経営支援

飲食店経営を失敗させる要因は〇〇にあった!!

開店ポータル編集部
2020/10/20

様々な業種がある中で、飲食店の経営は他の業種と比べ難しいと言われています。

飲食店のうち約35%がオープンして1年未満に閉店しているというのが現状です。また、新しい飲食店が開業しても、気が付くと閉店していたり、別の店舗に変わっていることも少なくありません。同じようなお店でも、繁盛しているお店と、そうでないお店があるのも事実です。

飲食店経営で失敗してしまう要因としてはどのような面があるのでしょうか。

本記事では、飲食店経営を失敗させる理由や、飲食店経営で失敗しないためのノウハウについて解説します。

飲食店の閉業率は何故高いのか


飲食店の閉業率が高い理由は、「競争相手が多く、参入する事業主が多いから」です。

開業するには、数日の講習を受けるだけで取得することができる、食品衛生責任者と防火管理者の資格さえあれば飲食店を始められるので、比較的参入しやすい業種です。

業種別の開廃業率データからは、全業種の中で「宿泊業・飲食サービス業」が開業率と廃業率ともに一番高いことがわかります。

開業率と廃業率が共に高いということは、飲食業は、開業はしやすいが、廃業してしまうリスクも高い業界であると判断することができます。

(出典:中小企業白書2019

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap5_web.pdf)

また、飲食業は、店舗維持費や食材費・人件費など運転コストがかかり、利益率もそれほど高くありません。消費者との接点も多い業種なため、流行や口コミなどの評判に売上げが左右されやすく、安定した経営が難しいという特徴があります。

飲食店閉業率の現状

冒頭でも述べましたが、飲食店のオープン後におとずれる閉業時期は、1年未満で約35%、2年で約60%、3年で約70%の店舗が閉業してしまうというデータが出ています。

(出典:居抜き情報.COMhttp://www.synchro-food.co.jp/news/press/1949)

そして、一般的に10年間続く飲食店は10%程度だと言われています。

ここ数年の閉業動向に目を向けると、2017年飲食店の倒産(閉業)数は、700件を越えました。2018年も厳しい状況が続き、2019年には消費税の増税に伴い、飲食店を取り巻く環境はさらに厳しいものとなったのです。

これらの要因は、消費者の節約志向と飲食業界の人手不足が原因だと言われています。

そして現在、新型コロナウイルス感染症による影響で、閉業率はさらに上がると予想されています。

(出典:帝国データバンク https://misesapo.jp/archives/3325)

飲食店経営を失敗させる理由

前途の通り、飲食店経営は開業のしやすさもあって、あまり深く考えずに開業してしまうケースも多く、事前計画の甘さに後々苦しむことになります。

ここでは、飲食店経営を失敗させる代表的な理由を解説します。

資金不足

①初期費用を抑える

飲食店の経営を始めるには、店舗の購入費や保証料、調理器具の購入代金、内装費、ホームページの作成費など、安くても600万~1,000万円ほどの、さまざまな初期費用がかります。

開業時に初期費用をかけすぎると、借り入れの返済や利息の支払いで資金繰りが苦しくなり、飲食店経営が立ち行かなくなる可能性も高まります。

店舗設計や広告費の無駄を省くなど、初期費用を抑えることで借り入れの額を減らすことができるため、資金繰りが悪化するリスクを減らせます。

また、初期費用をかけない分だけ手元に資金を残せるため、開業後の運転資金に回すことが可能です。

②毎月かかる固定費などのコスト

開業後は、初期費用のみならず、毎月多額の費用がかかります。

具体的には、テナント料や固定費、従業員を雇用することでかかる人件費や、料理の材料を仕入れることで発生する材料費などが生じてきます。

特に、固定費は、収益が少なくても一定の費用がかかるため、売り上げが予測を下回るとすぐに赤字経営に転落するリスクがあり、注意が必要です。

③人件費

飲食業界の給与水準は、他業界と比べて低い傾向があります。理由として、あらかじめ客数を想定することが難しい事が挙げられます。そんな中でも、客数に関わらず、スタッフは一定数確保する必要があるため、人件費は削れません。

人件費を削ると人手不足の原因にもなりますので、そのバランスが難しくなります。

人手が不足すると、サービスレベルが低下し、客離れにつながるという負のスパイラルにはまってしまいます。

飲食店経営は、出ていくコストも多く、その割には利益率が低いので、予想以上にお金がかかり、開業まもなく資金不足に陥る店舗が多いのが現状です。

まとまったお金が必要となったとき、融資の申込みをしても審査落ちし、資金調達ができずに閉業になるケースもありますので、運転資金の目安として最低でも6ヶ月分(半年分)は余裕を持って試算しておくと良いでしょう。

