさいの借入金がいくら残っているか設備のリース契約における残債がいくらあるのか、正確に把握しましょう。

 月々の返済額や残額が記載されている書類を確認しましょう。



 閉店を考えた時に、まずすべきことを挙げただけでも、閉店のタイミングが重要なことに気付かされます。

 解約予告期間に発生する家賃の支払いや、原状回復工事費用、借入金・リース契約の残債などの支払いに対応できる余力のある時点で、閉店のタイミングを迎えることが理想です。

 すでに、返済の余力がない場合、返還される予定の敷金を借入金の返済やリースの残債の精算に充ようと考えるでしょう。しかし、その考えは危険です。
 たとえば解約予告期間が4ヶ月で、敷金返還のタイミングが契約終了後1ヶ月先であった場合、5ヶ月間は、家賃を支払い続けなくてはなりません。さらにそこに、原状回復工事費用がかかってきます。やはり、計画的に閉店のタイミングを見極めなくてはなりません。

明け渡しの方法によっても、閉店のタイミングは異なる

 明け渡し方法としては、「居抜き物件として明け渡す」「原状回復工事をして明け渡す」の2択です。
 どちらを選択するかによっても、閉店のタイミングは変わってきます。

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【閉店のタイミング】居抜き物件としてあけわたす場合

 賃貸借契約書には、借りたものは元の状態に戻して返すよう記載がされています。また、それは民法でも定められており、居抜きで明渡しをするには「契約内容の変更」となるので、大家さんと交渉して了承を得る必要があります。

 ここでポイントになるのは、次の借り手を見つけてから大家さんとの交渉を開始すること。物件を貸す側にとって、次の借り手がいない状態で居抜きとして明け渡しを了承するのはリスクが高いのです。そのため、次の借り手が決まっていれば、スムーズに話が進む可能性が高くなります。
 居抜きで明け渡しをする場合は、売却益が出る上、原状回復工事の費用はゼロ円になります。また、次の借り手が決まったことで、解約予告期間を短縮することも可能です。

 …となると、次の借り手を探す期間が重要になりますよね。友人や同業仲間への声掛けや、居抜き物件を扱っている不動産会社に借り手を探してくれるよう依頼をしましょう。最低でも、1ヶ月はかかるものです。ここで、不動産会社選びを失敗するとさらに多くの時間を費やすことになります。

 また、解約通知書を提出してしまった後に居抜きでの明け渡しが難しくなってしまった場合、原状回復工事や資金面において、危機的状況に陥ってしまうこともあり得ます。早々に解約通知書を提出するのではなく、懐事情の把握と明け渡し方法の選択をしっかり行い、最善のタイミングを探りましょう。
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【閉店のタイミング】原状回復工事をおこなってあけわたす場合

 原状回復工事をおこなう場合、もっとも重要なのは解約予告期間です。原則、契約期間内に工事を終わらせることが決まりとなっています。その期間をどう使うかがポイントです。

 立地や環境から考えて、次の借り手が容易に決まりそうであればすぐにでも原状回復工事をおこない、解約予告期間内は家賃を払いながら次の借り手を待つことになります。
 運よく次の借り手がすぐに決まれば家賃負担をせずに済みますし、次の借り手が決まるのが難しいと判断した場合は、解約予告期間から原状回復工事にかかる期間を引いた日まで営業することで、空家賃をさけることができます。

 明け渡し方法を選択したら、明け渡すまでのスケジュールを立てましょう。その中で、不動産会社や原状回復工事をおこなってくれる業者、大家さんなど、さまざまな人たちと打合わせや交渉をしなければなりません。
 閉店にいたるまでの道筋をしっかり描けるように、入念なリサーチと準備をおこないましょう。
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 さまざまな苦労や葛藤を経て閉店を決意したものの、いざ閉店に向けて動くとなると、莫大な閉店資金と、多くの時間を費やさなければいけないことに気づかされます。そこで途方に暮れるのではなく、確認しておかなければならない事項を把握し、正しい選択ができるように、事前の準備が必要です。

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 また、閉店前に行う従業員や常連客への告知、仕入れ業者への報告などはもちろん、閉店後にも期日が決まっている届け出や申請があります。これら全てを滞りなく完了させ、次のステップへ進みましょう。そのためにも最善のタイミングで、閉店を迎えられるようにしたいものです。

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