事業譲渡

コロナ禍で増えた飲食店のM&A!繁盛店でも売却をする理由は

開店ポータル編集部
2020/12/29

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、12月3日に公開された帝国データバンクの調査によりますと、飲食店の倒産数が2020年1月から11月の期間で736件に達したとされています。この結果はこれまでで最多だった昨年の732件をすでに抜いており、11月時点で過去最多を記録しました。

 

このように、飲食業界の不景気が続いているにも関わらず、逆に活性化しているのが飲食店のM&Aです。不採算事業だけでなく繁盛店でも売却をする傾向にあるという現状に、どのような理由が隠されているのでしょうか。

 

本記事では、コロナ禍で増えた飲食店のM&Aについて詳しく解説してまいります。

飲食店M&Aはコロナ禍で活発化

飲食業界は参入障壁が低く、新型コロナウイルスの感染拡大前は、一般企業が飲食店を買収する例が目立っていました。また、東京オリンピックの開催前であったため、インバウンド特需を狙った施策も考えられたでしょう。

しかし、詩型コロナウイルスの感染拡大により、多大なる不景気が訪れたほか、インバウンド需要をも全くといってよいほど見込めなくなった現在、コア事業として飲食事業を所持していた企業が飲食店を切り離すという実態が起きています。

繁盛飲食店でも売却へ

それは、あまり人気のなかった飲食店だけでなく繁盛飲食店も売却傾向にあるのです。コロナ前に飲食業界に参入した企業が、飲食店に関わってきた会社や経営者に売り渡す作業が行われていると考えられるでしょう。

 

また、繁盛店であれば特に、買収をしたいと申し出る会社や経営者も多くいることが予想されます。そのため、実際は不採算店舗よりも繁盛店のほうが売却に乗り出しやすいということも考えられるわけです。

M&A活性化の理由は

尤も、この飲食店M&Aが活発化している要因としては、

 

①コロナ前に飲食業界に参入した企業が切り離しをしている

②今後飲食店経営の難易度が高まる可能性がある

③デジタルの導入が必要になる

 

などが考えられます。ノウハウを持った企業に売り渡したり、協力したりすることで、飲食店を存続していくことができると期待できるからでしょう。また、非対面、非接触の接客や、販売チャネルの拡大、オンライン化などにおいては、ITリテラシーのある企業とタッグを組むことで、よりニーズに寄り添った事業展開をしていくことができるということも考えられます。

 

なにより、新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食店は新しいフェーズに向かっているといっても過言ではありません。それを切り抜けるための策の一つがM&Aであるといえるでしょう。

コロナ禍における飲食M&Aのポイント


コロナ禍における飲食M&Aのポイントは下記の3つです。

①飲食経営の専門特化

②デジタル化、DX化

③非日常から日常へ

ここからは、上記に挙げたポイントから解説していきましょう。

①飲食店経営の専門特化

先ほども申し上げた通り、飲食店経営は今後、専門性があり、かつ難易度の高い事業として見られるようになっていくでしょう。というのも、新型コロナ禍で飲食店は大打撃を受けました。これまで飲食店を経営してきた経営者にでさえも見当のつかなかった事態がおきたことで、片手間で続けていけるような事業ではなくなってきているからです。

 

実際、コア事業として飲食事業を所持していた不動産企業やIT関連企業は、飲食専門経営者に売り渡すなどしてM&Aを実施しています。

②デジタル化、DX化

また、飲食店と企業が協力関係になることを目的とするM&Aでは、デジタル化やDX化に着手することを課題として行われる場合もあります。

特に、業界限らず2020年は新型コロナ禍において、テレワークやデジタルの活用が急激に広まった年でもありました。飲食業界でも、デリバリーやテイクアウト事業を始めた店舗が増えたことで、販売チャネルをオンラインへと意向した例が増えたのではないでしょうか。

ただ、飲食業界ではITリテラシーの低い方、ノウハウがない方も多いです。そのため企業とM&Aを実施することが、飲食店のデジタル化、DX化のためのシナジーを得るきっかけになるということになります。

③非日常から日常へ

尤も、『外食』という文化は、どこか『贅沢』や『非日常』な体験を得られる場として認識されているケースも多いのではないでしょうか。飲食業界の中でも、特に新型コロナウイルスの影響が大きかった業態は、居酒屋です。宴会などの非日常での利用に依存していた居酒屋は、売上が深刻になったことを受け、『お弁当メニュー』や『デリバリー』を開始することで、なんとか売上を持ち直した店舗もあります。

『おうち時間』という言葉が流行ったように、2020年は従来よりも自宅で過ごす時間が圧倒的に増加しました。在宅ワークなどの影響も考えられるでしょう。そうした中、これまでは外で体験していたことが、自宅で日常的に体験できるサービスに多くの方が魅力を感じるようになったとも言えるわけです。

そういった意味では、飲食事業同士がM&Aを実施し、テイクアウトやデリバリーのノウハウ、調理方法のノウハウを共有することが、販売促進に繋がる可能性もあります。

飲食店が今後行っていくべきこと


コロナ禍でM&Aが増えた動きというのは、おそらく、飲食店存続のため、飲食店のデジタル化、DX化、改革のためであると考えられるでしょう。

とはいえ、M&Aを実施するには、資金も必要ですし時間も必要です。M&Aを行う予定のない飲食店が、この話題から学べることは、時代のニーズに合わせた動きをしていくべきであるということです。

 

それは、先ほども申し上げたような、

・デジタル化、DX化 への動きであったり、

・日常生活に溶け込むサービス の展開などです。

特に、デジタルを導入するという点については、飲食店に限らずアフターコロナに向けても必要な対策となってくるでしょう。

 

非対面・非接触の需要が伸びている点、人々の衛生面に関する意識が変化している点、生活環境、働き方が変化している点を見れば、その必要性は一目瞭然です。

 

とはいえ、何からデジタル化を行えばよいのか分からない、そもそも何をすればDX、デジタル化と呼べるのか分からないという方は、開店ポータルBizまでご相談ください。ITに強い専門コンシェルジュが丁寧にサポートいたします。

まとめ

本記事では、飲食店のM&Aが活発化していることを受け、今後の飲食店に必要になってくる対策等について解説いたしました。

 

コロナ禍でデジタルから受けた恩恵は計り知れません。自宅から出ることを許されなくなった生活において、デジタル技術がなければ、その情報を得ることもできませんでしたし、スマホでデリバリーを注文することもできませんでした。

そういった意味では、再度人々がデジタルへの恩恵を理解したことで、今後はデジタル化が進んでいくとも考えられるわけです。

 

これは、飲食店によるM&Aが多く実施されたことでも裏付けができる内容でもあるでしょう。M&Aを実施する予定のない飲食店も是非、今回ご紹介したポイントをもとに、生き残りのための対策を取ってみてはいかがでしょうか。

開店ポータル編集部
2020/12/29