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飲食店インバウンド集客 宗教別 口にしてはいけないNGな食べ物とは?
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インバウンドの波にのって、集客を考えている飲食店オーナーは多いでしょう。外国語メニューを用意したり、翻訳機を購入したり…外国人旅行客を受け入れられるように、店内環境を整えるお店をよく見かけるようになりました。
もちろん、そのように環境を整えることはとても大切なこと。でもその前に、海外からのお客さまを迎えるために、まず知っておかなければならないことがあります。それは、世界の宗教について知り、戒律によってどんな食材が禁じられているのかを知っておくこと。
世界の代表的な宗教とそれぞれの食事ルール、接客時のポイントをまとめました。
飲食店オーナーの多くは、サリーやターバンを身に着けた外国人や、ヒジャブをつけた女性が入店したら、「食材に気を付けなくては…」と、意識を向けることが多いでしょう。
ところが、宗教上の理由で食べてはいけない食材を持っている人は、見た目で判断できないことがほとんどです。さらに、ベジタリアンやヴィーガンを含めると、もう見た目では判断できません。
世界には、さまざまな宗教を信仰する人たちがいます。既出のように、訪日外国人のなかには、宗教上の理由によって特定の食材を口にすることができないひとも多いです。
日本人は厳しい食事の戒律もなく、何でも好きなように食べられる人がほとんど。ですが、各国からやってくるお客さまの宗教では、どんな食材がタブーとされているのか、それをきちんと把握しておく必要があります。
宗教を生活の基礎とし、食事そのものを修行の一部ととらえている人もいます。飲食店のインバウンド対策には、宗教ごとに「食べることが禁じられている食材」、「食べることに嫌悪感を覚える食材」を知っておくことが必須です。予約・オーダー時には、これらの食材を避け、代わりの食材や調理法を提案する姿勢が求められるでしょう。
世界のおもな宗教と、戒律によってどんな食品がタブーとされている(または、食べることに嫌悪感を示される)のかをまとめました。
⑥ベジタリアン
一つずつ見ていきましょう。
キリスト教、仏教とともに、世界三大宗教に数えられるイスラム教。世界に18億人以上の信徒を持ち、おもにアジアや北アフリカ、中東などで信仰されています。
イスラム教では、戒律で食べることが禁じられた食材を「ハラーム」、食べてもよい食材を「ハラール」と呼びます。ハラーム、ハラールとはそれぞれ「禁じられている」「許可された」という意味で、生活全般に使われる言葉です。
ハラーム(禁止)食材のうち、特に注意したいのは「豚肉」と「アルコール」です。
豚肉以外の肉は、神に祈りを捧げ、特別な方法で処理した動物の肉(ハラール・ミート)であれば食べることができます。
豚肉
豚肉は処理方法にかかわらず、すべてハラームとされます。肉そのものに加えて、ラード(豚脂)、ゼラチンやブイヨンなど(豚肉由来の成分が含まれる食品)も食べられません。スープのダシや、ゼラチンを使ったデザートなどは注意が必要です。また、豚肉を調理した鍋やフライパンで調理した料理もハラームとなり、口にしてはならないとされています。
アルコール
アルコールに関しては、ビールやワイン、焼酎などの飲み物はもちろん、料理酒やみりんなど調味料として使われるものもハラームです。日本食ではよく使われるものなので、気をつけましょう。
イカやタコ、うなぎ、貝類など
これらは戒律で禁じられている食材ではありませんが、食べることに嫌悪感を抱く人が多いです。料理に使うことは避けましょう。
イスラム教徒の多い東南アジア系のお客さまを集めるときは、「ハラール認証店」になることがお店の強みとなります。
イスラム団体をはじめとする各種機関によって、ハラール食品(原材料や製造工程に関して、イスラム教の基準をクリアした食品)を使っていること、そして適切な調理がされていることなどが認められると、ハラール認証を受けることができます。
イスラム教は食事に関する戒律が厳しい宗教です。どの料理に何が使われているのかがわからなければ、安心して食事をとることができません。メニューごとに原材料を説明できるようにし、食べられないものがないか確かめましょう。
