開業手続き

飲食店開業までの流れを解説!保健所に届出る書類や失敗の要因も解説【フローチャート付】

開店ポータル編集部
2022/08/15

「飲食店の開業までの流れを把握し失敗したくない」
「自宅で小さな飲食店の開業を一人で成功させるポイントは?」


飲食店は、開業から2年以内で60%以上が廃業すると言われるほど、新規参入が厳しい業界です。

自己資金を無駄にせず、飲食店の開業を成功させるには、開業までの流れを事前に把握し、リスクに備える必要があります。

本記事では、飲食店の開業までの流れをフローチャート形式で解説していきます。一人で飲食店開業を成功させたいと考えている方や、自宅で開業をしたいと考えている方、新型コロナウイルスに負けない繁盛店の作り方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

飲食店開業には半年~1年の準備期間が必要

飲食店を開業するまでには、最低でも半年〜1年程度期間が必要ですコンセプト設計や物件選び、資金調達など、飲食店のオープンまでに行うべきことは数多くあります

飲食店の開業を一人で行う場合は、開業までのスケジュールを洗い出し、いつまでに手続きを完了させるか明確にしておくことが大切です。
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飲食店を開業するまでの流れをフローチャートで解説

1年前:コンセプト設計が最も重要

飲食店の開業の流れとして、はじめに行うのがコンセプト設計です。ターゲットとなるお客様の年齢や、飲食店に訪れる目的、店舗独自の強みを決定します

10年後に生き残っていられるかどうかは、開業前のコンセプト設計が綿密どうかで左右されるというほど、重要です。コンセプト設計が曖昧な場合、店舗の内装やメニュー、価格設定などを決定する際にズレが生じてしまい廃業のリスクを高めてしまいます。
 

コンセプト設計を甘く見るのはリスク

飲食店の開業において、何となくでコンセプト設計をするのは危険です。コンセプト設計は、ライバル店との差別化を図るのに重要なため、コンセプトが甘いと既存の店舗に勝つことができません。

また、コンセプト設計が曖昧な場合、金融機関に「融資を回収できる見込みがない」と判断され、融資を借りられない可能性もあるため注意が必要です。
 

7W2Hの視点で飲食店のコンセプトを具体化

  1. Why:なぜ、飲食店を開業する必要があるのか
  2. When:いつ、いつまでに飲食店を開業するのか
  3. Where:どの、エリアや立地で開業するのか
  4. Who:誰が、誰が誰と開業するのか
  5. Whom:どんな、ターゲット層を狙うのか
  6. What:何の、ジャンルは何のお店なのか
  7. Which:どれが、飲食店の強みになるメニューなのか
  8. How:どのように、飲食店をユーザーに知ってもらうか
  9. How much:いくら:何にどれくらいの費用が必要なのか
飲食店のコンセプト設計は、7W2Hの視点を持って考えると、店舗の構想を具体的に考えられるようになります。

経営が安定している飲食店には、必ずコンセプトがあります。理想となる店舗の7W2Hを分析してみると、自店舗のコンセプトもはっきりしてくるため、参考にしましょう。

11ヶ月前:事業計画書の作成

飲食店の開業にあたり、コンセプト設計の次に行うのが事業計画書の作成です。事業計画書とは、事業内容と収支計画をひとつにした書類を指します。

事業内容には、創業の動機や店舗独自の強みを記入し、収支計画には、借入の状況や売上の見通しを記入します。事業計画書は、金融機関に融資を借りる際に必要になるため、しっかり記入しましょう。

>飲食店の事業計画書のテンプレートはこちら(日本政策金融公庫)

8ヶ月前:立地や物件を探す

飲食店の開業の流れをフローチャートで確認すると、次に取り組むべきなのが物件探しです。

ターゲットが多いエリアや、街の雰囲気、競合にどんな飲食店があるかなど、不動産会社と相談しながら見つけましょう。
 

物件探しは資金調達より先におこなう

飲食店の物件探しは、資金調達よりも先に行ないます。飲食店の開業は、融資などを使って資金調達することが多いため、物件が確定していないと、金融機関はお金を出せないからです