ノウハウ不足

実際に飲食店経営を行うにあたっては、ターゲット選定やメニュー開発、集客活動などの経営戦略を練って一つ一つの課題に徹底して対処することが必要です。

飲食店は比較的開業しやすいため、勢いで始めてしまうと、事前計画の甘さがすぐに、経営存続を難しくしてしまいます。

例えば、脱サラして飲食店を始める場合など、十分な経営ノウハウがない状態で開業するケースも多く見受けられます。「なんとかなる!」と精神論だけで意気込み、しっかりとした知識を持っていない状態で飲食店経営を始めるのはリスクがあります。

飲食業界の歴史は長く、今までに数えきれないほどのアイデアやコンセプト、マニュアルなどが作られてきました。蓄積されているノウハウに加え、今の時代に即した経営戦略を立てていくことが成功をつかむ秘訣といえます。

そこで重要なのが「マーケティングリサーチ」を深く研究することです。競合他社の分析、集客対策、資金繰り、多様な宣伝方法や回転率を高める工夫など、詳細なリサーチを考慮した上で、様々な視点から戦略を立てなければ、生き残ることは難しいのです。

ノウハウを蓄積することは、事業経営における全てに通じるといっても過言ではないでしょう。

飲食店経営において失敗する人と成功する人の違いは?

では、飲食店の経営において、失敗する人と成功する人の違いは、何が違うのでしょうか。

飲食店経営の基本に立ち返り、大切な点をお伝えします。

利益に走ったコスト削減をしてしまう人

どの業界もそうですが、経営の上で最重要課題は「売上げ」です。飲食店は、お客様からいただく売上げによって成り立ちます。

開業当初は、集客や来客数をあげることに懸命で、お客様の心を掴むための模索を惜しまなかったのに、お客様の数が安定してくると食材費や人件費を下げられないかと思い始めるのが人の心理です。料理のボリュームがダウンしたり、それを補うために盛り付けや器を工夫したりしますが、最初の数カ月は利益となっても、お客様はちょっとした変化もキャッチします。常連客ほど変化を敏感に感じ取り、簡単に離れてしまいます。

その変化を感じ取れない人は失敗します。利益を出したいと試行錯誤することはいいことですが、何を大事にするかを見極めを誤ると本末転倒になってしまいます。少し時間はかかるかもしれませんが、目先の利益に惑わされず、お客様の立場に立った考え方を持ち続けられる人が成功を掴みます。

コスト削減も、お客様の目線を第一に考えることが、売上げを保ちつつ、アップさせていく近道です。

工夫を凝らすことを怠る人

「客足が安定してくると閉業の心配はないだろう」と安心しがちですが、実態はそうではありません。原価率を高く設定する看板料理がなかったり、お客様とのつながりが希薄なお店だったりすると、新しいお店にお客様を取られてしまうこともあります。

新規顧客開拓の研究を怠る人は失敗します。せっかく常連のお客様ができはじめても、この油断で閉業してしまう飲食店も少なくありません。どのお店も生き残りをかけて、あの手この手の戦略で集客を目指しています。

新しいメニューの開発や新サービスの導入、常連客への気遣い、顧客の分析など、店舗を存続させる工夫や努力を絶やさない人が成功していくのです。

何となく感覚で経営判断をする人

 

失敗する飲食店ほど、自店舗の数字を明確に答えることができません。

お客様の来店動機やきっかけ、来店数、何にどのくらいのコストがかかって、いくらの投資をして、結果としてどのくらいの数字になっているかを把握できていません。

例えば、集客が期待できるポータルサイトや広告を片っ端から導入しても、どこを経由してお客様が来店してくれているのかわからないまま、無駄なコストをかけている場合もあります。

成功している飲食店は、「売上=客数×客単価」という大まかな数字だけでなく、来店者数、来店動機、ターゲット層、DMのレスポンス、クーポンやキャンペーンの活用、人気メニューの出数などの顧客分析を押さえています。

今は、顧客管理や予約管理も兼ね備えたPOSレジ等のシステム導入が加速していますが、レジ機能だけでなく、分析機能の活用も店舗経営の強い味方となってくれるでしょう。

まとめ

飲食業界は今、コロナ禍でかつてない苦境に立たされています。外出自粛モードも少しずつ緩和し、徐々に客足が戻りつつありますが、多くの飲食店が以前の営業体制に戻るには、まだ先が見えない状態です。これからが本当の正念場だと言えます。

飲食店経営を失敗させる大きな要因は「資金不足」と「ノウハウ不足」です。

これから開業を考えている方は是非参考にしていただき、開業中の方も、もう一度初心に戻って経営の在り方を見直してみてはいかがでしょうか。
 

必要な知識やノウハウを研究し、コロナ禍に負けない店舗経営を目指していきましょう!

開店ポータルBizでも、飲食店における開業のお手伝いやコスト削減、業務効率化などのご相談を承っております。ご質問のある方は是非お気軽にお問合せ下さい。

 

 

開店ポータル編集部
2020/10/20