また、イスラム教では豚は不浄の動物とされ、食べることはもちろん姿を見ることも嫌がられます。そのため、メニューに豚の写真やイラストを載せることも控えましょう。
世界三大宗教のひとつに数えられるキリスト教は、イエス・キリストを救済者として信仰し、神の愛を説く宗教です。アメリカ大陸やヨーロッパに多くの信徒を抱えています。
カトリック教やモルモン教など、さまざまな宗派に分かれているのもキリスト教の特徴です。
タブーとされている食材は基本的になく、多くの信徒は自由に食事を楽しんでいます。感謝祭やクリスマスといったキリスト教の行事でも、七面鳥や羊、魚などを使った料理がふるまわれていることからもそれがわかります。
ただ、次のように、宗派によって禁止されている食材や制限されている食材も存在します。
肉類
肉類はほとんど食べることができますが、宗派によっては特別なルールがあることも。カトリック教のように、一定期間の特定の曜日に肉を食べることを禁じる宗派もあれば、すべて禁止という宗派もあります。
魚介類は宗派によりますが、食べられないものはほとんどありません。卵や乳製品も同じです。
アルコール
お酒もほとんどの宗派で飲むことができますが、宗派のひとつであるモルモン教においては禁止されています。モルモン教ではお酒のほかに、コーヒーや紅茶、お茶などカフェインを含んだ飲み物も禁じられています。
キリスト教においてタブーとされる食材はあまりないので、ほかの宗教ほど神経質になる必要はありません。しかし、モルモン教やセブンスデー・アドベンチスト教会といった一部の宗派においては、食べられない食材があることも知っておいてください。
菜食が推奨されているセブンスデー・アドベンチスト教会の信者には、野菜や大豆製品を使ったメニューが喜ばれます。オーダー時には必ず、食べられない食材がないかお客さまに確認しましょう。
仏教は約2,500年以上前のインドにおいて、ブッダが開祖となって開かれました。仏教徒の9割以上は日本や中国、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカといったアジア圏に住んでいます。
ブッダの教えに従いながら僧侶や信徒おのおのが修行にはげみ、悟りを開くことを目的としています。
仏教にはさまざまな宗派があり、食事に関する戒律も宗派ごとに違います。「殺生をしてはいけない」という考えが根底にあるため、食事といえば肉や魚を使わない精進料理が一般的でした。
現代では肉を食べる人も増えていますが、食事そのものを修行ととらえ、戒律に従って食事をしている仏教徒もいます。
一部の僧侶や厳格な仏教徒が避ける食材には、次のものがあります。
肉類全般
肉食を避けるのは、不殺生の考え方からくるものです。動物由来の成分を使ったゼラチン、ブイヨン、ラード(豚脂)やヘット(牛脂)も避けます。
五葷(ごくん)
玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょう、アサツキの5種類の野菜のことです。香りが強く、修行の妨げになるとされています。
仏教徒のお客さまには、厳格な信徒と、肉食も楽しむそれ以外の信徒がいます。信仰の強さによって、食べられるものと食べられないものが変わります。予約時やオーダー時に、食べられない食材がないかどうかしっかり確認すると間違いないでしょう。
厳格な仏教徒の場合、前述のように肉そのものだけでなく、動物の脂を使った料理も食べることができません。調理には植物性の油を使うようにしましょう。
イスラエルやアメリカ大陸、ヨーロッパの一部などで信仰されているユダヤ教は、イスラム教やキリスト教の原点となった宗教です。
約3,000年前にエジプトでつくられた「モーセの十戒」が、ユダヤ教徒の生活の基本となっています。
ユダヤ教では、「カシュルート」と呼ばれる食事のルールがあります。ユダヤ人にとって適正な、神の教えに従った食べ物はコーシャ(適正)な食べ物と呼ばれ、コーシャでない次の食材はタブーとされています。
豚肉
ひづめがふたつに分かれていない動物(豚や馬、うさぎなど)の肉や、猛禽類をはじめとする24種の鳥の肉を食べることが禁じられています。ひづめが分かれている牛、鹿、羊などの肉は可とされますが、いずれも戒律に従い、特別な方法で処理された肉でなければ食べることはできません。
なお、卵はコーシャな鳥類の卵であれば食べることができます。