コンセプトと合う物件が見つかったら、物件の借り抑えをします。その際、手付金の支払いが必要か、手付金を払わずに契約は可能かオーナーに交渉しましょう。
 

物件探しは施工業者にも同行してもらう

飲食店の物件探しをする時には、施工業者に同行してもらうのが大切です。施工業者に同行することで、予定している席数を配置できるのかその場で確認できます

一人で物件を決めてしまうと、予定の席数を置けずに収支計画に狂いが生じてしまうため、物件選びの前に、施工業者を見つけましょう。

5ヶ月前:資金調達を行う

飲食店の開業の流れとして、次に行うのが資金調達です。資金調達には、自己資金だけでなく、銀行からの融資を借りるという方法もあります。

その中でも、日本政策金融公庫による創業融資制度は、創業経験のない人でも融資が受けられるので、飲食店を開業したい方の多くが使う制度です。
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開業資金は1000万円前後用意しておきたい



飲食店を開業する場合、開業にかかった平均資金額は952万円となっており、事前に用意した資金調達額の平均は1,037万円です。

また、開業資金には、開業してから経営が軌道に乗るまでの運転資金も必要になります。約6割の飲食店が、経営が黒字化するまでに半年以上かかっているため、半年間は赤字が続く想定で資金調達を行ないましょう。


資金調達の方法1.自己資金

飲食店の開業資金を調達する方法として、真っ先に考えられるのが自己資金です。

開業時における平均自己資金額は309万円のため、開業にかかる約3割の金額を自分で用意していることになります。

自己資金があるほど、借入もしやすくなるため、最低でも融資額の3割は自分で用意しましょう
 

資金調達の方法2.親族や友人から借りる

飲食店の開業資金を調達する方法には、親族や友人から借りるという手段もあります。

ただ、親族や友人から借りることで一時的に増えたお金は、融資の際には自己資金として計算されません。「見せ金」と呼ばれ、コツコツ自分で貯めたお金より評価が低くなります。

手軽に資金調達できる分、返済に関するトラブルも発生しやすいため、身内から金銭を借りる場合は、必ず借用書を用意しましょう
 

資金調達の方法3.金融機関から融資を受ける

飲食店の開業資金を調達する方法として、金融機関から融資を受けるのもひとつの手です。審査によっては、1,000万円以上の融資を得ることもできるため、開業の大きな助けになります。

融資交渉の際には、事業計画書をもとに、売上予想や融資の返済目処を融資審査官に説明するため、自店舗のコンセプト設計が重要です。

4ヶ月前:メニュー開発を行う

飲食店の開業の流れとして、次に着手するのがメニュー開発です。飲食店のコンセプトに合わせ、他店と差別化できるメニューを作っていきます。

また、一人で飲食店を開業する場合は、メニュー数の多いほど、調理の工数が増えるため、メニュー数を絞ることも大切です。

飲食店における繁盛メニューの作り方!売上分析法もご紹介!

4ヶ月前:内外装の施工を行なう

飲食店のメニュー開発と併せて進めたいのが、内外装の施工工事です。お店のコンセプトに合わせ、内装や外装をイメージし、施工業者に予算を提示します。

また、施工業者によっては、デザイン設計から施工まで一括して担当してくれるところもあるため、デザイン性を重視したい方におすすめです。
 
内装施工の費用相場
新装物件(スケルトン):1坪あたり30万円〜50万円
居抜き物件:1坪あたり15万円〜30万円

3ヶ月前:厨房設備を導入する

飲食店の開業の流れとして、内装完成後に取り組むべきなのが厨房設備の導入です。シンクや冷蔵庫、ガスコンロなど厨房設備の設計に合わせ、導入数を決定します。

厨房器具を安く導入したい方は、リース品を契約するか、中古品を購入するのがおすすめです。保健所の設備基準を満たしているか確認してから導入を決めていきます。

2ヶ月前:什器や備品を購入する

飲食店の開業の流れとして、次に行うのが什器や備品の購入です。テーブルや椅子など飲食店経営に必要な設備を購入していきます。

例えば、子連れのお客様をターゲットにしている場合は、小さい子どもでも座りやすく、汚れにくい材質を選ぶなどコンセプトに合った什器を選ぶと、ファミリー世代に多く利用してもらえるお店になれます。

1ヶ月前:スタッフ採用と教育を行う

飲食店の開業の流れとして、店舗自体の準備が終わり次第着手したいのが、スタッフの採用と教育です。

スタッフにレシピを覚えてもらったり、会計や清掃の手順をマニュアル化するなど、オープンに向けた段取りを整えます。

1ヶ月前:飲食店開業に必要な届出を出す

飲食店の開業には、食品衛生責任者と防火責任者の2つの資格が必要です。調理師免許が必要なのではと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、飲食店の開業に調理師免許は必須ではありません。

