開業手続き

会社設立時・個人事業の開業時に揃える3種の印鑑

開店ポータル編集部
2019/12/10
 新たなことをはじめるとき、必ず必要になる印鑑。たとえば、個人事業主として開業する場合は、個人事業の開業届や青色申告承認申請書に。会社設立の場合は、法務局での登記に関する書類や、税務署に提出する法人設立届出書に、それぞれ印鑑を押印します。印鑑は、これらの場面で重要な役割を果たします。個人事業の場合も、会社設立の場合も、すべては印鑑からはじまるのです。

「個人事業」に必要な印鑑


 個人事業の場合、必要な印鑑は、個人用印鑑と角印と屋号印の3種類です
 開業の手続きに実質必要となるのは、個人用印鑑だけですが、契約書や納品書など、書類に合わせて用意すると便利です。

個人用印鑑

 個人用印鑑は、個人事業の開業届、事業開始申告書、青色申告承認申請書に押印する印鑑です男性用は12mm~13.5mm女性用は10.5mm~12.0mmくらいの大きさが一般的です。個人事業の場合、プライベートで使用している認め印をそのまま使うことも可能です。しかし、ビジネスにおいて、印鑑は書類の信頼度を高めるためのもの。プライベート用と区別するために、フルネームで作る人も珍しくありません。

角印

 見積書や納品書、請求書、領収書などビジネスで必要な書類に捺印する印鑑です。サイズは、21mm~24mmが一般的です。この角印には、店の名前(屋号)を入れます。角印は最も使用頻度が高い印鑑です。重要度はそれほど高くないため、ゴム印やシャチハタタイプもあります。

屋号印

 屋号印は、契約書などの重要な書類に捺印するための印鑑ですサイズは15mm~21mm。契約書などには、丸印を押すのが一般的であるため、店の名前(屋号)を入れた丸印があると良いでしょう。また、屋号で事業用の銀行口座を開設したい場合にも、屋号印があると便利です。

「会社設立」に必要な印鑑


 会社設立の場合は、会社実印、会社銀行印、会社角印の3種類を用意します

会社実印

 会社実印は、登記申請書に押印する印鑑のことです。この印鑑の大きさには規定があり、「印鑑の大きさは,辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるものまたは辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない(商業登記規則第9条第3項)」とされています。

 また、すでに登録済みの印鑑や、ゴム印、端が欠けているものなども使用できません。法人の場合、個人用とは異なり、法務局での印鑑登録が必要になります。この会社実印は、契約の場面においても使用されます。

会社銀行印

 会社銀行印は、法人口座開設の際に取引銀行へ登録する印鑑です。経理担当者が管理する印鑑となるため、会社実印と区別して、少し小さい16.5mm~21mmほどのサイズで作るケースが多いです。

 法人用口座開設には、支店または事業所等の住所を確認できる書類や履歴事項全部証明書、法人の印鑑証明書などの書類が必要になります。また、審査期間として1~2週間くらいかかるため、余裕を持って手続きを行いましょう。

会社角印

 見積書や請求書などの書類の押印に使用します。サイズは、18mm~24mmが一般的です。請求書や見積書に押印することは、法律で定められているわけではありません。書類のペーパーレス化が進み、電子文書でのやり取りも増えています。こうした背景から、電子文書用の電子印も増えています。

一般的な書体は?


 印鑑の書体は、篆書体(てんしょたい)、印相体(いんそうたい)、古印体(こいんたい)を使用する場合が多いです。
 篆書体や印相体は、偽造しにくいことから、会社実印や銀行印に向いています。古印体は、読み取りやすいので角印に向いています。同じ書体でも、販売店によってデザインは微妙に異なります。サンプルを確認して選びましょう。

印鑑の材質やケースはどう選ぶ?


 印鑑の材質の種類はさまざまですが、大きく分けると、木材系、水牛系、象牙系、石系、金属系などに分類されます。
 木材系は、柘植(つげ)、アグニ、彩樺(さいか)など。水牛系は、オランダ水牛や黒水牛。象牙系は、象牙の外側を使用したものや、中心部付近を使用したものなどランクがあります。石系は、水晶やメノウ、翡翠などがあり女性に人気があります。金属系は、チタンや耐食性の高い合金「コバルトクロムモリブデン」など、新素材が続々と誕生しています。



 開業の際に使う印鑑の材質に決まりはありませんが、耐久性などを考えて、長持ちする材質を選びましょう。開業用の印鑑は、3種類がセット販売されていることも多く、場合によっては印鑑ケースも付いています。印鑑ケースが付いていないときは、購入になりますが、印鑑の形状やサイズによっては、合わないこともあります。必ず大きさを確認してから購入しましょう。 
開店ポータル編集部
2019/12/10