ヒレとうろこを両方持たない魚介類
ヒレとうろこを持たないタコやイカ、えび、かに、貝類などの魚介類もタブーとされます。
乳製品と肉の食べ合わせ
乳製品は、コーシャな動物の乳からつくられたもののみ食べることができます。
しかし、乳製品と肉の食べ合わせは禁じられています(肉を食べたあと、乳製品を食べていいのは6時間以上経ってから。逆の場合は、乳製品を食べて最低30分経ってから肉を食べる)。
アルコール
お酒に関しては、原材料や製造工程の基準があり、コーシャであると認められたものであれば飲むことができます。日本酒メーカーでは、認定機関からコーシャ認定を受ける動きが広がっています。
ユダヤ教徒は、コーシャでない食材を誤って食べてしまうのを恐れ、外食を避ける人も多くいます。
さらに日本では、ユダヤ教徒が安心して食べられる、適切な処理がなされた肉(コーシャミール)の入手が困難。野菜や魚介類を中心にしたメニューでおもてなしすると喜ばれるでしょう。
乳製品と肉の食べ合わせはできないため、肉の入ったグラタンやシチュー、チーズ入りのハンバーグなどはNGとなります。
また、血液は不浄なものと考えられています。ステーキや魚の焼き具合には十分に気をつけましょう。
ヒンドゥー教は、キリスト教、イスラム教に次いで世界で三番目に信徒の多い宗教といわれています。信徒の大多数はインドやネパールに住んでおり、日々の生活、社会機構、考え方などすべてにヒンドゥー教の教えが根付いています。
不殺生の考え方が根底にあるので、肉食を避ける人が多く、ベジタリアン以外と食事を共にしない人もいるようです。
食事の戒律も厳しく、食材や調理法、食べる時間などに対してとても気をつかいます。タブーとなる食材の例を挙げました。
牛肉
もっとも注意が必要なのが牛肉です。ヒンドゥー教において牛は神聖な存在とされ、神話にも多く登場し、生活を支えてくれる大切な動物として敬われているからです。
牛乳由来の脂肪であるバター、ヘット(牛脂)を用いた料理もタブーとされます。
豚肉
崇拝対象となっている牛に対し、豚は不浄な動物と考えられているため、食べることはありません。
豚肉そのものだけでなく、ラード(豚脂)やゼラチン、ブイヨンなど(豚肉由来の成分が含まれる食品)が含まれた料理も食べることができません。
牛肉や豚肉以外にも、魚介類全般、卵、五葷(ごくん)と呼ばれる香りの強い野菜(ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)を避ける人もいます。
ヒンドゥー教徒は一般的に肉食を避けますが、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限って食べる人もいます。カースト(身分制度)によって食事のルールが異なるので、お客さまに確認しましょう。
また、ヒンドゥー教では、左手は用を足すときに使う不浄な手とされています。料理や飲み物をサーブするときは、右手を使うように心がけましょう。
菜食主義者と訳されるベジタリアンは、肉類や魚介類などの動物性食品をとらない人たちです。ベジタリアンは世界中に住んでおり、それぞれの国の食文化や宗教に従って食事をしています。
宗教上の理由、動物愛護、環境保全、健康のためなど、ベジタリアンになる理由は人によってさまざま。何を食べるかによって、次のように種類が分かれます。
ヴィーガン
肉類、魚介類、卵、乳製品といった動物性食品を一切食べず、野菜や果物、豆といった植物性食品のみを口にする人たちです。はちみつやゼラチンも食べず、毛皮のコートや革製のバッグなど、動物の命を奪って作られるものも身に着けません。
ラクト・ベジタリアン
植物性食品に加え、動物性食品ではバターやチーズなどの乳製品のみ口にする人たちです。肉類や魚介類、卵は避けます。
ラクト・オボ・ベジタリアン
植物性食品と乳製品に加え、卵も食べる人たちです。国際ベジタリアン連合においては、ラクト・オボ・ベジタリアンが基本的なベジタリアンであるとされています。
フルータリアン
フルーツやナッツなどのみ口にする人たちです。「植物の命も大切にする」という考え方があるため、収穫しても木を死なせない「実」の部分を食べるのです。
いくつかの種類に分かれるベジタリアンですが、一般的には肉類や魚介類、卵が避けられています。乳製品は、健康上の理由からベジタリアンになった人が避ける傾向があります。