ただ、提出書類によっては、開業の1ヶ月前までに提出が義務付けられているものもあるため、提出期限を確認しておくことをおすすめします。
 

食品衛生責任者

  • 資格取得費用:1万円前後(都道府県によって異なる)
  • 資格取得までの日程:1日
  • 営業許可を取るまでの日数:約2週間
飲食業を営業する場合は、保健所へ食品衛生責任者の設置が義務付けられています。各都道府県が実施している講習会を受講すれば、最短1日で資格取得が可能です

また書類を保健所に提出したら、1週間以内に保健所職員による現場確認が行われます。検査時に問題がなければ、1週間程度で営業許可証が交付されるため、開業目安の2週間前には書類を作成しましょう
 
保健所検査を合格する飲食店の作り方
  • 壁は防火耐性があり、清潔で、明るい仕様になっているか
  • 床は清掃しやすく排水しやすいよう勾配はついているか
  • 調理スペースの天井が配管剥き出しになっていないか
  • 調理スペースと飲食スペースは仕切られているか
  • 調理スペースと飲食スペースの換気は十分に行えるか
  • 従業員専用の更衣室は設けられているか
  • 手洗い場は設けられているか
  • 厨房内に全ての調理器具が収まっているか
  • シンクは二槽式で60度のお湯が出る仕様になっているか
  • 食器棚に扉がついており全ての食器をしまうことができるか
  • 100ルクス以上の明るさがあるか
 

防火管理者

  • 収容人数が30人を超える飲食店に必要な資格
  • 延床面積が300平米以上:甲種防火管理者
  • 延床面積が300平米以下:甲種防火管理者もしくは乙種防火管理者
  • 資格取得までの日程:甲種防火管理者なら2日、乙種防火管理者なら1日
飲食店の開業にあたり、収容人数が30人を超える場合は、防火管理者の設置が必要です。

各都道府県によって、講習の受講方法や費用には差があるので、開業予定の飲食店の地域の公式ホームページを確認しましょう。
 

深夜酒類提供飲食店営業届

  • 午後0時〜午前6時までに酒類の提供をする飲食店が対象
  • 提出期限:営業開始の10日前まで
深夜営業の居酒屋やバーを開業する場合は、所轄の警察署に、深夜酒類提供飲食店営業届の提出が必要です。

届出の費用は無料となっており、原則として、営業開始の10日前までに書類提出を行います。
 

飲食店の開業に調理師免許は不要

飲食店を開業するにあたり、調理師免許は必須ではありません

調理師免許はいわば、食品管理のプロと認めるための資格です。学校や病院などの厨房で働く場合は必要になりますが、個人飲食店では調理師の資格がなくても大丈夫です

1ヶ月前:告知や宣伝をする

飲食店の開業の流れとして、忘れてはいけないのが店舗の告知・宣伝です。せっかく飲食店を開業できても、お客様が来なければ赤字になってしまいます。

飲食店の宣伝方法として代表的なのが、食べログをはじめとするグルメサイトの活用と、インスタグラムなどSNSの活用です。

開業してから告知をするのと、開業前から告知をするのでは、集客のスタートダッシュに差があるため、開業の1ヶ月前を目安に宣伝を始めましょう

1週間前:プレオープンをする

飲食店の開業の流れとして、最後に行うのがプレオープンです。プレオープンでは招待客を呼んで、ホールやキッチンのオペレーションに問題がないか確認を行います。

プレオープンをし、オペレーションチェックを行うことで、研修期間ではわからなかった問題点を明らかにすることができるので、開業後の失敗を避けることが可能です。
また、実際に集客や販促をしてみて、イメージ通りに動けたところ、できなかったことを洗い出し、ブラッシュアップをしましょう。

飲食店開業準備に必要な資格・届出チェックリスト


飲食店の開業までに用意しておきたい届出をリスト形式でまとめています。

各種資格の取得

飲食店を開業するには、下記2つの資格取得が必要です。
  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者
各都道府県で設定されている流れに沿って申請し、講習を受けることで取得できます。ただ、オーナーではなくても従業員の中に一人以上食品衛生責任者の資格取得者がいれば、再取得しなくても問題ありません。

【食品衛生責任者資格を取得できる条件】

  1. 栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者
  2. 保健所長(特別区にあっては、特別区の区長)が実施する食品衛生責任者になるための講習会または知事の指定した講習会の受講修了者

営業許可証

営業許可証は食品衛生責任者の設置をしたうえで、保健所に申請し、審査に合格することで取得できます。
保健所の職員が確認する項目は主に下記の項目です。事前にチェックをして、一回で合格できるようにしましょう。
 
