資金計画

ラーメン店開業|競争力の高いらーめん業界で生き残る資金計画の立て方

開店ポータル編集部
2020/08/06
 経営を成功に導くのは、「どこにいくらお金をかけ、一日にいくら売る」といった資金計画です。
 これからラーメン店を開業する方は、「こんなお店にしたい」「こんなラーメンを食べてもらいたい」と思い描くだけでなく、現実的なお金のやりくりにも目を向けておかなければなりません。

 本記事では、競争の激しいラーメン業界で生き残るための、資金計画の立て方をご説明します。

【ラーメン店経営】資金調達の前に「資金計画」を

 開業資金の調達において、金融機関からの融資を考えている方も多いでしょう。融資には書類審査と面談がありますが、その際に提出を求められるのが、お店の事業内容やビジョンなどを示した事業計画書です。

 しっかりと資金計画を立てることは、事業計画書に説得力を持たせ、融資を受けやすくすることにもつながります。

【ラーメン店経営】資金計画を立てる

1.必要経費をまとめ、収支計画を作る
2.一日あたりの売上計画を作る
3.資金計画をもとに事業計画書に記入する

 以下で一つずつ見ていきましょう。

1.必要経費をまとめ、収支計画を作る

 まずは、経営にかかるランニングコストを把握し、収支計画を立てましょう。ラーメン店のランニングコストには次のものが挙げられます。

①原材料費

…売上額の30%程度
食材や飲料の仕入原価です。高すぎても収支が成り立たず、低すぎてもお客様の満足度が下がるので注意しましょう。

②人件費

…売上額の30%未満従業員の給与、通勤費、社会保険料など雇用に関するものです。各媒体への求人掲載費もここに含まれます。

③諸経費

…合計で売上額の12%程度
▼水道光熱費
諸経費の半分以上を占めます。ラーメン店はスープや具材の煮込みに時間がかかるため、ガス代のみで10万円以上かかる場合もあります。
▼備品や消耗品
食器、紙ナプキン、伝票、文房具、掃除用品など
▼販促費
ホームページの作成や管理、チラシ印刷代、グルメサイト掲載代など

④初期条件

…売上額の18%以下
▼家賃
売上額の7%程度に抑えるのが望ましいでしょう
▼減価償却費
10万円以上の固定資産の購入費を、耐用年数で割って経費にしていきます

2.一日あたりの売上計画を作る

 次に、一日あたりの売上計画を立てましょう。

 売上高を求める要素は、客単価席数平均滞在時間、そして店舗営業時間÷平均滞在時間で求められる回転率です。
 ほかの業態と比べると滞在時間の短いラーメン店ですが、おおよその平均滞在時間は近隣のライバル店を観察すると掴むことができます。

▼売上高の求め方とは?

 一日当たりの売上高は、客単価×席数×回転率で求めます。

客単価800円、席数20席、11時~21時までの10時間営業、平均滞在時間30分の場合
800×20×20(営業時間10時間÷平均滞在時間0.5時間)=320,000円

 ここで注意すべきは、20席に対して必ず20名が座るわけではないということ。テーブルの使い方によっては、15名で満席になることもあります。そこで、(満席時の客数÷総席数)×100 で求める客席稼働率を使います。

 先ほどの例において、15名で満席になっていた場合、客席稼働率は(15÷20)×100=75%。よって、正確な売上高は320,000円×75%=240,000円となります。

 また、時間帯や曜日で客層が変わることを想定し、ランチとディナー、平日と休日に分けて売上を予測するのがおすすめです。
 以下の3パターンを設定しておきましょう。
低調時…最低でもこのくらいは売るという額
平常時…普段通りの営業なら、問題なく達成できる額
好調時…努力目標として高めに設定しておく額

>>飲食店経営 売上向上のカギ《回転率と稼働率とは?》計算式と対策を知ろう

3.資金計画をもとに事業計画書に記入する

 日本政策金融公庫のフォーマットで事業計画書を作る場合、特に重要視されるのが「必要な資金と調達方法」、そして「事業の見通し」の項目です。収支計画と売上計画をしっかり立てておけば、ここに説得力のある記入ができます。

▼必要な資金と調達方法

 この項目では、設備資金と運転資金に分けて、必要な開業資金をまとめます。
設備資金
物件取得費、内外装工事費、厨房機器などの金額です。不動産業者や施工業者の見積もりを確認しながら記入しましょう。
運転資金
食材や飲料の仕入れ代、人件費、水道光熱費、販促費などの金額を記入します。

 また、右側の欄の“調達の方法”には、資金の調達先を次の4つに分けて記入します。
自己資金
親、兄弟、知人、友人などからの借入
日本政策金融公庫からの借入
他の金融機関からの借入


 親や兄弟などからの借入、他の金融機関などからの借入については、内訳と返済方法も記入します。最終的には、“必要な資金”の合計と、“調達の方法”で書いた金額の合計が一致しなければなりません。

▼事業の見通し(月平均)

 この項目では、創業当初と軌道に乗った後に分けて損益計算書を作ります。先ほど記入した月々の返済額よりも、ここで求めた利益の方が大きくなっているか確認しましょう。収支計画と売上計画を参照しながら、次の項目を記入します。
売上高
売上原価(仕入高)
経費(人件費、家賃、支払利息など)
利益(売上高から売上原価と経費の合計を引いたもの)


 右側の欄には、その金額を導き出した根拠となる計算式を記入します。記入欄が足りない場合は、別紙にまとめて添付することもできます。

>>飲食店経営に税理士は必須?資金調達、会計、財務の悩みを解決する方法とは?

新規開業・店舗経営のお悩みは、開店ポータルBizにご相談ください

 金融機関の審査官は、「この人は信頼してお金を貸せる相手か」「返済能力はあるのか」ということを書類と面談だけで判断します。だからこそ、事業計画書に説得力が求められ、しっかりと資金計画を立てることが重要となります。

 作りこまれた資金計画は、融資を受けやすくするだけでなく、開業後も経営の道しるべになります。資金計画があやふやなまま開業し、運転資金が回らなくなって閉店するケースが多いラーメン業界。お金のやりくりをどのようにしていくか、開業前から考えを巡らせておくことは、安定した経営を続けるために大切なことです。

 開店ポータルBizでは、開業資金調達から店舗運営にかかるコスト削減、集客・SNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!
開店ポータル編集部
2020/08/06