また、一部のベジタリアンは、「収穫するときに小さな昆虫などを殺してしまうから」という理由で、大根や人参などの根菜類や五葷(玉ねぎ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサツキ)なども口にしません。
「ベジタリアン=植物性食品であればすべてOK」というわけではありません。ヴィーガン、ラクト・ベジタリアンといったお客さまのタイプによって、食べるものと食べないものがあります。お客さまに尋ねて、食べられないものを確認しましょう。
おすすめは、大豆でできた加工食品「ソイミート」を使った料理です。ベジタリアンの多いアメリカではスーパーで簡単に手に入る食材で、ひき肉の代わりに使うことができます。
欧米で人気の豆腐ハンバーグのほか、ソイミートを使ったカレーや餃子、ミートソースなどもベジタリアンのお客さまに喜ばれるでしょう。
世界にはいくつもの宗教があり、食事に関する戒律もさまざまです。どんな宗教のお客さまにも安心して食事を楽しんでもらえるよう、それぞれの宗教で食べることができるもの、できないものを把握して接客にあたりましょう。
また、予約時やオーダー時に、食材や調理法の説明をしっかりできるようにすることも必要です。食べられない食材の代わりにどんな食材を使うのか、調理方法をどのように変えるのかといったことについても、アイデアを出しておくとよいでしょう。
訪日外国人が多いこのご時勢に、飲食店に求められるのは、「食べてはいけない食材はありますか?」と確認する姿勢です。世界の宗教と、食事のマナーや戒律について知識を深め、宗教にかかわらずどんな人でも楽しく食事ができる店づくりをしましょう。
世界の代表的な宗教とそれぞれの食事ルール、接客時のポイントをまとめました。
食のタブーを持つお客さまは、見た目で判断できない
飲食店オーナーの多くは、サリーやターバンを身に着けた外国人や、ヒジャブをつけた女性が入店したら、「食材に気を付けなくては…」と、意識を向けることが多いでしょう。
ところが、宗教上の理由で食べてはいけない食材を持っている人は、見た目で判断できないことがほとんどです。さらに、ベジタリアンやヴィーガンを含めると、もう見た目では判断できません。
インバウンド対策には、宗教について知ることが不可欠
世界には、さまざまな宗教を信仰する人たちがいます。既出のように、訪日外国人のなかには、宗教上の理由によって特定の食材を口にすることができないひとも多いです。
日本人は厳しい食事の戒律もなく、何でも好きなように食べられる人がほとんど。ですが、各国からやってくるお客さまの宗教では、どんな食材がタブーとされているのか、それをきちんと把握しておく必要があります。
宗教を生活の基礎とし、食事そのものを修行の一部ととらえている人もいます。飲食店のインバウンド対策には、宗教ごとに「食べることが禁じられている食材」、「食べることに嫌悪感を覚える食材」を知っておくことが必須です。予約・オーダー時には、これらの食材を避け、代わりの食材や調理法を提案する姿勢が求められるでしょう。
世界の代表的な宗教と、タブーとされる食材
①イスラム教
②キリスト教
③仏教
④ユダヤ教
⑤ヒンドゥー教
②キリスト教
③仏教
④ユダヤ教
⑤ヒンドゥー教
一つずつ見ていきましょう。
①イスラム教
【どんな宗教?】
イスラム教では、戒律で食べることが禁じられた食材を「ハラーム」、食べてもよい食材を「ハラール」と呼びます。ハラーム、ハラールとはそれぞれ「禁じられている」「許可された」という意味で、生活全般に使われる言葉です。
【食事の戒律】
豚肉以外の肉は、神に祈りを捧げ、特別な方法で処理した動物の肉(ハラール・ミート)であれば食べることができます。
豚肉
豚肉は処理方法にかかわらず、すべてハラームとされます。肉そのものに加えて、ラード(豚脂)、ゼラチンやブイヨンなど(豚肉由来の成分が含まれる食品)も食べられません。スープのダシや、ゼラチンを使ったデザートなどは注意が必要です。また、豚肉を調理した鍋やフライパンで調理した料理もハラームとなり、口にしてはならないとされています。
アルコール
アルコールに関しては、ビールやワイン、焼酎などの飲み物はもちろん、料理酒やみりんなど調味料として使われるものもハラームです。日本食ではよく使われるものなので、気をつけましょう。
イカやタコ、うなぎ、貝類など