  • 店舗スペースは、営業専用のものになっているか
  • 床や壁の材質は清掃しやすいものか
  • 天井の素材は、不燃材であるか
  • 店内は100ルクス以上の明るさがあるか
  • 調理場とホールに換気扇(シャッター付き)はつけられているか
  • ネズミやゴキブリなどへの対策は取られているか
  • 更衣室が設けられているか
  • トイレは、お店の衛生上影響のない位置に設けられているか
  • 手洗い設備が整っているか
  • 食器や食品を、清潔に保管できる環境は整っているか
  • フタ付きのゴミ箱は用意されているか

開業届(個人事業主のみ)

個人事業主として飲食店を開業する場合は、税務署に開業届けを提出します。飲食店を経営すると、所得税が発生するので、店舗の出店場所の管轄税務署で申請用紙を取得し、提出します。
届け出には開業届出と、個人番号がわかるもの、印鑑、青色申告承認申請書の4つが必要です。また、もし顧問税理士や公認会計士がいる場合は、その方の署名も必要になります。

一人で飲食店を開業する場合、開業届は出さなくても罰則はありませんが、開業届を出すことで、開業前の費用を経費として計上できたり、青色申告による節税効果が受けられます

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、開業届と一緒に税務署に提出する書類で、青色申告を行うことについて承認を受けるために提出する書類です。青色申告承認申請書を提出していない場合は自動的に白色申告となります。

開業から3ヶ月以内に提出するようにしましょう。
 

青色申告と白色申告の違い

  • 会計帳簿における違い
  • 税金の計算における違い
青色申告と白色申告には、主に上記2つの違いがあります。青色申告の場合は会計帳簿に厳密性が求められるものの、税金計算において特典が与えられるなどのメリットがあります。一方、白色申告では簡易な会計帳簿で問題ない分、各種特典の恩恵が受けられません。

白色申告にするメリットはほぼ無いので、飲食店を開業し、今後継続的に事業を続けていく場合は、必ず青色申告承認申請書を提出しておきましょう。

法人設立届出書(法人の場合)

飲食店を法人で設立する場合は、法人設立の事実を届け出る「法人設立届出書」を下記3つの場所への提出が必要です。
  • 管轄税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市区町村役場(東京23区を除く)
管轄税務署は約2ヶ月以内、都道府県、市区町村へは1ヶ月以内に届け出るようにしましょう。

給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇用する場合)

従業員を雇い入れ、給与を支払う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」を管轄税務署に提出する必要があります。なお、開業当初は1人で行う場合は、開業と同時に提出する必要はなく、従業員を雇用してから1ヶ月以内に提出をすれば問題ありません。

場所ごとの申請・提出書類一覧

税務署に提出する書類一覧

  • 開業届
  • 青色申告承認申請書
  • 法人設立届出書
  • 給与支払い事務所等の開設届出書

都道府県税務署・市町村役場に提出する書類一覧

  • 個人事業開始申告書(開業後)
  • 法人設立届出書
※個人事業開始申告書に関しては、県税事務所の1か所のみの提出で問題ない場合もあります。また、各都道府県・市町村によって提出期限が異なる場合があるため、必ず公式ホームページなどで詳細を確認しましょう。

保健所に提出する書類一覧

  • 営業許可申請書

飲食店開業準備に必要な設備・備品のチェックリスト

  • ​​​​調理機器が問題なく動作するか
  • ガス機器が問題なく動作するか
  • 空調設備が問題なく動作するか
  • 照明が問題なく動作するか
  • 換気扇は適切に排煙するか
  • 従業員分のユニフォームが用意されているか
  • テーブルや椅子の数が揃っているか
  • 卓上のカトラリーが揃っているか
  • 食器やグラスが揃っているか
  • 紙ナプキンやティッシュが用意されているか
  • ダスターが用意されているか
  • おしぼり業者との契約は完了しているか
  • メニュー表は卓数の倍程度用意されているか
  • インターネットやWi-Fiの接続が切れないか
  • レジに商品登録が完了しているか
  • 領収書や収入印紙が用意されているか
  • 店舗専用の口座が用意されているか
  • 店舗専用のクレジットカードが用意されているか
  • 店舗専用の電話番号が用意されているか
飲食店の開業日までに完了しておきたい備品や設備をリストにしました。

