店舗設計

飲食店に必要な『受動喫煙対策』とは?対策法についても解説

開店ポータル編集部
2020/10/19

2020年4月1日に改正された健康増進法により、国内の飲食店は原則屋内禁煙となったことで、受動喫煙対策に取り組まなければならなくなりました。

原則屋内禁煙とアナウンスされたことで、4月1日から完全に店舗内を喫煙禁止にした飲食店も多いのではないでしょうか。

本記事では、飲食店に必要な『受動喫煙対策』のその対策法と、対策時に利用できる補助制度などについても解説してまいります。

一旦全面禁煙にしたけど、一部喫煙ができるように変更したい、また、新規でお店を開店する前に受動喫煙対策について知っておきたいという方は是非参考にしてください。

受動喫煙対策とは


そもそも受動喫煙対策とは何ぞやというところですが、受動喫煙対策とは簡単に言えば『受動喫煙による健康被害をなくすための取り組み』です。これは、2020年4月1日に改正された健康増進法によって、以前より更に喫煙について厳しく取り決められることとなりました。

まずは、改正健康増進法における受動喫煙対策への取り組みと、それらが及ぼす飲食店への影響から解説してまいります。

改正健康増進法による受動喫煙対策

健康増進法の改正における受動喫煙に関連した変更点は下記の5点になります。

①原則屋内禁煙になった

②屋内での禁煙には喫煙室の設置が必要

③喫煙室の構築には受動喫煙を防ぐための技術的基準を満たす必要がある

④喫煙室には標識掲示も義務化

⑤受動喫煙に関して従業員への指導も必要

 

つまり、飲食店を含む多くの施設で喫煙をするには『喫煙ルーム』など喫煙をするためだけのスペースを設置し、なおかつそれらを示す標識もつけなければならないということです。

 

更に、喫煙ができる場所については20歳以下のお客、および従業員は立ち入ることができませんのでこちらも注意が必要です。

飲食店における影響は

この改正健康増進法による受動喫煙対策を取り組むべき飲食店は、いわゆる『店内飲食を目的とした飲食施設』です。

例えば、

・喫茶店

・居酒屋

・カフェ

・料亭

・ファストフード店

・ファミリーレストラン

・ラーメン店

・牛丼店

などが挙げられます。

 

一方、飲食店の中でも該当しない施設としては、シガーバーなど、喫煙を目的とする施設です。ただし、喫煙目的施設であっても一部、ご飯やパスタなど主料理を出す場合はそれに該当しない場合もありますので、注意しましょう。

 

また、飲食店のなかでも、

①2020年4月1日の時点で営業をしている

②客席面積が100平方メートル以下

③資本金又は出資の総額が5千万円以下

④従業員がいない(同居の親族のみを雇っている事業については除く)
 

の4点に該当する、いわゆる小規模店舗の場合は、喫煙可能店として一定の期間これまでと同様に時間帯分煙や店内喫煙が行える『経過措置』を行うことができます。

 

なお、喫煙目的施設にも小規模店舗にも該当しない飲食店については、改正健康増進法に従って、受動喫煙対策を行わなければなりません。

 

具体的に飲食店が行うべき受動喫煙対策方法については次項で解説していきます。

飲食店が受動喫煙対策として取り組むべきこと

飲食店が改正健康増進法に違反しないためにはどのような受動喫煙対策を行っていれば良いのでしょうか。

受動喫煙対策の種類

飲食店の受動喫煙対策は下記の2パターンがあります。

 

①喫煙室を設置する

②屋外のみ喫煙OKとする

 

なお、それぞれの詳しい解説については後述しますが、基本的に喫煙ができるスペースについてはどのような場合であっても20歳以下の方は立ち入ることができませんので十分に注意してください。
 

また、店内で喫煙ができるにしてもできないにしても、それを示す標識の掲示は必須になりますので、こちらも合わせて掲示するようにしてください。万が一お客が隠れて喫煙をしていた場合でも、標識を掲示していることで、お客のミスとして飲食店側は処罰がされない可能性もあるので、お店を守るためにもここは遵守しておきたいルールです。