これらは戒律で禁じられている食材ではありませんが、食べることに嫌悪感を抱く人が多いです。料理に使うことは避けましょう。
イスラム教徒の多い東南アジア系のお客さまを集めるときは、「ハラール認証店」になることがお店の強みとなります。
イスラム団体をはじめとする各種機関によって、ハラール食品(原材料や製造工程に関して、イスラム教の基準をクリアした食品)を使っていること、そして適切な調理がされていることなどが認められると、ハラール認証を受けることができます。
【接客時のポイント】
また、イスラム教では豚は不浄の動物とされ、食べることはもちろん姿を見ることも嫌がられます。そのため、メニューに豚の写真やイラストを載せることも控えましょう。
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②キリスト教
【どんな宗教?】
カトリック教やモルモン教など、さまざまな宗派に分かれているのもキリスト教の特徴です。
【食事の戒律】
ただ、次のように、宗派によって禁止されている食材や制限されている食材も存在します。
肉類
肉類はほとんど食べることができますが、宗派によっては特別なルールがあることも。カトリック教のように、一定期間の特定の曜日に肉を食べることを禁じる宗派もあれば、すべて禁止という宗派もあります。
魚介類は宗派によりますが、食べられないものはほとんどありません。卵や乳製品も同じです。
アルコール
お酒もほとんどの宗派で飲むことができますが、宗派のひとつであるモルモン教においては禁止されています。モルモン教ではお酒のほかに、コーヒーや紅茶、お茶などカフェインを含んだ飲み物も禁じられています。
【接客時のポイント】
菜食が推奨されているセブンスデー・アドベンチスト教会の信者には、野菜や大豆製品を使ったメニューが喜ばれます。オーダー時には必ず、食べられない食材がないかお客さまに確認しましょう。
③仏教
【どんな宗教?】
ブッダの教えに従いながら僧侶や信徒おのおのが修行にはげみ、悟りを開くことを目的としています。
【食事の戒律】
現代では肉を食べる人も増えていますが、食事そのものを修行ととらえ、戒律に従って食事をしている仏教徒もいます。
一部の僧侶や厳格な仏教徒が避ける食材には、次のものがあります。
肉類全般
肉食を避けるのは、不殺生の考え方からくるものです。動物由来の成分を使ったゼラチン、ブイヨン、ラード(豚脂)やヘット(牛脂)も避けます。
五葷(ごくん)
玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょう、アサツキの5種類の野菜のことです。香りが強く、修行の妨げになるとされています。
【接客時のポイント】
厳格な仏教徒の場合、前述のように肉そのものだけでなく、動物の脂を使った料理も食べることができません。調理には植物性の油を使うようにしましょう。
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④ユダヤ教
【どんな宗教?】
約3,000年前にエジプトでつくられた「モーセの十戒」が、ユダヤ教徒の生活の基本となっています。
【食事の戒律】
豚肉
ひづめがふたつに分かれていない動物(豚や馬、うさぎなど)の肉や、猛禽類をはじめとする24種の鳥の肉を食べることが禁じられています。ひづめが分かれている牛、鹿、羊などの肉は可とされますが、いずれも戒律に従い、特別な方法で処理された肉でなければ食べることはできません。
なお、卵はコーシャな鳥類の卵であれば食べることができます。
ヒレとうろこを両方持たない魚介類
ヒレとうろこを持たないタコやイカ、えび、かに、貝類などの魚介類もタブーとされます。
乳製品と肉の食べ合わせ
乳製品は、コーシャな動物の乳からつくられたもののみ食べることができます。
しかし、乳製品と肉の食べ合わせは禁じられています(肉を食べたあと、乳製品を食べていいのは6時間以上経ってから。逆の場合は、乳製品を食べて最低30分経ってから肉を食べる)。
アルコール
お酒に関しては、原材料や製造工程の基準があり、コーシャであると認められたものであれば飲むことができます。日本酒メーカーでは、認定機関からコーシャ認定を受ける動きが広がっています。
【接客時のポイント】
さらに日本では、ユダヤ教徒が安心して食べられる、適切な処理がなされた肉(コーシャミール)の入手が困難。野菜や魚介類を中心にしたメニューでおもてなしすると喜ばれるでしょう。