厨房やホール、レジ周りなどチェックする項目は多いものの、どれも開業後に必要な設備のため、忘れているものがないかきちんと確認しましょう。

販促や集客に関するチェックリスト

  • 紙クーポンやポイントカードの用意ができているか
  • グルメサイトの登録が完了しているか
  • Googleマイビジネスの登録が完了しているか
  • インスタグラムの登録が完了しているか
  • Facebookの登録が完了しているか
  • 近隣商店への挨拶はしているか
  • のぼりは作成したか
  • DMやチラシを作成したか
飲食店の開業までに行っておきたい販促や集客に関するチェックリストです。

飲食店を開業する時には、地元住民と不特定多数のユーザーへの両方の宣伝が必要になります。一人で飲食店経営をするなら優先順位をつけて宣伝に取り組みましょう。

飲食店開業にかかる費用内訳

   
費用 内訳
内外装工事 440万円
機械・什器・備品 190万円
運転資金 176万円
テナント賃借 125万円
FC加盟金 16万円
(参考:創業の手引き+ 日本政策金融公庫)

飲食店の開業資金は、店舗の規模によって異なりますが、一般的に見込み年商の半分の額が開業資金の目安になるとされています。

飲食店の開業資金を安くするには、内外装のコストを抑えるのが効果的です。居抜き物件を利用できれば、改築に充てる費用を半額にすることもできます

自己資金ゼロで開業する方法はない

自己資金ゼロで融資は受けられない

飲食店の開業にあたり、自己資金ゼロで金融機関に融資を借りるのは不可能です。

例えば、日本政策金融公庫の説明には「創業時に創業資金総額の1/10以上の自己資金を確認できる方」と表記されているため、最低でも融資の10分の1は自己資金を用意する必要があります
▶飲食店の開業資金についてはこちらを確認!

家族や友人から借りたお金は自己資金として認められない

飲食店の開業時に、家族や友人から借りるのは資金調達の一つの手段ですが、自己資金としては認められません。

自己資金はあくまで、自分の努力によって貯めたお金です。家族や友人から借りた一時的な資金は、時間をかけてコツコツ貯めた資金よりも、融資の評価が低くなります

自己資金の多さは、経営者としての力量や、事業への本気度を見る指標です。厳しい話ですが、最低限の自己資金を用意できない人に、融資は行われません。

飲食店の開業時に使える補助金や助成金

飲食店の開業時には、申請すれば補助金や助成金を受けることができます。

補助金や助成金がもらえるのは申請から半年ほどかかりますが、返済義務のない資金のため、飲食店経営者は積極的に利用すべきです。
 

東京都創業助成事業

上限:300万円
助成率:対象経費の3分の2以内
東京都創業助成事業とは、東京都に新たに事業を創業する個人が、最大300万円の補助を受けられる制度です。

テナント費用や、広告費、器具備品の購入費など、幅広い用途に利用できます。
 

小規模事業者持続化補助金

上限:50万円
助成率:対象経費の3分の2以内
小規模事業者持続化補助金とは、雇用人数が20人以下の個人事業主が利用できる制度です。

販路開拓に関わる経費であれば、ウェブサイトの作成や、試作品の原料の購入費など幅広い用途で利用できます。

飲食店の開業で失敗するパターン

運転資金の見積りが甘い

飲食店は、オープンで1年以内に約3割の店舗が廃業しています。廃業の理由として最も挙げられるのが、運転資金の見積もりの甘さです。

経営者の6割が、開業から半年までは赤字経営が続いたと回答していることからも、半年間赤字が続いたとしても、経営が続けられる資金はいくらか何度も見積もりを行いましょう。

こだわりが強く自分本位な店になっている

飲食店の開業をするときに、飲食店への憧れが強い方が起こしがちな失敗が、こだわりを出しすぎてしまうパターンです。

コンセプトに沿っていれば、原価の高い食材を使うのも、内装費にこだわるのも悪いことではありません。しかし、融資の返済計画を逼迫するほどのこだわりは捨てるべきです。

集客ができていない

飲食店のメニューがいくら美味しくても、集客を疎かにしてしまうと、経営は失敗してしまいます。

ターゲットを店舗に呼ぶためには、グルメサイトやSNSを使った宣伝が重要です。集客に成功している飲食店の宣伝方法を分析すると、自社に必要な集客方法を見つけられます

飲食店の開業で失敗しないための対策

最低6ヶ月の運転資金を用意する

飲食店の開業後の流れを考えると、最低6ヶ月分の運転資金を用意できると安心です。

飲食店を開業した約6割が、半年以内に閉店につながっているため、経営が軌道に乗るまでの運転資金には余裕を持ちたいところです。

開業2〜3か月はシフトに余裕を持つ

飲食店を開業してから2〜3か月は、従業員数を多めに設定するのがおすすめです。

人数を減らしすぎると、料理の提供やオペレーション対応がうまくいかず、店の評判が下がることになります。新規客からリピート客を作るためにも、最初はスタッフ数にゆとりを持ちましょう

