開業手続き

飲食店開業手続き「風俗営業許可」について知っておくべきこと【警察署】

開店ポータル編集部
2021/11/25
この記事の目次 [表示する]

飲食店開業時にはさまざまな手続きが必要です。そのなかには、警察署への届出が必要なものがあります。

午前0時以降もお酒の提供をする飲食店に必要な「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」。そして、「風俗営業許可」です。
もしもお客さまへの「接待」をおこなう場合には、警察に風俗営業許可の申請をする必要があります。

本記事では「風俗営業許可」の申請方法や守るべきルール、風俗営業と深夜営業についてみていきます。
 

「風俗営業許可」とは

 


いわゆる「接待」をおこなう飲食店の場合には飲食店営業許可と併せて風俗営業許可が必要になります。
風俗営業に該当する飲食店は、管轄の警察署に許可申請をしなくてはいけません。

 

■「風俗営業許可」の届出が必要な飲食店とは

 風俗営業に該当する飲食店は、風営法で以下のように定められています。
 
風営法第2条第1項第1号
キヤバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
 

スナックやパブ、キャバクラなど、「接待」をおこなう飲食店がそれにあたります。風俗営業に該当するか否かは、この接待がポイントになるので、きちんと把握しておきたいところです。

風営法上、「接待」とは歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(風営法第2条第3項)と定められています。抽象的で分かりづらいため、具体例を挙げてみましょう。


<接待例>
 ・特定のお客さまの席について継続して話をしたり、お酌をしたりする行為
 ・特定のお客さまに歌や踊りを聞かせたり見せたりする行為
 ・特定のお客さまに歌を歌うよう勧めたり、歌っている際に手拍子や楽器で盛り上げたりするような行為
 ・お客さまと一緒にゲームや競技をする行為
 ・お客さまと身体を密着させたりする行為 など

 
 これらの接待をおこなう場合には、必ず風俗営業許可が必要になります。
 また、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出を提出しているお店では、接待をおこなうことは禁じられています。



一方で、バーのようにカウンター越しでお酒の提供をし、世間話をする程度では接待には該当しません。

また、ホテルのディナーショーのように、不特定多数のお客さまに対して歌やダンスを披露したり、歌を勧めたり手拍子で盛り上げるなどの行為も接待ではないので、風俗営業許可を取る必要はありません。

「風俗営業許可」取得の要件

①店舗を構える場所の制限

  風俗営業が許可される地域というのは非常に限られており、物件を探すさいにも必ず確認が必要であることを頭に入れておきましょう。土地の利用方法が定められている、12種類の用途地域の中でも、下記地域のみが営業可能地域になります。
 

<風俗営業可能地域>
 ・近隣商業地域
 ・商業地域
(・準工業地域・工業地域・工業専用地域 )


また、用途地域による要件を満たしていても、お店から半径100m以内に「保護対象施設」がある場合は、風俗営業の許可はおりません。要件の詳細は各都道府県の条例により異なるので、必ず物件を決める前に不動産屋へ確認しましょう。


<保護対象施設>
 ・学校
 ・図書館
 ・児童福祉施設
 ・病院
 ・診療所(入院のための病床がある場合に限る)など
 

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②設備に関する基準

 風俗営業をおこなうにあたっては、店舗の内部構造・設備に関しても細かいルールがあります。風営法において“風俗営業”は1~5号に分類されており、それぞれで基準も変わってくるので、事前に警察署に確認するなどして、間違いのないようにしましょう。

■1号営業:社交飲食店・料理店
 (キャバレー等、スナック、パブ、キャバクラ、ラウンジ等で客の接待をして客に「遊興又は飲食」させる営業)
 ・客室の床面積:和室9.5平方メートル以上(1室)/その他16.5平方メートル以上(1室)※客室が1室のみである場合は制限なし。
 ・外部から客室が見えないこと。
 ・客室に見通しを妨げる設備を置かないこと。
 ・善良の風俗を害する恐れのある写真やポスター、装飾を設けないこと。
 ・客室の出入り口に施錠設備を設けないこと。
 ・照明の照度が5ルクス以下とならないようにするための構造または設備を有すること。
 ・騒音や振動の数値が、条例で定める基準値以下とならないようにするための構造または設備を有すること。
 ・ダンス場がないこと。
 

③人物に関する要件

風俗営業許可を得るためには、風営法に定められている人物に関する要件もクリアしなければいけません。非常に細かく、多くの要件が定められています。ここは根気強くしっかりと把握し、自分に当てはまるものがないかどうか確認していきましょう。

<欠格事由>

 ・成年被後見人、もしくは被保佐人又は破産者で複権を得ない者
 ・1年以上の懲役、もしくは禁錮の刑に処せられ、5年を経過しない者
 ・集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行う恐れのある者
 ・アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
 ・風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
 ・許可の取消処分を受けてから5年を経過していない者

必要書類について


申請には、非常に多くの書類が必要になります。警察署によっては所定以外の書類を求められることもあるので、やはり事前の確認や準備が大切になってきます。
 

<必要書類>
 ・許可申請書
 ・営業の方法を記載した書類
 ・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
 (使用承諾書・賃貸契約書・建物に係る登記事項証明書等)
 ・営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
 ・住民票(本籍記載のもの。外国人の場合は国籍記載のもの)の写し
 ・人的欠格事由に該当しない旨の誓約書
 ・成年被後見人又は被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書(法務局発行)
 ・市区町村の発行する身分証明書
 ・法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員の前記5から8までの書面
 ・選任する管理者に係る前記5から8までの書面、誠実に業務を行うことを誓約する書面
 ・管理者の写真2枚(申請前6ヶ月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の縦3.0センチメートル、横2.4センチメートルで裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)

 

警察庁HP:www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/fuzoku/kyoka_shinsei.html

 

風営法の許可申請と届け出の違い

 

風営法の許可申請
 

風営法における許可申請とは、風俗営業の許可申請や特定遊興飲食の許可申請のことを指します。

キャバクラやホストクラブ、パチンコ店やクラブなどを開業する場合は、営業所を管轄する警察署を通して公安員会に提出します。

風営法の届け出
風営法の届け出は、無店舗型風俗店営業や深夜における酒類提供飲食店営業の場合に提出します。

例えば、デリヘルや、スナック、バーなどで、届け出に関しても営業所を管轄する警察署を通して公安に提出します。


風俗店は深夜営業できるのか?


風俗営業許可を得ているキャバクラで、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」を提出しても、基本は、風俗営業は深夜の営業はできません。(風営法第13条)

ここでいう深夜とは「午前0時~6時」を指します(都道府県の条例により特別に定める場合はこれに限りません)。風俗営業許可と深夜営業の届出の両方を一緒におこなうことはできないので注意してください

どちらの許可を取るか開業するお店の業態、立地などからよく考えて決めるようにしましょう。
 

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風俗営業許可の取得は、各種要件の確認、書類の準備、そして申請…それで終わりではありません。そこから警察による審査がはじまります。
その審査期間も含めて、許可取得までには約2ヶ月かかります

そうなると準備期間も含めて、余裕をもって開店前3ヶ月ほどはみておきたいところ。
店舗が完成しても、許可が下りずに営業ができない…なんてことにならないようにしましょう。

スタッフもお客さまも安心して楽しめる店舗づくりには、ルールに則った営業が不可欠です。
気持ちよくお店をスタートさせるために、事前の準備から計画的に進めましょう。

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