乳製品と肉の食べ合わせはできないため、肉の入ったグラタンやシチュー、チーズ入りのハンバーグなどはNGとなります。
また、血液は不浄なものと考えられています。ステーキや魚の焼き具合には十分に気をつけましょう。
⑤ヒンドゥー教
【どんな宗教?】
【食事の戒律】
食事の戒律も厳しく、食材や調理法、食べる時間などに対してとても気をつかいます。タブーとなる食材の例を挙げました。
牛肉
もっとも注意が必要なのが牛肉です。ヒンドゥー教において牛は神聖な存在とされ、神話にも多く登場し、生活を支えてくれる大切な動物として敬われているからです。
牛乳由来の脂肪であるバター、ヘット(牛脂)を用いた料理もタブーとされます。
豚肉
崇拝対象となっている牛に対し、豚は不浄な動物と考えられているため、食べることはありません。
豚肉そのものだけでなく、ラード(豚脂)やゼラチン、ブイヨンなど(豚肉由来の成分が含まれる食品)が含まれた料理も食べることができません。
【接客時のポイント】
ヒンドゥー教徒は一般的に肉食を避けますが、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限って食べる人もいます。カースト(身分制度)によって食事のルールが異なるので、お客さまに確認しましょう。
また、ヒンドゥー教では、左手は用を足すときに使う不浄な手とされています。料理や飲み物をサーブするときは、右手を使うように心がけましょう。
★インバウンド対策記事★
訪日外国人観光客が日本の飲食店に求めていることとは?
訪日外国人観光客が日本の飲食店に求めていることとは?
⑥ベジタリアン
【どんな人たち?】
宗教上の理由、動物愛護、環境保全、健康のためなど、ベジタリアンになる理由は人によってさまざま。何を食べるかによって、次のように種類が分かれます。
ヴィーガン
肉類、魚介類、卵、乳製品といった動物性食品を一切食べず、野菜や果物、豆といった植物性食品のみを口にする人たちです。はちみつやゼラチンも食べず、毛皮のコートや革製のバッグなど、動物の命を奪って作られるものも身に着けません。
ラクト・ベジタリアン
植物性食品に加え、動物性食品ではバターやチーズなどの乳製品のみ口にする人たちです。肉類や魚介類、卵は避けます。
ラクト・オボ・ベジタリアン
植物性食品と乳製品に加え、卵も食べる人たちです。国際ベジタリアン連合においては、ラクト・オボ・ベジタリアンが基本的なベジタリアンであるとされています。
フルータリアン
フルーツやナッツなどのみ口にする人たちです。「植物の命も大切にする」という考え方があるため、収穫しても木を死なせない「実」の部分を食べるのです。
【避ける食材】
また、一部のベジタリアンは、「収穫するときに小さな昆虫などを殺してしまうから」という理由で、大根や人参などの根菜類や五葷(玉ねぎ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサツキ)なども口にしません。
【接客時のポイント】
おすすめは、大豆でできた加工食品「ソイミート」を使った料理です。ベジタリアンの多いアメリカではスーパーで簡単に手に入る食材で、ひき肉の代わりに使うことができます。
欧米で人気の豆腐ハンバーグのほか、ソイミートを使ったカレーや餃子、ミートソースなどもベジタリアンのお客さまに喜ばれるでしょう。
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世界にはいくつもの宗教があり、食事に関する戒律もさまざまです。どんな宗教のお客さまにも安心して食事を楽しんでもらえるよう、それぞれの宗教で食べることができるもの、できないものを把握して接客にあたりましょう。
また、予約時やオーダー時に、食材や調理法の説明をしっかりできるようにすることも必要です。食べられない食材の代わりにどんな食材を使うのか、調理方法をどのように変えるのかといったことについても、アイデアを出しておくとよいでしょう。
訪日外国人が多いこのご時勢に、飲食店に求められるのは、「食べてはいけない食材はありますか?」と確認する姿勢です。世界の宗教と、食事のマナーや戒律について知識を深め、宗教にかかわらずどんな人でも楽しく食事ができる店づくりをしましょう。
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