今後も飲食店内で喫煙OKとする場合

今後も、飲食店の店内で喫煙をOKとする場合にするべき受動喫煙対策のパターンは下記のパターンがあります。

①喫煙ルームを構築する

②分煙ボックスを設置する

③加熱式たばこ喫煙室を設置する

 

喫煙ルームはいわゆるお店の一角に、喫煙ができる部屋を作る方法、加熱式たばこ喫煙室も加熱式たばこのみが喫煙できる専用エリアを構築する方法です。一方分煙ボックスの設置では、店内の改装などをせずに、たばこを吸うことができるパーソナルボックスを設置するだけでできる受動喫煙対策方法になります。

 

先述にもあるように、店内で喫煙をOKとする場合は受動喫煙を防ぐために厚生労働省が定めた技術的基準を満たす必要があると申し上げましたが、喫煙ルームと加熱式たばこ喫煙室ではこちらも1から対策を取らなければならないものの、分煙ボックスの場合は製品の初期設備として法令に基づいて構築されておりますので余計な手間を取りません。

 

なお、喫煙ルームと分煙ボックスの場合は紙巻きたばこ加熱式たばこ両方を喫煙することができ、同室内での飲食は禁止されておりますが、加熱式たばこ喫煙室内では飲食物の提供も許可されています。

今後は飲食店内では禁煙とする場合

また、今後飲食店内では禁煙とする場合は、もしこれまでに喫煙をしていた部屋などがあればそちらの清掃等を行う必要があります。

ただ、お客が店内では喫煙しないものの、屋外で自由に喫煙していた場合、一応飲食店における屋外喫煙については違法ではないのですが、利用する他のお客の受動喫煙につながるほか、近隣の施設に迷惑がかかる可能性もあります。屋内を禁煙とする場合は、屋外に喫煙ができるスペースを入り口付近を避けて構築するか、敷地内では喫煙ができない旨を看板などで周知しておくようにすると効果的です。

飲食店が受動喫煙対策に取り組むときに利用できる制度

飲食店が受動喫煙対策として、喫煙ルームや加熱式たばこ専用喫煙室を構築したり、分煙ボックスを設置したリする場合、多くのコストを必要としてしまう可能性があります。

そこで利用できるのが国からの補助金や助成金などの支援制度です。

 

飲食店が受動喫煙対策に取り組むときに利用できる制度は下記のような制度があります。

①受動喫煙防止対策助成金

【申請期間】

令和2年5月から令和3年2月末まで

【対象】

① 喫煙専用室の設置・改修

② 指定たばこ専用喫煙室の設置・改修

③屋外喫煙所の設置・改修

 

【助成率】:2分の1

【上限額】100 万円

②生衛業受動喫煙防止対策事業助成金

【対象】

 

サービス業

販売業

飲食業

理容店・美容店・興行場(映画館等)・クリーニング店・公衆浴場(銭湯)・ホテル旅館・簡易宿泊所・下宿営業

食肉販売店・食鳥肉販売店・氷雪販売店

すし店・めん類点(そば、うどん店)・中華料理店・社工業(スナック、バー)・料理店(料亭など)・喫茶店・その他の飲食店(食堂、レストランなど)

①喫煙専用室の設置・改修

②脱煙機能付き喫煙ブースの整備

 

【助成率】喫煙ブース設置における助成率:1/2(飲食店の場合は2/3)

【上限】100万円

まとめ

本記事では飲食店が行うべき受動喫煙対策方法と、それを支援する制度について解説いたしました。

今回の改正健康増進法の規制に該当する業種の中でも、飲食店はお客の集客に直接関わってくる面ですので、全面禁煙にしようか、それとも分煙対策をしようか、受動喫煙対策についてはずいぶんと悩まれた方も多いのではないでしょうか。

 

とくに、居酒屋や喫茶店などは、パチンコ店と同様に50%以上の喫煙率というお店もあるほどですので、喫煙を禁止にすることで売り上げや客単価に大きく影響する可能性もあるでしょう。

 

法改正されてすぐに一度全面禁煙にしていた場合でも、後から分煙を行うことや、省スペースでも分煙を行うことは可能です。アフターコロナに向けて飲食店はますます集客に力をいれていきたいところですから、国の支援制度なども上手く活用しながら集客の幅を広げていきましょう。

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開店ポータル編集部
2020/10/19