販促は複数のツールを使ってしっかり行う

飲食店の開業を成功させるには、販促に力を入れるのが大切です。

グルメサイトやSNS、Googleマイビジネスなど複数のツールを使うことで、流入の窓口が広くなり、多くのターゲットを集客することができます。

問題点を確認して改善する

飲食店の開業すると、オペレーションミスや発注ミスなど日々問題点が見つかります。

発見できた問題点を早急に改善できれば、より良い飲食店経営につながるため、問題点をそのままにせず、日々改善に取り組みましょう。

飲食店を開業するリスク

金銭面でのリスク

飲食店を経営する場合、赤字や借入の返済など、常に金銭面でのリスクがついてきます。

また、原価料の値上げや、ライバル店の進出するなど、開業後に売り上げが低下することも見込まれるので、自己資金や融資希望額にはゆとりを持つべきです。
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衛生面でのリスク

飲食店を経営する場合、カンピロバクターやO-157など、食中毒の衛生面のリスクが必ず発生します。

もし、食中毒が発生すると、食品衛生法に基づき3日間の営業停止期間が生まれ、店舗への信頼も落ちてしまうため、衛生管理は徹底的に行いましょう。

小さいお店の開業を作るためのポイント

小さな飲食店の開業を成功させるには個性が必要

小さな飲食店とは、一般的に座席数が20席以下のお店を指します。10坪~15坪程度の小さなお店が、飲食業界で生き残るには、大手にはない個性が必要です。

例えば、こだわりの食材を使った独自のメニューや、調理スペースと席が近いライブ感のある調理は、小さなお店だからこそできる演出です。コンセプト設計時点で、自店舗にしかない個性は何か見つける必要があります。

小さな飲食店なら自宅でも開業できる

飲食店は、営業許可を取得できる物件であれば自宅でも開業できます

バーチャルレストランと呼ばれるデリバリー専門店であれば、客席を設ける必要もないため、内外装費を最低限に抑えて飲食店を開業可能です。
 

バーチャルレストランとは

バーチャルレストランとは、実店舗とは異なる業態の飲食店を、デリバリー専門店として開業したものを指します。キッチンさえあれば開業ができる省コストな点が評価され、コロナによるデリバリー需要の増加をきっかけに人気が出ました。

バーチャルレストランであれば、キッチンでフードを作ることに集中して、デリバリーはUbereatsなどのデリバリースタッフに任せることができます。
 

バーチャルレストランのメリット

バーチャルレストランのメリットは、最低限のコストで始められるという店です。バーチャルレストランは、デリバリー限定の飲食業態なので、さい飲食店でも厨房設備さえあれば開業できます

またバーチャルレストランでは、人気飲食店のフランチャイズとして暖簾分けしてもらえるので、売上実績のあるメニューをデリバリー事業を始められるという魅力があります。
 

バーチャルレストランのデメリット

バーチャルレストランのデメリットは、PRがしにくい店です。内装や外装でお客様に入店する必要がないので、デリバリー独自のPRが必要になります

またバーチャルテストランはフランチャイズ経営なので、加盟金や保証金、フランチャイズのロイヤリティなど費用が発生します。フランチャイズ経営をしてコスト以上の利益が出るのか申し込み前に見積もりをしましょう。

小さいお店で開業するときのおすすめの業態

小さい飲食店を一人で営業する場合は、開業資金が少なくても開業できるバーチャルレストランがおすすめです。

バーチャルレストランであれば、繁盛店のフランチャイズとして飲食店を経営できるので、コロナ中でも失敗が少なく、自宅で開業することができます。

まとめ


飲食店の開業は、半年から1年かかるのが一般的な流れです。まずはコンセプト作りからはじめ、コンセプトに合った物件探しやメニュー開発を進めていきます。

また、飲食店の失敗として最も挙げられるのが、資金不足です。自己資金と融資を合せて、開業後半年間の資金を確保しておくことで、コロナ禍でも負けない飲食店を開業させることができます。


 
開店ポータル編集部
2022/08/15